ここでは周波数を固定して考えている。
・輻射効率 ・輻射効率はアンテナの最終的な利得の一部分であり、理想的(無損失)で本来得られる利得からそれを下げる要素になる。
・輻射効率η= 輻射抵抗Rr /(損失抵抗Rloss +輻射抵抗Rr )
η= Rr / (Rloss + Rr)
= 1 /[ (Rloss / Rr) + 1 ]
勿論、これらの抵抗は使用する周波における値である。
・式から、輻射効率を上げる為には
上の式の中の (Rloss / Rr) を小さくすれば良い。
つまり、『輻射抵抗に対する損失抵抗の比率をいかに下げるか』を考えれば良い。
仮に損失抵抗Rloss がエレメント損失抵抗Re のみとして、
Rloss = Reループの直径D、エレメント断面の外周長さCとすると、
下記の損失抵抗の考察から、
Re ∝ D /( C√σ)下記の輻射抵抗の考察から、
Rr ∝ D^4だから
(Rloss / Rr) ∝ [ D /( C√σ)] / D^4(Rloss / Rr) ∝ 1/ { ( D^3 ) x C√σ }
つまり、輻射効率の3要素は、
1、ループの直径Dを大きくする事が大変効果的である。
2、次にエレメント断面の外周長さ(太さ)C、を大きくすると効果的である。
3、導電率σは平方根でしか効かない。これを、JH1GVY は 『MLA輻射効率の3要素』と名付けた。
(MLAの輻射効率について3つの式を提示している説明をみかける。 つまり輻射抵抗Rr と損失抵抗Rloss の夫々の計算式を提示して、その結果を第三の式 『輻射効率 = 輻射抵抗Rr /(損失抵抗Rloss +輻射抵抗Rr )』 に当てはめる、と言う説明。 しかしこの様な説明では最終目標である効率を考えるのにかなり遠回りだ。)
・輻射抵抗 ・輻射抵抗は架空の物であり、
輻射抵抗 = 輻射された電力/(給電点電流の2乗)で定義される。
仮に損失抵抗が無ければ、
輻射抵抗 = 入力された電力/(給電点電流の2乗)となって、ごく当たり前のオームの法則である。
・輻射抵抗はループ外形寸法の四乗に比例する。
例えば、アンテナ・シミュ−レーション・ソフト MMANA 等でループアンテナを定義して、エレメントに『無損失』を選択して自由空間で計算させると、計算結果のアンテナ入力インピーダンスの抵抗分が輻射抵抗に相当すると思われる。
アンテナの寸法を変えて輻射抵抗を計算してみると判るが、輻射抵抗Rrはループ外形寸法(直径)Dの四乗に比例する。 (ループの囲む面積Sの二乗)
Rr ∝ D^4 (Rr ∝S^2)
微小ループアンテナの輻射抵抗の一般式
Rr=320 { (π/λ)^4 } (NS)^2
ここで、N:巻数
・損失抵抗 損失抵抗 = エレメント抵抗 + 接続抵抗 + バリコンの損失抵抗 + 給電回路やマッチング回路の損失 1. エレメント損失抵抗
・エレメント損失抵抗Reが損失抵抗の大半を占めるのが普通だ。
他のアンテナに比べて輻射抵抗が極端に低いので輻射効率を上げる為にはエレメント損失抵抗も極端に低くする必要が有って、一般的には導電率を考慮 して素材は銅を使い、重量と表皮効果を考慮してパイプ形状が使われるが、それでもLowバンド用において輻射効率を追及すると重量は一桁のkgでは収まら ない。
その損失抵抗は、高周波電流の表皮効果によりエレメントの表面に電流が集中して表面から深くなればなる程電流が減少してしまう事、つまり太い導線 の断面積の大半でほとんど電流が流れずに実効的な導体は表皮部分だけになってしまい、その結果で抵抗値が上昇してしまう事により生じている。
エレメント上の電流分布が一様だとして、エレメント損失抵抗Re ∝ [ エレメント長さL / (エレメント実効断面積Se x エレメント導電率σ)]
エレメント実効断面積Se ∝ (表皮深さd x エレメント断面の外周長さC)
表皮深さd ∝ 1 / √σ
エレメント長さL ∝ D
だから
Re ∝ L /( C√σ) ∝ D /( C√σ)・上式からエレメント損失抵抗Reを下げるには、
1、エレメントの太さ(外周長さC)を大きくすると効果的だが、重量はその二乗で大きくなってしまい限界が出てくる。
重量M ∝ C^2 x L
2、導電率σの高い導体を使うと効果が有るが、超伝導でも使わなければ、一般に使える金属ではそう大きな差は無いしその平方根でしか効かないので導電率は効きがよくない。
3、エレメント長さL(ループの直径D)を長くすると比例して損失抵抗が増えてしまうが輻射抵抗はその四乗に比例して大きくなるので輻射効率的には問題無い。
一方、エレメント重量はエレメント長さに比例するのみで済む。
微小ループアンテナ損失抵抗の一般式
Re=[NL1√(πfμ)]/C√σ (又は波長で現せばRe=[NL1√(πμV/λ)]/C√σ)
ここで
N:ループ巻数
L1:ループの一巻周長 [m]
C:エレメント断面の周長 [m]
f :周波数 [Hz]
λ:波長 [m]
μ:エレメント透磁率 非磁性体 ≒ 4πE-7 [H/m]
σ:エレメント導電率、 銅:58E6 [S/m] 、アルミ:40E6 [S/m]
V:光速 3E8 [m/s]
2. 接続損失抵抗
・接続損失抵抗は一般的な輻射ループと給電ループで構成するタイプでは、バリコンとエレメントとの接続での抵抗がこれに当る。
・又、バリコンが一般的な摺動接点を持つ物ではその接触抵抗も接続抵抗になり注意が必要だ。
スプリットステータやバタフライの構造のバリコンでは摺動接点を持たないので安心して使える。
例えばドイツのAMAのアンテナではこのバリコンを使用したタイプが選べる。
3. その他の損失抵抗
・バリコンの損失抵抗 tanδ( = 1/Q )
・給電回路やマッチング回路の損失
表皮効果 損失の低減と軽量化 JH1GVY Home Top へ アンテナ特集TOPへ戻る (C) 2004年8月16日 JH1GVY