大阪府枚方市からの報告

                いま声を上げなければ!


                         平和都市ひらかたを考える市民の会   会員


 数日前、寝屋川市議の吉本ひろ子さんと卒業式について話をしていた。式が始まる前、来賓控え室で「日の丸・君が代」について話をしたら「そんな話はやめてくれ」とある来賓からストップがかかったそうだ。彼女は「国歌斉唱」のときに座り続けている議員のひとりだけれども、翌日に校長と教育委員会の某氏のふたりがわざわざ事務所に「抗議」にやってきたそうである。
 「もし、私が立つようになったなら、そのときは言論の自由はなくなっている」「私は少数者の意見を代弁する議員だから」吉本さんはわたしにそう言ったが、確かにその通りだと思う。そして、もっとたくさんの議員が市民の基本的人権を体現してほしいものだと思うし、願わくば教員も、と望むのは酷だろうか。

すさまじい人権侵害を生み出した枚方市教委の「7点指示」

 枚方の学校がこの3年あまりでずいぶんと様変わりしたような気がしている。卒業式や入学式の「日の丸・君が代」を巡る状況の変化のことだけれども、きっとそれだけではないのだと思う。去年、今年とだんだんと耳にする情報量が減ってきている。今年の卒業式がどんな状況だったのか、いまだに個々の様子がわかっていない。いまわしい無風状態がもう目の前にやってきているとは思いたくない。問題にすらならなくなっていくことは、問題がなくなることを意味しないのだ。
 
 「7点指示」がどこまで実行されるか、市教委は昨年度も12月、2月、3月と3回にわたって7点の各項目ごとに細かい事前調査を行ったが、今年は第1回目の調査を1月10日付けで行っている。今年の重点目標である「教員によるピアノ伴奏」について、その報告にもとづき市教委はその時点でまだ教員による伴奏を決定していない校長を個別に呼んで「指導」したという情報が伝わっている。たぶん、その通りだろう。
 12月市議会で、ある議員が「校長会と教育長の間がうまくいっていないと聞いているが」と質問したことが話題になった。たしかに校長からも今の教育長のあまりに強引なやりかたについてかなりの反発が出ているということは漏れ聞いている。退職校長会の席などでも不満が噴出するらしいということを小耳にはさんだりもするが、できることなら現役のうちに噴出してほしいものだと思う。

 結果は全中学校(19校)でピアノ伴奏は行われた。小学校は45校中37校で行われている。子どもの司会はなくなり、壇上形式が固定されてしまった。ほんのわずかだか、保護者の頑張りにより、式場配置や壇上正面の「日の丸」に向かわずに卒業証書を受け取る形にすることや「君が代」はテープにすることなどを確約させた小学校もあった。その小学校の保護者は「女子生徒はスカートだから、正面を向いてお辞儀をするとスカートの中が見えてしまう」という言い分で横向きに配置を変えて卒業証書を受け取る形にしたのだという。不服従のひとつの形だとわたしは感心した。
 「一同起立」から始まる式で「国歌斉唱」の号令とともに着席することは難しいことだろう。こんな卑劣で姑息なやり方を教育の場でおとなが示すことがどれほど恥ずかしいことか。それが最後の授業といわれる卒業式で行われ、「学習指導要領にもとづき」の一本槍で問答無用に「日の丸・君が代」を押し付けてくるのだから「ならずもの教育委員会」にちがいない。

 ある中学校の音楽教員は大きな楽譜で顔をかくして演奏し、式が終わったあともみんなに申し訳ないといってずっと泣いていたという。今年ははじめて管理職の口から「職務命令」という言葉も出ている。ある中学校ではひとり着席した教員に対し、教頭が2度にわたって「○○教諭立ちなさい」とマイクで命令している。この教員は立たなかった。また、ある中学校では予行の時に在日の子を含む数名の生徒が着席したのだが、校長が「すわるな、立てっ、立ちなさいっ」とどなりつけて立たせている。この子どもたちは卒業式の時も着席した。

 「平和都市ひらかたを考える市民の会」が主催した2月22日の「平和のまつりinひらかた4」に参加したある中学校の音楽教員の話は参加した多くの人の涙をさそった。わたしが集会の感想と報告を書いて配信したメールから引用したい。

【 「音楽は理屈ではないんですね。だから音楽なんです」何がおっしゃりたいのかよくわかりました。だから、かつてとても荒れた学校に赴任して、音楽の時間に一生懸命ピアノを弾いても子どもたちが誰も歌ってくれなかったときに、もう辞めようかと思ったそうです。でも、あるとき、廊下でひとりの生徒とすれ違ったときに、その生徒が授業で教えた歌を鼻歌のように歌っていたそうです。それを聞いたときにその先生は「まだやれる」と思ったそうです。楽しさや喜びやときには悲しみも、そういった人間らしい感性の表現や発現としての音楽でしょうから、やっぱりみんなが一生懸命に歌ったり、自然に歌を口ずさんでくれたらうれしいですよね。音楽が好きで、音楽の先生であることに喜びと幸せを感じておられるのだと感じました。
 「国歌斉唱の1分間、ほんの1分間がまんすればいいことだから」ピアノ伴奏を強要されていることに対して、職場の同僚は決して悪意はなく、心から心配してそういってくれたそうです。でも・・・・「その1分間は私は音楽の教師ではない」
 講演をされた野田正彰さんは、それについてこのように言われました。「その理屈は、ある女性(少女でしたか)が売春をするときに『ほんの30分がまんすれはいいのだから』そういって合理化するその論理と同じなのです」と。
 一度しかない人生です。誰だって、たとえ1分だろうと30分だろうと、自分に正直に生きる権利があるはずです。納得のできないことのために魂を売らなければならない義務などあるでしょうか。それを良心というのではないかと私は思います。】

不起立教職員の氏名と理由を調査した市教委を住民監査請求で追及!
 
 さて、枚方市教委に対し、全国からたくさんの抗議をしていただいたことに感謝いたします。わたしたちは市教委への抗議、申し入れ、小中学校長への申し入れ書の送付、そして式当日のビラまきなどをやってきたが、新聞にも2月23日、3月8日(いずれも毎日新聞)そして3月26日(朝日新聞)と3回取り上げられることになった。とくに毎日新聞の村瀬記者には拍手をおくりたい。「学習指導要領にもとづき・・」というおまじない以外の言葉を持たない市教委がどれほど世論や市民の批判をおそれているのかということは容易に察しがつく。
 わたしたちは3月31日に住民監査請求をしようと思っている。30名を超える市民が名を連ねることになるだろうと思う。これは1月末から準備をしてきて、2月22日の集会の時にはじめて公表した取り組みである。その趣旨は、昨年の卒業式、入学式で起立しなかった教職員調査を市教委が行い、その氏名と起立しなかった理由を集計したことが、枚方市個人情報保護条例第7条の「思想、信条に関する個人情報の収集禁止」に該当するので、その調査のために使った違法、不当な公金の支出を返還しなさいというものである。
 このような住民監査請求は枚方市においては前代未聞だということらしく、たぶん監査請求にはなじまないという理由で却下されるのではないかとわたしたちは予想している。けれども、却下されることによって、また、住民訴訟への道が開かれるという道筋も用意されている。わたしたちは住民訴訟を視野に入れて監査請求にのぞむつもりである。市教委が教員の人権などまるで考えていなかったことを満天下に明らかにしたいと思う。むろん子どもたちをも、ひとりひとりの人間として見てはいなかったということもである。
                                         2003.3.27

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