教育基本法「改正」後の学校像を作り上げようとする広島県教委の教育実態 2004.8.22 |
通達と命令を通した教育の全面的支配、数値目標による徹底した管理と統制 東京都教委に先駆けた広島県の教育反動 伊賀正浩 【1】はじめに (1)広島では、文科省主導の「是正指導」と「教育改革」を車の両輪にして、通達と命令、処分を通した全面的な教育支配が始まっています。「是正指導」のすさまじさは、2000年の世羅高校石川校長「自死」事件、2002年の尾道市民間人校長「自死」事件を通じて、その都度断片的には明らかになっていましたが、教育現場が今どうなっているのか、その具体像は表面に出てきていませんでした。 しかし、広島の教育は、ここ数年で激変し、極めて深刻な事態が進行しています。昨年末から今年にかけて東京で起こったことが、広島ではすでに5年前に起こりました。2人の校長の「自死」事件をきっかけに「是正指導の内実化」が求められ、「義務教育改革ビジョン」によって全県的な学校改革が始まりました。「新たな『教育権ひろしま』の創造」を合言葉に、学校への競争原理と市場主義の導入、「心のノート」を活用した道徳教育の推進=画一的徳目の強制と「心の支配」、教職員管理と学校経営に目標管理型マネジメントの導入などが、一挙に全面的に押し寄せてきています。文科省・右派勢力が教育基本法『改正』によってめざそうとしている学校像が、はっきりと立ち現れてきています。 (2)現在、文科省、右派勢力は、東京都と広島県をモデルケースにして教育反動を推し進めています。両都県の教育を、全国に波及させようとしているのです。私たちは、石原知事の進める東京都の教育と同時に、文科省主導の広島県の教育そのものを厳しく糾弾していきたいと思います。全国的な『日の丸・君が代』強制攻撃を跳ね返していくためにも、教育基本法『改正』に反対していくためにも、広島で実施されている違憲・違法な教育の実態を明らかにしていきたいと思います。そのことを通して、孤立しながらも広島で暴力的な教育行政と闘い続ける人々と連帯していきたいと思っています。 【2】東京に先駆けた「君が代」不起立者への大量処分 県立高校・養護学校で7名処分(6名が戒告、1名が文書訓告)、小中学校での不起立者はゼロ−−−3月30日、広島県教委は、今春の卒業式での不起立者に対する処分を誇らしげに発表しました。しかし、この数字は県教委が、3年間かけて、命令と通達、監視と恫喝を使い分け、教職員の良心を追いつめ、「思想改造」を迫った結果であり、断じて許すことができません。 広島での不起立者への処分は、2001年卒・入学式から始まっています。広島県教委は、2001年3月には194名の不起立・退席の教職員が「文書訓告」、4月の入学式後には、卒業式から連続して不起立・退席した教職員78名を「戒告処分」、29名を「文書訓告」にしました。今年の東京都を思わせる問答無用の大量処分でした。 その後、広島では何が起こったのでしょうか。県教委は、不起立者に対して「起立しなかったときの自らの行動の説明」「その理由」「反省文」などを無理矢理書かせる「顛末書」の提出を強制しました。校長に対しては、不起立者に対する「指導計画書」の提出を求め、徹底した監視下に置くように命令しました。「顛末書」提出に従わず、再び不起立の教職員には、文書訓告から懲戒処分へと重い処分を課していきました。今年東京都での大量処分と被処分者に対して実施した「再発防止研修」は、3年前に広島で強行された違法な手法の再現です。 その結果、広島で起こったのが子どもたちと保護者への看過できない人権侵害でした。例えば、今年の卒・入学式では、以下の訴えが出ています。「練習の時に校長が生徒に対して国歌斉唱時に着席しないよう指導した。」「着席した生徒がいた場合は、伴奏を止め立たせた上で再度伴奏を始めるよう校長が指示した。」「ステージ上の飾りが撤去された。」「校長が音楽科教諭に「君が代」のピアノ伴奏を強要した。「校長がブラスバンドで「君が代」を演奏するよう担当者に強要した。」「卒業証書で元号表示を強制された」(詳しい報告は「良心と抵抗」第22号を参照) <広島で不起立・退席処分者の推移> 2001年3月 194名 4月 107名 2002年3月 28名 4月 14名 2003年3月 16名 2004年3月 6名 【3】通達と命令を通した徹底した教職員管理の実態 (1)職員会議の有名無実化による教職員の意見の封殺 暴力的な「日の丸・君が代」強制を契機にとして、広島の教育現場が、急速に上意下達式の官僚機構化しています。