移動運用 Top Band DX の紹介 
-- Top Band DX も移動運用の時代  --
 
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微弱GVY、負けるな北斗七星これに在り
 
始めに
私JH1GVYは自宅にアマチュア無線用のアンテナを一切建てておりませんが、移動運用でアマチュア無線を楽しんでおります。
約25年間の休止期間を経て七年ほど前(1998年)からアマチュア無線を再開しました。
再開後、暫くはバイクや車で10MHzをメインにして国内の全郡を周るという移動運用を行い、その後二年半ほど前(2002年夏)からは移動運用でのトップバンド(160メータバンド)DXとその目的の為のアンテナ製作と実験を行なっております。
移動局に最大許される50Wという、トップバンドにおいては極めて小さな空中線電力でDXを追いかけております。 住宅事情などでトップバンドを楽しめない方の為に何か御参考になることが有ればと、私のアマチュア無線活動を紹介させて頂きます。   自己紹介
 
移動運用トップバンドDXのきっかけ
1998年にアマチュア無線を再開した時に車を所有していなくバイクのみでしたがモービルホイップアンテナをバイクに取り付け、買ったばかりのアイコムのトランシーバ IC-706MK2M(50W)でバイクのバッテリのみを電源として近所の空き地や河川敷などに出かけ7MHzや10MHzのCWで無線を楽しんでおりました。 自宅や近所への電波妨害を嫌って移動運用のみにしました。   バイク移動
 
暫くすると、昔親しんだ1.9MHzにも出てみたくなり、バイクに5mほどの釣竿を取り付けて先端にキャパシティハットも取り付けたボトムローディングホイップでQRVする事になり、これが国内には結構良く飛んで沢山のQSOをしました。 知らなかったのですが、アマチュア無線人口が激減したことで移動運用局を頼りにAJAやJCC,JCG を追いかけている人々が沢山いらっしゃる。 特に 1.9MHzはアンテナ寸法が大きいことからか固定でQRVする局が少なかったせいもあってか良く呼ばれました。
 
1.9MHz用の5m釣竿ホイップアンテナは周りが開けた場所でないと飛びが良くないみたいで不満を持ち始めて、エレメント長さを思い切り長くしてしかも簡単に設置出来るアンテナが欲しくなりました。 その解決策としてだれでも考えるとは思いますが、風船で40mの長さの電線を空中に持ち上げてラジアルを張れば申し分ないアンテナが出来ると考え、色々と考えたり材料(部品)を捜したりで移動運用で使える軽量で簡単に設置できるバルーンアンテナを実現しました。 国内のコンテストで 1.9MHz のわずか5kHzの幅の中で超QRMが起きている最中にコンテスト目的でなく移動運用としてCQを出すと、潰されることも無く多くのQSOが出来てこのアンテナの飛びの良さに自信を持ち、やがて移動運用国内巡りでこのアンテナを使っているとDXとのQSOが出来ることが判りました。  バルーンアンテナ
 
10MHzをメインとして 1.9MHz から 50MHz の 10のバンドを使って国内の全ての郡(当時564郡)を2000年5月までに回り切り、その後これといった目標も無く市町村合併で新しく誕生する市での移動運用などをしておりましたが、2002年夏頃から「移動運用トップバンドDX」を目指してほとんど未経験のトップバンドDXの世界に、それ用(移動用)のアンテナを作るという所から入って行きました。 バルーンアンテナは既に持ってはいたのですがヘリウムガスや風船などの消耗品があることと耳の悪さが気になり他のアンテナを模索しました。  国内移動運用の記録
 
トップバンドDXの移動運用スタイル
北米地域と交信する時には夕方暗くなった頃から、またヨーロッパと交信する時には午前3時頃に家を出て、車で10kmほど離れた田んぼの中の道に移動します。 もっと離れた場所や太平洋岸の海岸にも移動したことがあります。
 
事前に雨、風、雷の情報を把握しておき、現場到着後に天候、主に風の強さと向き、を確認して周囲状況も見極めて場所を定め、目的の方向に電波の飛びが有利に成るような向きに後述するアンテナのどれかを立ててトップバンドDXを行ないます。 使用するアンテナは通常の交信か、コンテストか、その他に応じて選びます。
 
リグは今でも相変わらず IC-706MK2M ですがCWナローフィルターを装備しました。 トランシーバ本体は助手席の下にころがっていて、コントロールパネルは車のコンソールパネル中央のエアコンの噴出し口(カーラジオの上方)に着脱出来るように取り付けてあります。 DX時にはリグの IF SHIFT を併用して狭帯域且つトーンをかなり低くして聞いている為にトランシーバ内蔵スピーカではうまく再生出来ないので、ピーキングフィルターを付けた外部スピーカをグローブボックスの所に置きます。 パソコン用の電源も助手席のカーペットの下に置いてあります。
 
トランシーバはスプリット周波数モードにして RIT を使わずにいつもバンド内を受信確認出来るようにしていると同時に聞き取り易いトーン(200から300Hz ?)にしています。 AGCはFASTにしてパルスノイズを受信した時にAGCによる信号のマスキングが最小時間で済むようにしています。 最近は受信アッテネータを入れっ放しにしてその分オーディオのボリュームを上げて受信していて、この方が無信号時のノイズが低く疲れず且つ聞き易く、国内のハイパワー局やその他からの妨害も少なく良好です。 CQ は近くに他の局が出ていない限りいつも 1821.2kHz で出していてあまり周波数を変えない様にしています。
 
アンテナケーブルは助手席の窓ガラスに挟んで引き込み、AMラジオ放送からの妨害を排除する為のアンテナフィルターを介してトランシバーに接続します。 アンテナSWRを確認する時にはワニグチでアンテナフィルターを通らないようにします。 アンテナのSWRがOKならばワニグチを元に戻してSWRを見ながらアンテナフィルターの同調を取ります。
 
オペレーションは車の運転席で行い、バッテリーの充電や暖房など必要に応じてエンジンをかけたりします。 ひざの上に板を置いて机代わりにしてメモ紙のログを書いたり、コンテストの時にはノートパソコンを置いてログをとります。 パドルは底面の四隅にビスを突き出してあり、それを机代わりの板に開けた穴に挿して滑り止めにします。 車は大衆車(エコノミーカー)で車内が狭く、長時間運転席に座っていると“エコノミークラス症候群”になってしまいますので、バッテリーの充電を兼ねて時たま休憩を取り、車外に出て体をほぐします。

また発発は持っておりませんので、例えコンテストでも車のバッテリのみで50W出力で運用しており、その為に約一年毎にバッテリ交換が必要ですが大衆車のバッテリは安く(季節により異なりますが3,000円前後)問題は有りません。
 
