7/6「スミぬり裁判」第7回口頭弁論報告

                            = 禁断の「思想調査」を憲法と条例に問う!=
                       《 ひらかた「君が代」訴訟=スミぬり裁判をすすめる会 》
                                                 松田浩二


 7月6日(火)午後2時より、「スミぬり裁判」第7回口頭弁論が行われました。遅くなりましたが、報告です。


■ (ここまでのあらすじ)
 3月23日の第5回弁論において、私たちは03年12月3日の「東京地裁ピアノ伴奏判決」について批判を行いましたが、そのときに原告側は今後3回にわたって弁論をおこない、枚方市教委が行った「7点指示」にもとづく「君が代斉唱時の不起立教職員調査の違法性」について主張することも決まりました。被告はその3回の弁論が終わってからまとめて反論することになっています。
 5月18日の第6回弁論で私たちは学習指導要領の性格と「国旗・国歌条項」の無効性について論じました。
 今回、第7回弁論では、いよいよ本件の核心部分である、枚方市教委が出した「7点指示」や「不起立調査」が、それじたいが違法であると同時に、教育内容に対する「指導・助言」といった市教委や校長がわきまえるべき裁量を超えたものであること、また教育長による常軌を逸した教育に対する不当な支配であり、そこにすべての起因があること、そして、枚方市個人情報保護条例に明白に違反していることなどを主張しています。
 そして、最後に2点の重要な求釈明を行っています。

 準備書面(7)をご参照ください。
http://www.kcat.zaq.ne.jp/iranet-hirakata/newpage69-jyunbisyomen(7).htm


■ 教育長暴言録をはじめ28種類のぼう大な書証を提出!
 今回は諸事情のため原告21人、傍聴8人の29人と、こじんまりとした人数で法廷に臨みました。約20分間。被告の弁論も反論もありませんので、私たち原告の独壇場になります。1年間でずいぶんと法廷の雰囲気が変わったものだとしみじみ感慨を覚えます。あらかじめ予定された法廷内容だからということもあるでしょうが、裁判長もよけいな小言を言わなくなったし、リラックスした自由な言葉のやりとりと、ふたりの陪席もふくめた法廷を楽しんでいる雰囲気が感じられます。問題を客観的に、そして冷静に観るという意味からすれば、私たち原告もふくめて、これは大切なことではないかと思います。

 今回提出した28種類(枚数にすれば120枚ぐらい)の書証は、大きく分けると、(1)教育長の校長会における暴言録(2)02年〜04年までの市教委による「7点指示」の事前・式後の調査(通知・報告・結果一覧)と「不起立調査」関係の書類(3)東京の無法状態を示す記事(4)その他 となっています。
 書面と書証の提出が遅れて、期日前日の7月5日となりましたが、なんとかすべり込みセーフです。
 特に教育長の「暴言録」は圧巻です。その一部を準備書面にも引用したので、その部分を転載します。


■ 校長会における教育長「暴言録」
・国旗・国歌は学習指導要領に位置づけられている。それに反対というのは身勝手であり、公教育を逸脱している。それに理解を示すことはあってはならない。同時に教育委員会も国旗・国歌に反対する人、主任制に反対する人、研修に反対する人は、これからの管理職登用はあってはならないと考えている。校長の登用も同様である(甲31−2)。
・校長の証として、国歌斉唱を行うこと。(甲31−5)
・今回、一部批判的な声も聞いている。校長としてあるものは批判することが仕事ではない。(甲31−6)
・卒業式での行為、特に退席する生徒について教職員が関与しているならば、その行為自身、公教育では権限が与えられているものではない。(甲31−8)
・教職員には法的な制約があり、思想信条の問題ではない。職務に内心の自由はない。(甲31−14−2)
・子どもの司会を見直していただきたい。儀式にふさわしい司会は誰かを考えて欲しい。・・・学校の管理下で、児童に校長の校務をさせることは適切ではない。・・・子どもが子どもによって管理させられることを、校長から命じられることになる。(甲31−15)
・入学式においては、国旗・国歌を一体のものとしてとらえる。(甲31−17)
・卒業式での国歌斉唱時の教職員の起立、子どもが司会をするのは異常なこと等がある。(甲31−23)
・実行できないのは「妥協」ではなく「敗北」である。(甲31−25)
・国旗・国歌については、なめられていると思われない態度で立ち向かってほしい。(甲31−26)
・ほかの意見を尊重していると成果をあげることはできない。教職員組合や反対運動をしている人に対して説得しようなどと思わないこと。自分のやることを示すだけでよい。(甲31−27)
・残念なことには学校の秩序をこわし、校長の熱意をなくす為なら労を惜しまない人がたくさんいます。(甲31−28)
・校長職に徹し、責任感を強くもって、学校経営をしていくことを固く誓っている人は反対する人の言い分の極端つまり正反対のことをやり抜いて、主導権を確立していくものだ。(甲31−31)
・方針決定に対して、何事も教職員にその是非を相談してから決めるのは正しいやり方ではない。危機管理や、重要なことほど教職員に相談するわけにはいかないのが学校経営というものである。(甲31−32)

