
はじめに
写真1:
Inverted 6MLA48R2AL建設状況(エレメントが見えにくいので加筆した)
MLAとの出会い
開発の目標
開発したMLAの構造
図1:
6MLA54R2AL外観図 ( Inverted 6MLA48R2ALの場合には同調部が給電部に一体化されて図に示す同調部は無くなり、そこは
写真1に見るようにエレメントが通過するだけです)![]() 写真2:同調部(上空20mのバリコンBOX、糸コン) |
![]() 写真3:バリコンBOX内の様子 ローテータ軸に直接半田付けしている。 バリコン耐圧不足を補うと同時に周波数可変幅を抑えて微妙な周波数調節を可能にする為に3kV小型円盤セラミックコンデンサを使う。 |
![]() |
図2:6MLA54R2AL型の接続図 VCは1kV耐圧品、VCのローテータ軸に直接半田付けする C1、C2は小型円盤セラミックコンデンサの場合と同軸ケーブルで作る場合ではそれぞれ下表のようになります。
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図3:Inverted 6MLA48R2AL型の接続図C1=C2=C3=60pF、10pF/3kV セラミックコンデンサ 6ヶ並列 VCは1kV耐圧品、VCのローテータ軸に直接半田付けする 高周波の高圧電力固定コンデンサは微妙な容量を欲すると極めて入手が困難ですし、入手可能な幾つかの容量の物で希望の容量を合成すると、単価が高い だけに大きな出費になります。 発泡ポリエチレン絶縁の低損失同軸ケーブルでコンデンサを形成して使ってみましたが、かさばったことと、重量が増えました ので、最終的には小型で耐圧の高いコンデンサを多数並列に接続して電流容量を確保しつつなるべく安価に済ませました。 |
![]() 写真4:糸コンの糸(垂直の二本)と、竿に巻いてあるガイド |
バリコンの調節は、モータードライブの遠隔操作方式にすると重量が増え
ることと構造が複雑になること、JH1GVYがそういう物の製作を得意としていなかったことから手動としました。 地上20m高のバリコン
の軸にツマミの代わりのプラスチックのレバーを取り付けてその両端に糸を結び(写真2)、その二本の糸を地上から引っぱって周波数調節をおこなうやり方
で、名付けて
“糸コン”です。 糸コンの糸は20mもの長さになりますので、絡んだり引っかかったりしない様に、ポールの途中に糸で輪っかに作ったガイド(写真4)を
幾つか設けてそこに通しています。 |
![]() 写真5:給電部の様子(地上高2m、マッチングコイルとバラン) |
![]() 写真6:圧着スリーブと半田付けを併用した直径1mmのアルミ針金12本によるエレメントの接続の様子 |
開発したMLAの性能| コールサイン数 |
84 |
| エンティティー数 | 17 |
| アメリカ本土の州の数 | 14 |
| ARRL 160m CW 順位 | 5/5 |
| CQ WW 160m CW 順位 | ? |
![]() 図4:6MLA54R2ALの放射パターン(MMANA)
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![]() 図5:Inverted 6MLA48R2ALの放射パターン
(MMANA)
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![]() 図6:6MLA54R2ALの放射パターン(NEC-2 for MMANA) |
![]() 図7:Inverted 6MLA48R2ALの放射パターン(NEC-2 for MMANA) |
![]() 図8:頂角20m、端点4m、直径2mmアルミ針金の逆ブイ型アンテナの放射パターン(NEC-2 for MMANA)アンテナを含む面内での垂直偏波成分を描いてあります |
![]() 図9:頂角20m、端点4m、直径2mmアルミ針金の逆ブイ型アンテナの放射パターン(NEC-2 for MMANA)アンテナ線展開方向に直角の水平偏波成分を描いてあります |
| 型 式 (自称) |
