古本屋part3

 

 

 

<在庫>

ムービーマガジン
ジャッカルの日
八百万の死にざま
スズメバチの巣
戦争の犬たち
パートナー
暴虐の奔流を止めろ
業火
深夜プラス1
エド・マクベイン読本
ギムレットには早すぎる
テスタメント
あなたの想い出
二十一世紀ジャズ読本
顔に降りかかる雨
夜のフロスト
キャンディランド
ブラックジャックによろしく

 

ムービーマガジン (ムービーマガジン社)
1970年後半から1980年代前半にかけて出版されたえらくマニアックな本だった・・・
私が持っているのは創刊第6号から28号まで。その後、出版されていたのだろうか?
ページ数にして50-80ページの邦画を中心にした隔月刊誌だが、まず発売日に書店に出たためし
がなく、ひどいときは年間3-4巻しか出なかった。
しかし、内容は非常に濃い。
単行本にもなった高平哲朗のインタビューとフィルモグラフィが毎回の特集で、ゲストは渡哲也・
川谷拓三・加山雄三・勝新太郎・若山富三郎・郷ひろみ・浅丘ルリ子・室田日出男・原田芳雄・
成田三樹夫・などひとくせもふたくせもありそうな、当時の邦画を支えた面々である。
その他、植草甚一と淀川長治の対談、「けんかえれじい」の論文、松田政夫の映画日誌などなど
山盛り。またロマンポルノを何の偏見もなく堂々と論じていた。
キネ旬や映画芸術の向こうを張って、視点のしっかりした邦画専門誌だった・・・。



ジャッカルの日 フレデリック・フォーサイス(角川文庫)
少々古い本ではあるが、めちゃくちゃ面白い。
誰だってドゴール大統領の暗殺が成功するとは思っていないし、実際に暗殺されてはいない。
しかし、フォーサイスはこのスナイパーの行動をあたかもノンフィクションの如く、細部に
わたって緻密に書き込んでいる。
だから結末は分かっているのに、ついついジャッカルに感情移入してしまい応援してしまうので
ある。
ついにジャッカルがターゲットを照準にとらえた・・・そして引き金を引いたその時!
ムフフフ。



八百万の死にざま ローレンス・ブロック(ハヤカワ文庫)
題名だけを見たときには、いったい何を意味する物なのか全然分からなかった。しかし中を読み
進むにつれ、その意味がだんだん明らかになってきた。うーむ、さすがはハードボイルド小説の
人気上位に入るだけのことはあった。
酔っぱらいのと言うかアル中探偵のマット・スガターが都会の感傷と虚無をみごとにその行動で
表している。
ストーリーというか謎解き自体はハッキリ言って好みではないし、ヒモのチャンスだってもう少し
突っ込んで描けばもっと魅力的になったのに・・・といささか残念な部分もあるが、スガター
の生き方にはそれを補って余りある。



スズメバチの巣 パトリシア・コーンウェル(講談社文庫)
はっきり言って、つまらない。
スカーペッタを主人公とする一連の作品でベストセラー作家となった作者がシリーズ物以外を
書いたのだが、3人の主人公の描き方はなにか物足りないし、ストーリーは散漫だし、やたらと
登場人物は多いし・・・・
あれぇ、もしかすると二匹目のドジョウを狙ってこれもシリーズ化するつもりなのかな?
そして、今回は自己紹介よろしく、ストーリーは二の次で多くの登場人物を出して、それぞれに
自己紹介をさせただけなのかな?
そう考えると、主人公達に今一つつっこみが足りないのも次回のお楽しみって事で合点がいく。
それにしても長いストーリー・・・(^_^;
でも、この程度の内容で果たしてシリーズ化するかなぁ・・・?それほど読者は甘くないと思う
けどね。



戦争の犬たち フレデリック・フォーサイス(角川文庫)
フォーサイスの本は、出れば必ず世界的なベストセラーになっている。
「ジャッカルの日」の様な過去の出来事なら、まるでまるでルポルタージュのごとく緻密に描き、
近未来の話しはまるで現実に起こるかのように正確に描いているからであろう。
本書も、その意味では確かに現実味がある。その上主人公のキャット・シャノンは実に魅力的な男
である。
シャノンがが軍事クーデターを起こし大統領の抹殺を依頼されてから、傭兵仲間に連絡を取り、
事を起こすための準備に比重を置いて書かれているが、確かにその部分は読み応えがある。

