ふいめいのにっき  徹夜で完成?
アメリカ学会発表顛末
 


2004年8月5日


今まで日記には登場しなかったが、実はふいめいには一歳上の兄がいる。

二人とも大学入学とともに上京し、武蔵小金井のアパートで一緒に住むことになった。朝食と夕食は極力一緒に食べることにし、たまには駅前の西友に集合して食品の買出しをするなど、同居のおかげで友人たちもうらやむ仲良しな兄妹となった。

兄の就職後、ふいめいはやがて遅れて上京してきた妹のMりんと住むようになった。ふいめい家の成員は基本的に筆不精、電話不精で連絡が途絶えがちだが、それでも兄とは、たまに新宿でごはんを食べたり、買物をしたり細々と交流を続けていた。


そんな兄が突然、エジプトにやってきた。それほど海外旅行に燃えるタイプではない兄の来埃に少なからず驚いたのもつかの間、さらに驚異的な事実が発覚した。兄は同じ職場の友人七人を伴い、総勢八人でカイロ入りしたというのである。




ピラミッドの前でピラミッドを組む8人



この眉目秀麗な青年たちは、都内の某コンピューター系企業に勤める優秀なモハンデス(アラビア語で「技師」、の意)である。宇宙船やらミサイル云々にも関わっているというウワサで、いわば、日本の将来と世界平和を担うハチレンジャーだと言っても過言ではあるまい(←過言?)。


しかも、彼らは理系のパソコンに詳しい人々によく見られるいわゆる普通の「秋葉系」とはちょっと違っていた。というのも、ピラミッドの前でピラミッドを組んでしまうような、「まっちょな集団」だったのである。


そんな彼らをナイルクルーズに連れていくという光栄な命を受けたふいめいは、まずは、エジプト人の美人な友人二人と、たまたま家に滞在していた後輩氏をこの集団に引き合わせ、不自然な集団見合いを企画し、彼らの頬を緩ませた。




さて、ナイルクルーズであるが、家から近いこと、ある程度のクオリティが保証されていることから、またもやナイルマキシムに行くことにした。


今回のマキシムは違う意味で「ショー」といった感じだった。蛇つかいに扮する二人の男が担ぐカゴの中から、蛇柄の衣装をまとったベリーダンサーが、身体に大蛇を巻きつけて登場、くねくねとヘビーダンスを踊る。その後、トラの衣装を着て、やはりトラつかい扮する二人の男と一緒にトラーダンスを踊るなど、まるで劇団四季か、ボリショイ・サーカスか何かのようだった。






ヘビー・ダンス

さて、肝心のお腹の揺れであるが…

ベリーダンスを少しかじった者として、生意気を言わせてもらうと、今回のダンサーはいい身体をしているわりには、お腹の筋肉をほとんど使っていなかったようである。


ダンス技術はさておき、客を楽しますことができればよし、という姿勢を感じた。



ショーを楽しんだ後、せっかくまっちょなボディーガードが八人もいるのだから、ここぞとばかり「ディスコ」にでも連れ込んで思いっきり夜遊びをしようと企んでいたふいめいであったが、八人の男たちはそろいもそろって外貨を持ち合わせていなかった…。


しかもまっちょな面々とはいえ、エジプト観光一週間の疲れが出てしまっているようで、ほとんどのメンバーがカイロ腹に苦しんでいる様子だった。にわかツアー・コーディネーターふいめいは急遽方針を変え、アルファマーケットでお土産購入の斡旋をすることで夜を乗り切ることにした。


2004年8月6日

翌日、帰国便の時間まで自由行動だというので、アタバからハーン・ハリーリーにかけてのスークに行くことになった。


狭いスークの路地を9人でうろうろしていると、動きにくい上、目立つため面倒なことになる。そこで適当に分かれてグループ行動をすることになった。集合時間、場所などがてきぱきと決められた。彼らのチームワークの良さが発揮されるのは写真を撮るときばかりではないらしい。





モスクの前でモスクになりきる8人


ふいめいが加わったグループもお土産を買い終えて時間通り13:30に、集合場所へ戻った。するとすぐに点呼が始まる。…おかしい。一人足りない。


報告によると、いなくなったメンバーは、単独行動が好きなタイプではないらしい。しかも時計を持っていない。ふいめいの携帯番号も控えていない。ホテルの名前を知っているかどうかもあやふやである。一人で行動するはずがない。迷子になったのか。やばい商人に連れ去られたのか。


最初は笑っていた者たちも時間が経つとともに、しだいに蒼白になっていった。なにしろ、日本への帰国便は今日の18:00である。15:00にはホテルに着いていなければならない。金曜スークのあふれかえるような人ごみの中、必死の捜索がはじまった。


タイムリミットの14:30、途方に暮れて誰もが無口になった頃、ホテルにいたガイドさんから電話があった。


「彼は無事にホテルに到着しましたよ。」


一同は心底安堵した。

それにしても、アタバからハーン・ハリーリーにかけての道で何があったのだろう。ブラックホールにはまったのだろうか。それともベールで顔を覆った美人についていってしまったのだろうか。ランプの精に連れ去られたのだろうか。いろいろな想念が頭を駆けめぐる中、われわれは、少しはしゃぎながらタクシーでアタバを後にした。






こうしてふいめい兄と七人のまっちょな仲間たちの冒険は幕を閉じた。次は、夜遊びできるようにもう少しの外貨と、せめて集合時間がわかるように時計を持って、もう一度カイロを訪れてほしいと心から願うふいめいである。




(2004/8/22記)

PS 当分カイロにいる予定ですから、いつでもご連絡くださいませ。




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