
「雑録 顔面痙攣」では、患者の視点で収集した情報をご紹介しています。記述には慎重を期したつもりですが、私は医師・薬剤師ではありません。「参考情報のひとつ」としてご利用いただき、ご自身の責任で専門家にご相談くださるよう、お願いいたします。 |
インターネット上で大変よく見かける質問です。他の項目と重複もありますが、
こちらに まとめてみました。
私は医師でありませんので「診断」はできませんが、片側顔面痙攣の自覚症状を紹介します。ご参照のうえ、ご自身の症状をメモしておかれると、受診の際に役立つと思います。痙攣しているときにビデオで撮っておくのも一案かもしれません。
全国に3500人とか、人口10万人あたり20〜30人(単純計算で国内に2〜3万人?)とか聞いていますが、これらの数字に1桁の隔たりがあり、統計方法(年間初診件数、治療中の患者数、推計総患者数など)の情報が抜け落ちた数字が独り歩きしている感もあります。米国の患者グループのサイトでは「人口10万人当たり年間0.8例ほどが発生、患者数は人口10万人当たり男性8人女性15人」とされていますが、こちらも出典を辿れませんでした。患者にとって具体的数字は大きな意味を持たないと思いますが、次の二点は言えるのではないでしょうか。
「自分と同じような症状に悩んでいる患者さんは少なくない」
「どの病院でも同レベルの診断治療が可能なほど症例数は多くない」
ひと口に「チック」と言っても様々な異なった病態があるそうですが、片側顔面痙攣とは別の病気とされています。しかし、目のまわりの痙攣などの不随意運動が、十把一からげにチックと呼ばれることもあるようで、複数の片側顔面痙攣の患者さんから、初診医にチックと診断されて遠回りした経験談を伺っています。片側顔面痙攣によるピクピクは努力しても止められませんが、チックでは意識的に抑えることが可能な場合が多いそうで、筋電図検査でも違いがあるそうです (目崎高広、ボツリヌス治療Q&A集)。
眼瞼痙攣(がんけんけいれん blepharospasm)も瞼が意志に反して(=不随意に)動いてしまう病気で、口の周辺の不随意運動(oromandiblar dystonia)を伴う場合には Meige(メイジュ または メージ)症候群と呼ばれます。残念ながら、原因は特定されていません。眼瞼痙攣(Meige症候群)では左右両側に症状が現れるのが通例だそうで、この点は片側顔面痙攣と対照的ですし、専門医が診察・検査すれば、ほぼ区別できるそうです。しかし、片側顔面痙攣における「瞼の痙攣」が「眼瞼痙攣」と呼ばれることも多く、混乱しがちのようです。
顔面痙攣または顔面麻痺で顔にひきつりが見られると「顔面神経痛」と呼ばれることも多いようですが、三叉(さんさ)神経痛と混同された俗称です。
顔面痙攣と顔面麻痺を混同してしまう患者さんもいらっしゃるようです。瞼や頬などがピクピクする症状は「痙攣」という語感にピッタリきますが、症状が強まって瞼や口元が「思うように動かせない」ことがあると「麻痺」と誤解しがちかもしれません。ですが、医学用語としての「痙攣(攣縮)」は、筋肉が意志に反して(=不随意に)収縮することを指し、筋肉が弛緩して思うように動かせない「麻痺」とは異なります。顔面麻痺の具体的な症状は、「まばたきができない」「瞼が閉じない」「口に含んだ水が漏れる」などで、顔面痙攣の自覚症状とは相当の違いがあります。(痙攣と麻痺の両方が存在するケースも稀にあるそうです)
顔面麻痺の原因は多岐にわたりますが、突然の麻痺(難聴・耳鳴り)は発症後数日の治療機会を逸すると予後が悪い場合があるそうですから、顔面神経障害に通じた神経内科・耳鼻咽喉科に駆け込むのが賢明のようです。なお、顔面痙攣の手術合併症として顔面麻痺を生じることもあるそうです。
