ときどきレビュー日記


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坂尾要祐の秘密基地に帰還する

<'04 5/21(金) 明治絵画とローマの人々>

この日は有給休暇を取って、 「文の都 史跡・観光ポイント巡り」という文京区の 文化施設を周るスタンプラリーの景品をもらいに行った後、 上野公園の美術館二つを見て周りました。

[再考:近代日本の絵画・第一部@東京藝術大学大学美術館]

まずは東京藝術大学大学美術館で 「再考:近代日本の絵画 美意識の形成と展開」の第一部を見る。
東京藝術大学大学美術館(第一部)と東京都現代美術館(第二部)の2館を 展覧会場とした、 近代の日本の絵画の大規模な展覧会です。

で、芸大美術館で開かれてた第一部は、明治時代の 日本洋画黎明期の絵画(博覧会、アカデミズム)、 風景画、 静物画などを中心とした展示となってました。

まずは「博覧会芸術」ってとこで海外の万国博覧会や国内の内国勧業博覧会に 出品された美術品のコーナー。 大きくて幽玄な日本画の橋本雅邦「白雲紅樹」、 細密な書き込みにより存在感が際立つ洋画の高橋由一「甲冑図(武具配列図)」などの いかにも殖産興業っぽい輸出向けの和風題材の絵が並びます。 他にもリアルな蟹の像が水鉢にくっついてる初代宮川香山「色絵蟹高浮彫水鉢」の ような絵画以外の工芸部門などの博覧会出品作品も展示されてました。 そういえば、このころの博覧会向け工芸はかなりがんばってたんですよね (2003 11/2に見た工芸の世紀@芸大美術館の展示作品は凄かった……)。

次に「アカデミズムの形成」と言うことで 黎明期の日本洋画と近代日本画の展示コーナー。 リアルさ溢れる洋画の高橋由一「美人(花魁)」や原田直次郎「靴屋の親父」、 ちょっと変な格好の岡倉天心を描いた日本画の下村観山「天心岡倉先生(草稿)」、 諸星大二郎チックに日本的な神話・昔話を描いた 原田直次郎「騎龍観音」や山本芳翠「浦島図」あたりが印象的でした。 ……って「靴屋の親父」と「騎龍観音」は同じ人が描いてたんかい! なんか画風違ったから全然気付きませんでしたよ…… (アカデミックな髭親父の肖像画と諸星大二郎な ドラゴンライダー観音だもんな……)。

次に「風景論」てことでそのまんま風景画のコーナー。 洋画、日本画、具象画、抽象画問わず様々な風景画が並んでました。 ……このコーナーは展示の幅がかなり広かったんでまとめにくいですね……。 細密な描き方でなんか風景が風景でないよーに感じられる (存在感で風景が歪んでるようにすら感じられる) 岸田劉生「道路と土手と塀(切通之写生)」や なんか凄い荒っぽく描いてるんだけどそれでも荒れた畑にちゃんと見えるところが凄い 鳥海青二「信州の畠」あたりでしょうか。 他にもいい作品は結構あったんですけど割愛します (なんせここは作品数が多かった……)。

最後に「静物論」てことでやっぱりそのまんま静物画のコーナー。 ここで際立ってたのはやっぱり高橋由一「鮭」でしょう。 ……減ったお腹にこの絵は毒です。美味しそう。 静物画といっても練習用のアカデミックなものだけでなく、 吉原治良「麦藁帽子と仕事着(A)」、靉光(あいみつ)「静物(雉)」みたいに なんだか意味ありげな作品も在りました。

近代日本美術の有名どころの作品が集まってて全体に見応えがありました。
あと、5/8に久米美術館で色々見た久米桂一郎による絵(参考: 2004 5/8の日記)があったり 今までに国立近代美術館・東京都現代美術館・東京国立博物館とかの 常設展で見たことある作品が結構あったりして、 今までの展覧会めぐりで得た知識が頭の中で色々と組み合わさる 楽しみが在りました。 ……美術鑑賞としてはちょっと邪道な楽しみ方かな?

……ここまで書いて思いましたけど、下手に図録を買ってしまうと 展覧会全体のことよりも個々の作品のことを書くのに終始しちゃいますねー。 ちょっと気をつけないと。 ただでさえ長くなりがちな日記がますます長くなるし。

参考サイト
東京藝術大学大学美術館 展覧会・催し物 過去の記録(2004年度) 再考:近代日本の絵画 美意識の形成と展開
東京都現代美術館企画展 再考:近代日本の絵画 美意識の形成と展開
 第二部の会場。しかしここ、過去の展覧会へのリンクが弱くなってますね…… (今回のは検索に引っかかったから直リンクしたけど)。
セゾン現代美術館展覧会 再考:近代日本の絵画 美意識の形成と展開
 展示を行う2館と共同で企画を行った美術館。

[古代ローマ彫刻展@国立西洋美術館]

芸大美術館の向かいにある陳列館で東京・北京・パリ交流ポスター展を 見てから国立西洋美術館に移動し、 「ヴァチカン美術館所蔵 古代ローマ彫刻展 生きた証―古代ローマ人と肖像」 を見る。
ヴァチカン美術館が所蔵する、共和制ローマ時代(紀元前3世紀ぐらい)から 初期キリスト教時代(4世紀ぐらい)の間に作られた 古代ローマの肖像彫刻の展覧会です。

展示の中では、ローマ人の墓石に刻まれた、死者の生前の職業や業績を 表すレリーフも結構興味深かったですね。 彫刻家の墓には肖像製作をする男のレリーフ、 戦車競争の選手の墓には迫力ある戦車競争のレリーフ……という感じで、 ローマ人は「如何に生きたか」を重視する国民性だったことが伺われます。

ローマの女性のファッションを現すコーナーもなかなか面白かったです。 トラヤヌス帝時代の女性の髪形(かつら着用)はなんだか 幾何学的なタテガミみたいですごかった……なんであんな髪型が流行ったんでしょ。 あと、神話に出てくるオンパレという神話中の女王の格好をした(コスプレ?)彫像に 対する音声ガイドもなかなか面白かったり。 「オンパレはヘラクレスをとっ捕まえて服を取り上げて 自分のために手芸仕事をさせた女王です。 夫がこのオンパレの格好をした妻の像を作らせた 背景にある夫婦関係が興味深いですね。(要約)」って、 そらずいぶんとカカア天下だったんだろうなぁとしか考えられないんですが……。

流石にいい彫刻が多かったのは歴代の皇帝の肖像が並んだコーナー。 まず目に付く有名なカエサルの肖像は、 その強い意志を感じさせる立派な鼻筋が印象に残ります。 ローマ初代皇帝アウグストゥスのでっかい肖像は 朴訥な体育会青年を思わせる、意外と素朴な顔立ち。 安定した治世を行って名君と言われたトラヤヌス帝の肖像は いかにも「誠実なおじさん」という感じ。 暴虐を尽くしたカラカラ帝の肖像には、 暴君なりの眼力の強さと疑り深い性格が浮き彫りにされています ……皇帝の依頼で作ってる(多分)肖像彫刻にまで しっかり悪い性格が表れちゃうんだなぁ。 臣民から支持を得られず追い落とされたバルビヌス帝の肖像は ……高木ブーの人徳を50分の1ぐらいに減らした感じ…… でしょうか。 不人気な皇帝の人気の無さまで肖像に表れてます……。

そして、キリスト教が広まった後の作品は……ヘタウマっていうか……。 説明によると、キリスト教の思想により、 現世のことよりも死後ことや精神性を重視するようになった ため、生前の生き様を残すような肖像は作らなくなったそうです。 思想の変革って文化にダイレクトに表れるんだなぁ……。 ……それにしてもいきなりヘタウマになりすぎだと思うけど……。

このあと、常設展(ルネサンス直前〜現代の西洋絵画と近代彫刻。 印象派の作品中心で特にロダンとモネの作品が多い。)を見て、 学芸員の方によるスライドトークを聞いて帰りました。 ……寝不足気味だったのでちょっとスライドトークで寝てしまったのですが。

参考サイト
国立西洋美術館
NHKプロモーション展覧会情報 ヴァチカン美術館所蔵 古代ローマ彫刻展 生きた証―古代ローマ人と肖像
 主催に名を連ねるNHKプロモーションによる展覧会紹介サイト。


<'04 5/16(日) 幕末多摩とたてもの達>

この日は、江戸東京たてもの園に出かけてみました。

[幕末の江戸と多摩@江戸東京たてもの園]

江戸東京たてもの園で「特別展:幕末の江戸と多摩 〜新選組の時代〜」を見る。
幕末における江戸や新選組ゆかりの地である多摩の社会情勢をとりあげた 展覧会です。 ちなみに、江戸東京博物館で行われていた「「新選組!」展」と連動した特別展でも あります。

展示場はたてもの園入口に当たるビジターセンター(旧光華殿)の奥にある 小さめの展示室。 展示内容は異国人がやってきて様変わりする町の生活、 経済の混乱により武装し反乱を起こす人々やそれに立ち向かう人々、 江戸近郊における新政府軍と幕府軍の戦いと幕府の落日、 という感じでした。