移動運用トップバンドDXの時には、特に何か無い限りコールサインにポータブルの表示は付けてはいませんが、私の電波は全てが移動運用のものです。
 
●トップバンドDX 移動運用のメリット
移動運用ではロケーションを選べるというのが最大のメリットですが、特にトップバンドではアンテナが大きいということで自宅に適当なアンテナが立てられなかったり、周囲の雑音が大きくてまともな受信が出来ない場合にはその威力は絶大というべきでしょう。
 
田園や大きな川の河川敷きに出かければ、都市雑音の無い場所で最高の受信感度が得られます。
海岸で運用すれば理想的な接地と海面での最高の反射による利得が得られ、崖や山、ビルディングを反射板(リフレクター)として利用可能? コーナー・リフレクターになれば最高です。 高い堤防の上にアンテナを建てればきっと低いアンテナでも低い打上角でDXが狙えるかも知れません。  当然、目的の方角に開けた場所を選べます。
適当な場所を見つければ自由なアンテナを建てられ(タワーなどの制限は有るが)、ベバレッジアンテナは一時間も有れば土手の上に建てられます。
常設のアンテナではないので、台風や雷などを気にする必要は無く、その様な心配がある時には移動運用しなければ良いのです。
周辺に住宅などが無ければ電波障害も気にしなくて済みます。
アンテナは小型軽量に畳める(畳めるように作る)ので、例え外の天候が悪くても、真夜中でも、部屋で製作やメンテナンスはいつでも可能です。
冬の空気の澄んだ晴れた夜は流れ星が見られることがあります。
 
2005年2月の出来事
KCJトップバンドコンテストで
高架を走る鉄道で帰宅途中に北の空が二つに割れているのが見えました。 風が少し強いこちらの南側は真っ黒な雲で、これからコンテストの移動運用の為に向かう北側は明るい。 果して北側はこちらより風が更に強いのか、それとも弱いのか、自宅から車で北に走り出すと少し雨が落ちてきたが目的地(栃木県)に着くと雨は止んでいて、風は少しありました。
幸に、アンテナを建て終わってコンテストの始まった頃には無風で気温もそんなに低くはなかった。 
このコンテストの為に設計した『コンパクト逆ブイ』アンテナを、その垂直偏波がUSAに向く様に建てました。  通常の逆ブイの半分程度の狭い場所で建てられるので便利で、1.8MHz と 1.9MHz の切り替えも容易でした。
CQを出していたら、USAのアリゾナ州の二局に呼ばれましたが、相手がコンテストを知らずに通常のDX QSO になってしまいました。  RA9*** がCQコンテストを出していたので呼んだが届かず。
 
二日目は気温は低く厳しかったが、風がほとんど無くアンテナ建設とコンテストは順調だった。
 
ローカルさんも山梨県に移動してコンテスト参加の予定とは聞いていたが、結局は雪の心配の無い千葉県房総半島先端に変更したそうだ。 当日、風が強く、振り出し竿で作ったアンテナが縮んでしまったが雨が降っていた為にそのまま強引にアンテナチューナで同調してコンテストに参加したとの事で、100km程度の距離だが場所による天候の差が幸運と不運を分けた。  道理で初日は弱く、二日目はまともな強さだった。
 
嬉しかったARRL DX コンテスト
この所、トプバンドDXがおろそかになっていてこのバンドでのWASとDXCCも停滞していた。
ここ一週間程度は風邪気味だったが昨日は昼に風呂にゆっくり入ったら具合が良くなったので、病み上りですぐに出掛けるのは良くないとは思いつつ、逆ブイの周波数ズレの原因を探る目的で、ARRL DX コンテストでもあったので雨や風が降ったり(吹いたり)止んだりしていたが午後早い時間から移動運用に出かけた。
 
明るいうちに雨の合間を見て点検しながら注意深く逆ブイを建てたが元の周波数に同調していて問題は無かった。 以前はきっと夜間でエレメントが絡まっていたのが見えなかったのだろう。 それにしても雑音が少なく静かだった。
アルミのエレメントが切れたり、風で揺られて竿のつなぎ目が揺るんで落ちたりして二度もアンテナを建て直した。 マルチバンドのコンテストなのであまり期待せず、アンテナの向きも気にせずに建てて、夕刻からワッチをしていたらコンデションが良いので慌ててアンテナの向きを北東−南西の方向に張り直した。
 
コンテストでは W8JI (GA) から始まり、次に W4ZV (NC) とQSOした。 GAはジョージア州、NC はノース・カロライナ州で、明らかに東海岸と言える、NCは New State 1 up になった。 NYなどには到らないが、50Wでここまで飛んだかと思うと嬉しかった。
CQを出し始めたUSA局に一発で拾ってもらい、599050 ( 50Wの意味)の交換ナンバーを送ってQSOを終えた後でJAの数局(多分皆さん100W以上)がそのUSA局をコールし始めた時にも気持ち良かった。  その後、あまりに西海岸の局が強いのでCQを出していると、50Wなのに結構コールされてこれまた嬉しかった。 この日、合計 18 QSO、9マルチ、TTL486点。  目標の200ptsは達成した。  WAS map
 
グッドコンディション
ARRL DXコンテストでコンディションが良かったので昨日も移動運用に出かけてみた。  耳の良い何時ものJA局がUSA東海岸局を相手に快調にQSOしていて、私にもその内の幾らかが受信出来るので、コンデシィョンは良好だ。
私の出力電力で東海岸の弱い局を呼んでも駄目なので呼ばずに、もう少し近い局からのコールを期待してCQを出した。
 
何時ものUSAの局には『あなたの電波は50WなのにFBな信号だ』と言われて嬉しい。 何時もはRST、QTHの州の略称、名前くらいしか交換しないが、昨日はあまりに良いコンディションなので、天気やリグや細かいQTHも交換するQSOになって、まるで7MHzでQSOしている様だった。
 
やはりCQ重視の局とワッチ重視の局に分かれるのだろうか、CQを出すと新しい局と出会える。 AZ州の相手は85W出力で13mのバーチカルだとの事で、私の電波も私が受信している彼の電波と同じくらいで届いているのではないかと想像したりした。  AZ,TX,NV,CA, NM,MT,CO の各州の局は掛値なしで579から599以上で入感、数ヶ月前にQSOするのに苦しんだIL州の局の信号も599で、何時もはあまり強くない韓国のDS5***も今日は強力でUSAから599をもらっていたが彼の送るレポートは449(私には589程度で受信出来る)。 W9***だけは500Wだというのにあまり強くなく、また何時もよくQSO出来るWA州とはQSO出来ず、逆に不思議に何時もあまりQSO出来ないCA州から多く呼ばれたので、コンディションの地域差が有るようだ。
 
私のQSO終了後にJAが、私の相手だったUSA局を呼ぶので、暫く静かにしていたが返答が無いので同じ周波数で続けて私がCQを出す(これも気分が良い)。  CQ にDX とは付けていないのでJAからも呼ばれてしまうが三局目は無視してその後はCQ DX にした。 私がQRVする21時頃から0時頃までの時間は、JAのトップDXサーは早朝のヨーロッパに備えて寝ているので私の弱いCQでもUSAにモテる。
 
DXSCAPEクラスターには、何と五つも私のコールサインがスポットされていた!!!。
その中でOH州の局がいたが、私には聞こえなかったがコールしてくれたのだろうか、すぐ隣のMI 州の局はカスカスで聞こえていたが。 コールされていたとしたら、予想に反して50Wでも優れた受信アンテナが必要か? もしかして本当はNY当りにも私の電波は届いているのかも知れない。 OHからNYまではあと一歩だ!
 
