ふいめいのにっき  カイロ・プチダンス留学顛末記 

2004年1月17日

クリスマスにカイロにやってきて、一緒に大金持ちのだんな様の命で2004年分のお買い物をした、いわば戦友である「ゆんろん」が、とうとう帰国することになった。

「や、やばい、船がでちゃいますよ。」

最後の夜、ファートゥーラ(領収書)の整理もそこそこに、われわれがタクシーを飛ばしたのは以前も日記に登場した「ナイルマキシム」である。




ナイルマキシムはカイロのマリオットホテルが経営する高級船舶レストランで、普段はマリオットホテルの向かい、ナイル川の中洲の端っこに浮かんでいる。

毎晩二回行なわれるナイル・クルージングと船内でのベリーダンスのショーが売りである。われわれは19:30の回にすべりこみ、まずは普段あまり食べられない魚介料理を注文し、舌鼓を打った。メイン一品+ワイン一杯を注文してショーを見た場合、一人だいたい200ポンド(約3700円)くらいになる。ショーが始まるまでしばらく時間があるので、ぜひ、窓側の席を予約されたい。ナイルの夜景はほんとにきれいである。




20時を過ぎて、ようやくショーが始まった。今日のダンサーは笑顔がとてもチャーミングなエジプト人女性である。


ゆんろんとふいめいは食い入るように彼女のダンスを見つめた。何を隠そう、われわれ二人は、一週間ほど前にダンス留学を終えた「プチダンサー」たちだったのである。








ゆんろんが言い出したこのダンス留学作戦は、忘れもしない1月2日、ふいめい家の裏のFitness and Dance Academyを訪問することによって思いがけず簡単に実現した。


アカデミーでは週に二回ベリーダンス教室が行なわれているらしく、一ヶ月250ポンド(約4800円)でレッスンを受けられるという。しかし、ゆんろんの滞在期間が限られていたため、交渉して二人で特別コースを組んでもらうことにした。こちらは6回(一日一時間)で一人300ポンド(約5500円)である。






ゆんろんとふいめいは、分刻みのスケジュール(?)の合い間を縫って毎日16:00から一時間のレッスンを受けるため、スタジオに通った。腰の揺らしかた(基本はダウン、アップ、ダウン)から基本的なステップ、手の動きまで必死で覚える日々が続いた(告白すると、ふいめいは自宅玄関にある全身鏡の前で、一日一時間くらいエジポップに合わせて復習をしていた)。

最初の頃は慣れない筋肉の動きや体重移動に戸惑ったが、なにしろゆんろんはシンクロの女王であり、ふいめいは(腐っても)元フラメンカーである。二人はやがて水を得た魚のように踊りはじめた。しかし、二人には共通の悩みがあった。そう、ダンサーにしてはやや貧弱な体型である。

そんな二人は毎日励ましあいながら、砂糖と蜂蜜がたっぷりかかった超高カロリーなエジプト菓子をほおばった。こうして「薄幸なダンサー」(ゆんろん命名)が過ごしそうな日々がしばらく続いた…。



さて、ナイルマキシムの話に戻ろう。この夜、そんな二人に思いがけない機会が訪れたのである。


ベリーダンスショーが佳境に入ってくると、客をステージに引っ張って一緒に踊らせるというコーナーが挟まれる。そこで、なんとダンサーは最初にゆんろんを指名したのである。

なんの躊躇もなく、ゆんろんはステージに踊り出た。そう、このステップ、確かにやったわ…(と思ったかどうかは知らない)。



ゆんろんが踊り終えて帰ってくると、ダンサーはあろうことか、今度はふいめいの方に鋭い眼差しを投げた。周りには他にもたくさんの女性がいたのだが。何か感じるものがあったのだろうか。


そう、わたしたちはプチダンサーなのよ、鏡の前で何度も練習したじゃない…(と思ったかどうかは覚えてない)、とふいめいはできるかぎりお腹を揺らした。



こんないきさつで、二人は思いがけず発表の機会を得たのである。


ダンス留学(第一回目)はこうしてなんとも華々しく幕を閉じることになった。しかし、ゆんろんは日本で、ふいめいはもう一度裏のスタジオで、レッスンを受けることを企んでいる。やがて、二人がステージで競演する日が来ないとも言えない。




(2004/1/19記)




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