片側顔面痙攣の大部分は「脳幹の血管による顔面神経の圧迫」が原因で、余計な信号が筋肉に伝わってしまうのだそうです。(神経が圧迫されると痙攣が生じる仕組みは未だ解明しきれていないようです)種々の検査で脳腫瘍などが原因(症候性)でないかを調べ、何も見つからない場合(特発性)に血管圧迫を疑うようですが、近年のMRIの進歩で血管圧迫の描出精度は高まりつつあるようです。米国の手術統計 (J. Neurosurgery, 1995, 82, 201) によると、原因血管の頻度は後下小脳動脈、前下小脳動脈、椎骨動脈の順で、静脈や無名の小動脈などのケースも報告されています。
余談ですが、脳幹部の神経血管圧迫を原因とする病態は顔面痙攣だけでなく、三叉(さんさ)神経が上小脳動脈などに圧迫されると三叉神経痛が起きます。Meniele(メニエール)病と診断されることもある眩暈や耳鳴の原因が内耳神経の圧迫である場合、舌咽・迷走神経の圧迫による舌咽神経痛など、副神経などの圧迫による痙性斜頚も知られています。
動脈硬化性の血管蛇行が原因とも言われますが、私自身は毎年の健康診断で動脈硬化の疑いを指摘されたことはありません。患者さんからの又聞きですが、「たまたま血管がそこにあっただけ」との専門医のご意見もあります。血管走行の個人差はかなりあるようで、そのことを「苦悩の種」にする必要はないと私自身は感じています(血管走行に関するエピソードを本編「入院初日」に書きました)。
いくつかの選択肢がありますので、専門医にご相談の上、納得した治療を受けてください。
主に脳神経外科と神経内科(病院によっては耳鼻咽喉科、麻酔科)が対象としています。脳外科と言うとショッキングな印象を受けがちですが、神経に関係する病気を広く扱う外科が脳神経外科だそうです。同じ神経科という名前でも、精神神経科(精神科)は顔面痙攣症そのものの治療は扱いません。目の廻りの自覚症状から眼科を訪ねて原因不明のまま遠回りされたケースも聞きますが、一部の眼科では眼瞼痙攣を治療対象としているようです。
一患者には自分が治療を受けた施設のことしかわかりませんので、市販の実用書を紹介するとともに、病院の情報でウェブ情報の収集をお手伝いしています。
自覚症状や疑問点を医師に伝えるために、書籍や新聞記事、インターネット情報などを持込むのも「ひとつの手段」かもしれません。医師に嫌われたくないと臆するのも自然な患者感情ですが、口頭での説明が曖昧になったり、遠慮したために不信感を残すのでは本末転倒のような気がします。もちろんコミュニケーションの礼節を守り、聞く耳を持つべきでしょう。思い込みで食い下がっても、医師との信頼関係を損なうだけになりかねません。(私見です)
診断または手術のために様々な検査がありますが、主治医の先生によって違い(実施しない/他の検査がある)もあるようです。私の経験談などをご紹介しますので、表から項目をクリックしてみてください。
| 聴力検査など | 顔面神経と内耳神経が近い(苦痛なし) |
| 平衡機能検査など | 顔面神経と内耳神経が近い(苦痛??) |
| 聴覚脳幹(誘発)電位 | 別称:聴性・・・(苦痛なし) |
| (表面)筋電図 | 顔面の筋肉の痙攣を診ます(苦痛なし) |
| 単純CT | X線造影剤を使いません(苦痛なし) |
| 増強CT | X線造影剤を使います(ほぼ苦痛なし) |
| MRI | 重要(閉所恐怖症でなければ苦痛なし) |
| MRA | MRIの一種(MRIと同時検査) |
| X線血管造影 | 通称:アンギオ、アンジオ(苦痛あり) |
| 採血いろいろ | 手術用に自己血保存する場合は献血並に採るようですが、私は検査採血だけでした |
| 心電図検査 | 手術との関連です(苦痛なし) |
| 呼吸機能検査 | 手術との関連です(苦痛なし) |
顕微鏡下で行われる開頭手術で、術式の詳細は施設・医師によっても異なるようですが、熟達した医師が施術すれば9割以上が治癒すると言われています。私が主治医から受けた説明を本編に記載していますが、合わせて他の医師によるウェブ情報も紹介します。
