更新:2001.7.23

工房道中記


 木工制作は、サラリーマン卒業の記念に卓上糸のこ盤を貰ったことから始まりました。
「笑工房」を言い始めたのは最近ですが、糸鋸盤を主な道具としたいろいろな木工製品を作って楽しんでいます。
 作品の種類は気の向くままの雑多で、作り方も全くの自己流ですが、このページでその有り様を紹介し、ご批判を仰ぐと共に、木工細工に興味のある方に少しでも参考になればと書き始めました。
「笑工房」は、よく故郷にも出かけることがあるので、このページを道中記としました。
 思い付くままの内容となると思いますが、気が向きましたら読んでください。




1、今までにどんなものを作ったか?

 まず初めに、どんなものを今までに作ったかを紹介します。
別ページに作品例を紹介しておりますが、ここでは作り始めてからの作品を時系列的に列挙してみます。

 どの作品も、作りながら次を考えるといったもので、図面も手引書もありませんが、作った時を思い出しながら、次回からどのような方法で作ったかを紹介したいと思います。

2、どのような道具を使っているか? 

 私が最初に手にした道具は、本ページの冒頭にも紹介した、サラリーマン生活を卒業する際、同僚から記念品として貰った卓上糸のこ盤でした。
その後必要の都度買い足し、今では次のような物を使っています。
私は、故郷と自宅を往ったり来たりの生活をしていることから、定まった作業場は無く、もっぱら小型の道具は自動車のトランクに入れて持ち回っています状況です。
従って、少し重複しているものもあります。

 このような道具を持っていますが、制作が小物・細工物が主なため、電動糸鋸とトリマーをもっともよく使います。
穴明けは、小径の場合、手廻しドリルの方をよく使います。
材料は、カンナ掛けがなかなかうまく出来ないので、もっぱら表面仕上げ済みのものを使っています。ただ、面白い木目の材料があると、苦労をして電気カンナ→手カンナ→電動サンダー等で仕上げています。逆目に充分気を付けないと、材料をダメにしてしまいます。
仕上げは、パズラート(ジグソーパズル)等では色をつけることがありますが、オイルフィニッシュがほとんどです。

3.どのようなものからつくったか?(糸鋸編その1)

 今は難易度の少し高い木象嵌に凝っていますが、糸鋸でどのようなものから作り始めたか?を紹介します。

.まず、
卓上糸のこ盤(日立工機製)の取扱説明書を読みながら糸のこ刃や足踏みスイッチの取り付けを行い、手元に有った板材を線も描かず、クネクネと切ってみました。

 糸鋸作業に付いては、いろいろな参考書が市販されていますが、自分の性格からか、それらを読むのは後回しにし、とにかく切ってみたのです。

 作品らしいものとしては、厚さ15mmくらいの板の上に身近に有った野菜や木の葉を置き、その輪郭を板の上に描き写し、切り出した下左のような葉っぱの鍋敷きです。

  

 次に作ったのが、上右のような板材の節等を魚の模様に取り入れた鍋敷きです。
大きさはそれぞれ15cm前後です。
手始めに作るものとしては、糸のこ刃の厚く幅の大きいものが使え、模様を考えるのも楽しいこのようなものが無難のようです。
形を切り出したものに、バーナーで焼き模様を付けるとさらに面白いものができます。
この方法については別途紹介したいと思います。
鍋敷きは人気物の一つで、いろんな人に進呈しております。

 小物として、次のようなキーホルダーも作りました。
この場合、ケヤキ等木目のきれいな少し固い材料がよさそうです。
自分でも使っております。


 糸鋸作業の得意分野である、模様の切抜き加工もいろいろな作品に取入れております。
下の写真の左はコーヒーフィルタスタンド、右は手提げラックで、それぞれのアクセントに切抜き模様を取り入れたものです。

  

コーヒーフィルタスタンドの上部の形も糸鋸で加工しました。この加工は、ケース部分を組立て、底板を付けない状態で前後同時に行いました。
また、写真では判りませんが、手提げラックの把手の形状、把手と横柱を組合わせるホゾとホゾ穴も糸鋸で加工しました。
このコーヒーフィルタスタンドも手提げラックも私の得意作品で、それぞれ3、40個くらい作りました。