しかし私には、このノンフィクションと錯覚してしまうほどの緻密な構成がやや鼻について
しまった。
そして、そのクーデター場面は100頁に満たないのである。ちょっと拍子抜け。尤もこの場面を
作者は描きたかったのではなかったのだろうが・・・・。



パートナー ジョン・グリシャム(新潮社)
いやぁー、相変わらずのジェットコースター・ノヴェル!読み出したら止まらないのである。
この面白さを先延ばしにしたくて、わざと途中で読むのを中断したりして自分で楽しんでいた。
内容は、もう読んで貰うしかない。ただ一つ、今回の主人公はやっぱり悪人だろうなぁ・・・。
次々に明かされる衝撃の真実!そのたびに翻弄されるFBIや裁判所!
そして、ついにクライマックス!!
主人公は意気揚々として恋人の待つヨーロッパへと旅発つが・・・・
こんなラストって有りかぁーー!!!
アメリカ本国でも賛否両論、評価がまっぷたつに分かれたという問題のラスト。
さぁ、これを読んだあなた、どう思いますか?このエピローグを



暴虐の奔流を止めろ クライブ・カッスラー(新潮文庫)
ダーク・ピットを主人公とする海洋冒険小説シリーズの14作目。
「タイタニックを引き揚げろ」で見事タイタニックをニューヨークに運んだダーク・ピットを始め
NUMAの面々と知り合って、もう20数年になってしまった。
相棒のアル・ジョルディーノと共に相当年を重ねたはずのダークは今だに超人的な活躍をして
いる。
しかし今回は今までとはちょっと違い、アメリカの不法移民問題や中国との関係、大統領の
スキャンダルと言った現実的な生臭いテーマを縦軸にしている。
とは言え魅力的な登場人物を配し、圧倒的な迫力の水中でのアクションや駆逐艦との戦いはさすが
はカッスラー!
このシリーズ、いづれ007みたいにシリーズで映画かされないかなぁ。敵役も個性が強くて、
ボンドガールのような女性も出てくるし、アクションも派手で、見所いっぱいで面白いと思う
けど・・・。
でも金がかかりすぎるか・・・。



業火 パトロシア・コーンウェル(講談社文庫)
え〜っ、何でこうなっちゃうのー?
ベントンはFBIを止めて、あんなふうになっちゃうし
マリーノは中年から初老期の悲哀丸出しの男になっちゃうし
スカーペッタだって更年期をとっくに過ぎた口うるさいオバサンになっちゃうし
唯一若いルーシーは相変わらずレズの性癖に悩みつつ、ヘリまで操縦してしまう天才になっちゃう
し・・・
しかし、今回の事件は恐いねぇ〜
復讐に燃えた宿敵?の影に怯えつつ立ち向かっていくスカーペッタ。ついに最後まで姿を現さな
かったキャリー・グレセンだったが、その存在はあまりにも不気味である。
分かっていながらも、キャリーの復讐のシナリオに導かれるように行動してしまう主人公たち。
これから、このシリーズはどこに行くのだろうか?果たして続けられるのかな?作者は、
「スズメバチの巣」の方へシリーズを転換してしまうのだろうか?
こんな心配をしてしまうほど、登場人物を虐めて哀れにしてしまった今回のコーンウェルである。



深夜プラス1 ギャビン・ライアル(ハヤカワ文庫)

何も言えないくらい、カッコ良い!
登場人物の生き方が、こだわりが・・・・。
パリの闇夜を疾走するシトロエン。火を噴くモーゼル。アル中のガンマン。かつての恋人との出逢い。火だるまになりながら任務を果たす殺し屋。

何度読み返しても、その度に主人公を始め登場人物の描き方に唸ってしまう。
これほどまでにディテイルにこだわり、登場人物の過去にこだわった小説を他に知らない。そこがこの作品がハードボイルド小説(冒険小説)のトップに君臨する所以であろう。

ライアルは、この他にも数作執筆してはいるが、やはり「深夜プラス1」が秀逸!!




