広島県教委による不起立教職員への不当処分に抗議する!
              不起立生徒の人数調査を辞めよ!



 広島県教育委員会は3月30日、今春の卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったことを理由に、6人の教職員を戒告の懲戒処分にし、5人を文書訓告としました。私たちは、広島県教委の不当処分に対して、強く抗議し、処分の撤回を求めます。

 広島県教委は、2001年3月から、東京都教委の大量処分に先駆けて不起立の教職員に対して処分を強行してきました。不起立者に対しては、「反省文」を含む「顛末書」の提出を要求し、校長に対しては、日々の徹底した教職員管理を迫りました。連続して不起立の場合は、文書訓告から懲戒処分へと処分を重くしました。県教委に従わない教職員を徹底して弾圧し、「思想改造」を迫ったのです。
 教職員への「日の丸・君が代」攻撃は、子どもたちの強制へとエスカレートしています。広島県教委は、今年の卒業式で不起立教員の処分だけでなく、不起立の生徒の人数を公表しました。それは、自分の「思想良心の自由」に従った生徒の行為を問題視することであり、不起立の生徒への人権侵害そのものです。

 広島県教委は、毎年、「校長手持ち資料」(教職員処分校長用マニュアル)を各市教委を通じて校長に配布し、不起立の教職員への対応を事細かに指示しています。「校長は『国歌斉唱』の号令で教職員が起立したかどうか、だれがどの位置で起立していないか確認する」「(国歌斉唱時に不起立の職員がいた場合、)校長がその場に駆け寄るなどして、『起立してください』と周囲の者にも聞こえる程度の声で発言する」「不起立の教職員は、校長が式終了後、速やかに校長室に呼ぶなどして、『本日〇時〇分、国家斉唱時に不起立行為をしましたね』と任意に答えるよう求め、市町教委を通じ、教育事務所に報告する」等々。従わない教職員を監視し、処分するために、校長をロボットのように動かしているのです。
 
 「日の丸・君が代」強制がもたらすものは何か。広島の学校現場の状況が如実に物語っています。教育委員会は校長をロボット化し、校長は教職員を絶対的な支配化に置き、教育行政による学校支配を完成していきました。市場主義と競争原理の導入、道徳教育と「心のノート」の推進など、教育基本法「改正」推進派のめざす教育が、学校にストレートに持ち込まれ、子どもたちのための教育が国家のための教育に転換されようとしています。教職員の自主的な取り組みはつぶされ、学級運営や教育内容の全てに渡って、校長への報告、連絡、相談を義務付けられました。広島で先進的に取り組まれてきた反戦平和教育も「授業時数が足りない」と攻撃にさらされています。多くの学校で、職員会議は学期に一度となり、教職員の意見は、学校運営に反映されなくなりました。私たちは、「日の丸・君が代」強制を突破口にして進められている県教委の教育政策そのものに反対です。

 「権力で強制される状況になったことが腹立たしい。反論できれば、仕事のクビをかければ……。でも、生活を考えると、そうはできなかった。」と苦渋の選択を迫られた教職員もいます。「日の丸・君が代」強制反対して不起立を貫くこと、そのことを通じて子どもたちに思想良心の自由があることを伝えることは、広島では文字通り職をかけた闘いとなっています。
 私たちは、孤立しながらも闘い続ける広島の人々と連帯し、不起立教職員への不当な処分にともに抗議していきたいと思います。不起立生徒の人数調査を辞めるように、強く要求していきたいと思います。

                    「日の丸・君が代による人権侵害」市民オンブズパーソン
                                             2005.3.31


【新聞報道】

君が代起立せず11人を処分 広島県教委、組合は批判

 広島県教育委員会は30日、今春の卒業式で君が代斉唱時に起立しなかったとして、県立高校2校と県立養護学校1校、広島県東広島市などの中学校3校の計6校の教諭6人を戒告の懲戒処分にした。また、県内の小中高校4校の5人を文書訓告とした。
 県教委は処分理由を「校長の命令に従う義務を定めた地公法に違反する」などと説明。
 これに対し、県高等学校教職員組合の秋光民恵委員長は「年々、君が代強制の度合いが強まり、児童、生徒の内心の自由まで侵害されている。誰のための卒業式なのか、憤りを感じる」と厳しく批判している。
 県教委によると、11人はいずれも、3月の卒業式の前に校長から君が代斉唱時に起立するように職務命令を受けていたが、起立しなかった。
                                         共同通信 3/30


の丸・君が代:入学・卒業式の教職員対策 県教委、マニュアルで対応徹底 /広島

 ◇駆け寄り「起立を」校長室に呼び確認
 ほとんどの公立高校の卒業式が1日、行われる。県教委は卒業式や入学式での日の丸掲揚・君が代斉唱の徹底を強く指導。国歌斉唱時に起立しない教職員が、次々と処分されている。県教委は「強制ではない」とするが、県立学校長や市町教委に配布した式の実施手順を示すマニュアルには、「校長は『国歌斉唱』の号令で教職員が起立したかどうか、だれがどの位置で起立していないか確認する」「(不起立などは)市町教委を通じ、教育事務所に報告する」などの対応方法を記している。