 このように、糸鋸は、私の木工作業に欠かせない道具になっています。

 参考書を見るようになったのは、かなり後になってからです。
「あの時上手くいかなかったのは、これが原因か・・・」、「あのやり方はやっぱり正しかったな・・・」等々、やってみた後で読む方が理解が早いようです。
参考に見た本としては・・・

等があります。木工一般としては

が参考になります。


4.どのようなものからつくったか?(糸鋸編その2)

 この章では、「お遊び木工」ページに載せている「置物」等の作り方を紹介します。
最初の制作したのは1999年の干支に因んで作った下の「うさぎ」でした。
左の写真が切り出した状態で、右が少しずらして変化をつけたものです。

  


これは、小黒三郎さんの組み木作品を参考にしたものです。
小黒さんは、雑誌『手づくり木工事典』に「糸ノコで遊ぶ」等を連載されている他にも、
『組み木の世界』『子どもの祭と動物たち』等多くの著書があります。

 このうさぎの置物に続いて、2月に因み、鬼の顔の壁掛け飾りを作りました。

  

 左が正面で右が斜横から見たものです。厚さ方向に、目と口の凹部を除き3層の板(鼻の頭がもっとも厚い)でなっておりおります。
 作り方は、各模様のパーツを糸鋸で切り出し、接着で組み立てました。
なお頭髪部分は、前髪部分を先に整形しておき、顔のベース板に貼った後、頭の上部を含め顔の輪郭を切り出しました。この方法だと頭上部の食い違いが防げます。
角はその後取り付けました。
目と口の部分は、先に切り抜き、その形状を薄い板にトーレースし埋め込みました。(まだ、重ね挽きの木象嵌方法の経験がなかったのでこの方法にしました。)
また、材料には素麺の空き箱を使いました。この板は柔らかく、板厚が約6mmと加工が容易で初心者のは好都合です。

 このような方法で制作した置物や壁掛けを、「お遊び木工」ページに紹介しております。

5.どのようなものからつくったか?(糸鋸編その3)

 この章では、ジグソーパズルについて紹介します。
ジグソーパズルは、糸鋸細工として制作の腕を磨くためにも役立ち、また作品をデザインすることも、出来上がったもので遊ぶのも楽しいものです。
「お遊び木工」ページにパズラートという名前で紹介しましておりますが、これは「パズル」と「アート」を合わせて私が名付けた造語です。
「アート」の単語を組み合わせたのは、制作したジグソーパズルが単に切り出しただけでなく、各ピースの厚さに差を付け、模様を立体的に見せ掛けたので、メール友達から「パズルだけでなくてアートと言うか、壁に飾ってもいい感じですね。」と言われ、チョット調子にのった次第です。
「お遊び木工」ページで紹介した下記のものはピースの厚さが5、6種類になっています。
遠景の空の部分が厚さがもっとも小さく、近景部分がもっとも厚くなっています。

ピースの厚さは、全ピースを糸鋸で切り出した後、各ピースを万力で固定し手鋸で厚みを調整しペーパーサンダーで仕上げるといったまったくの手作業です。
各ピースの色は、トールペインティングのアクリルペイントを使っています。ただし、そのままだと木に巧く塗れないので、自己流だと思いますが、塗るピースを水に浸し、軽く水分を拭き取った後塗ります。
 子供にも大人の方にも楽しんでいただけますが、あまりピースを多くすると、自分でも再現ができなくなりそうです。これを防ぐため、基図は残して置く必要があります。

6.どのようなものからつくったか?(図柄作り)

 チョット糸鋸作業に付いての話を中断して、この章では鍋敷き、置物、パズラート等を制作する最初に必要な図柄作りについて紹介します。

 自由な形に加工できる糸鋸細工では、まず作品の図柄を考えるのが楽しみであり、また苦労するところです。
私の場合、これまたその場そのばで思い付くままの方法をとっています。
そのいくつかを紹介しますと・・・

 このようにいろいろな方法を利用していますが、なんと言ってもデッサン力の必要性を痛感し、その乏しさに悩ませられている毎日です。

7.どのようなものからつくったか?(糸鋸編その4)

