取手市藤代町のクマゼミは温暖化とは無関係

 2012年の1、2月は寒く、久しぶりに霜柱で地面が持ち上がり、家の中の水道まで凍り、水の出が悪いことがあったほどだ。アメダス観測点の、つくば市、龍ヶ崎市で氷点下8度まで下がった日があった。この寒さで、取手市藤代町のクマゼミは大打撃を受けたのではないかと思い、8月15日に行ってみた。藤代までは牛久駅から電車で二駅約10分、電車を降りると、早くもクマゼミの声が聞こえてきた。駅の近くの神社で2個体のクマゼミが鳴いている。ミンミンゼミも3個体ぐらい鳴いていた。クマゼミの発生する藤代町庁舎までは駅から歩いて10分とかからない。正門から見て、右側が、競技場のような公園になっていて、入ってすぐの右側の数本のケヤキで、最も多くのクマゼミが鳴いている。そこから離れると単独で鳴いている個体ばかりになる。「茨城県自然博物館総合調査報告書2011 年茨城県の昆虫類およびその他の無脊椎動物の動向」によれは取手市の中学生の調査によると、2008年に8個、2009年に18個、2010 年に19個、そして2011年には77個の抜け殻を確認したとなっている。今年も散らばっている個体を集めれば30程度の雄はいるのではないかと思われた。

藤代町庁舎
藤代町庁舎
藤代町庁舎内の公園
藤代町庁舎内の公園

 牛久市の自宅の庭では今までクマゼミは羽化したことはない。勤め先近くで、毎年クマゼミを運んできて放している人がいる。今年も8月3日の朝から合唱が聞こえてきた。前日の2日までまったく声は聞こえなかったので、発生しているとは思えない。翌年羽化するセミの終齢幼虫は秋のうちに比較的浅いところへ移動してくる。クマゼミの終齢幼虫は耐寒性に問題があって、低温が長く続くと死んでしまう。牛久と藤代の間にクマゼミの分布の境界線があることになるが、電車で10分南下しただけで、温暖な地域が広がっているとはとても思えず、藤代町のクマゼミは、もともと耐寒性の優れた別系統のクマゼミと考えるべきだろう。城ヶ島や伊豆地方のクマゼミが暖地型とするならば、さしずめ温帯型と呼べるだろう。この温帯型クマゼミは同時に比較的短期間で個体数が増えやすい特徴も持っている。埼玉県蕨市市民公園のクマゼミや神奈川県茅ヶ崎市中央公園のクマゼミも温帯型ではないかと思う。特に茅ヶ崎中央公園のクマゼミは2001年に16個だった脱皮殻が2011年には3000個を超えている。温帯型の出所は四国の山間部ではないかと思う。愛媛県久万高原町ではエゾゼミとクマゼミが同じ山で鳴くという。温帯型クマゼミはまず、大阪に入った。そして、もともといたクマゼミと混ざったか、置き換わったかは定かではないが大発生し、その一部が関東地方にも達したというところだろう。大阪でのクマゼミ大発生にはいろいろな説がある。クマゼミの幼虫が乾燥した土壌に強いとか、クマゼミの好むケヤキなどを多く植えたせいだとか、クマゼミよりアブラゼミが野鳥に捕食されやすいなど。しかし、どれも決め手にかけるような気がする。それよりも比較的短期間で増加しやすい性質を持ったクマゼミが入り込んで増えたとするならば、簡単に説明できてしまう。
 藤代町と茅ヶ崎中央公園のクマゼミの卵は採集できたので、今後自宅の庭で発生するか調べてみようと思っている。



戻る