ふいめいのにっき  ペルシア宮廷料理読食会



2003年3月10日

以前行われていた、「体育会系ペルシア語読書会」のリバイバル版が東京で開催されることになった。私がこの会に参加した期間は半年くらいだったため、この会のモットーや歴史の詳細は把握していない。しかし、名前からしてかなり熱い会なのだろうと感じていた。

C大ソフトボール部主将である、まがいのない体育会系の妹Mりんは、私の予定表の「体育会系」という文字を見て、目を輝かせてこう聞いてきた。「ねぇねぇ、この会ってペルシア語読めなくても参加できる?」・・・日に焼けたまっちょなメンバーが片腕立て伏せをしながらペルシア語を読む、というイメージを勝手に描いていたらしい・・・。


実際は腕立て伏せもビンタもないこの研究会の今回の企画は、16世紀サファヴィー朝のレシピ本(Ashpazi-i dawrah-i Safavi: matn-i du risalah az an dawrah / bih kushish-i Iraj Afshar. chap-i 1. Tihran : Surush, 1360 [1982])を講読し、その後、ペルシア・レストランへと移動し、現代のイラン料理を食すというものだった。このテキストは思いの外難解で、結局、一品分のレシピを読んだところで時間切れとなってしまった。


今日は、その唯一の一品、料理人である著者氏が「シンプルなピラフの中で、子羊ピラフほどおいしいものはない!」と推奨する子羊ピラフ(barre palaw)の作り方についてレポートしたい。




 材料(宴会一席分)


 ・ 乳だけで育ち、よく肥えた上質の子羊 ・・・ 一頭
     (細かく切っておく)
 ・ ひよこ豆                   ・・・ たくさん
     (型崩れしないよう手で皮を取る)
 ・ スティック状のシナモン          ・・・ 20ミスカール*
 ・ しょうが(固形のまま)           ・・・ 10ミスカール
 ・ 胡椒 (or唐辛子)**            ・・・ 10ミスカール
 ・ カルダモン                  ・・・ 10ミスカール
 ・ チョウジ                   ・・・ 10ミスカール
 ・ 玉ねぎ(みじん切り)            ・・・ 適量
 ・ 白米(きれいにしておく)          ・・・ 適量
 ・ 羊の骨髄(手に入ればの話)       ・・・ 適量


 
 *1ミスカールは約4.6グラム
  **どちらか不明。どちらもお試しください。




「料理人」
16世紀のミニアチュールより


つくり方:

(1)鍋で肉を煮立て、あくを取る。その中にひよこ豆、シナモン、しょうが、胡椒、カルダモン、
  ちょうじを加える。

(2)肉が煮えたら、洗った白米を入れる。

(3)ふた煮立ち?したら、みじん切りの玉ねぎをたくさんを加え、
  その上に5ミスカールのケルマーン産クミンを散らす。

(4)塩加減を整え、油(orラード)を加える。

(5)パン生地を使って鍋に蓋をし、ほどよい火加減で加熱する。

(6)しばらく(or1時間)待った後、蓋を開けてびっくり、神の御力を見るだろう!





アッバースIIの宴会風景
さて、分量、火加減、時間など、「おいおい、これじゃあ全然わからんぜよ。」という感じだが、とりあえず、いろいろな方法をお試しになってもらうしかない。


  
すべての職工が名匠ではない!


「お前らに真似できるものか」と高笑いする著者氏が、その秘技すべてを教えるはずもない。



しかし、とにかくポイントは肉の細かさらしい。

著者氏は、肉を細かく切る神業のような腕前ゆえに、スルターン・ハムゼ・ミールザー(アッバース一世の兄)から、美しい葦毛の馬を賜ったという。料理ができなさそうに見えるふいめいの唯一の自慢は、小学校の「きゅうりの千切りコンテスト」で優勝したことである。この時代に生きていれば、足の毛がふさふさしたロバの一頭くらいは手に入れられたかもしれない、と思うにつけ、残念である。

以上が講読会でふいめいが理解したことである。(間違いのご指摘、疑問等ございましたら、こちらまで。)



*    *    *




クービーデ(ひき肉のキャバーブ)とサラダ
さて、料理本解読に最大限のカロリーを費やした「体育会系」のまっちょなメンバーたちは、二次会へと移動した。渋谷のジャーメジャムなき今、ペルシア料理マニアの希望の星である、日暮里の「ザクロ」という店が会場である。


ここのお任せコースでたらふく食べ、歓談をし、水煙草をくゆらせ、卑猥なジョークから高尚な学問談義まで、人生の酸いも甘いも語り尽くしたあと、散会となった。



アーブ・グーシュト(羊肉と野菜の煮込み)


何ポロウ(ピラフ)だっけか。


水煙草をくゆらすイランの人たち



それにしても、実に楽しくおいしい会だった。こうした企画が度々開催されることを心から願うふいめいであった。



(2003/3/16記)




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