 県教委は、98年に旧文部省の是正指導を受けて以降、卒業式や入学式での日の丸掲揚・君が代斉唱の徹底を強く指導。01年春の入学式以降、国歌斉唱時に起立しないのは職務命令違反と信用失墜行為だとして、延べ131人(広島市を除く)を懲戒処分にした。

 マニュアルは、国歌斉唱時に不起立の職員がいた場合、「校長がその場に駆け寄るなどして、『起立してください』と周囲の者にも聞こえる程度の声で発言する」などとしている。
 さらに、「不起立の教職員は、校長が式終了後、速やかに校長室に呼ぶなどして、『本日〇時〇分、国家斉唱時に不起立行為をしましたね』と任意に答えるよう求め、市町教委を通じ、教育事務所に報告する」と記している。この際、教頭の立ち会いなども欠かさないよう注意がある。
 広教組の小早川健・教文部長は「職務命令違反の形で強制する起立について、裁判になっても負けないように工夫されたマニュアルだ。県教委が配れば、校長が指示と受け取るのは当然のことだ」と批判している。
 これに対し、県教委指導1課の二見吉康課長は「マニュアルはあくまでも参考資料。この通りに実施するかは学校長の判断だ」と話している。【小山内恵美子】
                                        毎日新聞3/1


君が代問題:不起立の生徒数公表、県教職員組合協が抗議−−県教委に /広島

 ◇「生徒の意見表明否定」
 1日に行われた公立高校卒業式の国歌斉唱時、不起立だった教員と生徒の数を県教委が公表したのを受け、県教職員組合協議会(秋光民恵議長)は11日、県教委で、「生徒数公表は、生徒の思想・良心の自由を否定するものだ」と抗議した。
 県教委は3日の県議会文教委員会で、公立高卒業式での国歌斉唱時、生徒77人と教員4人が不起立だったことを報告。教員の不起立については、「厳正に対処する」としている。
 同協議会は「人数の公表は、生徒の主体的意見表明を問題行為として扱うもので、(起立させようとする)子どもへの心理的圧力にあたる。日の丸・君が代の強制は、重大な人権侵害だ」と批判した。【小山内恵美子】                    毎日新聞3/12


定年前退職:公立小中校教諭に急増 県内の元女性教諭訴え「締め付け強く…」 /広島

 ◇やる気奪う教員管理「締め付け強くなる一方」
 「授業の報告書作りなどに追われ、生徒に向き合えないうえ、校長の命令に反論もできない。教育への意欲を失った」。公立小中学校教諭の定年前退職が急増している問題で、昨年度の同退職者数が学校5日制導入前の01年度比2・27倍と、全国で3番目に高率だった広島県。県東部の中学校を昨年3月に退職した50歳代の元女性教諭は、学校5日制や総合学習導入などの教育改革による事務作業の負担増大を訴えた。さらに、広島県では教員管理が一方的に進められ、教員のやる気を奪っているという。【久木田照子、遠藤孝康】
 県内の公立小中学校教諭の定年前退職者数は、99年度に75人▽00年度に82人▽01年度に83人だったのが、学校5日制が導入された02年度に120人▽03年度に189人に急増した。県教委は98年5月、卒業式・入学式での国旗掲揚・国歌斉唱や教員の勤務の管理など13項目について旧文部省から是正指導を受けた。県教委が各学校長への指導を強める中、03年3月には、尾道市立小学校の民間人校長が自殺している。
 この元女性教諭は退職間際まで、授業時間数や内容の記録など、報告書の作成に追われる毎日だったという。約2年前から、提出を求められるようになった。
 生徒と向き合い、教材を研究する時間を作りにくくなった。生徒の要望が高いクラブ活動に取り組む余裕などない。「一人ずつの子どもに対応すると、自分に無理がかかる状況でした」
 同じころ、職員会議が話し合いの場から、管理職の決定事項を連絡する場に変わった。「今まで、現場で感じたことを話し合い、探ってきた。自分たちが守ってきたものは、何だったのかと思う」とつぶやく。
 卒業式の計画を話し合う職員会議が開かれなくなったのも、このころ。生徒の共同制作作品を飾ったり、日の丸を掲揚する場所や、君が代斉唱の取り入れ方なども話し合う場がなくなった。この元女性教諭は「権力で強制される状況になったことが腹立たしい。反論できれば、仕事のクビをかければ……。でも、生活を考えると、そうはできなかった」と話した。
 昨年3月に県東部の別の中学校を退職した40代の元女性教諭は、しゅうとめの体調悪化を理由に退職した。だが、本当は学校が嫌になっていた。
 50代の元女性教員と同様の教育環境の悪化が原因という。学校で議論が必要と思っていた時、「人事権は私にあると知っておいて」「教員を続けたかったら、状況に慣れなさい」などという校長の発言があった。憤りを感じたが、次第にあきらめの気持ちが強くなったという。
 広島県教職員組合が昨年、定年前退職者に実施したアンケートには「管理的な流れに対応できない。校長を追いつめても締め付けが強くなるばかりで、やる気を失う」などの答えが並んだ。
                   3月29日朝刊(毎日新聞) - 3月29日17時21分更新

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