多分ヨーロッパにもコンディションが良いと思ったのでそのまま朝まで続けたかったが、欲張っても体がもたないので23時半頃で撤収に入った。 何時もの局も含め13局とQSO出来たがNewの州は無かった。
 
ノースカロライナ州の局からメール
ARRL DX コンテストで運良くQSO出来たノースカロライナ州の局からの電子メールで『あなたの電力は50WとコピーしたがコンテストでQSO出来たJAの局の中では最小だった。 アンテナは何か? (次に少ない電力だった100W局に比べ)3dBも少ないのに。』と聞かれた。 好コンデションの影響で運が良かったに過ぎないが、これも嬉しかった。
約十日後に外国郵便が届き、SASE付きでわざわざQSLカードを届けてくれた。 おまけにSASEには日本の切手が貼られていて料金も間違い無い。 申し訳無いので机の中にあった1ドル札を同封して自分のQSLカードを返信した。 自分にとって記念になるQSLカードになるだろう、感謝。
 
全長20mの支柱
支柱は使うアンテナにより異なりますが、最近では伸長12mの伸縮ジュラルミンポール(ジュラポル)の先に8mのファイバー振り出し竿(10m物のW−GR−1000Hの先端2段を取り除く)をつなげた全長20mの支柱を使うことが多いです。

 
この支柱の建て方は、まずタイアベースをタイアで踏んで固定し、ジュラポルを縮めたままで下端をタイアベースに当てて地面に寝かせます。 竿を全て伸ばして、場合によっては落下(スットン)対策をしてからジュラポルの先端に異径ジョイントで取り付けます。 異径ジョイントは通常とは逆に太い方が上(竿)側、細い方が下(ジュラポル)側になります。 竿の三段下がった所にステーロープを取り付け、竿の先端にアンテナエレメントを取り付けます。 アンテナエレメントは伸ばして地面上に這わせておきます。 逆ブイ系のアンテナの場合には同軸ケーブルを竿の先端まで支柱に沿わせてビニールタイ(ビニタイ)により適当な間隔で支柱に固定しアンテナエレメントに接続します。
 
支柱のタイアベースに当てた所を支点に、支柱を手で立ち上げてタイアベースに取り付けます。高さ80cmほどの脚立をジュラポルにロープで固定して転倒しないようにしておいてから、その上に乗ってジュラポルを全て伸ばし全高20mの支柱とします。 ジュラポルの伸縮には多少コツが有って、初期に私がそうであった様に、これを知らないと伸ばすことは勿論、縮めることも出来なくなることが有ります。
 
コツはポールを真っ直ぐに立てておくことです。 少しでも傾いていたり、しなっているとどんなに力を込めてもダメな場合があります。(私の場合、ジュラポルを購入して数回使用後に分解してストッパーピンを収めているパイプの長さをほんの少しヤスリで短くすると同時に端の面取りを多くしました。) 風が有ったりエレメントなどの重みでポールが傾いた時にはポールに体重をかけたりステーロープを張ったりして垂直に戻します。従って、場合によってはジュラポルを一段伸ばしてはステーロープを張り直すという作業を繰返します。
 
ジュラポルを伸ばして行く途中でエレメントやステーロープ同士が絡まったり異径ジョイントに引っ掛かったりすることがあるのでそれらを予め少し展開しておいた方が作業がスムースに進みます。 何しろ真っ暗な中で作業をするので特に、もやったりするとライトを照らしても、20m上空のエレメントの状態は良くは確認出来ませんので注意深く作業をします。
 
尚、登山用のヘッドランプを額に取り付けて、別途強力ライト(懐中電灯)を用意しておきますが、真っ暗な中ですがなるべくライトは点灯せずに済ませて、どうしても必要な時にだけ点灯します。 下手にライトを灯けると、もしも善からぬ人に発見された場合には危険だからです。 何しろ夜間の屋外に、しかも人通りの少なく助けを呼んでも誰も来ない所に一人で居る訳ですから。 また不要な職務質問に合うことも防げます。
 
ジュラポルが何時も同じように伸ばせるようにまたストッパーピンと穴の位置をまさぐらなくても済むように、ジュラポルの先端から末端まで太目のマジックペンで線を引いておくと同時に、ストッパピンからその上30cmくらいまでは別の印を付けておき位置が判るようにしておくとその段の終わりが近いことやピンを穴に合わせる作業が楽になり、場合によっては意識しなくてもスンナリとピンと穴が合って作業能率が上がります。
 
支柱を伸ばし終えたらアンテナエレメントとステーロープを張ります。 ステーロープはアンテナエレメントと直角の方角に張ることで相互で四方向のステーを構成するような格好になります。 エレメントは釣りのリールに巻いたミズ糸を使ってその長さを調節しつつ展開します。 ステーロープやエレメントステーは地面にテント用ぺグ(杭)を、場合によってはハンマーを使って打って固定します。 ステーロープはテント用の自在を使って長さを調節します。
 
エレメントの張り具合は暗くてしかも遠くて(数十メートル先)見られませんので、ミズ糸のツッパリ具合で判断しながら、時には支柱の下まで戻って強力ライトで照らすなどして支柱の曲がり具合などから判断します。 これらの張り具合にこだわるとかなりの時間を取られてしまうので適当な所で妥協します。 アンテナを建て終わるまで1時間10分から、てこずると一時間半が必要です。 てこずってQRVしないまま帰宅したこともありました。
 
撤収には50分ほどが必要です。 ジュラポルを縮める時には、ストッパーピンを押し込む為の専用の付属の道具がありますが使いにくいので、手袋をしてその指でピンをある程度押し込み、ポールを左右に回転させるとやり易いです。
 