面白かった展示物をいくつか上げてみます。
巨大な江戸・多摩の地図:展示室の床に敷き詰められていた巨大な地図。 展示に関係あるイベントの発生地点なんかが書かれてました。 新選組関連の場所もありましたが、 個人的には一揆発生とそれを迎え撃つ農兵隊の動きなんかが興味深かったり。
海岸埋め立て造成の図:当時の埋め立て技術が 「ウォーリーをさがせ」ばりの絵巻に描かれていて面白い。 ちなみにこれはペリー迎撃用の砲台要塞島としてお台場を埋め立てる 図とも考えられるらしいです。
異国人を見かけたある武士の日記: 王子に用があって出かけて料亭に寄ったら、異国人に出会ったという記述のある日記。 当時居黒人に会うって結構珍しいと思うんですが、日記はこの異国人をほっといて ひたすら料亭の料理の描写が続くという……。
武装板前の図:魚河岸の板前さんたちが、新政府軍の侵入に備えて 出刃包丁とかで勇ましく武装する様子を描いた絵。 ……板前だからって出刃包丁で武装って……。 あと、板前さんたちで幕府に義理立てする人もいたんだな〜と妙なところで 感心したり。
上野戦争(彰義隊の奴)を描いたいくつかの絵巻: 月岡芳年による迫力ある奴とか、 やまと絵の絵巻物みたいに俯瞰図になってて 銃火の描写がほとんどビームみたいになってる奴とか。

で、特別展を見終わった後に常設展示……というか移築された たてもの群を見ました。
もともと、「江戸東京たてもの園」というのは現地保存できなさそうな 建築物を移築・復元・保存・公開するという野外博物館なので こっちがメインといえるかも知れません。

エリアは全体として西・中央・東3つに分類されていて、 多摩地区の農村の建物からなるエリアと高級住宅地のモダンな住宅からなるエリア を併せ持つ西エリア、 時代を問わず名建築が距離を置き一つづつ独立した感じでたたずむ 中央エリア、 モダンな下町を思わせる東エリア、と言う感じになってます。
どのエリアもかなり雰囲気が出てて楽しかったのですが、 特に建物として面白かったのは 準洋風な感じの住宅でありながら大名屋敷みたいな装飾が随所に 見られる三井八郎衛門邸、 センスのいい和風住宅の中でうどんや甘味もいただける高橋是清邸、 「千と千尋の神隠し」の油屋のモデルになったとも言われる銭湯・子宝湯あたりで しょうか。

そうそう、 子宝湯の浴室内にはタイル絵として昔話の場面が描かれているのですが…… ありましたよ、ジブリ美術館で見かけたリアル擬人化版の猿蟹合戦の絵が (参考:2004 4/25の日記)。 しかも描かれてるのは臼さんにのしかかられた猿さんに対し蟹(子)が 今にも刀を抜こうとしているような場面。 ……殺す気なんだ!?しかも居合い抜きで!?
……江戸東京たてもの園の成立にも結構ジブリが関わってたみたいなので、 その影響で宮崎駿カントクお気に入り(推定)の昔話の絵が たてもの園に紛れ込んできたのかもしれません。

あと印象的だったのが、各建物などに配置されているボランティアの方々に いい人が多かったとこ。 特に、お手玉/ジャグリングの世界大会について熱く語ってくれた 吉野家(江戸時代の三鷹の農家の吉野さんのお宅で牛丼屋ではありません)の おばちゃんと、 鍵屋(言問通りにあったと言う居酒屋)でねじり鉢巻をして 居酒屋の大将風のトークで楽しませてくれたおっちゃんが印象的でした。

全体としてかなり満足感の高い施設でした。
これで入園料400円はかなり安いと言えます。 ……その分、遠かったから交通費はかかったんですけど (小雨気味だったので黒麺号は使えなかった)。

参考サイト
江戸東京たてもの園
ほぼ日刊イトイ新聞江戸が知りたい。東京ってなんだ?!
 糸井重里主催コラムサイト中の、江戸東京博物館の展示についての対談コーナー。
 2004-04-19 〜 2004-05-22 が「新選組!展」と「幕末の江戸と多摩」関連の 内容になってます。
 以前の企画展に関する対談もおもろいのでお勧め。


<'04 5/15(土) 幕末異邦人とイコンと焼肉>

この日は新橋・汐留にお出かけ。

[幕末・明治の外国人@旧新橋停車場 鉄道史展示室]

まずは旧新橋停車場・鉄道史展示室で 「ニッポンを見た!?幕末・明治の外国人」を見る。
タイトルの通り、幕末〜明治初期にかけて日本を訪れた外国人に関する 資料を中心に展示した展覧会です。

ちなみに、旧新橋停車場とは、 汐留再開発の際に発掘された旧新橋停車場遺跡(西暦1872(明治5)年開業)の上に、 当時の姿の新橋停車場駅舎を復元したもので、中には 鉄道の歴史や明治という時代に関する展示を行う「旧新橋停車場」および、 カフェ・回転寿司・サロンの複合施設「グランカフェ新橋ミクニ」があります。

主に取り上げられていた人物は以下のよーな感じです。

特に印象に残ったのは、ビゴーが大火の焼け跡を取った写真、 ギメに同行した画家が日本の画家、河鍋暁斎(かわなべ・きょうさい)と 早描き対決した際に描いた絵(←このエピソードは教育テレビ「新日曜美術館」 で見た)など。 展示品が少ない割には当時の訪日異国人について様々な角度で 紹介していて楽しめました。

訪日異国人の日本人・日本文化に対する見方も色々で、 「野蛮人にしては進んでるんじゃない?」ぐらいのスタンスの人 (オールコック)とか、 逆に日本の異文化をいたく気に入ったりとか(イザベラ・バード)、 日本人が急速に洋風化していく様子を嘆いたり(ギメ) 皮肉ったり(ビゴー)と色々です ……まぁ、おーざっぱにまとめてしまうと 白人優越主義と、異国趣味……ってことになっちゃうのかなぁ……。 もちろん、異国人個人個人と日本人個人個人の間には、 もうちょっと色々な関係があったんでしょうけど。

あと、映像資料として新橋-横浜間の鉄道が開通した時のことを伝える 映像資料の展示や、汐留再開発の際に発掘された 旧新橋停車場遺跡からの発掘物などが常設展示されています。

しかし幕末明治関係のもの見ちゃうと、 持ってるだけでプレイしたことないTRPG「上海退魔行(※)」を やりたくなっちゃうんだよな。難しそうだけど。

※上海退魔行: ヘルシング教授との戦いの後に上海に流れてきて上海闇社会のトップに君臨する ドラキュラ伯爵と、 大政奉還後に国外追放され西大后の招きにより上海に渡った 新選組が対決する世界のTRPG。 ヴィクトリア朝の英国人や幕末サムライ、明治政府関係者だけでなく 西部劇のガンマン、東欧の魔術師、清朝末期の拳法家、 復活した太平天国、スチームパンク技師、 闇の料理人、魑魅魍魎やらなんやらも上海に流れ着いてもう何がなにやら。

参考サイト
旧新橋停車場 鉄道史資料室

[ルオーとイコン@松下電工NAISミュージアム]

グランカフェ新橋ミクニであんぱんを買って頬張りつつ、 松下電工NAISミュージアムに 「開館一周年記念展 ルオーとイコン 描かれた聖像」を見に行く。
東方正教会系のキリスト教で信仰に使われる絵画“イコン”と、 キリスト教をテーマとした多くの絵を描いた近代フランスの画家、 ジョルジュ・ルオーの作品の展覧会です。

展覧会に出品されていたのは、玉川大学が所蔵する16世紀以降に ギリシア、ロシアで描かれたイコンの数々でした。 これらのイコンは、 金の地に聖書の場面やキリスト、マリア、聖人の肖像、 聖人の生涯などが平面的描かれ、静かな迫力を湛えていました。 これらのイコンは独特の癖のある描かれ方をしており 決して上手というわけでもないのですが、 不思議なオーラを放っていました。 そーいえば、国立西洋美術館で見たレンブラント展(2003 12/5)とかのお陰で だんだんと聖書知識が身についてきたようで、説明がなくても 描かれている場面がちょっと分かるようになったのは、 なんとなく嬉しかったかもしれません。

美術館の外に置かれていた画面にて、 1980年代のルーマニアで修道女の方達がイコンを描き写している (イコンは「過去より伝わるイコンの模写」という形で描かれる) 映像も流れていたのですが、 その様子は仏教寺院における「写経」を連想させる、 粛々としたものでした。 ……実は写経はやったこともやってるところを見たことも ないのですが……。 きっと、描くこと自体が修行であり、祈りでもあった……んだと思います。 多分、その祈りをオーラとして感じたのかな、と。

ルオーの作品の方は、以前一度この美術館に来た時 (2003 12/13 光彩都市展)に見たことがあるものが 多かったのですが、 陰鬱な法廷を描いた大きな作品や 青緑の風景の中に非情にシンプルに描かれた人(多分キリスト)がたたずむ作品 なんかが印象的でした。