この手術に固有のリスクで最も問題となるのは聴力障害の恐れのようです。私が医師から受けた説明、私が手術後の一時期に感じた僅かな違和感を本編に記載していますが、合わせて他の医師によるウェブ情報も紹介します。たとえ何千何万例に1回の僅かなリスクだとしても、それに当たった当事者にとっては1/1ですから、「手術を受けなければリスクを負わなくて済む」という躊躇は誰にもあると思います。私自身、手術を決めた後ですら、その思いは残っていましたが、「1億人の日本人で交通事故死が毎年1万人、50年の間に当事者になる確率は2百分の1もあるのに、平気で道を歩き、車を運転してるじゃないか」と自分に言い聞かせました。
ご家族から見れば僅かな表情の変化だけで、身体は元気だし、医師から「放っておいても命に関わらない」と聞けば、なにも開頭手術を受けることはないと思われることもありましょう。でも、片目が見づらい不便さ、ひきつりの不快、他人の視線の鬱陶しさ、自然治癒が期待できない絶望は、本人にしか感じられない辛さかもしれません。他人の私が口を出す問題ではありませんが、ご本人が手術を希望されるなら、ご家族には応援していただけたらと思います。(私見です)
耳の後ろを5〜10cm切って、頭蓋骨に小さな穴を開けます。
頭の手術ですから剃りますが、範囲は執刀の先生によって差があるかもしれません。特に女性はご心配と思いますが、長めの髪型にしていれば手術直後でもほとんど隠せるそうです。術後1週間くらいは洗髪できないので、男性には可能なら丸坊主をお薦めしたいです。
手術は全身麻酔ですから、術中は何も感じませんし、記憶も残りません。
かなり個人差が大きいようですが、私のケース や 他の患者さんの闘病記が参考になるかもしれません。私もビクビクしていたので人のことは言えませんが、ずっと続くわけではないので、あまり神経質にならないほうが良いと思います。
手術の刺激によって顔面神経に麻痺(多くは一過性)を生じることがあるそうです。私は短期間の痺れを感じただけで済みましたが、術後麻痺の消失に数カ月以上を要するケースや、麻痺からの回復過程で病的共同運動という後遺症が生じることもあるようです。病的共同運動とは、口を動かすと瞼が動いてしまうとか、物を噛むと唾液とともに涙が出る(ワニの涙症候群)とか、本来は無関係な動きが連動する病態で、神経の混線のような状況によって起きるとされています。麻痺のリハビリとして行われる顔面体操や顔面マッサージは、病的共同運動を誘発しやすいという説もあり、賛否両論のようです。
蛇足ですが、「ワニの涙」の語源は病的共同運動とは無関係で、もともとは海水の塩分を体外に排出する仕組み(産卵中のウミガメが涙を流すのと同様)が「ワニは涙を流して獲物を欺く」という俗信につながり、転じて「嘘泣き・そら涙」を "crocodile tear" (ワニの涙) と表現するそうです。
私の場合、髪の生えないところが一筋ありますが、ケロイド状の跡や縫い目は全く残っていません。見えても醜いほどの傷跡ではなく、平気で刈り上げてます (写真 左)。少し伸びれば髪に隠れてしまいます (写真 右)。写真の読込みが中断されていた場合は、枠内をクリックしてみてください。
「術前の検査を外来で済ませているかどうか」「術後の回復の個人差」「救急優先などの病院側の事情」等によって相当の差がありますが、術前に数日〜1週間、術後に1〜2週間くらいの方が多いようです。私は術前6日、術後9日、計16日でした。
健康保険の状況(国民保険、社会保険、本人、家族)や病室の選択などによって異なりますが、 私のケース (社会保険本人、4人部屋、入院16日)を紹介します。
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Modified on Dec 24, 2004
Thaz6