移動運用トップバンドDX用の各種アンテナ
下記のアンテナを移動運用トップバンドDX用に作り実用しました(しています)。
 
1、バルーンアンテナ(フルサイズ四分の一波長バーチカル)
2、10m垂直短縮アンテナ(先端14m高) <既に過去の物になりました>
3、周長28mの四角(菱形)マグネチックループアンテナ <既に過去の物になりました>
4、周長54mあるいは48mの六角マグネチックループアンテナ
5、逆ブイアンテナ(ありふれた一般的な物)
5、コンパクト逆ブイアンテナ(KCJトップバンドコンテスト用スペシャルアンテナ)
 
1番目は5m以上の釣竿、2番目3番目は4mの工事用足場パイプと10mの釣竿をつなげたポール、4番目から以降は高さ20mの支柱、夫々一本により建てます。
 
アンテナは他にも幾つも作っては壊しておりますし、受信専用のフラグ/ペナントアンテナ=一点抵抗装荷ループアンテナやベバレッジも作りましたが50Wの出力では受信専用は必要無くほとんど使っておりません。 公共交通機関とレンタカーを使った国内移動用にコンパクトに畳める軽量アンテナも有ります。
 
●バルーンアンテナ  (未記述)
 
●10m垂直短縮アンテナ  (未記述)
 
周長28mの四角(菱形)マグネチックループアンテナ(4MLA28R2AL)
ラジアルや接地が不要なアンテナが欲しかったこと、及び波長に対して高さの低い水平ダイポール等は打ち上げ角が高くDXには向いていないということを聞いていたので、まずはマグネチックループアンテナに白羽の矢を立てました。 当時、マグネチックループアンテナはすでに過去の話題になりつつあった様でした。
 
私が作ったこのアンテナは、エレメント材料、給電方法、同調バリコンの場所、など紆余曲折は有りましたが最終的には2mの工事用足場パイプ二本をつなぎ合わせて4mとした先に10mの釣竿を取り付けたポールを使い(頭初は釣り竿のみ)、二箇所を糸で引っ張って一辺7mの四角い(菱形)ループに展開した物です。 エレメントは最終的には直径2mmの園芸用アルミ針金を二本パラっています。
同調と給電はボトムの同じ所で行なっており、ループに直列に入れた1μH程度のコイルに50Ωの同軸ケーブルを直接接続して給電します。バリコンは1kV耐圧品で50Wの出力ならば何とか限界でした。極めて簡単な構造とどこでも手に入る部品で作られていて軽量で移動運用にも適しておりました。
 
このアンテナで幾つかのDX QSOは出来たものの満足できる結果ではありませんでした。受信S/Nは良かったように感じました。 この時にはマグネチックループアンテナという物の本質がどういう物なのか、どうすればトップバンドでDX QSOができるアンテナに造れるのかなど原理的に完全には理解していなく手探りの行き当たりバッタリの検討をしておりました。 作られたアンテナの輻射効率を現す式は公表されてはいたもののそれをうまく使って逆に輻射効率の高いアンテナを作るということは出来ませんでした(転載されたその式が間違えていて混乱もしました)。 しかし、このアンテナを検討したことで、マグネチックループアンテナはパイプでなくてワイアで作ることも可能だということも知りましたし、糸でバリコンをリモートコントロールすること(糸コン)とその具体的仕組みを作ったり、給電方法のあれこれも知ったし、釣りのリールに巻いた糸でエレメントを展開するという手法も確立し、その他諸々の財産を残すことができてその後のアンテナにそれらが活かされています。
 
周長54mあるいは48mの六角マグネチックループアンテナ ( 6MLA54R2AL, Inverted 6MLA48R2AL)
その構成から6MLA54R2AL型あるいはInverted 6MLA48R2AL型と名付けました。
は六角、MLAはマグネチックループアンテナ、54あるいは48はループ周長さm、R2は等価半径2mmのエレメント、ALはアルミニュームエレメント、Inverted は「バリコンを天頂ではなく、地表近くに置く」の意味です。
 
周長28mの四角(菱形)マグネチックループアンテナの反省から原理的な勉強をやり直したこと及び、移動運用で一人で建設可能な20m高さの支柱を実現したこと、MMANAというアンテナ解析ソフトウエアを利用することが出来たことで、このアンテナやコンパクト逆ブイアンテナにたどり着きました。
 
幾冊もの書物を買ったりWeb上の情報を検索するなどでアンテナの勉強をする過程で、自分が如何にアンテナに対して無知であったかも思い知りました。
勉強で得た成果の一つは次の式を導いたことでした、つまりマグネチックループアンテナの輻射効率がアンテナのどの様なパラメータにより決定されるかということを一つの式で現せたことです(実はもう一つ式が必要ですが)。
 
(式1): (Rloss / Rr)  ∝ 1/( D^3 x C√σ )
 
ここで;Rloss = 損失抵抗(ここではエレメントによる損失抵抗のみを考えています)、Rr = 輻射抵抗、D = ループの直径、C = エレメント断面の外周長さ(つまりは太さ)、σ = エレメント導電率、周波数は固定して考えます。
 
また、輻射効率η= 輻射抵抗Rr /(損失抵抗Rloss +輻射抵抗Rr )
           = Rr / (Rloss + Rr)
           = 1 /[ (Rloss / Rr) + 1 ]
から(式1)の (Rloss / Rr)を小さくすると輻射効率が上がります。
 
(式1)は輻射効率を具体的な数値で導き出すことは出来ませんが「何が重要で、何が重要でないか」を現しています。
 
つまり、輻射効率の要素は、
1、ループの直径Dを大きくする事が大変効果的である。
2、次にエレメント断面の外周長さ(太さ)C、を大きくすると効果的である。
3、導電率σは平方根でしか効かない。
 
これを、私は 「MLA輻射効率の3要素」と名付けました。
 
この式から、エレメントの太さよりも、及びエレメントの導電率よりも、まず第一にループの大きさを可能な限り大きくすること、私の場合には20m高の支柱を使えるのでそれに合ったループの大きさ(周長さ50m前後)にする。
 
次に、エレメントの導電率よりもエレメントの太さを可能な限り太くすること、つまり移動運用の為に貧弱なポールしか使えないということからエレメント重量に制限が有り、導電率は良いが重たい銅よりも多少導電率が悪くてもアルミを使うことで許される重量内で最大限のエレメントの太さを稼ぐこと。 銅に対して、アルミの重量はその導電率の低さを補って余りある太いエレメントを実現できます。
 
補足:ループの直径Dは輻射抵抗を左右する。エレメント断面の外周長さは高周波の表皮抵抗(損失抵抗)を左右する。導電率は高周波の表皮抵抗を左右する。 ループの大きさは無限に大きくできる訳ではなく、一般的には半波長のループ周長が上限になります。
 