参考サイト
松下電工NAISミュージアム
玉川大学教育博物館 イコンコレクション
 この展覧会に出品されていたイコンを所蔵。 イコンの画像も見れます。
Fuji-tv ART NET 展覧会に行こう! ルオーとイコン〜描かれた聖像〜
 美術館公式サイトから展覧会情報がなくなっちゃったので フジテレビの芸術関連サイトによる紹介をリンク。

[焼肉@遊牧]

最後に新橋駅前で会社の同僚と合流して「遊牧」というお店に焼肉を食べに行く。
山形県名産の米沢牛のお店です。

で、美味しいは美味しかったんですが…… いろんなところが売り切れてて…… タン塩さえ食べることができなかったのはどうかと……。

参考サイト
ぐるナビぐるナビレストラン関東版 米沢牛 炭火焼肉 遊牧 (銀座店)


<'04 5/9(日) 南宋絵画と写真とまるまる彫刻>

この日は表参道のあたりを周遊した後に恵比寿へ行くというコース。
小雨が降っていたので黒麺号は使用しませんでした。

[南宋絵画@根津美術館]

まずは根津美術館で「特別展 南宋絵画 ―才情雅致の世界―」を見る。 南宋時代(西暦1127年〜西暦1279年)の中国で描かれ、海を越え日本に伝わり、 室町時代の将軍家などに気に入られて時を越え伝わった絵画の展覧会です。

企画展の会場は、そう広くはない第一展示室。 そこに、数多くの国宝・重文を含む南宋絵画が展示されていました。 全体に見られる特徴としては、 どことなく幽玄というか幻想的な雰囲気が漂ってる作品が多いところでしょうか。 輪郭線がどこかぼやっとしてる 山水画(牧谿(モッケイ)「遠浦帰帆図」など)に そういう雰囲気があるのはまぁ自然なんですが、輪郭がきちんと書いてある 花や鳥を描いた画(李安忠「鶉図」など)もどこかそういう風格を漂わせているという。
その一方で鼻毛が飛び出してる人物画(牧谿(モッケイ)「老子図」)みたいなのも あったりして。 ……南宋絵画の人物画はどこかユーモラスなものが多いです。 でも僕は山水画が好きかな。

企画展を見た後は東洋の書・画・茶器に古代中国の青銅器からなる常設展を見物し、 燕子花(かきつばた)が綺麗に咲いていた広い日本庭園を周ってから 根津美術館を後にしました。

参考サイト
根津美術館 年間展覧会予定 特別展 南宋絵画 ― 才情雅致の世界

[WOMEN MEET PRIDE@スパイラルガーデン]

次に、スパイラルガーデンに移動して 「PRIDE7周年記念 WOMEN MEET PRIDE 「女性達が見たプライド」展」を見る。 格闘競技PRIDEの参加選手を3人の女性写真家が取った写真を中心に、 PRIDE関連の様々なものを展示していたという展覧会。
……でも、僕自身はPRIDEをあまり見たことがないのでこれは 「ふらっと寄ってみた」に近いかもしれません。

展示の中心となっていた写真は、ポートレイト風のものあり、 スナップ風のものあり、グラビア風のものありとそれぞれの写真家の個性が 出てました。
他に展示されていたものは選手が試合前・試合中に身につける ガウン、柔道着、グローブや優勝者がもらうベルトなど。 特にガウンは刺繍等のデザインが結構凝っていることが分かります。 あと、吉田秀彦着用の柔道着に入ってるスポンサーの広告が微妙に可愛かったりとか。
そして展示場屋のスペースを囲むように並んでいたディスプレー群では 今までのPRIDEの名場面を上映してました。 中でも吉田秀彦vs.ホイス・グレイシーの試合には見入ってしまったり。 PRIDEみたいな組み付きありの試合だと、 一旦優位なポジションを取ったほうがそのまま勝負を決めていくことが多いみたいです けど、その「優位を取る」までの駆け引きに緊張感があって見応えがあるように 感じました。
そしてこの展覧会のハイライト。会場内に持ち込まれていた PRIDEのリング(実物)に靴を脱いで上がれたんです。 リングの床面が結構柔らかかったこと、でもロープはかなり硬かったこと、 リング床面に書いてある「PRIDE」等の文字は実は印刷ではなく手描きだったこと…… など新鮮な驚きがありました。

参考サイト
spiral web
 スパイラルガーデンを含むビル「スパイラル」の公式サイト
h2oカンパニーWOMEN MEET PRIDE
 企画した会社のサイト

[祈りの大地@東京都写真美術館]

スパイラルカフェで昼食を済ませた後、電車で恵比寿まで移動。 ここではいつも3F, 2F, B1Fの3つの展示会場で違う展覧会を行っているのですが (あと1Fで映画をやっている)、 この日は上から順番に3つの展覧会を見ることに。
というわけでまずは3F展示室で行われていた 「祈りの大地 野町和嘉写真展」を見る。 ドキュメンタリー写真家、野町和嘉が サハラやナイルの民、メッカの巡礼、チベット、 エチオピアのキリスト教信仰、2000年を迎えようとするヴァチカン と様々な場所での祈りや信仰、人々を取ってきた写真の展覧会です。

かなり見応えのある写真展でした。 厳しいサハラの自然の中でメッカに向けただ頭を垂れる人々、 部族間で争い近代的な兵器を身につけながらも 原始的な信仰を守る人々、 エチオピア独特のキリスト教のやり方で モーゼの十戒の石版を祀り踊る人々、 中華人民共和国の侵攻により荒れ果てたチベット寺院、 集った人々の前で祈るローマ法王……どれも印象的で、心に残る写真でした。
特に印象的だったのはメッカ巡礼を写した数々の写真。 一つのものに向かて、祈り、歩き、そして生きる人々。 その一体感、その多彩さ(メッカに来る人々はみんなイスラム教徒だけど、 信仰形態は地域によってバラバラな為、結構来る人のファッションは バリエーション豊かになるんです)。 ……色々な点で、迫力がありました。

人と信仰というものについて深く考えさせられる写真展でした。
……そして、人が真摯な気持ちになって、神様を信じるというのも、 少し、悪くないことなのかも、とちょっと思いました。
人が祈る姿には、少なくとも、一種の美がありましたから。

参考サイト
東京都写真美術館 年間スケジュール 野町和嘉「祈りの大地」展

[知られざるロバート・キャパ@東京都写真美術館]

次に、東京都写真美術館2F展示室で行われていた 「没後50年「知られざるロバート・キャパの世界」展」を見る。
ロバート・キャパ(西暦1913(大正2)年-西暦1954(昭和29)年)の写真のうち、 キャパが写真家として著名になるきっかけとなったスペイン内乱を写した写真と、 インドシナ戦争への撮影(キャパ最後の撮影)に出かける直前に 日本に滞在していた頃の写真の展覧会です。

まずはキャパがスペイン内乱(西暦1936〜1939年、フランコ将軍がスペイン政府に 対して起こした反乱。反乱軍側にはナチスドイツとイタリアの正規軍が、 政府軍には各国の義勇兵からなる国際義勇軍が支援に付いた。 最終的には反乱軍側が勝利。)を写した数々の写真。
特に有名な、政府軍側の民兵が撃たれた瞬間を写した 「崩れ落ちる兵士」も展示されていました (それが掲載された当時の雑誌群も展示されてた)。 写真を通し、内乱時における、 主に政府軍の民兵や国際義勇軍側の 意外と明るくて、誇りを持っていて、……でもやはりどこか少し悲壮な空気が 伝わってきた……ような気がしました。

次に、キャパと日本との関わりという事で、 西暦1936年に毎日新聞特派員と識者による座談会の取材をした際の写真と、 毎日新聞の招きにより西暦1954年に来日した際に撮影した写真の展示と なっていました。 来日した際の写真は、一見するとスナップ写真のような 気軽で身近に感じられる写真が多かったように思います。 戦争写真でしかキャパを知らなかったので少し新鮮でした。 そんな中でも、神社の祭礼で着飾った少女を取った写真は 構図が考えられてて綺麗だった気がします。

そしてキャパは、所属雑誌社からの依頼により日本での取材を中断、 インドシナ戦争の取材に向かい、その地で文字通り地雷を踏んでしまい 命を終えるわけになるのですが…… 展示の最後では、その流れに沿い、 笑顔で羽田空港からインドシナ行きの飛行機にキャパが乗り込む様子を取った 写真から、 キャパが地雷を踏む直前に行軍の様子を撮ったった写真までが展示されていました。 流石に、キャパの運命を知りながらここを見ていると胸に迫るものがありました。

参考サイト
東京都写真美術館 [トピックス] 没後50年「知られざるロバートキャパの世界」展
東京都写真美術館 年間スケジュール 没後50年「知られざるロバートキャパの世界」展

[現代の秘境@東京都写真美術館]