 この章では、糸鋸の傾斜挽きを利用したコースタ制作を紹介します。
 左の写真が、この方法で制作した、葉っぱの形のコースタです。
約1cmの厚さの板を使い、外形の周囲約0.5cm内側を、約0.5cm落としこみました。
大きさは長手方向が約13cmです。

 傾斜挽きは、次のような方法です。
  • 糸のこ盤の作業台を傾ける。
     傾ける角度は、使用する糸のこ刃の厚み、落としこむ深さによって変わります。
    詳しいことは、3章で紹介した『糸鋸木工芸入門』にも詳しく書かれていますが、作業前に自分で試してみることがまず必要です。
  • 落としこむ部分の輪郭を書き、それに接した位置に糸のこ刃を通す孔を明ける(作業台を傾けただけ孔も傾ける)。
  • 糸のこ刃を孔に通し、輪郭にそって回し挽きし、落としこむ部分を切り抜く。(左図のような挽き下げの場合は左回し挽きとする。)
    左図の中央が挽き終わった時の断面図です。
  • 挽き終わった外側と中側の部材を、左図の下の図のようにずらし、接着する。


8.どのようなものからつくったか?(糸鋸編その5)

 この章では、糸鋸の傾斜挽きを利用した木象嵌コースタ制作を紹介します。
傾斜挽きの要領は前記と同じです。

 左写真が、壷の模様を象嵌したコースタの完成品です。
大きさは、縦横約10cm、厚さ1cm、凹み部分の深さは約0.5cmです。
板材は、埋め込んだ壷模様の部分とコースタの縁部分がアガチス材で底のベース部がホウノキ材です。

以下に、制作手順を追ってみます。
 適当な木目の板材に、象嵌する模様を描く。
このコースタの場合、板厚5mmを凹み部分としました。
また、壷模様の高台部分を別木目にするため、同厚さの板を先に接着。この場合は、接着面を合わせるため、傾斜を付けない重ね挽きにしました。
 象嵌模様に入れる部材をベースになる板材に、両面接着テープを使って張り付けます。
ベースになる板も、象嵌する板と同じ5mmです。
 あまり目立たない位置に、糸鋸刃を通す孔をあける。
この場合、直径1.5mmのドリルを使いました。
孔径は小さい方がよいが、糸鋸刃が通ることが必要です。
この孔は象眼後、棒材で埋めます。
 重ね合わせた2枚の板を、最初に描いた模様の線に沿って、同時に傾斜挽きします。
傾斜角度は、象嵌する部材がベース材に、ちょうどは入り込むように、前もって試して決めます。
輪郭の薄い部材を入れる場合は、その分も考慮しておきます。
 上記方法で切抜いた状態です。
 象嵌部分とベースになる境界部分をハッキリさせるため、その部分に少し色の濃い部材(鉋で切り出した片)を、埋め込む部材の側面にに張り付けます。
今回の場合、底と右側面に張り付けました。
 壷模様の部材をベースに埋め込んだ状態。
ベース部分の縁に接着剤を付けておいた方が、余分の接着剤が挿入側にはみ出さず、作業が容易です。
 象嵌が終わったコースタの底になる部分とコースタの縁になる部分を重ね合わせ、同時に傾斜挽きします。
縁になる板には、厚さ10mmのものを使いましたので、傾斜角度は、先の象嵌の場合より小さくなります。
 くり抜いたベース部(底になる部分)を縁になる部材にはめ込んだ状態。
この場合、裏面を面一にしました。

 この状態のものに、周囲に飾り面取り(今回はU字形の面取り)をし、オイル仕上げをして完成です。


 木象嵌の面白さはまず、模様を考えることとその模様に適した木目の板を探すことにあります。
逆に、木目に合った模様を考えるのも楽しいことです。

 木象嵌は、小物からある程度大きいものまで楽しむことができますが、10cm角程度のものが手軽にでき、コースタのような作品に仕上げると、実用品としても楽しむことができます。
 いろいろな作品を制作して来ましたが、今のところこのような木象嵌にはまっています。
従いまして、この「どのようなものからつくったか?」シリーズは、この辺りで一服いたします。