フランシスの作品には一冊にも女性主人公は登場しません。その理由を勝手に想像してみると、フランシスの一番の読者であった奥様の理想の男性像なのではないか?という気がします。
全作を通して、まさに「ヒーロー」を登場させたのも、ひとえに奥様の喜ぶ顔が見たかったのでは?などと、作者への興味は募る一方です。(詳しい事をご存知の方がいらっしったら、教えて下さい)
もう一つ想像している事は、「マンネリ」と呼ばれる事を非常に嫌っていた(恐れていた?)のではないか?という事です。初期の作品の舞台はイギリス本土が多いのですが、中期ではヨーロッパ全土から、アメリカまでと広範囲に及びます。
勧善懲悪というスタイルを保ちながら、古臭くなる事を嫌い、舞台を変えてみたりと毎回趣向を凝らすというのは、大変な事だったろうとおもいます。全作品を通して徹底的なリサーチをするという作者の姿勢には、頭が下がります。
ミステリー小説としては今一歩の作品もある事は認めます。(好きだからこそ苦言)
しかし、小説の出来としては極上の喜びを与えてくれる作品として仕上がっています。初期の「青さ」中期の「更なる上を目指す姿勢」後期の「円熟」と趣はかわっています。読み比べるのも一興でしょうね。
また、世界中で6000万部の発行数を軽く超えるという事実には、その全てを楽しんでいるファンの姿がうかがい知れますね。
未読本が残り少ないのでゆっくり味わっていきたいと思っています。