その次に、東京都写真美術館B1F展示室で行われていた 「休戦ライン155マイル 写真で見る38度線非武装地帯の自然 現代の秘境」を見る。
韓国の写真家、チェ・ビョグァンが韓国陸軍の依頼を受け、民間人として始めて 韓国と北朝鮮の間に横たわる休戦ライン155マイルに立ち入り撮影した写真の 展覧会です。

北朝鮮に故郷を持つ故に休戦ラインの韓国側に集落を構えて暮らす人々や 休戦ラインに詰める韓国軍の人々の暮らしを撮った写真にも趣はありますが、 圧巻なのは休戦ラインの真っ只中にある自然や廃墟の様子を写した写真の数々。

世界に唯一残っている現役の冷戦現場・南北朝鮮間の休戦ラインは 朝鮮戦争停戦後50年に渡って殆ど人が入らない土地となったため、 結果として美しい自然が残っている秘境になったそうです。 絶滅したと思われていた生物が、隠れて生存しているぐらいの秘境に。
奇妙な運命により人の入らない土地となり、結果として自然が残った…… というところは白金台にある国立科学博物館附属・ 自然教育園(江戸期:高松藩下屋敷→明治期:軍の火薬貯蔵場→ 大正〜戦前:宮内庁御料地と使われ、人の殆ど入らない場所であり続けた)を ちょっと髣髴とさせます。 もっとも、 それぞれの場所に人の入らない運命を招いた人間の業の深さに いくばくかの差はありますが……。

また、かつては南北をつないでいた鉄道路線の廃墟や 戦争の残した物品の残骸も、 休戦ラインに独特の風情と寂しさをかもし出しています。 うち捨てられ、錆付いた鉄兜のヒビから菜の花が顔を出して咲いている写真が象徴的。

で、なんというか……「祈りの大地」「ロバート・キャパ」「現代の秘境」と シリアスな写真展を3つ続けて見てきたせいで、この展覧会の途中から 少し涙目になってしまいました。
展覧会の流れから、人はつらい中で生きる故に信仰が生まれ(祈りの大地)、 信仰や信念の違いから戦争も生まれる(ロバート・キャパ)、 しかし戦争が終わり人が去っても自然は残りそこにあり続ける(現代の秘境) というストーリーを勝手に想起し、強烈な無常観を感じ、 感情が飽和してうるうると来てしまったようです。 なんつーか、「国破れて山河在り」を地で行っているというか……。 ……自分で書いててまとまらなくなってきたのでこの辺で止めときます。

色々と感じることが在りました。 この3つの写真展を見に来ることができて良かった。

参考サイト
東京都写真美術館 年間スケジュール 休戦ライン155マイル 写真で見る38度線非武装地帯の自然  現代の秘境

[ボテロ野外彫刻展@恵比寿ガーデンプレイス]

最後に、恵比寿ガーデンプレイスで行われていた 「ボテロ野外彫刻展」を見る。 なんでもふっくらぽっちゃり体系にしてしまう彫刻家、 フェルナンド・ボテロの野外彫刻展です (絵も描いてるみたいです……彫刻と同じコンセプトで)。 そーいやこの人の作品、 北浦和の埼玉県立美術館の入口前においてあったな。

というわけで、恵比寿ガーデンプレイスじゅうにぼってりぽっちゃりの 大きな彫刻が置かれているのでありました。
なんつーか、京極夏彦じゃないけど「すべてがデブになる」という感じです。 ……すいません、実は京極作品読んだことないんですが、 あまりにも雰囲気がぴったりだったものでタイトルを無断引用してしまいました。

つーわけで、男も女も馬も猫もぽっちゃり体系になって仲良く彫刻家してました。 アダムとイブも、どこか聖書画でみたよーなポーズをとっていながらも やっぱりでっぷりぽっちゃりです。 「エウロパの略奪」「レダと白鳥」なんていう、ギリシャ神話のゼウス絡みの 場面もやっぱりまるまるぽっちゃりでした。 ……って今、「レダと白鳥」の神話について調べたら、 相当にえっちぃシーンの様なんですが ……この人の彫刻だとギャグにしか見えなくなってしまうなぁ…… 白鳥も太らされてるし。

それにしても「ボテロ」って……ここまで作品の感じと作家名の語感が シンクロするのも珍しいです。

ちなみに、この日は恵比寿ガーデンプレイスにて YES PHOTOGRAPHIC WEEK 2004 という写真展示イベントも行われてました。 あと、ガーデンプレイスには普段から ロダンとブールデルの彫刻が1個づつ置かれてたりします。 (この時はボテロの彫刻と一緒に展示されててギャップが面白かった)。

参考サイト
恵比寿ガーデンプレイス
BOTERO at EBISU
 スポンサーのモルガン・スタンレーのサイトにある ボテロ野外彫刻展の公式サイト。


<'04 5/8(土) 茶の湯と明治と終わらない夏>

この日は目黒駅周辺の、まだ行ったことのなかった3つの美術館に行ってみました。

[茶道具/琳派@畠山記念館]

まずは池田山公園の日本庭園の散策もしつつ、 畠山記念館に「春季展 季節の茶道具取り合せ」と 「併設展示 ―琳派の書画と工芸品―」を見に行く。
畠山記念館は、 荏原製作所の創業者で茶人の畠山即翁(一清)(1881(明治14)-1971(昭和46))が コレクションした茶道具を中心とした東洋古美術の美術館です。

住宅街のただ中の細道坂道を抜けていくと、 畠山記念館(を含む日本庭園)がありました。
……というか結構分かりにくい所にありますね……。 少し迷いましたよ……。
ともあれ、畠山記念館は茶室が数件立ち並ぶ綺麗な日本庭園の中に 佇んでいるのでありました。 向かいには、これまた庭園が綺麗な高級料亭「般若苑」が あったりします。

展示室に入ってみると、小さいながらも落ち着いた佇まい。 で、展示室の中にも茶室があったりします。 そしてなんか茶室の外にある庭園のごとく、 竹筒から水が滴ってたり……ってここ室内なのに。 太田記念美術館(参考:2004 4/24の日記)にも、 展示室内に石灯籠のある日本庭園風の一角がありましたが、 ここはそれ以上の凝り様です。

で、展示はタイトル通りに茶道具と琳派の書画でした。
茶道具は、まだ良く分からないものが正直多いのですが…… 本阿弥光悦「赤楽茶碗 銘 雪峯」が良かったかな。 ヒビを直すのに使った金と、茶碗の赤が綺麗なコントラストになってます。 琳派の絵だと、酒井抱一の「月波草花三幅対」が良かったです。 草花の先端にさりげなくいる虫が可愛いし、 真ん中の月波で全体が引き締まってるし。

参考サイト
畠山記念館

[久米美術館]

次に、目黒雅叙園やその隣のお寺に寄り道しつつ、 久米美術館に「久米桂一郎 常設展 〜久米の描いた日本〜」を見に行く。
久米美術館は、 黒田清輝と共に渡仏して洋画を修めて後年には日本の初期の西洋画教育に活躍した 久米桂一郎(1866(慶応2)-1934(昭和9))の絵画と その父で岩倉使節団に随行した歴史学者の 久米邦武(1839(天保10)-1931(昭和6))の歴史資料などを展示する美術館です。

でこの日はタイトルの通り、久米桂一郎が日本を描いた絵を中心とした展示でした。 如何にも明治初期っぽい油絵という感じでした……ってこれだけじゃ 何のことだかよー分からんのでもうちょい説明すると、 ちょっと印象派風な描き方をしつつも、どことなく茶色が多くて素朴な感じの 絵が多いような。 清水寺を描いた絵なんかはその中でも綺麗でした。 それにしても久米桂一郎って黒田清輝と仲良かったんですねー、 なんだかフランス留学以来常に行動をともにしてる感じですし。

ここも展示室は小さめで、サッと見れば30分もかからないかもしれません。 目黒駅から徒歩1分ぐらい、という立地も考えると この辺の別の美術館に行く時にちょっと立ち寄ってみるのがいいかもしれません。 今度は久米邦武の特集展示の時に来て見ようかな。

参考サイト
品川区施設案内文化施設 その他の文化施設
 公式サイトがないので、とりあえず品川区による紹介を代わりにリンク。

[小林孝亘展@目黒区美術館]

最後に目黒区美術館へ「小林孝亘展 ― 終わらない夏」を見に行く。
白く静謐な画面に様々な具象画の連作を描いてきた現代画家、 小林孝亘(1960(昭和35)-)の作品展です。 この日は、作家さん本人によるギャラリートークがあったので参加してみました。

展示されてたのは、白い大画面の中にどことなく孤独な潜水艦が描かれているシリーズ (潜水艦は画家として暮らし始めるのに苦労した作家自身のメタファーだそうです)、 やはり白い大画面の中に身の回りのものに木漏れ日が降り注ぐさまを描いたシリーズ、 その後の少し小さめの人の寝顔を描いたシリーズ、 最近作の白い大画面に砂浜に寝そべる人を描いたシリーズ、 その他には製作ノートや小振りの版画作品、 バンコクにある作家のアトリエの再現などでした。
潜水艦シリーズと木漏れ日シリーズは静かでどこかユーモラスな中にも 目の前に迫ってくるような圧迫感があるとこが特徴で、 その後の寝顔シリーズと砂浜シリーズでは圧迫感がなくなって ちょっと不安な感じがしつつも心地よくたゆたう様な浮遊感があるのが特徴 ……でしょうか。 この辺の感じ方は人によるんでしょうけど。