もう一つ(式1)では現していない要素があります。 その為に(式1)は輻射効率を具体的な数値で導き出すことが出来ませんでした。
その要素とは、ループの形状、つまり同じ長さのエレメントを使ってどの様な外形にしてループを作るのか、三角なのか、四角なのか、六角なのか、八角なのか、円なのかということです。 ループの囲む面積が大きければその輻射抵抗は大きいので、同じ長さのエレメントを使って最大限の面積を稼げる形状が望ましいのです。
 
最も大きい面積は円によって得られますが、細く軟らかいアルミの50mの長さのエレメントを丸く空中に架設することは考えも及びません。 四角ならば一本のポールと二本の糸で、六角ならば一本のポールと四本の糸でエレメントを空中に展開できます。 円に比べて六角であればその差は少なく、実用的に六角の形状としました。
 
エレメントの重量は太さと長さとアルミの比重から計算できます。
 
これによりマグネチックループアンテナをどのように構成すれば移動運用で利用可能な構造と軽量さで、且つ高能率のアンテナを作れるのかの方向性が明確になり、それに従いエレメントの重量をにらみながらMMANAによる解析で詳細を設計する事が出来ました。
MMANAを使っての解析では一つ悩みました。 それは同調素子(バリコン)をどこに置くべきかということでした。 160mという長い波長においても、50mもの長さのエレメントを使うとさすがにエレメント上の電流分布は同一では無く多少、同調素子近くでは少なくその反対側が最大の電流分布になります。その為に同調素子を置く場所により性能が変わり、どちらが良いのか迷いました(電流分布を均一にする方法もありますが)。 今でもその結論は出ていなく同調素子を天頂に置いたタイプとその反対のタイプ(Inverted型)を使っています。
 
同調素子を天頂に置いたタイプ(6MLA54R2AL)では20m上空のバリコンを糸コンにより調整して、給電は地表近くに挿入したコイルの両端にフロートバランを介して同軸ケーブルにより給電しています。 エレメントは、直径1mmの園芸用アルミ針金を12本で構成し、軽量化と表面積を稼ぐ(表皮抵抗を下げる)方法をとっています。
Inverted 6MLA48R2AL ではバリコン軸に取り付けたレバー棒を竿で軽く叩いて同調を調整して、給電は容量分割にしていますがループ内にコイルを挿入しての給電も技術的には可能と思われます。エレメントは、直径2.5mmの園芸用アルミ針金2本で構成しています。
 
また、20mの支柱を実現するのに上段のグラスファイバー振り出し竿が従来品では腰が弱すぎる為に一時期暗礁に乗り上げていましたが、タイミング良く腰が強い振り出し竿が発売されたことで一挙に解決しました。  ポール
 
少し話がそれますが、ヨーロッパで市販されている8MHzからトップバンドまで使える周波数可変型マグネチックループアンテナは直径3.4mでしたが重量は何と50kg(ブーム込)で価格は十数万円、リモートコントロールBoxとケーブルが必要で、トップバンドでの輻射効率はなんと低く11%(約9.6dBの損失。多分、理論計算上の値であり現実には更に低いのではないか)というものでした。 トップバンドDXに使える効率ではなくこの重量を一人で高く架設するのは難しく落下転倒した場合を考えると危険でもあります。
 
マグネチックループアンテナの輻射効率に関して、ダイポール同等の高い輻射効率が有ると考えている方がいらっしゃるようですが多少誤解があります。 特性スペックを良く見ると(公表していないメーカも見かけますが)ダイポール同等の高い輻射効率が得られるのは使用周波数の高いバンドであり(ループ周長さがほぼ半波長になるので当たり前と言えば当り前)、低い周波数バンドでは明らかに低い輻射効率しか得られていません。 これは周波数可変型マルチバンドマグネチックループアンテナの宿命と言えるでしょう。 その為に、私のアンテナはシングルバンドにしてなるべく高い輻射効率を得られるようにしてあり、3.5MHzでは使うことは出来ません(寸法を縮小しない限り、3.5MHzに同調することが出来ません)。
6MLA54R2ALの輻射効率は恐らく60%(2.2dBの損失)前後になっているのではないかと思われます。
 
SWRの帯域幅は狭くSWR=2で大体10kHz前後と思われますのでコンテストなどで1.8MHz帯の15kHz幅をフルに使うと同調を取り直ししたくなります。
 
やはりアンテナは長く(大きく)。
マグネチックループアンテナなどの小型高能率といわれるアンテナが一時期話題になり、『アンテナは長く(大きく)なく、短く(小さく)ても高能率にできる。』、『微小ダイポールと半波長ダイポールの実効面積はほとんど同じだからアンテナは小さくてもよい。』という主張が聞こえてきます。
しかし、マグネチックループアンテナを勉強する過程でこれらの主張は間違えではないが、誤解を生じる面もあるということが明白になりました。
やはりアンテナは長く(大きく)しなければならないのです(ローバンドの受信アンテナを除いて)。
その根拠はアンテナを短縮するとその輻射抵抗が、短縮することによるエレメントの損失抵抗の減少以上に、急速に低下するからです。  (折り曲げても輻射抵抗は低下します。)
そうすると、
輻射効率η= 輻射抵抗Rr /(損失抵抗Rloss +輻射抵抗Rr )
の式で判るように輻射効率は確実に低下するのです。
これはワイアーアンテナの原則であり宿命であり、超伝導の導体や超伝導の接続を用いない限り、現実的には避ける事が出来ないのです。
 
『微小ダイポールと半波長ダイポールの実効面積はほとんど同じ』かも知れませんが、例えば同じ強さの電波を両方のアンテナで受信したとすると、実効面積は同じなので同じ強さの電気エネルギーを受信するのですが、そのエネルギーをアンテナから取り出して受信機に供給しようとした時に微小ダイポールでは輻射効率が低下している為に受信したエネルギーのほとんどをアンテナ内の損失抵抗で消費してしまい受信機に供給出来るエネルギーは激減してしまうのです。
 
一方、半波長ダイポールでは損失抵抗に比べて輻射抵抗が十分に大きい為に普通に作れば損失は数パーセント以内に収まり、受信したエネルギーをほとんど損失無く受信機に供給出来るのです。
 
受信で説明しましたが、送信においても全く同じです。 50W程度で暫く送信し続けてから、7MHzのモービル用ホイップアンテナのコイルを触ってみて下さい、送信出力の損失で熱くなっているでしょう。 3.5MHzのホイップアンテナではコイルにフェライトも入っていて更に損失が多く、触ると火傷をしそうでした。
 
