大阪府立高校での始めての「起立」を強制する職務命令の発出!


 2010年、大阪府教委は、大阪府立東寝屋川高校の卒業式において3年学年団に「起立斉唱」を強制する職務命令を出しました。府立学校では始めてのことです。不起立だった教職員4名に対して、府教委と校長は「顛末書」の提出を要求しました。懲戒処分に向けた動きであり、抗議の声をあげていきたいと思います。


■ホットライン大阪からの申し入れ

2010326

東寝屋川高等学校校長

                         申し入れ書

私たちは、「『日の丸・君が代』強制反対ホットライン・大阪」と申します。1999年の「国旗・国歌法」成立以降、「日の丸・君が代」強制による子どもたちや保護者、教職員の「思想・良心・信教の自由」の侵害を許さないために、2000年より電話・ファックス・メール等による相談活動を11年間にわたって継続し、相談内容によっては大阪府教育委員会・各市教育委員会・校長への直接の申し入れ等を行ってまいりました。

さて、貴職は、2009年度卒業式において、大阪府教育委員会と相談の上で「国歌斉唱時の起立・斉唱及び生徒の指導」を強制する「職務命令」を発令されました。この行為による重大な人権侵害の事例を確認しましたので、私たちは、貴委員会に対し強く抗議すると同時に、下記の要求事項に対して誠実な回答と対応を行うよう要望いたします。

貴職は、本年39日に実施された大阪府立東寝屋川高等学校卒業式に際して、その前日、卒業学年である第3学年団に所属する教員に対して、卒業式の「国歌斉唱」時に起立して斉唱するよう命じる「職務命令書」を発令しました。貴職は、昨年度卒業式においても、卒業式で「国歌斉唱時」に起立しなかった第3学年団教員に「顛末書」の提出を強要しました。結果、大阪府教育委員会は、「顛末書」のみを根拠として、当該の教職員に対する「厳重注意」処分(20096月)を強行しました。今回も、同命令書を手交した教員のうち「国歌斉唱」時に起立しなかった教員に対して「顛末書」の提出を強要しています。「顛末書」は、記述内容を例示し、不起立の理由及び今後の決意まで記入させる様式となっており、また、卒業式の事前に学年団教員全員に対し「起立」「不起立」の意思確認を行っていたとの情報が本会に寄せられています。これらは、「思想調査」そのものであり、その違法性は明らかです。「枚方スミ塗り裁判」高裁判決(確定)でも、「地教行法の各条項に基づき思想, 信条及び信仰に関する個人情報の収集等が許されるとすると・・・教職員に関する限り, 市教委がいかなる個人情報も収集等することが可能となり, いわゆる『思想調査』も無制限に容認されることとなりかねず, そのような結論は到底採り得ない。(2007.11.30大阪高裁)」と判示されています。神奈川県個人情報保護審査会でも同様の答申が行われています。

私たちは大阪府教育委員会に対しても同趣旨の要求書を提出していますが、貴職の責任において、早急に、大阪府教育委員会が当該の教員に対するいかなる「処分」も行わないよう強く意見具申されることを要求します。また、「顛末書」及び事前調査による「思想調査」を今後は行わないことを確認するよう要求します。

昨年の東豊中高校事件高裁判決(確定)では、「君が代という国歌が担ってきた戦前からの歴史的役割に対する認識や歌詞の内容から、君が代に対し負のイデオロギーないし抵抗感を持つ者が、その斉唱を強制されることを思想信条の自由に対する侵害であると考えることには一理ある。とりわけ、『唱う』という行為は、個々人にとって情感を伴わざるをえない積極的身体的行為であるから、これを強要されることは、内心の自由に対する侵害となる危険性が高い。したがって、君が代を斉唱しない自由を尊重されるべきである。(2009.9.9大阪高裁)」と指摘しています。思想・良心の自由は、個人の内面的精神活動のうち最も根元的な自由であり、憲法19条は、その根元的自由を外部からの干渉介入から守るために絶対的に保障しています。個人の内面的精神活動の自由についての規律はあくまでも個人の自律に委ねるものです。1994年の政府統一見解では、「学校における『国旗・国歌』の指導は内心にわたって強制するものではない」とされ、1999721日の衆議院内閣委員会文教委員会連合審査会においても、国旗・国歌の指導について「何らかの不利益を被るようなことが学校内で行われたり、あるいは児童生徒に心理的な強制力が働くような方法でその後の指導等が行われるということはあってはならず、学習指導要領は直接、児童生徒に対して拘束力を持つものではない」と確認されています。したがって、卒・入学式で「君が代を斉唱しない自由」は、憲法の保障する自由権として、すべての子どもたち、保護者、教職員に認められなければなりません。 

私たちは、今回の「職務命令」に強く抗議するとともに、貴職が下記事項の実施について誠実に対応されるよう求めます。

本申し入れ書全般について及び下記の要求事項についての貴職の見解を4月7日までに、下記の連絡先まで回答いただくよう要望します。

                  記

(1) 「国歌斉唱時に起立・斉唱する及び生徒を指導する」という「職務命令書」を発令した理由及びその法的根拠を明らかにすること。なぜ、「職務命令」でなければならなかったのかを明確に示すこと。

(2) 同「職務命令」は不当であるので、遡って「命令」の無効を確認すること。同「職務命令」に基づく、一切の「処分」を行わないよう大阪府教育委員会に対して意見具申を行うこと。

(3) 2010年度入学式・卒業式に際して、「職務命令」による教職員に対する起立・斉唱の強制を行わないこと。事前調査及び顛末書等による一切の「思想調査」を行わないこと。

(4) 良心に基づく「不起立」によって、生徒や保護者がいかなる不利益も受けないことを確認し周知すること。子どもたちが国歌斉唱への参加・不参加を自発的に決められる環境を保障すること。

(以上)

                     「日の丸・君が代」強制反対ホットライン・大阪


■東寝屋川高校の「人権」を守る会の申し入れ

大阪府立東寝屋川高等学校
           長廻暢一校長先生に
          わたくしたちは抗議します。

 謹啓、私たちは、大阪府立東寝屋川高等学校卒業生とその保護者です。

 このたびの東寝屋川高校の栄えある最後の卒業式において、貴殿はこともあろうに先生方に対し、「国旗に向かって起立して国歌を斉唱すること」との「命令」を発令されたと聞き及びます。

  貴校の教育方針にはこうあります。

 「憲法の方針に則り、教育基本法に示されている通り、人格の形成をめざし、国家・社会の形成者として心身ともに健康な国民を育成する」

 にもかかわらず、貴殿は、憲法19条を蹂躙し、祝福すべき第30期生卒業式を「命令」という、民主主義教育を否定するかのごとき挙動でもって汚されました。

 国旗・国歌について、近現代の日本の歴史のなかで、さまざまな考えが存在することは教育者として充分ご承知なさっているはずです。「立て」「歌え」という命令が思想良心の自由を侵害するものであることも承知なさっているはずです。

 貴殿が発せられた「命令」に私たちは強く抗議します。

 貴殿の発せられた「命令」は、第30期卒業生とその保護者のみならず東寝屋川高校の歴史と伝統を愛するすべての卒業生とその保護者の心を傷つけるものです。

 憲法と子どもの人権条約に則り、卒業式における「国歌斉唱」を一方的に「命令」によって執り行われようとした貴殿に対し私たちは怒りを禁じ得ることができません。 

2010323

東寝屋川高校の「人権」を守る会