ゲームブックレビュー


ここでは、僕が今までにプレイしてきた ゲームブックの紹介をしていきます。
ただし、ネタバレは避けていく方向で。 これからやる人の楽しみを奪っちゃうことになりますからね。

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チョコレートナイト

創土社刊、鈴木直人著。

二足歩行猫の勇者となって人間のお姫様のために冒険するゲームブック。

荒筋:
優しいお姫様が、病気の王様の特効薬をタテに 怪しげな魔術師に求婚されました。 あなたは直立猫ファジィ族の勇者ポポレイポラとなって、 この結婚話の破談を求める親書と貢物を 魔術師の住む街なかの城まで届る冒険に出発したのですが……。

一本道タイプのオーソドックスなゲームブックといえます。 とはいえ昔のファミコンもののように単純なものでなく、 きちんと手元の紙に記号を書き込むことでフラグ管理は行うことになるのですが。 しかし、初心者向けを意識してかかれているだけあって その処理が煩雑すぎるということもありません。

猫が主人公ということもあり、話はわりと飄々としたほんわかムードで 進んでいきます。 ……が、戦闘ともなると猫主人公がしっかり返り血浴びそうな描写が しっかり入ってるところがさすがゲームブックというかなんというか。

そして、魔術師とのラストバトル。 ネタばれを避けるためにここでは細かくは言及しませんが、 フラグ管理とパラグラフ移動をうまく組み合わせた 職人モノの処理でバトルが進みます。 そして、初見の場合はきちんと手を考えてやっと 魔術師にギリギリ勝てるかどうかのバランス。 こりゃー燃えます。

まとめとして、チョコレートナイトは初心者向けの雰囲気軽めの作品。 でもフラグ管理は職人ものだし、手は全く抜かれていない。 ゲームブック初心者にお勧めの作品だと思います。


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パンタクル1.01

創土社刊、鈴木直人著。

多彩な魔術を駆使して、故国を救うために 鬼の棲む谷を滅ぼす冒険をするゲームブック。
創土社刊、鈴木直人著。

荒筋:
森の国「シャンバラー」の北方に突如「鬼哭谷」という鬼の 巣窟が出現しました。 その影響で王様は病死。さらに鬼の討伐に向かった第3王子は現地で 全軍ごと消息不明。 黒魔術の才能ゆえに 国を追われて放浪中だった第2王子メスロンの耳にも 故国の危機の噂が偶然届くこととなります。 あなたは、メスロンとなって 鬼哭谷を滅ぼすための冒険を始めることになります。

こっちは様々な地点を行ったり来たりできる 所謂「双方向タイプ」のゲームブック。 移動方向や各地点のつながり方を図にまとめるときちんと地図が書けたりします。 「パンタクル」の場合は 川や断崖などでいくつかに区切られた「鬼哭谷」のフィールドや その上にある幾つかのダンジョンなんかが舞台にになります。 地図を埋め尽くす、という攻略的な喜びがあるのですが、 同じルートでの移動が増えるとちょっとだれる面もありますね。 とはいえ、通過するだけのパラグラフはほとんど無く 多用なイベントが様々な地点で発生することになります。 マップ上で未踏破な地域に踏み込む時の緊張感はたまりません。

そして鬼の名前や物品の名称は主に密教ネタ。 東方好きにはたまりません。 全体的になんとなくシリアスで重い雰囲気なんですが、 随所に小ネタが色々と仕込んであるので暗すぎにもならなかったりします。

あと面白いのが万能章(パンタクル)を用いた魔法の使用。 細かいシステムはここでは説明しきれないので省略しますが、 ゲーム中で「魔法が使える」と書かれている全ての地点で 15+α種類の全ての魔法を使えるという非常に柔軟な魔法システムになっています。 もちろん、その分魔法が使える場面での選択の幅がぐっと広がるため、 遊び手は状況を読んでどんな魔法が効果的かを 場面ごとに判断する必要が出てきます。 魔法がビシッと決まった時はかなり快感です。

ちょっと上級者向けとはいえ、やり応えのある面白いゲームブックです。


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モンスターの逆襲

今は亡き社会思想社刊、山本弘著。

冒険者に家族を殺されたゴブリンとなり、 他のモンスターに進化しながら冒険者に復讐していくゲームブック。

荒筋:
あなたはとあるダンジョンで平和に暮らしていた若いゴブリンでした。 しかし、あなたがダンジョンを留守にしてる間に 凶悪な四人の冒険者に家族は殺されお宝をぶん取られてしまいました。 あなたはこの四人に復讐するための冒険に出発することになります。 ただし、ゴブリンのままだと弱っちくて復讐できないので、 奪われた宝「魔法の黒ヒスイ」を 使って様々なモンスターに進化する必要が出てきます。

一方通行系のシステムです。 全四章構成になっていて、 それぞれの章が小さな独立したゲームブックになる感じ (進化形態は引き継ぐし、 前の章での展開の影響が出てくることもあるんですが)。 そして、四人の冒険者を一章に一人づつ倒していく……ということになります。

