双眼狂闘病記   月刊「星ナビ」に掲載

2001年10月号P143 第3回 「選択編」

 この手の記事を書いていると初心者からどのような双眼鏡がお勧めですか?といった質問が来てし
まうらしいので、私なりの「初めて購入する双眼鏡の選択法」を独断と偏見たっぷりに書きます。まず
様々な会社のカタログを集めましょう。続いて以下順番通りに双眼鏡の機種を削除していきます。

(1)ズーム双眼鏡は見捨てる
  いろいろな双眼鏡を覗いてきましたが、良心的に作られた普通の双眼鏡を超える見え味のズーム
  双眼鏡を見た事がありません。たいてい見掛視界が狭く快適な観望は望めません。

(2)実視界7.5度未満を見捨てる
  狭い視界では目的物を入れるのに苦労します。地上の景色と違い夜空ではどこを見ているのか初
  心者には判りにくいものです。

 どうでしょうか。この2点だけでカタログの半分以上の機種は消えてしまいますね。メーカーによっては
9割以上消えたかな?続いてもっと消していきます。

(3)口径30mm未満を見捨てる
  星ナビは天文誌なので夜に星を見る事がメインでしょう。星雲・星団を見るにはせめて30mm以上
  の口径は欲しいですね。(昼間専用なら20mmでもOKです)

(4)重量1kg以上は見捨てる
  これは単純です。手で持って見るのに1kg以上では重過ぎます。(個人差があるので女性や腕力の
  無い男性は800g以下が望ましいし、腕力に自信のある人は1.5kg位までなら耐えられるでしょうか?)

(5)IFタイプを見捨てる
  ピント合わせを片目ずつ行なうのは面倒です。他人に貸さず星しか見ないならIFでもOKですが、せっ
  かくの双眼鏡ですからいろいろな用途に使いたいですよね、そうなるとCFを選択すべきです。

 さあ残っている物がスペック上でのお勧めです。「ちょっと待って、倍率はどうしたの?」という声が聞こえ
てきそうです。はい、大丈夫です。上の条件を満たせばどんな倍率でもOKです。(現実には高倍率の双眼
鏡では満たす事は不可能です。)カタログだけでここまで絞る事が出来ます。定評のあるニコンでも45機
種中残ったのはたった4機種でした。おそらく他社でも一桁の機種でしょう。ゼロになってしまったメーカー
があるかも知れません。
 これ位まで減れば選択するのは簡単でしょう。後はデザインの好みと財布の厚みです。残った機種の中
で、第1希望から第3希望まで決めてから販売店に行き、実際に覗くだけです。見比べて希望順位に変更
が無ければ第1希望を購入しましょう。最初に購入する双眼鏡でこれだけ選択出来れば充分だと思います。
この選択方法なら星見だけでなく、バードウォッチングから競馬観戦までほぼ万能の双眼鏡を選ぶ事がで
きます。
 当然これと違った選択肢もある訳ですが、上記の方法はこちらを取ればあちらが立たずといった具合で追
い込むように選んでいますので条件が緩めば選択肢は増えていきます。例えば実視界を7.0度まで緩め
れば数機種浮上してきます。また手持ちの条件を三脚に固定使用の前提にすれば重さや実視界等の条件
が無くなりますが、あまりにたくさんの機種になると初心者に選択は困難でしょう。
 私が最近最も多く使用する双眼鏡のスペックは7倍42mmで実視界8.6度、重さ800gでCFです。また
最も長く愛用していた物は8倍30mm実視界8.5度で重さが500g台CFでした。多分大多数のベテランの
方も最も稼働率の高い双眼鏡はほぼ私と同様のスペックに落ち着くでしょう。まあベテランなら視界も6度
以上あればOKでしょうから、より目的に応じて選択肢は増えます。知識と経験が豊富なら自分で選択する
事ができますよね?
 なお2台目以降として購入する場合は上記項目を無視して1台目で満足できない部分や重視したい部分
にこだわって選択すれば良いのです。この選択方法は初心者が初めて双眼鏡を選ぶ場合のガイドですから、
これ以外の双眼鏡が天文用として良くないというわけではありません。
 初心者の方は私の選択法を守れば、1台目の双眼鏡としてはまず後悔の無い双眼鏡を選択できると断言
します。

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