昨年度から広島の各学校で「小学校校務規程」が作成され、それに基づき「企画委員会運営細則」「職員会議運営細則」なるものが作られ始めています。校長の職務権限や「職員会議の補助機関化」を規定するだけでなく、学校組織を校長−企画委員会(構成:校長、教頭、各主任)−校務運営組織(総務部、指導部、学年部など)−主任(教務主任、学年主任、など)と校長を頂点としたピラミッド型の組織へと転換させるものとなっています。 とりわけ、職員会議の形骸化が進み、それにかわって企画委員会が重要視されるようになっています。ある学校の「企画委員会運営細則」には、審議事項が書かれていますが、「職員会議運営細則」には、「伝達・調整」事項しか書かれていません。学校運営について審議するのは、校長、教頭、主任の参加する企画委員会で、職員会議は、そこで審議されたことの伝達機関にすぎないのです。その職員会議さえ春休み、夏休み、冬休み期間中にそれぞれ1回になっています。司会者は、想定外の質問が出ると、校長の顔色を伺いながら却下することも多々あるとのことです。とにかく職員会議では議論させない、意見を言わせない。このことが徹底されています。一般の教職員は、管理職と主任が決めたことを実行するだけで、校務や学校運営について意見を言えなくなっています。それどころか、自分の勤める学校で何がきまり、何が行われようとしているか、わからないまま進んでいくことも少なくないのが現状です。 (2)教職員からの提案には、承認印の嵐。それがないと提案さえ出来ない!? 教職員が何か学校に関わることを提案しようと思えば、企画委員会に提出しなければなりません。企画委員会に提出する議案は、「校長の承認したもの」でなくてはなりません。校長承認以前に4者の印が必要となります。(下図参照)決定事項も「校長の決裁」をえなければなりません。 担当者→担当主任→教務主任→総務→教頭→校長→担当者→総務 ただでさえ忙しい学校現場で、こんなことが出来るでしょうか。意欲のある教員ほど肉体的にも精神的にも疲れ切り、病気にさいなまれているのです。 学校ごとの「規程」「細則」は、校長独裁の制度化であり、教職員へは文書と報告、承認を義務ずけ、徹底的に個人的な意見を封殺するためのものです。文科省の言う校長のリーダーシップ、校長権限の強化の行き着く先が、広島を見れば一目瞭然です。 <資料> ○○小学校企画委員会運営細則 (目的) 第1条 この細則は、○○小学校校務規程第4条に基づき、教育企画委員会(以下「委員会」という。)の組織及び運営について必要な事項を定めるものとする。 (組織) 第2条 1 委員会は、学校教育法第28条3項の規程に基づき、校長の意思に置いて設置するものである。 2 委員会は、校長の意思決定に当たっての補助機関であり、学校運営の全般にわたる校長の意思決定の補助を行う。 (審議内容) 第3条 委員会は次の事項を審議する。 (1)校務の重要事項について、校長が意思決定するための意見をまとめること (2)部会、学年会等から提案、報告事項を審議し、連絡・調整をはかること (構成) 第4条 委員会は、校長、教頭、教務主任、学年主任、研究主任、生徒指導主事、保健主事等をもって構成する。但し、必要と認めるときは、他の出席を求めることができる。 (招集) 第5条 委員会は、校長が招集する。 2 校長が事故ある時は、校長の了承を受けて教頭が招集する。 3 校長が欠けたときは、前項の規定にかかわらず、教頭が招集する。 (開催) 第6条 委員会は原則として月1回開催する。但し、校長が必要と認めた場合、臨時に開催することが出来る。 (議案) 第7条 議案は校長から試問を求められたものとする。また、各部会、各学年、各係等から教頭に提出されたもので、校長の承認を得たものとする。 2 委員会で審議されたものは、校長の決裁を受ける。 3 委員会に提出された事項は、教務主任が事後処理を行う。 (司会及び記録) 第8条 委員会に司会及び記録を置く。 2 司会は教務主任が行い、議題の整理等円滑な運営を行う。 3 記録は審議内容についてまとめ、職員に周知する。 (記録の保管) 第9条 委員会記録は校長の決裁を受け、教頭が保管する。 (その他) 第10条 この細則で定めたもののほか、委員会組織及び運営に関する必要な事項は、校長が定める。 ○○小学校職員会議運営細則 (目的) 第1条 この細則は、○○小学校校務規程第11条に基づき、職員会議(以下「会議」という。)の組織及び運営について必要な事項を定めるものとする。 (招集) 第2条 会議は校長が招集し主宰する。但し、校長が事故ある時は教頭が招集する。 (会議) 第3条 会議は定例会及び臨時会とする。 2 定例会は毎学期前後の休業中に開催する。 3 臨時会は校長が必要と認めたとき開催する。 (所掌事務) 第4条 会議は次の事項について伝達・調整を行う。 (1)学校運営に関する重要な事項に関すること。 ア 学校教育目標及び学校経営方針 イ 校務分掌 ウ 教育活動の推進、計画・実施 エ 教育課程の管理(編成・実施・評価等) オ 予算の執行や施設・設備の充実、改善 カ その他校長が必要と認める事項 (2)校内における連絡・報告・調整に関すること ア 教育課程及び学校行事等の実施に関すること イ 各種事務処理に関すること ウ 生徒の指導に関すること エ 地域社会に関すること オ その他校長が必要と認める事項 (3)校長又は関係機関の指示・伝達等に関すること (4)その他校長が必要と認める事項 (議案) 第5条 議案は校長が承認したものとする (1)校長が提出するもの (2)企画委員会で審議されたもの (3)緊急対応のため、職員から教頭に相談があり、校長が了承したもの 2 議題、資料等は事前に提出すること。 (司会及び記録) 第6条 司会及び記録は、会議の運営が円滑に行われるように準備し、時間内に終わるように努めるとともに、会議内容を正確に記録する。 2 司会は原則として次の要領で会議を進行する。 (1)出席者の確認 (2)議題の確認及び終了時刻の通告 (3)議題説明の指示 (4)補足、質疑の確認 (5)校長の決定及び承認 3 司会は、会議の円滑な運営を図るため、必要がある場合、発言者を指定したり発言を制限することができる。 4 記録は原則として次の事項を記録・整理する。 (1)開催日時および開閉時刻 (2)議事内容及び結果 (3)会議資料 5 会議録の様式は別に定める。 (会議録の決裁) 第7条 校長は提出された会議録の内容を確認し、決裁する。 (会議録の保管) 第8条 会議録は教頭が保管する。 2 会議欠席者は会議録等で内容を確認する。 (その他) 第9条 この細則で定めたもののほか、会議組織及び運営に関する必要な事項は、校長が定める。 (3)是正指導から始まった授業内容への露骨な介入 @ヒロシマ平和公園、原爆資料館への社会見学がダメ 1998年から始まった文科省の是正指導では、「日の丸・君が代」だけでなく、教育内容への全面的な介入を始めました。「人権学習の内容」「道徳の時間と内容」「授業時数の確保」等々。県教委は、まず全ての学校の授業時数について実態調査を行い、「授業時数確保」の名目で、教職員が自主的行っていた原爆資料館や被爆者と協力いて実践してきた平和教育、人権教育に圧力をかけました。明確な指示出はなく、あくまで「授業時数の確保」のために事実上不可能に追い込みました。文書による指示・通達によらない新しい強制の形です。校長は、全ての担任教員に、週案の提出を義務づけ、授業内容のチェックを事細かに行っています。今では、平和都市・ヒロシマで平和公園、原爆資料館への社会見学が実施できなくなっています。これは、広島だけの問題ではありません。全国の反戦平和教育に対する攻撃です。 A教室掲示までマニュアルで指示 昨年、県教委によって、広島県下の学校から平和カレンダーが「中立性に欠く」として撤去されていったことは記憶に新しいと思います。しかし、県教委の(暗黙の)「指導」は、それだけにとどまっていません。6月18日、県教委は、県議会の答弁で「教室内への掲示にあたり、教材として偏りがなく公教育の中立性に誤解を与えないことなどを十分精査する必要がある」と発言。その意を受けた市教委が、学校訪問を通して教室環境について注文を付ける。それだけで、県教委の意図は伝わります。各学校では自主的に「教室掲示マニュアル」を作り、全学級で統一した教室掲示を始めています。ある中学校のものを以下に紹介します。 B授業研究公開を通した教育委員会の学校支配 2000年以降、広島では「確かな学力を子どもたちに」推進プロジェクトを推進し、授業研究公開を頻繁に行っています。小学校では、2000年度に164校、2002年度には427校。今年度はそれにプラスして道徳の研究公開が30校。