最初はゴブリンなのが色んなモンスターに進化していくのが面白い。 ぶっちゃけた話、ポケモン的な楽しさがあったり (ちなみに「モンスターの逆襲」の方が早いです(1988出版))。 戦闘時に特殊能力が使えたりして強くなるのはもちろん、 特殊能力を使うことによってときどき選択の幅が広がったりとか (例:羽根があるモンスターになっていれば城壁を飛び越えられる) しますし。 そのかわり進化の仕方に間違うと何のヒントも無く死んでしまうことがあるのが ちょっと問題かもしれませんね。 まぁ、そのやられっぷりも各モンスターの特性が出てて結構面白いし、 簡単に各章の初めからやり直せるので ゲームオーバーしても復活は楽なんですけど。

ストーリーはいいんだけど……ちょっと描写がそっけないかな? まぁ、進化関係でパラグラフをたくさん使っちゃってるので 他の描写が圧迫されちゃうのはしょうがないんですけどね。 ただ、進化のシーンは例外でモンスターの形状の変化の様子が 生き生きと描写されていたりします。これが結構かっこいい。 あと、最後の敵を倒した後は進化形態によって分岐するのですが、 ベストエンドは結構感動できます。 逆説的に始まった物語で王道の大団円という感じ。


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オーバーキル城

社会思想社刊、M.A.スタックポール著、安田均と高山浩訳。

これは厳密にはTRPG "T&T"(トンネルズ&トロールズ)の 一人用シナリオ。「ガルの地下水道」と 「オーバーキル城」の二本立て。

とはいえ、まだ「ガルの地下水道」しかやってないので そっちの紹介だけってことで。

荒筋:
あなたはガル市の酒場でならず者達に地下水道に叩き込まれました。 その地下水道からの海賊の侵入を防ぐために、 市の商人評議会が地下水道の管理と防衛を地元の魔術師に依頼していました。 と、いうわけで地下水道には性悪魔術師の仕掛けた よくわからんトラップが大量に転がっているのでした。 あなたはこの地下水道から脱出して、 再びお天道様を拝むことはできるでしょうか。

えー、いきなりひどい導入ですが……中身もひどい! ……いや、褒めてるんですよ。 もー理不尽なトラップやら敵やら満載です。 トラップは一発死だし、敵にはほとんど勝てないし、 あまつさえ見知らぬ奥さんに誘惑された上に そのダンナと決闘する羽目になったりするし。

でも、何故か嫌にならないんですよね。 というか逆にぶち殺されるのがちょっと楽しくなる。 戦闘システムの豪快さ、パワーバランスのなってなさ、 トラップや登場人物の理不尽さ……これらが渾然一体となって 面白いブラックジョークを成してる、という感じですね。 どうもT&T自体、D&D(R)のブラックジョーク・パロディみたいな 感じのものらしいですし。 つーわけでちょっと絡めてですが、悪趣味なブラックジョークが 好きな人にはお勧めかも。 ノレない人も結構いそうですけど。

あ……一応クリアしましたよ。 9回ぐらい途中で死にましたが。


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展覧会の絵 (New!)

記憶喪失の吟遊詩人となって、 10枚の絵から成る幻想的な世界を旅するゲームブック。
創土社刊、森山安雄著。
タイトル通り、 ムソルグスキーのピアノ曲「展覧会の絵」から強い インスピレーションを受けた作品です。

荒筋:
あなたは以前の記憶を全く失った吟遊詩人です。 今日も市場でひと稼ぎしようと歩いていると…… 露店商人に呼び止められました。 どうも彼は以前のあなたを知っているようです。 露天商は一枚の絵の前にあなたを連れてきて曰く、 記憶を取り戻すためにはこの絵の中にいる 侏儒の案内を受けないといけないとのこと。 魔法の琴と絵の織り成す幻想的な世界での あなたの冒険はこうして始まります。

このゲームブック、主人公は吟遊詩人なので 数値的な戦闘はありません。 魔法の琴を弾いたり、上手い行動をとったりすることで ピンチを切り抜けていくことになります。 このことを始めとして、かなりゲーム的な要素は簡略化されてます。 ゲームオーバー行きのトラップとかもかなり少なめですし。

その代わりに『展覧会の絵』を決定的に特徴付けているのは 世界観とストーリーです。 10枚の絵それぞれの中に、 ムソルグスキーの曲をモチーフとした世界があり、 それらの世界の中で様々な事件に巻き込まれながら 自分の記憶やその手がかりになるという宝石、 それに次の世界へと通じる絵を探していくことになります。 そんな世界やそこの人物の描写もしっかり淡々と行われていて 幻想的な雰囲気をより一層引き立てています。 主人公が少しづつ記憶を取り戻して 謎がちょっとづつ解けていく感覚もまたいい。

そしてエンディング。 主人公の記憶が戻り、10枚の絵と世界の謎が明かされます。 ……ネタバレを避けるために受けた感覚だけを書くだけにしときましょう。
主人公達の喜びと悲しみ、 ムソルグスキーがピアノ曲『展覧会の絵』に託した思い、 そして著者がこの曲に抱く思い ……そういった感じのものが一緒くたになって流れ込んできました。 ……この歳でゲームブック読んで泣くとは。

このゲームブックに 難を言うなら……序盤の魔法の琴の使用回数を決めるサイコロの出目が悪いと、 まずクリアできなくなること。 そして集める宝石のうち、二つの獲得は完全に運次第になっている ことでしょうか。

ゲームブックという形態による 幻想的、感動的な話の追体験を突き詰めたような本です。 いいストーリーのゲームブックが読みたい方にお勧め。 逆に、ゲーム的な攻略とかを求める人にはお勧めできません。 その辺は弱くなってます。


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