小林孝亘によるギャラリートークは、 ひとことひとこと搾り出すように喋ってたのが印象的でした。 テレビ番組(NHK教育「新日曜美術館」のアートシーンや、フジテレビ系列の 「テレビ美術館」)でもギャラリートークと同じような内容を話してはいたのですが、 それでも何か考えるように、ひとことひとことを搾り出している…… きっとこの人の作品は、言葉と同じように、搾り出されるように 生み出されているのだろうな…… と、なんとなく思いました。
で、最後に質問タイムがあったので、僕もちょっと気になったことを 質問してみました。 以下に一応やり取りを書いて見ますが、なんせうろ覚えなんで ニュアンスだけを伝えるよーな感じになってしまいます。 内容もどこか微妙に間違ってるかも知れません……。

Q:人の寝顔や砂浜に寝そべってる人を描いているシリーズで、 人の顔がみんな同じ人に見える(特に男性の顔)のですが、 特定のモデルの方とかが居たりするのですか?
A: 特定のモデルは居ません。 人を描くとき、細部を描くのにはモデルを使うこともありますが、 基本的には自分のイメージの中にある人を描いています。 顔も、自分のイメージの中にある人の顔を描いています。 だから、各作品中の人が似てきてしまっているのかもしれません。

目黒美術館の次の展覧会は、今まで様々な色をテーマに行われてきた 長期企画展シリーズ「色の博物誌」の最終回(テーマの色は黄・金)のようです。 これも見に行ってみよう。

参考サイト
目黒区美術館 『小林孝亘展 ― 終わらない夏』


<'04 5/5(水・祝) 有楽町〜銀座〜八重洲〜丸の内周遊>

この日はタイトルの通り、JR有楽町駅とJR東京駅のあたりを巡りました。

[古唐津@出光美術館]

まずは出光美術館に「古唐津 ―桃山陶芸の至宝―」を見に行く。
桃山時代〜江戸時代初期に製作され、茶人や陶芸ファンに人気のある (らしい)陶器、古唐津を 出光のコレクションを中心に紹介していく展覧会です。 陶磁器のことはまだ知らないことが多いので、ま、勉強を兼ねてということで。

で、古唐津というのは16世紀後半〜17世紀前半ぐらいに肥前(長崎〜佐賀あたり)で 作られた陶器です。 見た感じだと古唐津は灰色と橙色の間ぐらいの渋い色合いが多く、 一方で造形や鉄釉による絵付けは自由で伸び伸びとした感じのが多いです。 うん、色の渋さ+造形の遊び心なんかがいかにも茶人に好まれそうな気もします。 ……って考えてみれば僕は茶道のこともよく知らないのですが。 あと、なんでも宴会用の大皿を日本で初めて作ったのも古唐津だそうです。 ……それまでの時代、宴会の器はどうしてたんだろう。

印象に残ったのは、「朝鮮唐津」という、陶器の表面に 白と藍の2種類の釉薬を掛け流した陶器。 流れた釉薬が混じりあい、不思議なマーブル模様が陶器表面に出来てて綺麗です。 あと、鉄釉による渦巻き模様を二つくっつけたような模様が描かれている茶碗の 「絵唐津ぐりぐり文茶碗」とか。 っていうかぐりぐり文って……いや、ホントにそういう名前の模様なんだから しょうがないと言えばしょうがないんですけど。

あ、あと4月頭の出雲・松江旅行 (参考:'04 4/1〜4/4の日記)で知った、 松平不昧公(出雲松平家の風流な領主、茶道を能くしたらしい)に ゆかりの品があった辺りもちょっと興味深かったり。 他には琳派の絵師、酒井抱一による「八ツ橋図屏風」なんかもあって 結構楽しめました。

参考サイト
出光美術館 出光美術館(本館) 古唐津 ―桃山陶芸の至宝―

[献血@有楽町献血ルーム]

休憩がてら、回ろうとしてるところの一つの 「HOUSE OF SHISEIDO」の資料(印刷した地図)を見ると 「休館日:月曜日・祝祭日」の文字が……あかんやん (※この日はこどもの日のため祝祭日)。 というわけで、時間が余りそうなので 近くにあった献血ルームで400ml献血をして時間を潰すことに。

と、献血中に献血ルームの窓から外を見てみると、向かいのビルに 「ねこ展」「ねこ・猫・ネコ アート&グッズフェア」の垂れ幕が。 ……行って見ますか。

参考サイト
東京都ブロック赤十字血液センター献血ルーム案内 有楽町献血ルーム

[ねこ展@プランタン銀座]

そんなわけでネコ関連のイベントが複数行われていた、 有楽町献血ルームの向かいのビル……プランタン銀座へ。

まずは「雨田光弘 水彩画展「ねこたちの音楽会」」を見る。 チェロ弾きの人の、猫を描いた水彩画の展覧会です。 タイトル通りにバイオリン等の楽器を演奏してる楽しそうな 猫の絵が多かったですね。 絵のタイトルが曲名になってて、聞いたことない曲でも なんとなく曲の感じが絵から分かるのが楽しかったり。

次に、「岩合光昭 猫写真展 今日も、いいネコに出会えた。」を見る。 「ナショナル・ジオグラフィック」誌の表紙写真なんかも撮っている 自然写真家、岩合光昭(「いわい」じゃなくて「いわごう」だったんだ…… いま気付いた)による猫の写真展です。 目線を猫と同じ高さにして、猫が面白い表情を見せた瞬間を いい感じで捕らえてます。 日本の猫だけでなく、取材旅行中に見かけた 世界の猫の写真も面白かったり。 アラブの砂漠の猫とか。 あと、写真につけられた写真家本人によるコメントにも ユーモアが溢れてました。 そのコメントに拠れば、僻地の猫なんかは同じ血統が濃くなって 同じような顔の猫の一族ばかりになってしまうよーです。 ……なるほど(それにしても、同じ柄の猫でも 沢山見てるとやっぱ見分けつくようになるんだなぁ)。

なんとなく寄ってみたプランタン銀座でしたが、ほんわかと楽しめました。

参考サイト
プランタン銀座オンライン アートギャラリースケジュール 雨田光弘 水彩画展「ねこたちの音楽会」
プランタン銀座オンライン イベント&セールスケジュール プランタン銀座の「ねこ展」 / 岩合光昭 猫写真展

[美の生命力と唐草展@HOUSE OF SHISEIDO]

さっき手元の資料で休館日らしいと分かったものの、 一応場所を確かめておくために 中央通りのヘブンアーティストの大道芸を横目に見つつHOUSE OF SHISEIDOへ。
……って開館してるじゃないか (あとで開館スケジュールを確認したらゴールデンウィークは全日開館だった)。 うわどうしよ、献血ルームとプランタン銀座に寄ったせいで時間足りなくなるかも ……。 とはいえ、とりあえずHOUSE OF SHISEIDOの中へ。

そんなわけでHOUSE OF SHISEIDOで行われていた 「オープニング企画展:「美の生命力と唐草」展」を見る。
ちなみにHOUSE OF SHISEIDOというのは資生堂の本籍地のビル1,2Fに出来た、 資生堂の文化遺産や化粧品の歴史のアーカイブの展示や その他の企画展などを行う場所……のようです。

で、展覧会の内容は資生堂の商品デザインの重要なモチーフである「唐草」を、 歴史的な唐草文様の変遷や資生堂商品の唐草デザインの歴史、 唐草をテーマにしたメディアアートなどの様々な表現で見ていこうというもの。

で、まず入ってすぐに在ったのはクリスタ&ロランによる唐草メディアアート。 天井からぶら下げられている鉢に植えられている数種類の植物に触ると、 前方のスクリーン中で、触った植物に似たバーチャルな植物が うねうねと伸びて唐草文様のようなものを構成していく、というもの。 唐草……というよりは、生命力溢れる水、ってイメージだったかな。 バーチャルな植物が伸びる画面中に演出として多数の波紋が 現れてたというのもあるんですが (……単純だな俺)。

次に2Fへ。まずはパネルを用いた唐草文様の歴史解説。 かなり細かく説明してました。 オリエントの葡萄のツルとかは知ってましたが、 中国の雲竜文様もある意味で唐草文様だったとは……。 でも考えてみれば、確かに雲竜文様では 雲も竜も唐草みたいにうねうねと描かれている気がします。 唐草文様の歴史にまつわる品を集めた参考展示も、 刀の鍔、銅鏡、オリエントの陶器、 アールヌーヴォーな香水瓶など多彩で豪華。 サントリー美術館とかいろいろなところから借りてきてたみたいです。
あとは資生堂製品のデザイン中の唐草文様の歴史にまつわる展示。 一時期の唐草文様と女性の融合したような広告のデザインが独特です。 他にも日本、世界、資生堂それぞれの唐草の変遷を幻想的に 表現した映像作品なんかもあったり。

