第2回 スミぬり裁判 傍聴記 |
10月14日、大阪地方裁判所で行われた枚方市民による住民訴訟(スミ塗り裁判)の傍聴に行ってきました。 30人の原告の大半の方が出席したので、法定内の原告席に用意された椅子だけでは足りず、中央にまで、原告の座る椅子が置かれました。対照的に、被告側代理人はぽつん と一人、なんとなく所在なさげに見えました。出席の確認など、なにか事務的な手続にずいぶん時間がとられ、予定より20分遅れて、裁判が始まりました。 裁判は、冒頭から若干ぎくしゃくした雰囲気で始まりました。登場した三人の裁判官はいずれも男性なのに、表に表示された裁判官のうち一人は女性名で、おそらく変更があったと思われるので、原告の一人から、自己紹介をしてほしいとの要望が出されました。市民的常識からすれば「はい、わかりました」と応じればいいだけの話に思えましたが、裁判長は、口頭で言っても表記がわからないなどと妙な理屈を述べて、その場での自己紹介をなかなかしようとしませんでした。しかし、原告らの再三の求めにやっと応じる形で、自分と二人の名前をものすごく早口でぼそぼそっとつぶやきました。 それから、予定されていた二人の原告による陳述が始まりました。その陳述は、力強く、とても思いのこもったものでした。とりわけ、式の時の不起立の理由を校長に聞かれて、これからいっしょに教育活動をしていく上司だからと、自分の思いを述べたところ、それが教育委員会に報告され、一覧表にされていたことを知り、大変衝撃を受けたという箇所について、その時の怒り・悲しみ・とまどいが傍聴席で聞いている私にもひしひしと伝わってきました。 二人の各々の陳述の後、原告・傍聴席から拍手が起こり、そのたびに裁判長がきりきりと神経質に制止しました。そのあと、急に「次回、本案前の答弁の部分についての判断をします」と、有無をいわせぬ調子で迫ってきました。 この訴訟は住民訴訟という形を取って行っています。これは、現在の法律では、違法な公金の支出を返還させるという形でしかできません。したがって、ここで行われた「不起立調査」が、どれほど憲法が保証した思想信条の自由に反するものであろうと、違法な「財務会計行為」にあたらないと判断されれば、中身の判断に入る前に却下されてしまうのです。 この裁判の特徴のひとつには、30人の原告が、弁護士の代理人をたてずに本人訴訟で行っていることがあげられます。しかし、私の印象としては、どうも裁判長は、どうもそのあたりで原告を軽んじているようなふしが感じられました。最初の自己紹介にかかわるやりとりでもそうですし、次回の公判の日程を決めるのに、裁判所と被告弁護士の都合はこうこうだから、そのあたりで決めてほしいなどと言って、原告の都合のつかない人が多くてもあまり気にする様子がありませんでした。(これが弁護士同士の裁判なら、けっこう、延々と互いの都合がかみ合うまで調整するものなのですが。) 裁判の後の交流会に参加してみると、原告と支援者により、今後の方針について白熱した討論が行われていました。私はこうした討論がなされることに、本人訴訟の大きな意義があると感じました。 門前払いが予想される厳しい状況ではありますが、この訴訟そのものの勝ち負けが目的ではなく、もし、これで門前払いされたとしても、様々な闘い方があるのだといろいろな人から意見が出され、全体としての雰囲気はとても意気軒昂でした。 また、この闘いにおいて、校長や教育委員会の人権侵害を告発することを通じて、自らが教師として子どもたちに対して同じように権力的に振る舞ってはいないかを自己点検することになるという意見に印象深いものを感じました。 また、裁判所がいかに形式的に無視するような扱いをしようと、この内容自体をもっと広範に広めていくべきだとの発言があり、まったく同感でした。 次回は11月18日(火)午後2時から、大阪地裁806号法廷です。 (大阪市 自営業Na) |