短縮されたアンテナではその小型化の代償として、その輻射効率の低下を少しでも取り戻す為に涙ぐましい努力を必要とする場合があります。 周波数可変型マルチバンドマグネチックループアンテナでは、損失抵抗を減らす為に極太の銅のパイプを用いることで、ものすごい重量を覚悟しなければなりませんし、そうしたとしても最高周波数帯域以外ではそれなりの損失を覚悟しなければなりません。 何の損失も無くアンテナが小型化出来るというような虫のよい話しは無いのです。
 
小型だから電波を拾えないのでは無く、輻射抵抗が低い為にアンテナ内部で大きな損失が生じて結果として外部(アンテナ端子)から見ると利得が低いのです。
小型アンテナの利得が低いことの本質を理解して頂けたでしょうか。
 
逆ブイアンテナ
20m高の支柱を頂点として直径2mmのアルミ針金で構成し、エレメントの端は糸で引き、地上高2から3mは確保しています(最近は地面スレスレ)。 給電はポールの先端まで同軸ケーブルを引き、フロートバランを介してアンテナインピーダンスが少し低いので巻き数比2:1のフェライトトランスでインピーダンスマッチングしています。 2がトランシーバ側、1がアンテナ側です。 巻き数比はもう少し低い(最近3:2にしました)位が良いかも知れません。
 
波長に比べて高さの低い水平系アンテナは打ち上げ角が高くDX には向いていないと聞いていたので当初はこの逆ブイアンテナは考慮の対象外でしたが頂点20m高で使ってみるとそうでもなくDXと交信できます。またMMANA で解析すると水平面指向性は言われるような8の字ではなく水平と垂直の両偏波を合成して眺めると無指向性に近く、コンテストでエレメントを北西から南東の方角に張ってそのままアンテナの向きを張り直さなくてもヨーロッパも北米も交信出来て、SWR帯域幅もMLAよりもずっと広く使い易いアンテナです。
 
逆ブイアンテナでは、垂直偏波はエレメント延長線上の方角に放射されますが、MMANA で見ると私の使っている波長に比べて高さの低い(八分の一波長=20m)ものでは低い仰角においてエレメントに直角に放射される水平偏波に比べ垂直偏波の方が強く放射されますのでDX向きと考えられます。 同様に、この程度の高さ(20m)があるとエレメント両端を地面スレスレまで低くした方が、かえって低い仰角での利得が持ち上がる様に見えます。
 
逆ブイアンテナは、ある書物で 『低い仰角で特異な放射をすると一般に言われているが、そんなことは無い、、、』と書かれていましたが、私が使っている様な比較的高さの低い場合でエレメント両端が地面に近い場合の垂直偏波においては同じ高さの水平ダイポールの水平偏波に比べて同等か若干優位にあるように見えます。
但しその優位性は仰角12度未満で最大1dB前後なので(NEC2 for MMANA) 取りたてて言う程のものでも無く、仰角30度未満では両者は大体同じと見ています。 しかし逆に、低い仰角で両者が同じ程度だということはDXに対しては、特に私のような移動運用では、建設が簡単な逆ブイアンテナは素晴らしいと言えるでしょう。(送信能力の話としては、高い仰角で明らかに優位性があるので、やはり水平ダイポールの方が優れている。)
このアンテナにおける注目点は垂直偏波で有ることは確かのようです。
 
コンパクト逆ブイアンテナ
逆ブイアンテナのエレメント長さを片側約2mずつ伸ばし、20m高の支柱から頂角90度で引き降ろし、余った長さを地上高2.5mの高さで水平にセンターポールに向かって引きます。三角形の底辺の真中が欠けている形になります。両端の2mの部分を切り離す、又は折り返すと1.9MHz に同調することが出来ます。給電は逆ブイと同じです。
 
KCJトップバンドコンテスト用スペシャルアンテナとしてつい最近(2005年1月)に設計して実際にこのコンテストで移動運用で使ってみました。
ヨーロッパとの交信時間帯にはQRVしませんでしたが、二日間合計五時間程度のQRVでアメリカのアリゾナ州の二局からコールされ、国内は140局とQSO、36のマルチを得ました。
まるでクリスマスツリーの様な外観から、このアンテナをツリー型アンテナと名付けました。
 
このアンテナの特徴は 『KCJトップバンドコンテスト用』 と表現したように国内向けの高い仰角では水平面無指向性で逆ブイよりは天頂方向で約2dBの利得低下になりますが国内QSOでは問題無く、DX向けに低い仰角まで垂直偏波があまり減衰すること無く逆ブイ同等の強さで放射されること、また、1.9MHzと1.8MHzの周波数切替が割合と簡単に出来ること、80mバンドの水平ダイポールと同じ狭い敷地で建設が可能なこと、ローデング素子を使っていないのでDX時のハイパワーにも耐えられ(移動運用ではその必要は有りませんが)、調整も簡単で再現性が良いこと、20mのマストを使いますので固定局では手頃な高さで移動運用でも何とかなる等です。 
 
逆ブイアンテナからマグネチックループアンテナへ
逆ブイアンテナの端をセンターポールに向けて折り返すとコンパクト逆ブイアンテナになり、その端と端を更に近づけて端間の浮遊容量を故意に増やすとマグネチックループアンテナ(私の言う所の Inverted型)になります。 逆にたどると、マグネチックループアンテナの同調容量をドンドン少なくしてゆきエレメント端間の浮遊容量だけにすると究極のマグネチックループアンテナになりそのエレメントの周長(全長)は半波長に近くなり、それを丸めたものになります。 これは、アンテナ面内ほぼ無指向性のヘイロー( Halo )アンテナと呼ばれているものに他なりません。
 
形の上からは上記の様に成りますが、特性上も同じようにそれに沿った形で徐々に変化して、例えば垂直偏波の垂直指向性は逆ブイのそれを上から徐々に押し潰してゆく様に変化します。 つまり天頂方向の利得が徐々に下がってきて扇を目一杯広げた様な格好になりDX向けの低い仰角の指向性になりますが、仰角25度付近で見ていると、どのアンテナでもあまり利得の変化は有りません。 マグネチックループアンテナのバリコンが天頂に有るタイプでは天頂方向の利得が更に落ち込んで垂直面指向性は上から潰した饅頭の断面の様になります。
この現象は恐らく、逆ブイアンテナのエレメント端を丸めて(折り返して)センター付近に持ってきた為に、そこからの輻射が天頂部分からの輻射を1部分打ち消しているのでしょう。
 
不思議なアンテナ
ここに不思議なアンテナがあります。 CQ誌2003年10月号で紹介された、160m DXCCを完成させたJA1BWAのロングワイアーアンテナです。 記事中の図3に描かれたアンテナを推測を含めアンテナ定義ファイルにしてみました。
 