エド・マクベイン読本 直井 明編(早川書房)

驚異的な長寿シリーズであるマクベインの87分署シリーズが「ラスト・ダンス」でなんと50作目となった。これを記念しての読本である。

全50作の解説から始まり87分署のキャラクター紹介(刑事はもちろん、その家族、そして密告屋から犯罪者まで)、映像化された作品について。もちろんこのシリーズの大切な主役であるアイソラの街の概要や事件発生地図まで収録されている。
そしてマクベインの、もう一つのシリーズであるホープ弁護士シリーズとの関わりも紹介されている。

マクベインフリークならきっと泣いて喜ぶ1冊。
ただ一つ残念なことは、映画化されたシリーズに関するページで邦画が1本抜けていたこと。
おなじみの「「天国と地獄」は当然あったが、同じく東宝作品で「殺意の楔」を映画化した「恐怖の時間」が抜けていたこと。




ギムレットには早すぎる 郷原 宏編著 (アリアドネ企画)

副題が「レイモンド・チャンドラー名言集」となっている。
もう、これだけで買いである。中身なぞ立ち読みする必要がない。

正確にはチャンドラーが書いた小説の中の名文句集なのだが、もう、それは作品を飛び出してチャンドラーの言葉として一人歩きしてしまっているのである。

マーロウ自身について・私立探偵について・女について・酒について・アメリカについて・人生友情について・警官について。
さまざまな事についての警句が書かれて、その前後のストーリーと解説が載っている。

あの時読んだ、あのフレーズ、あの会話、あの独り言が全て網羅されている。
それにしてもマーロウは、と言うよりチャンドラーは饒舌ですなぁ。
‘I suppose it's a bit too early for a gimlet,’




テスタメント ジョン・グリシャム(新潮社)

読み始めて、しばらくして・・・あれ、何かいつもと違うぞ・・・
読み終えて・・・やっぱりいつもと違う・・・・

理由1:主人公が若くて・新進気鋭で・無鉄砲でじゃない。
理由2:ジェットコースターに乗っているようなスピード感や起伏がない。

それでもやはり、グリシャムの小説になっているでんですねぇ。
アル中の弁護士が、ブラジルの奥地に謎の女性を探しにそれこそ探検する。これを実にじっくりと腰を据えて描いている。
敵対する欲の皮が突っ張った弁護士を、今まで以上に劇画調に描いていることで、ますます主人公の心情の移り変わりが劇的に伝わってくる。

今までの作品とはひと味違った魅力を持った1作。




あなたの想い出 高平哲郎(晶文社)

ジャズ・映画・演劇・文学・ミュージカル・・・様々な分野で活躍した、そして惜しくもこの世から消えてしまった人たちとの交流をエッセイで纏めた本である。

この作者は以前、名著「星にスウィングすれば」というインタビュー本を世に出した男である。そのインタビューの対象がいろいろなジャンルに渉っているが、全てが僕の興味の対象の人物であった。作者も同様なのであろう。でないと単なる資料片手にだけでは、あれだけの深い内容のインタビューになるはずがない。相手が好きで好きでたまらない。だから聞きたくて聞きたくて仕方がない。そんな気持ちがあふれ出ている本だった。(知人に聞くとすでに廃刊になっているとか・・・)

そんな作者が自分の中で印象に残った相手、そして亡くなってしまいもうその声を聞くことが出来ない、そんな悔しさ・寂しさをジャズの名曲と和田誠のイラストの乗せて綴っている。




二十一世紀ジャズ読本 定成 寛(ブックマン社)

何とも大仰な名前の本です。そしてその著者を見ると・・・。ピンと来た人は当ホームページを隅から隅まで読んでいる人ですね。そうです、かの傑作ホームページ「サダナリ・デラックス」のウェブマスターが書いているのです。