 ほかにも、「できるだけ多くの教職員を式場に着席させて、国歌斉唱時は起立を命じてほしい。命じたら、起立しないのは職員の責任になる」といった、たんなる「踏み絵」どころか、教職員を陥れるために「起立斉唱」の指示(命令)を行えというような敵意丸出しの発言もあります。

 この甲31号証は1998年4月〜2001年11月までの校長会での教育長(中野一雄・04年3月教育長退任・4月より教育委員)の挨拶(発言)を情報公開により入手したものですが、総じて異常な執念で「国旗・国歌」(日の丸・君が代)を徹底しようとしていることや、教職員や組合に対する尋常ならざる敵意と憎悪を見てとることができます。


■ さて、法廷ではいつものように、出廷者の確認など事務手続上の話があって、そのあとに原告から以下のような発言を行いました。
1.今回、大量の書証を添付しているが、それはすべて必要な証拠資料であること。特に「教育長発言集」については、びっくりするほどひどいことが書いてあるので、しっかりと読んでいただきたい。
 枚方では2001年11月に出された「7点指示」以前の「6点指示」などについても事前、事後の調査を行っているが、その一部も含めて、02年〜04年までの「7点指示」の実施状況調査と結果、また「不起立調査」の通知、報告、結果を書証として全部提出している。
 東京の状況に関する書証もそうだが、たんに、ある「指示」が文言として違法であるかどうか、ただの紙切れとして違法であるかどうかということだけを言っているのではない。それらの「指示」や「命令」が、いま実体として強制力を持ち「不当な支配」をしているのだという観点から原告らは指摘している。

 教育は、子どもたちが生来持っている学ぶ権利である。親の教育に関する責務は、現代社会では公教育によって行われている。教育は子どもと教師の人間的なふれあいを通じて、子どもたちが自ら選択し、判断し、自己を形成していく営みであり、教師はそれを援助するものだが、「最高裁学テ判決」にもあるように、それが特定の観念を強制するようなものであるならば、ただちに「不当な支配」となる。
 教育長の校長会における発言を見てもわかるように、そこには校長に対する服従の強要や教員に対する敵意や憎悪があふれていると同時に教育内容への不当な介入、支配を明確に見てとることができる。すべてはここに端を発している。教育長の真意を法廷において直接明らかにすることと多くの疑問点を問いただすことは必要である。原告らは「本件調査」がたんに条例違反ということのみを言っているのではない。憲法や教育基本法(10条)違反の「教育の不当な支配」であることを主張しているのだ。

2.今回、あらたに2点の重要な求釈明を行った。それについて補足説明をしたい。
 1点目は、03年、04年の「不起立調査」で「起立しなかった理由」の聴取をしていない点について釈明を求めている。これは重要な事である。どうして02年だけ「理由」を個別に呼びつけて訊いたのか。1月7日付の準備書面において、被告は「起立しなかった理由の聴取が必要不可欠である」と述べている。必要不可欠な「理由」をなぜ02年にのみ聴取したのか。03年に原告らが住民監査請求をしたからやめたのか。やっぱりこれはまずいと思ったのか。その理由を次回、ぜひ釈明していただきたい。

