ふいめいのにっき    チェコの歌姫
 
2003年1月19日

アンマンへ行くために、成田からルフトハンザに乗ったときのことである。
ルフトハンザ航空の座席は異常に狭く、おいおい、ドイツ人ってもっと大きい人たちじゃないの?と一人ぶつくさと言っていた。右隣は長髪を束ねた浪人のような外国人男性、左隣はマニアっぽい日本人男性だった。11時間、無言で堪えるしかないか、とわたしは思い、ワインを注文してちびちびとやっていた。

食事が運ばれてきたとき、一瞬、右隣の外国人男性と目が合った。

「ボナペティ。」

彼はごく自然にそう言った。わたしは一瞬戸惑ったが、それから、「どこから来たのだ」「どこへ行くのだ?」「日本はどうだ?」といういつものトークが始まったのは言うまでもない。

彼はチェコ人で、マグダレナ・コジェナーという有名な歌手のマネージャーだという。今回もプロモーションのために日本に来た。年は32歳(確か)。

私たちはシャンパンを飲みながら、人生について、恋愛について、仕事について、語り合った・・・。

その後、わたしはアンマンから帰国した。

飛行機での会話など、すべて社交辞令であると考えていた薄情者ふいめいのところに、彼から電話があった。「彼女のコンサートに行きたいと言っていたから、席を用意しておいた」と言うのである。わたしは心底驚き、そして反省した。

当日になった。コンサート会場は武蔵野である。

座席は超満員。彼が用意準備してくれたのはなんと前から6列目、紛れもないS席である。

マグダレナ・コジェナーは1973年チェコのモラヴィア地方で生まれた。父は数学者、母は生物学者という家であったが、彼女自身は幼いころからピアノと声楽に夢中で、その才能は幼少期からすでに他を凌駕していたという。オペラの子役に始まり、やがて歌劇場で活躍するようになった。

そうして初ソロ・アルバム「バッハ・アリア集」(ぜひこれはお試しいただきたい)の大成功によって、国際舞台へと飛び出したのである。

音楽、とくに声楽に関しては造詣の深くないふいめいであるが、その声量、表現力、声幅にはすなおに感激させられた。さらに、チェコ語はもちろん、ラテン語、ヘブライ語、古典英語、ドイツ語など、さまざまな言語を歌いこなすところも彼女の魅力ではないかと思った。

アンコールでは、なんと日本の童謡を美しく歌い、しかも「いっしょに・・・」と言って観客を合唱に誘うというお茶目な一面も見せてくれた。


サイン会で無事サインをもらい(マネージャー氏の友人ということで特別に名前を入れてもらえた)、幸せな気分で帰途についた。



飛行機での偶然の出会い。今後も大切にしていきたいものである。(と、珍しく神妙・・・)


(2003/1/26記)





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