ジャズ入門書の決定版と帯に書いてあるが、正に著者の趣味がちりばめられている。すなわちジャズと映画。確かにジャズには興味があるけれど敷居が高くて、教えてくれる人がいなくて入る勇気がないと言う人向けに書いてあるが、読み進んでいくと明らかに著者の趣味が露わになってきている。かなりマニアックである。しかしホームページ同様の軽妙な語り口で、それをマニアックと感じさせないで読ませてしまうのである。
同社から出版されている「誰も教えてくれなかったジャズの聴き方」と併せて読めば、もうアナタはジャズ中毒^^;




顔に降りかかる雨 桐野 夏生(講談社)

女性が書いた女性が主人公のハードボイルド(?)探偵小説である。なんと第39回江戸川乱歩症受賞作品でもある。
友人が、警察に届けることの出来ない1億円を持って消えたことから、事件に巻き込まれた村野ミロ。疑いを晴らすために奔走するミロ。そして2転3転するクライマックス。

女性が書く、主人公が女探偵のハードボイルド小説が日本にもたくさん生まれてきてはいる。
桐野夏生はその筆頭であろう。
しかし・・・、どうも私にとってはピンと来ない。サラ・パレツキーやスー・グラフトンとはどこか違う。未だその答えが見つからないが・・・。何なんだろう、風土の違いかなぁ。

個人的には、第2作の「天使に見捨てられた夜」の方がお気に入りですな。

そして最後に、作品ごとに男とベッドインして欲しくない。たとえどんなに理由を付けたとしてもです。お前はそんなにケツが軽い奴なんか!と思ってしまう。




夜のフロスト R.D.ウィングフィールド (創元推理文庫)

仕事中毒の名物警部の第3弾。
過去2作に負けないくらいフロスト警部は下品なジョークを飛ばし、上司にもインフルエンザにも負けずに、運を天に任せて当てずっぽう推理をぶちかまし、行き当たりばったりの捜査で連続犯罪を解決していくのである。
そして可愛そうなのは、フロストの部下に配属される上昇志向で新進気鋭の新人である。本作もその例外ではない。如何せん、ベッドインの最中にも拘わらずフロストに呼び出させられるのだから・・・。
本作のラストシーンは、な・なんとフロストが体を張っての大捕り物である。

老女連続殺人+ハイティーン殺人の犯人を追いつめる本作は、過去2作品と同様に今年のミステリ第1位を獲得するであろう。(と、俺の直感がそう言っている)



キャンディランド エヴァン・ハンター/エド・マクベイン(早川書房)

賢明な(でなくとも分かりますね)読者なら、ニヤリとする作者が二人の連名。
「暴力教室」で作家デビューしたハンターと「87分署」シリーズを書き続けている別のペンネームであるエド・マクベインが一つの作品の前編後編を書いたのである。つまり二つの名前を持つ作家がそれぞれの作風を周到して、一つの作品を書き上げたのである。
ややこしいけれど、ファンにとっては嬉しい1冊である。

四六時中セックスのことしか頭にない中年男が、セックスを求め夜のNYを彷徨い、快楽に溺れる内容が前編。そのセックス描写は、まるでポルノ小説?
そしてその男が殺人事件に巻き込まれてしまう。
NY市警の刑事が87分署の刑事のように地道な捜査の結果、あっと驚くような犯人を捜し出すのが後編。

さて、あなたはどちらがお好み?




ブラックジャックによろしく 佐藤秀峰(講談社)

久々にコミック(漫画)である。
題名からも分かるように医学を題材にしている。しかし手塚治虫作「ブラックジャック」のような荒唐無稽な内容ではない。

研修医1年目の斉藤英二郎の目を通して、大学医局問題・研修医問題・救急医療の実情などを様々な症例(患者さん)を題材にして描いている。もちろんフィクションだから現実とは当然違うし、十数年前あるいは数十年前の実態を描いており、今はこんなんじゃないだろう!と思う箇所も多々あるが、それでもこれだけ真摯に医療界を描いた作品はかつて漫画でも小説でも少ないのではなかろうか。
現時点で第4巻まで発行されているが読めば読むほど、当時の自分を思い出してしまう。
それこそ、家に帰る暇もなく数日病院に寝泊まりしたり 、初めての当直で電話の音に怯えてしまったり、瀕死の患者さんを前に自分の無力さに情けなくなったり・・・・。

是非、医学関係の人にも一読していただきたいコミックである。