他にも、資生堂周辺の歴史を様々なギミックの詰まった 引き出しで展示する「アーカイブ・テーブル」、 企画展や資生堂に関連する書籍を閲覧できるライブラリー、 資生堂のTVCMや資生堂所蔵の美術作品のデータベースなんかが 常設されてます。

結論として、HOUSE OF SHISEIDOは 資生堂製品についての知識があったほうが楽しめるところのような気もしますが、 企画展はそれ抜きでも楽しめそうな感じです。 アーカイブ・テーブルはレトロ近代史の一つの切り口としても面白いし。 入場料もタダだし、今後のここの企画展もチェックしようと思います。

参考サイト
HOUSE OF SHISEIDO

[田中一村展@大丸ミュージアム・東京]

次はggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)で「佐藤卓展」を見よう……と 思ったら会期が5/10からだったのでまだやってませんでした。 結果としてここで時間の遅れを取り戻しつつ、 中央通りの大道芸を見ながら大丸ミュージアム・東京へ 「奄美群島日本復帰50周年記念 奄美を描いた画家 田中一村展」を見に行く。
奄美へ移り住みその自然を独特のタッチで描いた孤高の日本画家、 田中一村(1908(明治41)年-1977(昭和52)年)の作品展です。

まずは1958(昭和33)年に奄美に移り住む前に描かれた作品群。 7歳のころから賞を撮ったりとかなり早熟な日本画(文人画)家だったようです。 後の奄美を描いた画とはかなりタッチは異なるものの、 若いころにひまわりや梅などの植物を描いた作品にも 異様な存在感(……のようなもの)を 持ったものがいくつかありました。 ただ、性格が激しかったというか一本気だったようで、 画壇の人と意見を違えて袂を分かってしまったりしたようです。

そして独自の画題を求めて奄美へ。 ここで染色工をしながら稼いだお金で描いた作品がだんだん凄くなっていきます。 日本画を描いているのに全然日本画じゃなくなってるというか。 「奄美の社」シリーズを初めとした奄美での後期の作品では、 魚、南方の植物、鳥、海、雲、影、夕暮れの日の光……そういったものが 写実的に描かれていながらどこか異様な存在感を放ってます。 「アダンの木」という作品の背景に描かれている海の波の異様な細かさと、 海面に映る夕焼けの美しさが個人的には凄いと思ったり。 一部作品は残念ながらレプリカでしたが (そりゃ、全部持ってきちゃったら奄美の田中一村記念美術館の 展示物なくなっちゃうしなぁ……)、それでも迫力がありました。

今回レプリカで見たものも、今度は本物で見てみたい ……てことでいつか奄美にも行ってみたくなりました。 (ここのところ行きたいところが増える一方だなぁ……)

参考サイト
大丸ミュージアム東京店
鹿児島県奄美パーク田中一村記念美術館

[田村能里子の宇宙。@丸ビル]

最後に丸ビルに移動して、「田村能里子の宇宙。[風ノカタチ 人のかたち]」を 見に行く。
エキゾチックな壁画を描く画家、田村能里子(1944(昭和19)-)の 趣向を凝らした展覧会です。 NHK「新日曜美術館」で特集してたのがちょびっと気になったので来て見ました。

まずは入場無料の1FのMARUCUBE(1F-6Fまで吹き抜けになっているロビー)の 複製壁画を見る……とびっくりしました。 吹き抜け空間をフルに使って、幾つもの壁画のレプリカが様々な 角度で「吊り下げられて」いました。 しかもBGMとして新日曜美術館で冨田勲が作曲してたイメージ曲が掛かってるし。 そうか……冷静に考えると、ここは東京都現代美術館の企画展示室の 吹き抜け空間並にでかいところなんだなぁ……。 単なる複製壁画の展示ではなく、 壁画と音楽を用いた空間演出ですね、これは。

で、3F回廊の素描の展示を見て、最後に7Fの丸ビルホールの展覧会へ。 この日最初に寄った出光美術館の半券を見せたら 入場料割引となりました。ちょっとハッピー。
で、展示会場に入ったら……丸ビルホールがシルクロードになってました。 心なしか赤い照明、アラブやインドを感じさせる調度品、 そして砂漠……そんな会場の様々なところに作品が 展示されているという。 そしてやっぱりBGMは冨田勲の音楽。 空間と田村能里子の作品が完全に調和してる……というか 響きあってます。 もうこれは何と言うか、田村能里子の作品展と言うよりは、 作品を基にした空間そのものの展覧会。 難を言えば、展示作品の数をちょっと少なく 感じたことぐらいでしょうか (だから見物するのにそんなに時間はかからなかった)。

うーん、これは思いがけず面白い体験が出来ました。 来てみて良かったかも。

参考サイト
丸の内ビルディング(丸ビル)イベント情報 イベント&ニュース一覧 展覧会 田村能里子の宇宙


<'04 5/4(火・祝) プレステスタジアム>

この日は会社の同僚と一緒にお台場の日本科学未来館へ。 高尾山に行こうかという話も出てたのですが、天気が悪そうだったので 大事を取って屋内で過ごせそうなお台場への出撃となりました。
ちなみに、僕にとって日本科学未来館は、 去年の初夏の企画展示「時間旅行」展を見て感動したのが 後のミュージアム巡り趣味の切っ掛けの一つになった、という経緯で 思い入れのある科学館だったり。

参考サイト
日本科学未来館 MeSciイベントガイド企画展 終了イベント一覧 オリジナル企画「時間旅行」展 ―TIME!TIME!TIME!―
日本科学未来館 MeSci 「時間旅行」展 ―TIME!TIME!TIME!―

[『PlayStationと科学』展@日本科学未来館]

まずは1F催事ゾーンに「『PlayStationと科学』展 〜コンピュータテクノロジーと エンタテインメントの融合〜」を見に行く。
名前の通り、今年で発売10周年になるPlayStationと、 現在のPlayStation2に関する技術の展覧会です。

展覧会の中身としては、PlayStation関連年表(懐かしのTV-CM付き)、 3Dゲームの原理の説明(ポリゴンの仕組みとか)、 ワークステーションの技術を基にしたプレステ開発の経緯、 プレステの技術的進化、 プレステの解体実演など。 展示空間は結構かっこよくなってましたし、 ゲームの原理なんかを体験できる実験装置も結構あって 子供のこともちゃんと考慮されてる感じでした。

……でも、子供はやっぱりPSのゲームができると期待してきてたんじゃないのかなぁ ……という気も (一応、グランツーリスモ最新版を、整理券つかって並んで 豪華大型筐体で遊べるコーナーはありましたが)。 その点では去年の12月の東京都写真美術館でやってた ファミコンの展覧会「レベルX」(実際にファミコンのゲームの何本かで遊べた)に ちょっと負けるかなぁという気も。 まぁ、レベルXは「ファミコンという社会現象」という着眼点の展覧会だったのに 対して、こっちは「プレステと科学技術」という着眼点の展覧会だって違いがあるので 一概には比べられないのですけど。

参考サイト
日本科学未来館 MeSciイベントガイド 『PlayStationと科学』展 〜コンピュータテクノロジーとエンタテイメントの融合〜

[F.C.R.B.スタジアムプロジェクト@日本科学未来館]

次に、1Fシンボルゾーンにて 「F.C.R.B.スタジアムプロジェクト 〜掘る。戦う。埋め戻す。地球とともにプレイする。〜 MeScie アースラウンジシリーズVol.2」を見る。 ……ちょっとサブタイトルが長いですね。
できるだけ地球に負担をかけないようなサッカースタジアムを作ろうという プロジェクトの展示です。

プロジェクトをおーまかに説明すると、 スタジアムは地面に大きな「穴」を掘ってスタジアムを作り、 用が済めば掘ったのに使った土を埋め戻すことで 元の地形に戻すことができる……というもの (建材には木、鉄、土に返るプラスチックなどを使用)。

展示としては、会場に広大な土の展示場を作り、 原寸大の観客席模型、 小型のスタジアム全景模型、 リサイクルなどに関する地球環境などのデータを カッコよくビジュアライズしたシート(土の上、順路沿いに敷かれていました)。
またF.C.B.R.という、このスタジアムをホームグラウンドとする (空想上の)サッカーチームのTシャツなどを販売し、 プロジェクト実現への資金を集めてたようです。 ちなみに、このF.C.R.Bのメンバーには 『キャプテン翼』の日向くんが参加してたりして。 高橋陽一による埋め戻しスタジアムのオープニングマッチ漫画も 展示されました。

データの展示とかはお洒落に、面白く展示しようと頑張っているのは わかりましたが……やっぱり文字シートじゃ地味かな?という気も。 あと、土の中央部にポツンと存在したスタジアムの小型模型、 これはちょっと地味すぎたんじゃ…… 結構気付かない人いるような気が。