何と8割近い学校が授業研究公開を行っています。公開研究の準備のために、日常的に教育委員会や指導主事が学校に出入りし、授業内容から学校経営までチェックしていきます。教職員は、全ての学級で授業研究が強要され(授業研究は最低でも一人年間1回、多いところでは学期に1回)、研究公開に向けた校内研修会も頻繁に行われます。ある学校の「公開研究会」までの研修計画を見ると、週に1回以上のペースで校内研修が実施されています。教職員は、「公開研究」の準備に追われて、放課後や休み時間、子どもたちと関わりを持つ時間が奪われているのが現状です。 (4)学校事務所、市教委による学校訪問=学校経営、教育内容の監視 教育委員会による学校支配は、命令と通達を通してだけやられているのではありません。学校訪問を通したチェックと報告によって、学校をがんじがらめに支配しているのです。学校訪問は、教育事務所が年間1回、市教委が年間数回、10人以上の人数を引き連れて、学校経営関係、児童生徒間系、教職員関係、教育課程関係、授業時数関係などありとあらゆる書類をチェックしていきます。訪問時には授業参観も行い、授業内容から教室環境、掲示物まで監視の対象にします。「職員会議の資料の中に、企画委員会を通っていないものがある」「健康診断表に西暦表示がある。元号に直すように」「週案と年間指導計画があわない。」「不登校の未然防止になることをせよ」「授業で寝る子をつくらない」など、あきれてものも言えないほどの指摘を行い再報告を求めるのです。「改善」されないときには、学校訪問が繰り返されたり校長ヒアリングが行われ、教育委員会の徹底した管理を行います。学校側は、学校訪問の日が決まると、何日もかけて全ての書類を点検し、教育委員会の意に沿わない内容がないか自主的にチェックしていくのです。教育委員会からの明確な指導や指示がなくても、学校支配が貫徹する所以です。処分の乱発に加えて、これがたった数年間で教育現場を激変させた広島県教委のやり口です。 【4】教育基本法「改正」後の学校像を作り上げる広島県教委の「義務教育改革ビジョン」 (1)「義務教育改革ビジョン」で加速する学校の「目標管理型マネジメント」 県教委は、是正指導と同時に「義務教育改革ビジョン中期プログラム」を作成し、教職員管理と教育内容に数値目標を設定した「目標管理型マネジメント」を持ち込みました。2000年度から始めた「義務教育改革ビジョン」は、2003年度から本格的な実施段階に入り、競争原理と市場主義を学校に浸透させる過程に入りました。広島県下の全ての小中学校に「基礎・基本」定着実況調査という学力テストを実施し、「通過率60%以上」(得点60点以上)の児童の割合を数値目標にして設定させています。その結果を各学校のHPで公開させ、学校間競争をあおっています。(インターネットで広島の学校を検索し見てください!)数値目標の設定は、学力だけでなく「体力テストで全国平均以上の種目が50%」「運動部への加入率が73%」「不登校児道の発生率が0.40%」など、あらゆる項目に設定され、競わされています。 学校選択の自由化が、学校間競争を極度に高め始めています。2002年に熊野町で制度化されて以来、尾道市(小中学校)、千代田町(小学校)、呉市(小中学校)、三次市(中学校)に広がり、来年度からは広島市の全域(中学校)と、雪崩を打って越境入学=学校選択の自由化が広がる気配です。しかし、すでに熊野町では、隣接する中学校で入学者が倍以上も違う学校も現れています。入学者が少なかった学校では、「PR努力が足りなかった」と生徒集めに奔走し、一層熾烈な競争へと向かっています。 (2)教職員管理にも「学校マネジメント」の導入 「義務教育改革ビジョン」は、教職員管理「学校マネジメント」を全面的に導入しようとしています。その具体化が、新たな人事評価制度と学校評価システムです。2003年度から「新たな人事評価制度」が導入され、教職員は自己申告による目標管理化に置かれています。自己申告書にも「数値目標を立てるように」と圧力がかけられています。自己申告書の未提出者の中には、いきなり僻地校へ転勤になった者もあり、東京都同様に人事評価制度と人事異動が連動する動きも出てきています。教育長は、すでに2月県議会で「人事上の処遇や給与に反映することが重要」とその本音を露わにしています。 *2004年からの実施されている「広域人事異動方針」については、「良心と抵抗」第20号に掲載。