 2点目は、教育長の「指示・命令」に関する権限の法的根拠について。
 教育長は校長会の挨拶の中で、「卒業式での校長の取組として、次のことを指示します。」ということで、「この指示は、枚方市立学校長に対する事務委任規程第2条2項によるものである。」と述べているが、どうしてこの指示が「事務委任規程」にある「重要かつ異例の事態が生じたとき」に該当するのか明らかにしていただきたい。卒業式や入学式の「国歌斉唱」が災害などの「重要かつ異例の事態」に該当するとは考えられない。校長に委任した権限を取り返さなければ「指示・命令」ができないから、そんなことを言っているということか。きわめて重大な権限の逸脱ではないか。

 原告のこの発言に対して、裁判長は被告の意向を確かめましたが、被告はいつものように「次回9月2日、原告の(3回目、予定としては最終回)の弁論が終わったあとで一括して反論する。求釈明についてはそのときに必要があれば釈明することを検討する」という答弁です。


■ 裁判所は証拠調べ(証人尋問)を拒否する態度は見せていない。 
 私たちは、被告の答弁を受けて、次の点についての「確認と打診」を入れました。 

裁判長:では、原告の次回9月2日に向けた準備書面では「日の丸・君が代が歴史において果たした役割・・・」に、先ほど言われた「個人情報保護条例違反」のところで追加する部分をあわせて、この準備書面で主張するということでいいですね。8月26日提出でいいですか。

原告:はい。

原告:ちょっといいですか。9月2日の第8回弁論(公判)のあとに、被告は一括して反論することになっていますが、ということは、9月2日の次に、被告の反論のための口頭弁論があるということですね。

裁判長:そのとおり。

原告:では、その被告の反論に対して、いままで主張しなかった新たな原告側の反論が必要な場合、その次にまた弁論が行われるということですか?

裁判長:それについては、その追加反論が必要かどうか、その時点で判断します。

原告:では、証拠調べ=証人尋問の申請をする時期は、被告の反論が出たときにすればいいということですか?

裁判長:申請じたいは早く出してもらってもかまいません。証人尋問については、被告の意見も聞いてということになりますが、それが必要かどうかについては、被告の反論が出た時点で判断することになります。では、今日はこれで閉廷します。

 ここまでのやりとりで今回の法廷は終わりました。次回9月2日の第8回口頭弁論で、私たち原告の予定された弁論(主張)は一応終わります。私たちの主張に対して被告は一括して反論することになっています。時期としては10月下旬か11月初旬でしょう。そこで新たな争点が出てこない限り、双方の弁論はそれをもって終了します。
 そこで私たちは証拠調べ(教育長の証人尋問)を要求するわけですが、今回一番知りたかったのは、こちらが教育長の証人尋問をしたいというはっきりとした意思表示をしたときに、裁判長がどのような反応を示すかということでした。

 これはあくまでも私の印象と私見にすぎませんが、裁判長は「証拠調べは必要ない」という態度や表情を示すことはありませんでした。言葉としても証拠調べに疑問を呈するような発言はありません。すでに私たち原告は58種類の書証(証拠資料)を提出していますし、被告に対する求釈明も何度もおこなっています。今回提出した「教育長暴言録」に裁判所がどれだけ興味を示すかということにもなりますが、被告が答えない疑問点は多々あります。
 裁判長の「被告の意見も聞いて」という言い方でもわかるように、証拠調べはあっても不自然ではない、つまりあり得るという基調のなかで話は進んでいるという感触を得ました。もちろん、結果がどうなるかはわかりません。
 あとは、「不起立調査の違法性」を判断する上での証拠調べの必要性を、どれだけこちらが法的に明確にしていけるか、ということだろうと思います。

 いよいよ佳境に入ってきました。傍聴席を埋めることも必要になってきます。ご支援よろしくお願いいたします。


■ 次回、第8回口頭弁論の傍聴をお願いします。

 日時:9月2日(木) 午後3時より
 場所:大阪地裁 806号法廷
 集合:午後2時30分 地裁1階ロビー

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