謎を解くという意味では、ミステリはクイズのようなものである。読者への挑戦物をうんと短くしたのがクイズ本である。確信に触れる部分だけを抜粋してあるので、トリックだけに集中できる。文章は短いので、余計な細工は通らない。だから希に、「んな、バカな!」と思うこともあるが、必要最低限の文字から導き出すその回答は、ミステリのマニュアルとも言える、基本的なトリックだったりする。そう、どんなに新しい道具を使っても、トリック自体の数は限られているのである。その応用編を使い分け、組み合わせることによって、現代の様々なトリックが生まれるのである。そういうわけで、意外と侮れない本なのだ。が、そこはミステリ小説。内容が詰まらなければ意味はない。やはり著者の腕にかかってくるのである。叙述で誤魔化せないぶん、変わった趣向で楽しませなければならない。ということで、上記の本は、ただ犯人を当てるだけのクイズ本ではなく、何か一つ特徴のあるものを集めてみた。
「ちょっと探偵してみませんか」は、この手の本にありがちな挑戦的な態度ではなく、「ちょっと考えてみませんか?」と、あくまでも控え目な態度(その裏に自信がみなぎっているが)で、読者は「あら、それならちょっとだけ・・・」と、まんまとはまってしまう。
「あなたが名探偵・殺人トリック!」は、得点制で、あなたの探偵度が計れる仕組みになっている。最後の集計で、凡人に終わるか、名探偵となるか・・・。ただ当たり外れの結果よりも、やり甲斐のあるものである。
「ツァラトゥストラの翼」は、RPGの雰囲気を本で楽しめる。端から読めば解決するとは限らない。読者の選択によって、次ぎに読むべきページが変わるのだ。ちゃんと暗号問題などもあって、正しい選択をしないとゲーム・オーバーとなってしまう。もちろん、実際のゲーム機のように、壮大かつリアルな楽しさはないが、それなりの達成感は得られる。
「雨月荘殺人事件」は異色ミステリで、内容は公判調書である。読者はその書類を見て、事件の真相を掴むのだが、これがまた実物に忠実にできている。書類を見るだけでも楽しめる。海外では”捜査ファイル・ミステリ”もあるが、日本ではこれが初だと思う。
これら特殊なミステリを作ろうとすると、大変な時間と能力が必要だ。娯楽もハイテクノロジーの時代となり、今時こんなことをわざわざ本にしようという版元も少ない。だから、滅多に現われないが、もしも、面白い変わった趣向のミステリを見つけたら、新旧、国内外問わず、是非ご一報を♪(⌒
⌒)(_ _)ぺこ