東京弁護士会が、「国立第二小問題」で校長、国立市教委、産経新聞の
                     人権侵害を指摘!


【当時の校長に勧告】

                                         東弁人第168号
                                          2005年3月29日
○○○○ 殿
                                          東京弁護士会
                                          会長 岩井 重一

                            勧告書

 貴殿が、国立市立第二小学校の校長として在職中、2000年3月28日付の「卒業式実施報告書」に、「日の丸」の掲揚に反対する児童らが集団で校長に詰めより「日の丸」の降納及び「土下座」による謝罪をさせたと読みとれる記載をしたことは、事前の説明なく「日の丸」を掲揚した理由等の説明を校長に対して求めようとした児童らの意見表明権の行使につき歪曲して記載するものであり、児童らの意見の表明を「相応に考慮」すべき義務に違反し児童らの意見表明権を侵書するものといわざるを得ません。
 よって、今後は児童らの意見表明権を尊重し、二度とかかる行為に及ぶことのないよう、勧告致します。



【国立市教委に勧告】
                                          東弁人第168号
                                          2005年3月29日
国立市教育委員会 御中
                                           東京弁護士会
                                          会長 岩井 重一


                          勧告書

 貴委員会は、国立市立第二小学校(以下「国立二小」といいます。)の1999年度当時の○○○○校長に対し、2000年3月24日に実施された同校の卒業式について「卒業式実施報告書」の作成を指示し、結果、同校長は2000年3月28日付で同報告書を作成しましたが、同報告書には、「日の丸」の掲揚に反対する児童らが集団で校長に詰めより「日の丸」の降納及び「土下座」による謝罪をさせたと読みとれる記載があります。これは、事前の説明なく「日の丸」を掲揚した理由等の説明を校長に求めようとした児童らの意見表明権の行使に関して歪曲した記載であるといわざるを得ません。
 貴委員会は、報告書の作成に閲し校長に適切に指導助言すべき立場にあるものであり、同校長に上記の如き記載をさせたことは、指事助言に遺漏があったと認められ、ひいては児童らの意見の表明を「相応に考慮」すべき義務(子どもの権利条約第12条1項)に違反し児童らの意見表明権を侵害するものといわざるを得ません。
 しかも本件では、当該地域において、その後、政治団体の街宣活動が頻繁に行われるなど、国立二小の卒業生に対して多大な心理的負担を与える事態も発生しており、このような事態が招来されたことは真に憂慮すべきことです。
 よって今後二度とかかる事態を招来しないよう、また今後は児童らの意見表明権に十分配慮した教育行政を遂行されるよう、勧告致します。



【産経新聞社に要望書】
                                           東弁人第168号
                                            2005年3月29日
株式会社 産業経済新聞社
代表取締役会長 住田 良能 殿
                                            東京弁護士会
                                            会長 岩井 重一

                           要望書

                          要望の趣旨

 「産経新開」の2000年4月5日付朝刊に掲載された「児童30人、国旗降ろさせる」と題する記事(以下「本件記事」といいます。)には、同年3月24日に行われた国立市立第二小学校(以下「国立二小」といいます。)の卒業式の様子につき、式典終了後に子どもたち30人が日の丸降納を校長に対して迫ったかのような記載があり、また、児童が興奮して涙ながらに「謝れ」「土下座しろ」等と謝罪を要求した旨の記載があります。これらは教育委員会の卒業式実施報告書をもとに記事にされたと思われますが、当会の調査によると必ずしも事実を正確に伝えたものとは認められません。
 この点について別紙(写)添付のとおり、当会は国立市教育委員会及び当時の国立二小の校長○○○○氏に対し勧告しました。
 このような誤解を生じる記事を掲載することは、児童らの名誉及びプライバシーのみならず、子どもの権利条約で保障された意見表明権を侵害するものであります。
 しかも本件記事が端緒となって、当該地域においてその後、政治団体の街宣活動が頻繁に行われるなど国立二小の卒業生に対して多大な心理的負担を与える事態も発生しました。
 当会は、本件記事掲載に際し、貴社の十分な裏付取材がなされなかったことを深く憂慮するものであり、貴社におかれてもかかる取材経過を真摯に再調査されること、そして今後、国立二小を含む学校の入学式・卒業式に関連する報道を行う場合は、本要望書の趣旨に沿って子どもの人権に十分配慮し、慎重な取扱いがなされるよう、ここに強く要望いたします。




【新聞報道】

産経新聞に人権配慮要望 卒業式国旗報道で弁護士会 (河北新報3/31)
http://www.kahoku.co.jp/news/2005/03/2005033101003418.htm

 産経新聞の記事で、東京都国立市立第二小の児童が卒業式で日の丸を降ろすよう校長に集団で迫ったかのように報道されたとして、保護者3人から人権救済の申し立てを受け、調査した東京弁護士会は31日までに、産経新聞社に対し「記事は正確ではなく、児童の人権に十分配慮してほしい」と要望した。
 産経新聞は2000年4月5日付朝刊で、同年3月の卒業式を「児童30人、国旗降ろさせる」「校長に土下座要求」などの見出しで報道した。
 29日付の要望書は児童らが校長に(1)日の丸を降ろしてほしいと発言(2)掲揚の説明が事前になかったことの謝罪を要請(3)居合わせた1人が「土下座」という言葉を使用−−は事実としたが「その場にいた約30人が一斉に土下座による謝罪を求めたとは認められない」と指摘。

※その他、四国新聞・熊本日日新聞・中国新聞・静岡新聞・山陽新聞・秋田魁新報・東奥日報・福島民友新聞・岩手日報


子供の権利侵害:東京弁護士会が産経新聞に要望書 (毎日3/31)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050401k0000m040107000c.html

 東京都国立市立第二小の00年の卒業式で「児童が集団で国旗を下ろすよう校長に詰め寄り土下座での謝罪を求めた」などと産経新聞が報じたことに対し、東京弁護士会は29日付で、同新聞社に「報道は正確でなく、人権に配慮した報道を望む」との要望書を出した。同市教委や当時の校長には「(報道のもととなった)わい曲した報告で、児童の意見表明権を侵害した」と勧告した。

 産経新聞が00年4月に報じた後、政治団体の街宣活動が行われ、児童の保護者が同年7月、人権救済を申し立てた。

 同弁護士会が調査した結果▽報道は校長が市教委に出した「卒業式実施報告書」を閲覧か入手して書かれた▽実際は校長から離れた一部の児童が「土下座してもいいくらいだ」と吐き捨てた程度−−と判断。勧告や要望書で「報告や報道は、誤った印象を与え、児童の名誉やプライバシー、意見の表明権を侵害している」と批判した。【井崎憲】

 ▽国立市教委の話 勧告は真摯(しんし)に受け止めたい。今後とも教育行政に生かしていきたい。

 ▽産経新聞社広報部の話 記事は確かな取材に基づいた事実を伝えたもので児童らのプライバシー等も十分配慮している。

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