参考サイト
日本科学未来館 MeSci F.C.R.B.スタジアムプロジェクト

[常設展@日本科学未来館]

レストラン「5K PLANETS」で食事をした後に、常設展をさらっと見る。

相変わらず楽しくて充実した展示なのですが、 友人連れということで前来た時に見れなかった 行列のできる企画(ドームシアターガイア、VRシアター、モーションライド、 インターネット物理モデル、ライド・カム)を 今回も見れなかったのが残念(あんまし友人を待たせちゃ悪いですから)。 あとASIMOデモンストレーションも見れなかったのもちょっとだけ残念。 あ、でもミュージアム・ショップで前回来たときに買いそびれた 「時間旅行」展の関連グッズを買えたのはちょっと幸せだったかも しれません。

帰りはレインボーブリッジの遊歩道を徒歩で渡って新橋まで歩こうと しましたが、強風により遊歩道が閉鎖されていたためできませんでした。 これはちょっと残念。

参考サイト
日本科学未来館 MeSci


<'04 5/3(月・祝) ビルとカタンと王の道>

この日はさいたま居住の高校時代の友人宅にボードゲームやTRPGをプレイしに お出掛け。 さいたまに行くついでに埼玉県立近代美術館にも寄ってみたり。

[45歳以下の建築家45人展@埼玉県立近代美術館]

そんなわけでまずは埼玉県立近代美術館で「45歳以下の建築家45人展」を見る。
そのまんま名前の通り、45歳以下の建築家、45人の活動を紹介する展覧会です。

で、行ってみたのですが、埼玉県立近代美術館への移動時間を見誤り、 到着した時点で友人宅での集合時間の1時間20分前…… 友人宅への移動時間も考えると1時間で展示を見る必要があります。 ……って45人分の展示があるんだから一人分の展示を見るのに1分ちょいしか 時間を割けない……。 しかも、展示の説明文に 建築家本人の手による建築コンペ用の建築理念の説明文 (のようなもの……だと思います。多分。)がついていてそれが結構長め……。 結果として、全体を非常に「浅く」しか観ることができませんでした。 ちょっと残念。 ……見物時間が短いと分かった時点で、 企画展じゃなくて常設展を見るように切り替えた方が良かったかも知れません。

そんな中でちょっと印象に残ったのは、 同じ建築模型でも、色々な素材によって作られているということ。 プラスチックなどで精巧に作っているもの、 発泡スチロールを削りだして作ったもの、 ダンボールで簡素に作ってみたもの、 紙を積み重ねただけのものなど様々です。 周囲に降り積もる雪まで再現したものは結構綺麗でした (豪雪地帯で雪に半分埋まることがコンセプトの建物だったから、 雪まで再現したのかも)。 やっぱり建築家の人も、 効果を考えて模型の素材を使い分けてたりするんでしょうか。 ちょっと興味深かったです。

参考サイト
埼玉県立近代美術館企画展 過去の企画展 45歳以下の建築家45人展

[カタン/ローズ@友人宅]

で、その後にちょっと集合時間に遅れながらも友人宅でボードゲームとTRPG。

まずはみんなでこないだ(4/17)に購入した ばかりのポータブル版のカタンをプレイ。 ……最下位でした (持ち主なのに)。 で、カタンがかなり好評だったので僕以外のみんなにプレイしてもらってる間に、 TRPG「ローズ・トゥ・ロード(Eb版)」のルール確認を行っておくことに。 かなり好評だったようで、その後に3プレイぐらいされていたような (1プレイあたり30〜45分ぐらいかかる)。

で、カタンが終わった後にみんなでローズ・トゥ・ロードのキャラクター作り。 ……キャラクター作り自体はそんな大変でもなかったのですが、 それまでのカタンの連プレイにより時間と精神力を奪われていたので その後のプレイには至りませんでした。残念。
で、できたキャラクターの方ですが ……なんでみんな山小人(ドワーフ)の皇族とか妖精族のロストロイヤルとか レアな出自ばっかりになるかなぁ……。 それはそれで面白そうだからいいけど。
とりあえずキャラ作りだけとはいえ、 ローズ・トゥ・ロードの感じはちょこっとだけつかめたので、 今後のプレイが楽しみではあります。 PC救済のルールがあまり無いので結構デッドリーな展開のシナリオに なるかも知れないですけど。

参考サイト
Catan公式サイト


<'04 5/2(日) 書と清楚と靴と呑み>

この日は二子玉川の静嘉堂文庫美術館と砧公園の世田谷美術館を 訪れた後、渋谷に高校時代の先輩と呑みに行きました。

[日本の書跡展@静嘉堂文庫美術館]

まず、東急大井町線で二子玉川駅まで行き、そこから歩いて静嘉堂文庫へ 「―人と書の交響― 静嘉堂に集まった日本の書跡展」を見に行く。
静嘉堂文庫のコレクション中の、奈良時代から近代に至るまでの書跡の 展覧会です。

静嘉堂文庫は、 二子玉川の近所の住宅地、岡本にある日本庭園(手入れされてない時期があったため、 今は自然林のようになってます)の中にある美術館で、 三菱財閥二代目社長の岩崎彌之助(1851-1908)と その息子で四代目社長の小彌太(1879-1945)による コレクションを公開してるところです。 ちなみにコレクションは古典籍と東洋古美術品が中心のようです。

で、タイトルの通り展覧会は書跡中心。 実は、僕はまだ書跡の見方・楽しみ方が良く分かってないので (他のジャンルだって分かってるかどーか相当怪しいもんですが) 見学して楽しめるかどうかはちょっと不安だったのですが、 そこそこの数の展示品に説明文がついてたのでそれなりに知識を得ながら 楽しむことができました。

見た中で気に入ったものをちょっと挙げると 伝・紀貫之筆の「高野切」「名家歌集切」「寸松庵色紙」と 大拙「観音経・白衣観音図」でしょうか。 紀貫之筆と伝えられる和歌の書かれた書籍は、 いずれも草書体を思わせる流麗な書体ながらも 読みやすい(僕でも字が判読できる)とこがなんか気に入りました。 「観音経・白衣観音図」は昭和12年に掛け軸に書かれた絵入のお経……なのですが、 そのお経がえれー幾何的な文字で書かれているというものです。 僕が知ってるどんな書体ともかけ離れた書で、見てて楽しいです。 ……ちっとも読めないんですけど。 他には、ものすごくかっちりした文字で書かれた天平時代のお経なんかも 結構見てて気持ちよかったかな。

しかし実はこの展覧会での一番の目的は「平治物語絵巻(信西巻)」。 鎌倉時代に描かれた、平治の乱を舞台とした絵巻物の傑作です。 この作品にはいちおー書の部分もあるのですが、やっぱこれは絵がメインですね。 昔ながらの大和絵の表現ながら、出血とかが生々しく描かれてて迫力があります。 見に行った甲斐がある良い絵巻でした。 できれば絵巻の全体が見たかったですけど(スペースの都合で 一部しか展示されてなかった)。

美術館を後にし、静嘉堂文庫の庭園とすぐ裏にある岡本公園民家園を散策してから、 砧公園の世田谷美術館に向かいました。

参考サイト
静嘉堂文庫美術館
静嘉堂文庫美術館 所蔵品紹介 重文 平治物語絵巻 信西巻
世田谷区施設案内文化・生涯学習施設 岡本公園民家園

[小磯良平展@世田谷美術館]

次に砧公園まで歩いていき、世田谷美術館付属のレストラン「ル・ジャルダン」で 昼食をいただいてから「小磯良平展 ゆたかな物語が宿る日々」を見る。
昭和の洋画壇を代表する画家で、 静謐で端麗な女性の絵を多く描いた小磯良平(1903-1988)の作品の展覧会です。

で、小磯の絵の特徴ですが、 確かなデッサンによる写実性と、静謐な空気、画中の女性の清楚さ…… あたりでしょうか。 印象派の画家ドガのようにバレリーナを描いた作品も結構あるのですが、 ドガは踊りの中の一瞬の動きのある「動」の踊り子を描いたのに対して、 小磯良平は踊る前や踊りと踊りの合い間の緊張感のある「静」の踊り子を 描いていてそこが違う……ような気がします。 あと、戦後ちょっとの間はちょっとキュビズムっぽい静物画とかも描くんですけど、 晩年には写実を重視した静謐な女性や静物の絵に戻ってきてるところも ちょっと面白かったかな。 彼の代表作(……だと思う)「斉唱」が来てなかったので、 いつか神戸市立小磯記念美術館に見に行ってみたいと思います。

そして小磯良平展の後は、収蔵品展「ライフ イズ ビューティフル」を見物。
「素朴派と世田谷の画家による街と城の絵」、「人生における 喜怒哀楽などの様々な感情、死、命」……という二つのテーマに沿って 世田谷美術館の収蔵品による展示がなされてました。 この中で印象に残ったのは久永強(1917-)による、シベリア抑留体験を 描いたシリーズ。 同じシベリアの体験を描いた香月泰男(3/20に東京ステーションギャラリーで見た)の シベリア・シリーズの黒く重い画風と違い、少しやわらかく、 灰と緑を基調とした絵が多いのですが、それでも胸に迫るものがありました。
また展示の最後に、人生の中の「誕生」「喜び」「悲しみ」「病」「死」の いずれかのイメージの絵を自分で描いてみよう、というコーナーがありました。 折角なので僕は「喜び」というテーマでちょこちょこっと描いてみました。

