ふいめいのにっき  Mりんと萩原マギー


2003年5月24日


7歳下の妹Mりんと二人暮らしを始めて今年で3年目である。

年が離れているのでいつまでたっても小さな妹といった感じで、ケンカもほとんどしたことがない。どちらかが早く家を出る場合も、遅く帰宅する場合も、基本的には朝夕のご飯を一緒に食べることにしている。ちょっと寝不足になったり、食事の時間が不規則になったりするが、この暗黙の“きまり”のおかげでごくごく仲良しなのだ。



三月のある日、Mりんと二人で駅前のダイエーに買い物に出かけた。

「実は紹介したい人がいるの。」

突然のMりんの言葉に、私は緊張した。いったい誰だ。まさか、姉を差し置いて…。



たどり着いたのは輸入雑貨店だった。Mりんはまっすぐに奥の方へと向かった。

「見て、見て」

指の先にはパンダの抱き枕があった。




正面から見たマギー
その翌日、私はこっそりと店に戻り、二週間後のMりんの誕生日のためにそのパンダを購入した。


Mりんはプレゼントのパンダを見て大喜びした。私は言った。

「今夜までに名前を考えておいてね。」


夕方、帰ってきたMりんは私に「見た瞬間に思いついた名前以外、どうしても考えられなかった。」と言った。さて、どんな名前?と聞くと、「マギー」だという。

「苗字はね、萩原。」


…萩原マギー?私は腹を抱えて笑った。


こうして、萩原マギーはふいめい家の住人となった。普段はMりんのベッドに可愛らしく転がっている。ときに、ベッドを占領して困る、と何度かMりんは嘆いていた。文句を言いながらも愛情が隠し切れない様子だったので、私は安心して二人を見守ることにした。


ところで、実は最近、このマギーに関してある発見をしたのだ。そして、その発見こそ、この日記の主旨である。



教育学部の学生であるMりんは、ほとんど毎日、朝から学校に行き、バイトやら部活で夜遅くまで帰って来ないことが多い。

一見お暇な大学院生の姉ふいめいが、思いついたように洗濯をする場合、Mりんのお部屋に侵入して彼女の服などを持ち出すことになる。


ある日、いつものように部屋に入って洗濯カゴを探しているとき、思いがけない光景を目にした。


マギーがMりんのベッドの上で、クマや犬のぬいぐるみと楽しげに遊んでいたのである!



この日から私は、「今日のマギー」をチェックし、写真におさめることを日課にするようになった。


すると、さっそく次の日に、さらに驚くべき光景を目にしたのだ。


なんと、今日のマギーは雑誌を読んでいるではないか!しかもHAPPY水着特集である。


マギーよ、君は水着を着るのかい?…というよりも、マギー、君は男か女か、どっちなんだい?



さて、今日は5月24日。Mりんは教育実習先の小学校の運動会ということで、6時過ぎに家を出てしまいいなかった。8時ごろになって洗濯をしようと思い、Mりんのお部屋に侵入した私は、すぐに大変なことに気付いた。


マギーがいない。どこにもいない!


私は必死になって探した。布団のふくらみを叩き、ベッドの下や押入れの中に頭を突っ込んで声を限りに名前を呼んだ。「マギー!」…でもどこにもいない。


「誘拐」「失踪」「家出」…それとも、もしかしてMりん自身が姉の異常な視線を感じて、ひそかにマギーを連れ出したのだろうか。


絶望感に打ちひしがれた私は、うつむいて部屋を出た。…と視線の先にマギーがいるではないか!


どうやら、今日は隣のお部屋のソファーにいるお友達のパンダちゃんと遊ぶ日だったらしい。この小さな猫背のパンダちゃんは、その昔、父が東京出張のお土産だといって妹にあげたものだ。


それにしても、なんと楽しそうなんだろう。



私は安堵して、「今日のマギー」をデジカメに収め、洗濯カゴと洗剤を持ち出した。


近くの小学校もやはり今日は運動会らしく、音楽やピストルの音、子どもたちのざわめき声が聞こえてくる。


なんだか、とても楽しい気分で土曜日が始まった。
しばらくはこの秘密の楽しみで幸せになれそうな気がした。



(2003/5/24記)


とうとうここまでくだらないことを…と思われましたか?すいませんです(汗)。




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