: 6MLA54R2AL | : Inverted 6MLA48R2AL |
| 周波数可変幅 |
:1810−1915kHz | :同左 |
| 同調点SWR |
:1.1以下 | :同左 |
| 帯域幅 |
:約10kHz (SWRが2以下) | :同左 |
| 放射抵抗(推測値) | :約2.0オーム | :約3.7オーム |
| 損失抵抗(推測値) | :約1.4オーム | :約4.0オーム |
| 放射効率(推測値) | :59%(2.3dBの損失)前後 | :48%(3.2dBの損失)前後 |
| 給電方法と地上高 | :インダクタンス挿入法(図2参照)、 2m高 | :容量分割法(図3参照)、4m高 |
| 許容電力 |
:CW 50W(連続使用不可、使用する 同調コンデンサの特性による) | :同左 |
| ループ総延長 |
:54m (約 0.33波長) | :48m (約 0.29波長) |
| ループ外観形状 |
:一辺9mの正六角形、最大外形18m (対角) | :一辺8mの正六角形、最大外形16m (対角) |
| エレメント径と材質 |
:直径1mmアルミ針金12本並列 (直 径4mmアルミ単線相当) | :直径2.5mmアルミ針金2本並列 (直径4mmアルミ単線相当) |
| 重 量 |
:1500g(エレメント約1350g、
同調部約150g) |
:1300g(エレメントのみ) |
| 地上高 |
:最高点20m、最低点2m | :最高点20m、最低点4m |
| 同調容量地上高 | :20m | :4m |
| エレメント支持方法 |
:12m長ジュラルミン製伸縮ポールに 10m長(8mだけ使う)グラスファイバー伸縮竿をつないだ全長20mのポール | :同左 |
| エレメント展開方法 |
:水糸によりエレメントの四つの角を引っ 張る | :同左 |
| 周波数可変方法 | :バリコンを地上から二本の糸で手動操作 (糸コン) | :バリコンの軸に取り付けたレバーを棒の 先で叩いて調整 |
開発結果
いかにしてMLAを設計するか(放射効率の三要素:パラメータ設定)| 形
状 |
単
位長で囲める面積 m^2 |
放 射抵抗 % |
| 円 形 | 7.96E−2 | 基準(100) |
| 正八角形 | 7.54E−2 | 89.7 |
| 正六角形 | 7.22E−2 | 82.3 |
| 正方形 |
6.25E−2 |
61.7 |
| 利得の差dB | 0 | 0.5 | 1.0 |
1.6 | 2.2 | 3.0 | 4.0 | 5.2 | 7.0 | 10 | 13 |
| 放射効率% | 100 | 90 | 80 | 70 | 60 | 50 | 40 | 30 | 20 | 10 | 5 |
| 項 目 |
銅 | ア ルミ |
| 比 重 | 8. 95 | 2. 7 |
| 導電率 (S/m) | 58E6 | 40E6 |
| 表皮深さ (μm) @1.825 MHz | 48.9 |
58.9 |
| 表皮深さ (μm) @ 7 MHz | 25.0 |
30.0 |
MLAの秘密?![]() 図10:MLAの等価回路 |
ご存知のとうり半波長ダイポールの放射抵抗は約75オーム
ですからアンテナエレメントの高周波表皮抵抗が例えば19オーム(現実にはこんなに高い抵抗値はありえない)有ったとしても放射効率は約80%(=損失約
1dB)です。 一方、MLAの放射抵抗は波長に対するループの大きさによりますが一般にあるものでは数ミリから数百ミリ・オームしか有りません。 放射
効率80%を実現する為にはアンテナエレメントの高周波表皮抵抗は放射抵抗の四分の一しか許容されませんのでMLAでは極めて厳しい値であります。 しか
しまた、それを知って対応した設計をすれば不可能ということでもありません。 従ってMLAは半波長ダイポールと同等の性能が得られるとして何の不思議も
ないのです。 それ以外にも、MLAがエレメントを丸く畳んでいることによる視覚上の小型さがその高性能さを疑わせる一因であったかも知れません。 丸く畳んだエレメン トを直線に引き伸ばすと結構な長さになり、高い放射効率が得られる周波数では半波長からそれ程にも極端には短縮されてはいないのではないでしょうか。 例 えばAMA2という直径1.7mのMLAは14MHzでの効率は95%とありますが、エレメントの総延長は単純計算すると5.34mであり、短縮率50% 程度です。 |
