ふいめいのにっき       ドバイの休日 


2003年11月24日

アフガン航空主催のイードくじ引き大会の一等がまんまと当ったため、ドバイに行くことになった。アフガン熱も冷めやらぬまま、再び飛行機にとび乗ったふいめいは、カイロから三時間足らずでドバイ国際空港に到着した。


ドバイの道路は完全に舗装されていて、どこもかしこもハイウェイといった感じである。ビルはすべてピカピカ、ホテルとショッピングモールが林立している。カーブルとカイロの土っぽい光景に慣れ親しんだ者にとって、そこはまるで宇宙であった。






パブリックビーチ
そして、巷は11月だというのに、ドバイにはさわやかな夏があった。


この町にはいくつものビーチがある。一つは無料で遊べるパブリックビーチ。私が訪れたのがちょうど金曜日だったため、パキスタン人やスリランカ人、インド人、イラン人など男性の集団が手をつないで波間を歩いたり、サッカーをしたり、出稼ぎの合い間の余暇を楽しんでいるようだった。

ジュメイラにあるビーチパークスに行くと、女性の姿が断然増える。ここの入場料は5ディルハム(約150円)。欧米女性が水着姿で寝そべったり、インド系の女性が服のまま水遊びをするのを、シャルワールカミースの男たちが呆然と見つめたり、写真を撮ったりしているのはちょっとかわいかったりもする。

数多いホテルのプライベートビーチになると、周りに寝そべるのはほとんど欧米人であるため、さらに自分がどこにいるのかを忘れる。唯一中東にいることを思い出させてくれるのは、海岸を歩くラクダくらいのものである。


さすがにラクダ乗りの青年もハイソで、乗れなどという勧誘は一切しない。彼はカメラを向ける人々に笑顔で手を振る。「アラビアの海」の出演者のひとりなのである。


入場料は100dh(約3300円)程度。一日中サンベッドやプールを好きに使うことができる。




プライベートビーチ



ビーチと同様、ドバイの町自体、場所によって集う人々がはっきりと分かれていることが次第にわかってきた。ゴールドスークのあたりには商人や出稼ぎの人々が集い、屋台料理をほおばっている。高級ホテルのレストランやバーでは欧米やアラブのビジネスマンや金持ちがカクテルを片手に物憂げにドバイの夜景を眺める。では、ドバイ出身の普通の人々は一体どこへ遊びに行くのか。



ある晩、その謎が解けた(と思われた)。北部に「ヘリテッジ・ヴィレッジ」というドバイ文化村がある。入場料は無料、独特の顔飾りをつけた女性がパンケーキのような食べものを焼き、家族連れが列をなして買っていく。郷土料理やお土産物の屋台も並んでいる。また、人々が集って歌ったり踊ったりする広場がある。何もかも値段は格安、お祭りのように楽しいところである。


そして、意外なことに、ここを訪れている人の多くが現地の人々のようであった。言ってみれば、日本で皆がそろって「日本村」に行くというようなものであるが…。



スークの屋台で売っている2dhのシュワルマから、フレンチベーカリーのブランチ(イチゴジュースはこの上なくおいしかった)、ハイヤットホテル一階のミニ懐石ご膳まで、五日足らずの滞在であったが、中東のオアシス(?)「ドバイ」を充分に味わうことができた。


そして、滞在最後の夜。ホテルのサウナとスチームバスを楽しみ、ピアノの生演奏に目を細めつつ、この上なくおいしいラム酒ケーキをほおばっていたふいめいの頭に、O. ヘンリの短編小説に出てきたある女性のことが突然浮かんだ。彼女はお針子として一生懸命働き、一年間のうち数日だけ避暑地で思いっきり贅沢をすることに決めていた。そして、そこである男性と知り合い…。あれれ、それからどうなったんだっけ?






目覚めるとカイロの自分のベッドだった。

もしかするとすべて夢だったのかもしれない、と思うふいめいであった。




(2003/11/30記)
注:「アフガン航空主催のイードくじ引き大会」というのはもちろんフィクションです。




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