このアンテナはまるで扇をほとんど180度に近い所まで開いた様に垂直面指向性が低い打上角まで利得が有る、つまりDX向けの特性になっている。 偏波は垂直です。
これは水平ダイポールが、まるで地面に置いたボールの様な垂直面指向性で低い打上角度ではかなり利得が下がるのに比べて特徴が有ります。
 
エレメント上の電流分布はトップの方で最大になっていて、両端つまりロングワイアの末端はおろか給電点でも多少電流が少なく成っているもののそう極端でなく、地上高3mで水平の10m部分を除いては割と平均的にエレメントに電流が流れている。 
つまりアンテナとしてのエレメントはこの水平10m部分を除いた物で有り、そう見ると電流分布からしても、だいぶイビツでは有るが一部分に大地を使ったループ状のアンテナと見る事が出来て、指向性も似ている(例えば20度程度の低角度での指向性とループ面との関係においてもループアンテナと同じだ)。
 
偶然か又は設計された物かは分からないが、23m高のタワーが結果的に指向性を綺麗な物にしている。 このタワーを導体半径R=0mmとして絶縁して評価するとその影響が分かる。
 
JA1BWAは、『ロングワイアー』と言っているこのアンテナを 『送受にバランスが取れていた』 と書いていました。
 
私はこのアンテナを、エンドフェッド(電圧給電)された逆ブイアンテナの特殊な例であり、ループアンテナとしての構造も持っていると考えます。
給電点はエレメントの端にあり、そこで接地された接地型アンテナの様にも見えますが、実はツエップアンテナを思い起こすと判るのですが、エンドフェッドに近い逆ブイアンテナの特殊な例です。 このアンテナの給電点に接続されたインピーダンスを保ちつつ、逆ブイと同じように頂点から給電しても同じでしょう。
 
『逆ブイアンテナの特殊な例』 の もう一点として、通常の逆ブイアンテナのエレメントの端点はなるべく地表から離す様に努めるのですが、このアンテナでは逆に大地と強く結合する様に給電点に接続されたインピーダンスと地上高3mで水平に張られた10m部分があります。 これが、両端が開放されたダイポールや逆ブイに比べてエレメント上の電流分布を一様に近くすることになり、丸くは有りませんがループアンテナの構造です。 受信特性に多少優れた所(S/Nの良さ)があるとすればこの「ループアンテナに近い構造」がそれに貢献しているかも知れません。
「コンパクト逆ブイ」アンテナはこのJA1BWAのアンテナからヒントを得ました。
 
トップDX サー のアンテナ
このバンドのトップDX サーは送信用に50m程度のタワーによる4SQアンテナやタワードライブやスローピングダイポール、受信用にベバレッジや小型ループを使用しているようです。受信には幾種類かのアンテナを切り替えて最適な物を選んでいるということもよく耳にします。
耳の良さでいつも関心するW8JI は局発が位相同期された二台の受信機で別々のアンテナで受信してステレオヘッドホーンで二台の受信機の出力を左右の耳で同時に聞くというダイバーシティーをやっていて、非常に効果的であると彼のホームページに書いてありました。 勿論、幾つかのアンテナの中から最適な物を選ぶこともやっています。
 
接地型アンテナと非接地型アンテナ
逆L型やT型を含めたバーチカル系の接地型アンテナは、接地の仕方による損失の大少により特性(輻射効率)が大きく左右されるようです。 移動運用では海岸に出ない限り良好な接地を得ることは難しいと思われます。 また、接地の為のラジアルは設置の仕方によっては夜間や早朝に散歩に来る人にとって足を引っ掛けて転倒する、又は触って感電するなどの危険があります。   逆L型アンテナ
それらの理由で、最近ではマグネチックループアンテナや逆ブイ型の非接地型アンテナを使っています。
 
アンテナの送信能力と受信能力
HFのハイバンド以上では、アンテナの送信能力(利得)と受信能力(良好なS/Nでの受信)はほぼ比例関係にあるようですが、トップバンドにおいては必ずしもそうではないようです。
HFのハイバンド以上では、受信機の発生する雑音よりもアンテナが受信する雑音の方が小さいので希望信号を受信した時に受信機の発生する雑音が希望信号のS/Nを悪化させることになり、アンテナの利得を稼ぐとその分、悪化の度合いが少なくなる事が一つの要因として考えられます。
 
誰でも経験するように、トップバンドにおいては普通のアンテナで受信すると一般的な受信機ではノイズでSメータはもう既にかなり大きく振れていてS5から場合によってはS9になっているでしょう。
この時にアンテナを取り外せばSメータは振れなくなり、つまり受信機の発生する雑音よりもアンテナが受信する雑音の方がはるかに(数十デシベル)大きいということで、受信機の発生する雑音は受信S/Nを悪化させることが無いということです。 従って利得の高いアンテナを使っても必ずしも良好なS/Nでの受信を約束してくれる訳ではないのです。 車に取り付けた全長3mほどの低利得(マイナス10dBi以下)のホイップアンテナでもトップバンドのDX信号は受信出来るのです。
 
受信アンテナの利得が受信S/Nを左右しないとすれば何がそれを決定付けるのでしょうか。
最近、パソコンでアンテナの解析が出来るプログラムが無償で提供されていますが、受信S/Nだけは解析できない模様ですので、ここは人知に頼るしかない世界です。
 
私は良好な受信S/Nを得るためのアンテナの条件については良くは判っておりませんが、これだけは言えると思えるのは指向性の狭さ(鋭さ)です。 例え利得がマイナス20dBiであっても単一指向性で半値幅が狭ければそれはトップバンドにおいては優れた受信アンテナになると思えます。
つまり、希望信号が特定の一方向から到来するとして、一方ノイズは四方八方から到来するとしましょう。 もしも無指向性のアンテナで信号を受信するとS/Nは [希望信号/四方八方からのノイズの合計] になり、一方単一指向性で半値幅が狭いアンテナを希望信号到来方向に向けて受信するとS/Nは [希望信号/希望信号到方向からのノイズ] になり、明らかにS/Nは向上すると思えます。
 
その他、静電結合的雑音を考えると小型であること、垂直方向の寸法が小さいこと、磁界型(例えばループ)であること、が良好なS/Nでの受信に貢献する可能性が有ると思えます。  大きな金属よりも、小さい金属の方が静電結合的雑音を拾わないでしょう。 また電界型のダイポールよりも磁界型のループの方が静電結合的雑音を拾わないのです。 更にループアンテナに静電シールド(ファラデーシールド)を施せばより良いでしょう。
トップバンドDXですばらしい実績を上げている JH2*** のQSOしている相手は自分には聞こえないことが度々あります。 Web上に有った情報によると、確か一辺が2から3mの小型のループアンテナを使っていて、ツボはそれをある程度高く上げることだそうです。 同じ様なデータがカナダの局のホームページにフラグアンテナ(一点抵抗装荷アンテナ)の地上高さの特性として載っていて高さを取ることが必要のようです。 高さは有ってもアンテナの寸法が垂直方向に大きい訳ではないので、高さは良好なS/Nでの受信に不利には成らないでしょう。
 
