床 ず れ

 

 




E子
「先生、こんにちは。」
Docトム
「やあ、E子ちゃん。こんにちは、今日はどうしたの?」
E子
「おばあちゃんのことなんですけど・・・。」
Docトム
「はい、はい。」
E子
「この間、軽い脳溢血をして入院したんですよ・・・。」
Docトム
「あれ、そうだったの。それで今どんな具合?」
E子
「ええ、意識も戻って良かったんですけど、手足が言うこときかなくなっちゃって・・・。」
Docトム
「それはそれは・・・。」
E子
「今は退院したんですけど・・・。」
Docトム
「あー、それはよかった。」
E子
「良くないんですよ先生。実は腰に床ずれができちゃって。」
Docトム
「それは大変だ・・・。」
E子
「この間もおむつを取り替えたとき見たら、黒っぽくなっちゃって、なんかすごく変なにおい
 がするの。」
Docトム
「じゃ、直ぐ往診に行こう。」
E子
「先生、お願いします。ところで、先生、なんで床ずれなんかできるんですか?」
Docトム
「はーん、床ずれって言うのは、正確には褥瘡(じょくそう)と言ってね。皮膚の一部が
 壊死(腐る)ことなんだ。」
E子
「ええ、知ってます。この間、少し勉強したんです。」
Docトム
「褥瘡は、元気な若者には、まず出来ないんだ。やはり高齢者や体力の低下した人にできるん
 です。」
E子
「何でなんでしょう?」
Docトム
「褥瘡の原因は、まず皮膚が傷つきやすいこと、身体全体の免疫力低下・低栄養・廃用性萎縮、
 それに皮膚に対する圧迫力の増加が挙げられます。」
E子
「良く分からないわ・・・。」
Docトム
「具体的に言うと、まず老人の皮膚はピチピチ感つまり皮膚の張りがなくなり、血流も減少
 してます。」
E子
「そうねえカサカサしていて、ちょっと絆創膏をはがすだけで皮膚が破けそうだわ。」
Docトム
「次に病気のため身体の免疫力が落ちて、低栄養のため傷の回復力も低下してます。それに筋肉
 を使わないので、萎縮してしまってますよね。」
E子
「はい、その通りです。」
Docトム
「脂肪や筋肉が少ないので、骨が直接皮膚に当たってしまいますし、身体を動かすことが
 出来ません。」
E子
「全くその通りなんです、じゃあ先生どうすれば良いんでしょうか?」
Docトム
「治療は、褥瘡の程度によって多少違いますが、基本は感染の予防、肉芽増殖を助ける、
 全身状態の改善でしょう。」
E子
「そうですか・・・。」
Docトム
「おばあちゃんの褥瘡が黒っぽくなっているんですよね、これはかなり傷が深いですよ。」
E子
「・・・・。」
Docトム
「黒くなっている下は、バイ菌の感染巣になってるはずです。じゅくじゅくして、変なにおい
 がするのもそのためでしょう。この時期は、黒いところをはがして、薬で感染を抑えじゅく
 じゅくしている滲出液を乾燥させなければなりません。」
E子
「大変、どうしよう・・・。」
Docトム
「その後は少し黄色くなるはずです。」
E子
「黒から黄色ね。」
Docトム
「そうです。この時期も感染には充分気を付けなければなりません。もうでもこの時期を
 乗り越えれば、どんどん肉が盛り上がってきて、赤くなります。」
E子
「こんどは赤ですか。」
Docトム
「そうです。ここまで来れば安心ですよ。でも、これらの治療は毎日何回もガーゼを交換
   しなければならないしかなり大変ですよ。」
E子
「そうよね、私と母でできるかしら。」
Docトム
「頑張って下さい、私たちもお手伝いしますよ。」
E子
「ありがとうございます。」
Docトム
「しかし、褥瘡を治療するだけでなく、今後の褥瘡を予防することも大切なんですよ。」
E子
「そうですよね。で、どうすればよいのでしょう?」
Docトム
「まずは、全身状態の改善ですね。栄養をしっかりとって、汚物による汚染に注意して、
 エアマットなんかで局所の圧迫を防ぎます。」
E子
「エアマット?」
Docトム
「一種の空気の入った布団で、空気が自動的に膨らんだり抜けたりして部分的な圧迫を
 防ぐんです、でなければ30ごとに体位変換するのです。座布団なんかで支えながら・・・。」
E子
「かなり、大変そうですね。」
Docトム
「そうですね。でも医師会や保健所、市区役所に相談すると、保健婦さんや訪問看護の方が
 手伝いに来てくれますよ。」
E子
「あっ、そうなんですか。」
Docトム
「それに、今は介護保険を申請すれば、もっといろんな介護を手伝ってくれますよ・・・。
 さあ、着きました。ではおばあちゃんを診察しましょう。」


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