参考サイト
世田谷美術館 小磯良平展 ゆたかな物語が宿る日々
世田谷美術館 収蔵品展 ライフ イズ ビューティフル

[シャルル・ジョルダン展@Bunkamuraギャラリー]

世田谷美術館から用賀駅へ歩き、田園都市線で渋谷まで移動したら 飲み会まで結構時間余裕があったので、 見物無料のBunkamuraギャラリーで 「シャルル・ジョルダン展 「クリエイティブ」と「フェミニン」 1921-2004年」を 見てみる。 フランスの婦人靴のデザイナー/メーカーによる1921年からの様々な女性用靴の 展示でした。

3月にオランダの靴デザイナー、ヤン・ヤンセンの展覧会をパルコミュージアムで 見たのでとりあえずそれと比較してみると、 ヤン・ヤンセンの靴はユーモア、アイディア、遊び心が溢れているのに対し、 シャルル・ジョルダンの靴はたおやかで堅実という感じがしました。 シャルル・ジョルダンの靴にも、 靴全体を魚に見たてた模様の入っているものがあったり、 年代によっては金属の光沢を強調した靴ばかりを作っていたりと 一概にそうは言い切れない部分もあったんですけどね。

でも……こういう展覧会はやっぱり靴のことを知ってる人の感想とか ファッションに興味のある人の意見を聞きながら見てみたい気も。 ファッション関係に関する知識もセンスも全然足りないせいで、 展示の面白さを味わいきれてない感じになってしまってるので。 兼好法師も徒然草で 「すこしのことにも、先達はあらまほしき事なり」と言ってることですし、 自分のあまりにも専門外の展示を見る場合には ガイドが欲しい気もします。

参考サイト
Bunkamuraギャラリー シャルル・ジョルダン展 「クリエイティブ」と「フェミニン」 1921-2004年

[知研40-41期呑み@東方見聞録]

東京学芸大学附属高校・知的文化研究同好会(以下ちてけん)の 40期生と41期生集まっての呑み会に参加。 ……いやまぁ、参加者は全部で5人だし、41期生の参加者は僕だけなんで、 要は仲間内でのちょっとした呑み会なんですけどね。

てなわけで集まって渋谷の東方見聞録で呑みました。 話題は割とお決まりな感じで、それぞれの仕事の状況、 この場にいないちてけん関係者の現状、現役のちてけんの状況、 あとは上の話題を種にした雑多な話題とか、 といったところでした。

で、この話題の中で聞いたんですけど 今のちてけんの中では僕達の世代は黒歴史、というか有史以前になっている らしいという……。 そーか、ちてけん現役生にとって、 ある意味僕らはアトランティスとかムーの文明みたいなものなのか。

しかし、この面子で呑んだのはかなり久しぶりでした。 やっぱたまに会うと楽しいです。 ……ただ、ちょっと調子に乗って食べ過ぎたかな、という気もしますけれど。

参考サイト
株式会社三光マーケティングフーズ店舗案内 炭火串焼 東方見聞録渋谷店


<'04 5/1(土) ポスター黎明と親孝行>

この日は等々力緑地の川崎市市民ミュージアムに出撃した後、 親にご馳走したり。

[街角に咲いた芸術@川崎市市民ミュージアム]

「街角に咲いた芸術 ―世紀末フランスの華麗なポスター―」を 川崎市市民ミュージアムに見に行く。
名前の通り、19世紀末のフランスのポスターの展覧会です。

華やかな色でちとロココっぽい柔らかな女性の躍動を描き 「ポスターの父」と呼ばれたジュール・シェレ、 日本の浮世絵に影響を受けてなんだか力強い作品の多い トゥールーズ・ロートレック、 そしておなじみ、アール・ヌーボー式の優美な曲線で女性を 美しく描いたアルフォンス・ミュシャ 等の作品が並んでました。 綺麗で印象的な作品が多いです。 やっぱポスターの目的は宣伝だから、印象に残るような作品に しないといけないんでしょうね。

で、その中で特に印象に残った作品はパルという人による、 「ラッジの自転車」のポスター。 薄暗い天気の中、 薄いヴェールを纏った半裸の女神(?)がこちらに背を向けながら 両手で自転車を天に掲げ、 画面奥側の古い自転車を使っている民衆に示しているというものです。 画中の女神や明暗のコントラストとかにより、自転車という近代的なモノの広告が 古代の神話のように映し出されてるとこが面白かったです。 構図もなんだか「自転車の夜明けぜよ!」とか女神様が言ってそうな感じだし。 ……すいません、僕の坂本竜馬のイメージはどこか間違ってるのかもしれません。
なんでも、自転車はこの時代(19世紀後半)に現在のようなかたちになって 商用化されたようで、この展覧会でも自転車関係のポスターを集めた 一角がありました。 例えばロートレックも自転車のチェーンのポスターを描いてたり。 最近、自転車乗りの端くれとなった身としては結構興味深いです。 あと、当時の女性の自転車乗りの服装がちょっと冒険家っぽくて好きかも。

あと、印象的だったのは当時の写真家に納められたパリ街頭の一角の写真。 ほんとに壁とか柱がポスターだらけでした。 昔、佐伯祐三(大正時代のフォーヴィズムの画家。灰色中心の色使いで、 「ぐおぉぉっ」て言う感じの街頭の風景を描いた)がパリの街角を描いた絵を見て、 「……ポスター多すぎじゃないか?」と思ったんですけど、 ほんとにあれぐらいポスターだらけだったんですね……パリ。 でもまぁ、こんな綺麗なポスターばっかりだったらいっぱいあっても楽しそう。 日本の選挙ポスターもあれぐらい綺麗なのばかりだったら 選挙シーズンも楽しいのに。……多分。

さらに、映像ホールで行われていた関連上映“パリ、世紀末。”で 「フレンチ・カンカン」という映画も見てみました。 ちなみにこの作品の監督のジャン・ルノワールは、 印象派の画家オーギュスト・ルノワールの息子だそうです。
映画の概要は、「パリ・モンマルトルを舞台にした、 経営者ダングラールと彼にダンサーとして見出された町娘ニニを 中心にカンカン踊りの復活とダンスホール“ムーラン・ルージュ”誕生を描いた ドタバタ喜劇」って感じです。
古い映画なのに、いつの間にか見てて引き込まれてしまうような 底抜けに明るいムードの漂う映画でした。 ダンスのレッスンのシーンの女の子達とかほんとに楽しそう。 これは、劇中のダンスの先生のおばさんが非常にいいキャラだった、 てのもありますが。 あと、当時のフランスのダンスホールや劇場の 空気をなんとなく肌で感じることができる ……ような気がするのもいい感じ。
ただ、ニニの恋の行方がちょっと不憫だった気も。 恋人候補っぽい人がダングラール含めて三人もいたのに、 主にダングラールのせいで誰ともくっつけずに終わってましたからねー。 ……最後に“ムーラン・ルージュ”で踊ってたニニは幸せそうだったので、 それでもいいや、という気もちょっとしたんですけど、 やっぱし割り切れないような。

常設展も漫画・写真・自然・考古・民族・川崎出身の文化人……と 非常に幅広く面白そうだったのですが、 ちょっと時間不足でおざなりに見てしまいました。 次の企画展「日本の幻獣」も面白そうなので、 それを見に来たついでにじっくり見ようかと思います。

参考サイト
川崎市市民ミュージアム 街角に咲いた芸術 〜世紀末フランスの華麗なポスター〜

[たまには親をおもてなし@旬彩]

両親の結婚記念日(1ヶ月ぐらい遅れ)+母の日(8日前)ということで、 妹と共同で両親にご飯をおごってみる。 ちなみに場所は渋谷エクセルホテル東急25Fの日本料理「旬彩」。 ……母+妹に提案されたのでここを選んでみましたが、 ちと奮発しすぎです。

景色のいい個室を事前に予約できていたので 眺めについては結構喜んでもらえたり。 料理も割と美味しかったものの、父は少し不満そうでした。 ……どうも、くいしんぼな父にとっては コースの料理がちょっとずつ(というか一品ずつ)しか 運ばれてこないのがイマイチだったようです。 そいえば、大昔に一度だけ家族でフランス料理食べに行ったときも、 父は次の料理が来るのを待ちきれずにお替りし放題のパンを 食べまくっていち早く満腹になっていたよーな……。 次に両親にご馳走する機会があったときはそのことを念頭に置いて、 見た目からして満腹になりそーなものをご馳走しようと思いました。

参考サイト
渋谷エクセルホテル東急 レストラン案内 日本料理「旬彩」


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坂尾要祐の秘密基地に帰還する


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