ここで注意したいのは、他局がQSOしている相手を自分が全く受信出来ない時に必ずしも悲観することはないということです。 その場合、スプリット周波数QSOや受信地域差(JA1かJA8かJA6か)、を考えて下さい。 また、例えば50W局ならば、例えその信号が聞こえる受信専用アンテナを持ったとしも、あなたの電波は相手には届かずに依然としてその様な微弱局とは交信できないのです(この場合には高性能な受信アンテナは必ずしも必要無く、有るときっと欲求不満になります)。
 
その他の装備
1、ピーキングフィルタ付き外部スピーカ
2、中波ラジオ放送からの妨害を防ぐアンテナフィルター
3、緊急用バッテリー(市販品)、ブースターケーブル
4、登山用ヘッドランプ(市販品)
5、強力懐中電灯(市販品)
6、ロギングパソコン用DC-DCコンバータ電源(市販インバータを改造)
7、長靴、防寒着、方位磁石、10m巻尺、アンテナ小物部品、など
 
移動運用トップバンドDX実績
以上紹介したアンテナと装備による移動運用トップバンドDXでのQSO実績を下記に示します。
このバンドの一般的なDXサーにとっても取るに足らない内容かも知れませんが、アンテナいじりを含めて自分なりに楽しんでおります。
(アンテナ別 DX 実績)
 
他のバンドに比べて難易度が高いトップバンドDX
単にアンテナを建てる敷地の問題以外に、このバンドでは他のバンドに比べてDX QSOの難易度が高のではないでしょうか。 それはこのバンドのノイズレべルの高さによるものと思われます。
つまりノイズに打ち勝つ為にかなりのハイパワーでないとDX QSOが出来ないという事です。 通常このバンドでは日本では500Wから1kWが普通に使われ、アメリカでは数kWとも聞きます。 50WでDXをやっている人は極く稀でしょう。
アメリカやヨーロッパの局は比較的耳が良く(受信能力が高く)私の50Wの電波でも少しはQSOが可能ですが、アジアの局は全般にこの地域の雑音の高さからなのか、耳があまり良くない局が多いように感じられ、かなりしっかりした信号が受信出来るにも関らず中々QSOが出来ません。
国内移動運用巡りの時にはホイップアンテナでも7MHz以上では海外からよくコールされましたがトップバンドではそのようにはいきません。 他のバンドでDX実績の有るOMさんもトップバンドを始めて『このバンドは他のバンドに比べて多少敷居が高い』とおっしゃっておりました。
 
移動運用昔話(話しはそれるが)
移動運用国内巡りの頃はとにかく目標の期日までに全郡を廻るということで、毎週のルート計画、レンタカーや航空券その他の予約、移動運用の実行、ログの整理、QSLカードの発行と受領、アワードの申請などで多忙を極めていて昔を思い出すことは少なかった。 移動運用トップバンドDXではほとんど遠征しませんし運用出来る時間帯も限られ、アンテナが大掛かりなことから天候にも大きく左右されるので、時として閑を持て余すことが有りそんな時に昔を思い出す。 思い出してみると、私は昔から結構移動運用をやっていた。
 
高校生の頃(37年以上前、1960年代後半)にはクラブ活動の仲間と東京近郊の山にハイキングがてら50MHzで運用したり、二十歳頃にはPANA6と八木(3か4エレ?)を車に積んで毎週末(この頃は土曜日はまだお休みではなかった)に関東近郊の峠などに出かけていた。
この頃に使った電波形式はA3(AM)だった。 当時タイアベースという物は無かったと思うが、どうやって八木アンテナを上げたのか思い出せない。
10月に日光の山の中で思いもかけない降雪になり慌てた。 那須近くの雪の山で日が暮れるまで車の中で寝入ってしまい、帰ろうとしたら道がチェーンで閉ざされていたので焦ったが、近くにあった建設資材をチェーンの高さまで積み上げて橋を造り、車を渡して難を逃れた。
重いトランシーバー(ヤエス FT-50 だったか)を背負ってスキー目的でなくスキー場のロッジに泊まり、雪の上に21MHzの自作バーチカルを突き立て運用したりもした。
近隣の市の住宅や学校にお邪魔して FT101S(10W)とロングワイアーで 1.9MHz の移動運用もした、磐梯山の駐車場の展望台からワイアーを引いた時にはその下の道を通るダンプカーの屋根にスレスレだった。 このロングワイアーのローディングにフェライトバーアンテナのコアを使った為に損失で発熱し飛びが悪かった。 

終わりに(近年活況のトップバンド)
ここに紹介した私の作ったアンテナではこれ以上のDXに限界を感じており、手っ取り早く効果的な方法としては海岸に出ることが最も良いことだと思いますが、自宅から海岸まで頻繁に出かける事が出来ませんので、替りにコンパクト逆ブイアンテナを2素子使ったビームアンテナや新たなアンテナに思いを巡らしており、実現した際にはご紹介させて頂ければと考えております。
国内に 1.8MHz が開放されてスプリット周波数ではないオンフレケンシでの DX QSO が可能になってから初めての太陽黒点最少期になりつつある近年ではトップバンドが活況を呈しております。
一例としてKCJが開催する「KCJトップバンドコンテスト」の入賞局得点の年毎の推移をグラフにしたものを御覧頂くとその活況ぶりが一目瞭然と思います。  グラフ
移動運用トップバンドDXはスリリングであり、体力が必要な面や知的な活動の面もあり、皆様もこの機をとらえてトップバンドを楽しまれてはいかがでしょうか。 その時にここでご紹介した内容が助けになれば幸いです。
各人で工夫したアンテナにより移動運用トップバンドDXに参戦される方をお待ちしております。 その時に日本中のトップバンドDX サーがあなたのオペレーションを聞いております。 下手なオペレーションをしていると、昨シーズンの私にそうであった様に、ヤジ(励まし)が飛んできます。 移動運用では安全に対して十分に注意して下さい。
最後に、私はトップバンドDX の初心者であり、間違えたことも書いているかも知れませんのでご指摘やご指導を頂ければ幸いです。
 
冬の夜、移動運用トップバンドDXに出かけて澄んだ空を見上げると輝く北斗七星が見守っていてくれます。
『微弱GVY、負けるな北斗七星これに在り』。

 
2005年2月 埼玉県草加市 森岡 進 JH1GVY
  
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