Mystery Site 特集第2弾
ディック・フランシスへの恋文
 
著作データ一覧
 ディック・フランシスの全著作物をご紹介します。競馬シリーズでは、作品毎に概要を見ることができます。
作品概要一覧
 競馬シリーズ作品の概要をそれぞれ紹介します。(作品毎に著作データ一覧からリンクされています)
【制作】
  監修:斑の紐 (洋物推進委員)
  背景:Kattsu (競馬愛好家)
  編集:olive (活字普及委員)
 
ある愛読者からの手紙
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 お気に入りの作家を発見すると、読破するまで満足出来ないという性癖の為にあえて見て見ぬふりをしてきた「ディック・フランシス」。
 思った通り”とり憑かれ”状態に陥りました。駄作なしの大当たり多数に、狂喜乱舞です。

 フランシスは奥様との二人三脚で1957年以来、40年以上の長きに亘り、執筆活動を続けてこられたのですが、2000年に最愛の奥様が亡くなられ、

「 ── 作品を書かせてくれたのは妻だった。
もう、手紙などの他には何も書かないだろう。
私の作品の殆どは彼女との仕事だった
 ── 」

・・・と、コメントを発表し、引退されました。

 このコメントと「フランシスの本当の作者は妻だった」というセンセーショナルな記事によって、どちらが本当の作者なのか?!と物議をかもしたようです。
 コメントを曲解したのかどうかは、定かではありません。が、これに対する公の反論をされないフランシスからは、奥様への深い愛と悲しみを感じます。(実際に色々なデータを収集したりと良きパートナーであった事は事実のようです。)

 フランシス作品がこんなにも安心して読めるのは、作者の「人物・自然・馬」など全ての生ある者への愛情が、全作品の根底に流れている為だと思います。

 フランシスの作品には一冊にも女性主人公は登場しません。その理由を勝手に想像してみると、フランシスの一番の読者であった奥様の理想の男性像なのではないか?という気がします。
 全作を通して、まさに「ヒーロー」を登場させたのも、ひとえに奥様の喜ぶ顔が見たかったのでは?などと、作者への興味は募る一方です。(詳しい事をご存知の方がいらっしったら、教えて下さい)

 もう一つ想像している事は、「マンネリ」と呼ばれる事を非常に嫌っていた(恐れていた?)のではないか?という事です。初期の作品の舞台はイギリス本土が多いのですが、中期ではヨーロッパ全土から、アメリカまでと広範囲に及びます。
 勧善懲悪というスタイルを保ちながら、古臭くなる事を嫌い、舞台を変えてみたりと毎回趣向を凝らすというのは、大変な事だったろうとおもいます。全作品を通して徹底的なリサーチをするという作者の姿勢には、頭が下がります。

 ミステリー小説としては今一歩の作品もある事は認めます。(好きだからこそ苦言)
 しかし、小説の出来としては極上の喜びを与えてくれる作品として仕上がっています。初期の「青さ」中期の「更なる上を目指す姿勢」後期の「円熟」と趣はかわっています。読み比べるのも一興でしょうね。
 また、世界中で6000万部の発行数を軽く超えるという事実には、その全てを楽しんでいるファンの姿がうかがい知れますね。

 未読本が残り少ないのでゆっくり味わっていきたいと思っています。

2003/5/26 斑の紐

 
【作家データ : Dick Francis
(本の感想は”作家データ”よりご覧ください)

 1920年イギリス・ウエールズに生まれる。エリザベス皇太后の専属騎手にもなった元ジョッキーであり、引退後の1962年に「本命」を発表。以降、英・米ミステリ界の様々な賞を受賞する。
 その作品は”競馬シリーズ”と呼ばれ、日本では早川書房より出版されている。主人公は毎回異なるが、様々なジャンルの要素を含み、落ち着いた雰囲気の中にもサスペンスに充ちた大人のミステリである。また、見事なまでに揃った漢字2文字のタイトルには、一環して翻訳してこられた訳者・菊池光氏の技も光る。

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