今年の人事異動でも、組合役員が遠距離通勤を強いられるケースが生じており、不当人事として人事委員会への申し立ても始まっている。 教職員・保護者・子どもたちへのアンケートを通したが学校評価システムが実施段階に入りました。学校評価の名目で、細かく教職員と子どもたちを管理するシステムです。ある学校の「学校評価表」の「評価項目」です。これらの項目について、4段階で評価し、その結果をHPに公開しているのです。 講師を招聘して年間1人1回以上の研究授業を行う。 教育センターの講座を1人2回以上受講する。 国語と算数のCRTの通過率を全学年とも75%以上にする。 国語と算数の各単元の中で補充・発展学習を行う。 単元の終わりのテストの通過率を80%以上にする。 家庭学習のできる児童を90%以上にする。(漢字ドリル・計算ドリル・自主課題等) 新体力テストの半分の項目で全国平均を上回る児童を50%以上にする。 体育の授業の中で学年の課題に応じた体力つくりを5分以上必ず組み込む。 1日に10分以上の外遊びをする児童を100%にする。 家庭での体力つくりに継続して取組む児童を100%にする。(なわとび等) 友だちや来客に挨拶ができる児童を100%にする。 ベル着が行える児童を100%する。 教員と児童全員が取り組む全校清掃タイムを100%徹底する。 朝読を定着させ,推薦図書(各学年5冊)と自薦図書(低50・中40・高30冊)を読みきる児童を100%にする。 自然に関する気づきを書き留める児童を100%にする。 全学年で年間2冊以上の作品集を発行し,公開する。 月1回以上のホームページの更新と学校・学年だよりを発行する。 授業参観と学級懇談会の出席率を50%以上にする。 欠席児童宅には家庭訪問をするなど常に家庭との連携を密にする。 保護者の学校評価アンケート回収率を90%以上にする。 全ての項目において50%以上の肯定的評価を得,70%以上の評価を得る項目を半数以上にする。 学校評議委員会を6月と12月に開催し,学校経営について参考意見を求める。 (3)広島版学校改革の完成した姿=「学校経営改革モデル校」 広島県教委は、「義務教育改革ビジョン」を完成させるために、今年度から「学校経営改革モデル校」として16校指定しました。県教委は、「組織を強化するため、学校の権限と責任の所在を明確化することが大きなねらい。校長権限を、どの程度教頭や主幹に委譲できるか。」とその目的を語ってます。これが、彼らにとって尾道市民間人校長「自死」事件の教訓なのです。人の命を二の次にして、数値目標を全てに優先させる絶対服従体制の完成をめざしているのです。 モデル校には、東京都に次ぎ2例目となる主幹制度を導入しました。また、一般教職員には「エキスパート教員認定制度」を導入し、給与待遇面で優遇措置を執り、自主的に県教委の政策を推進する教職員を作ろうともしています。 【5】学校・教職員の数値管理は、子どもたちの数値管理へ (1)学校間競争の激化は子ども同士の競争激化を招く 数値目標による熾烈な学校間競争は、子どもたちの間での競争と差別を助長することにほかなりません。先の「学校評価表」の項目を、もう一度見てください。いわゆる「学力」に関する目標だけでなく、体力、あいさつ、読書、外遊びについても数値目標化されています。学校生活のあらゆる側面での子どもたちの管理が進んでいます。その一方で、子ども同士の繋がりの大切さ、仲間作りなどは、全く顧みられていません。一人一人の子どもたちが、数値目標で縛られ、友だち同士の横の繋がりを分断されている、そんな姿が見えてくるように思えます。 その中では、子ども同士は競争者となり、数字によって「出来る者」と「出来ない者」へ選別され、「出来る者」は、「出来ない者」への優越感と差別意識を植え付けられていきます。仲間を見つけ、仲間と共に生きる教育の死を意味します。 (2)学校と教職員への数値目標型管理は、そのまま子どもたちの数値目標化 子どもたちを数値管理するために、子どもたちに学力テストをはじめさまざまな「アンケート」と称する思想チェック・行動チェックが行われています。広島市では、小学1年生に対して「自己評価カレンダー」を配布し、睡眠時間、朝食、排便、外遊びなど生活のあらゆる側面で「努力目標」を書き込ませ、「自己評価」をさせています。数値目標の達成のためには、子どもたちの内心など、踏みにじられても仕方ないとでも言いたいのでしょうか。 |