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説明したようにQ
が高いと損失が少なく、Qが低いと損失が多いということではありません。 しかし、現実にはループのRloss=0ということはなく、小型化し過ぎると
Rrが極端に小さくなる為
にエレメント導体の損失抵抗や接続抵抗の割合
が増してかえってQが低下します。 この場合のQの低下は損失が多くて放射効率が低下したことを意味し、設計値よりもQが低くて広帯域の場合には何か予想
外の損失が発生してい
ると見るべきでしょう。 短縮したアンテナ全般に同じと思えますが、小型なのに帯域幅が広いアンテナは放射効率が低いことが多いので要注意です。 最も小
型で最も広
帯域のアンテナはダミーロード・アンテナであり、ほとんど電波は出ません。 説明したようにMLAのQと放射効率(アンテナの内部損失)の関係は一概に、比例とか反比例とかの関係にないことになり、Qから単純にアンテナの良し悪し を判断することはできないのです。 |
アンテナ解析ソフトウエア
放射抵抗と損失抵抗
他のアンテナとの類似性![]() ![]() 図12:ハロー・アンテナとスケアロー・アンテナ |
移 動運用トップバンドDX向けMLAの開発を終えてから、他のアンテナも色々と勉強してみるとアンテナ間の類似性が見えてきました。 MLAの同調コンデン サ容量をゼロにすると最も高い周波数で動作をして、それはループ総延長が半波長になる周波数になり、ほぼ半波長のダイポールを丸く畳 んだ物に他ならないことを説明しましたが、この状態のアンテナは古くから知られているハロー(またはヘイロー:Halo)アンテナ(図12) というもので、放射特性 はMLAとほとんど同じです。 同じ様に、丸ではなく四角に畳んだ物はスケアロー・アンテナと呼ばれていて基本的に同じ物です。 |
これらのアンテナを含む面を水平にすると水平偏波で、多少崩れています
が、水平面無指向性に近い放射になります。 ハローアンテナのエレメント端間に容量を少し取り付けて同調周波数を少し下げたもの(少し小型化されている)
を更に発展させるとMLAになります。 また、逆ブイ型アンテナのエレメント両端を中
央ポール付近に引いて三角形の底辺の一部分が切断された様な形状のアンテナを作って『コンパクト逆ブイ』(図13)と命
名しましたがこれは三角形のハローアンテナを垂直設置したに過ぎませんでした。 このアンテナの周波数を1.9MHzから1.8MHzに切り替える方法と
して両エレメント端に2mのワイアを垂らしましたが、これはMLAの同調容量と考えることもできます。 |
| 図13:コンパクト逆ブイ型アンテナ |
![]() 図14:エレメント両端を下げて大地に限りなく近づけた変形・逆ブイ型
アンテナの放射特性(MMANA)
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![]() 図15:JA1BWAのトップバンドのロングワイア・アンテナの放射特
性(MMANA)
|
| アンテナ |
MMANA |
NEC
−2 For MMANA |
差
分 |
| 6MLA54R2AL |
0.57 (図 4) |
−1.20 (図 6) | 約1.8 |
| Inverted 6MLA48R2AL | 0.33 (図 5) | −1.68 (図 7) | 約2.0 |
| Inv−Vee, アルミφ2mm wire end H=4m |
1.27 (図なし) |
−1.95 (図 8) | 約3.2 |
| Inv−Vee変形, アルミφ2mm wire end L=4.3m/H=0.1m |
2.63 (図14) | −2.64 (図 16) | 約5.3 |
| JA1BWAのトップバンドのロングワイア | 2.05 (図15) | * |
− |

夢のアンテナ
最後に