「恋愛につける薬」
ハズム翁の
1.恋人と会えないときの薬

2.失恋につける薬

3.秘めた恋につける薬

これはイブン・ハズム著『鳩の頸飾り』
  黒田壽郎訳からの抜粋です。
 (一部言葉を変えた部分もあります)
1.恋人と会えないときの薬


 いとしい人が姿見せるまで 私は満月と囁きをかわす
 夜空を満たす月の光は  そのままあの人のあでやかさ
 
 愛の誓いに忠実な私は  ながい別離が顔しかめる前で
 
 つのる思いを胸に秘め  愛の和合が微笑むさまを見る
 








                  親しく睦み合ったのちの別れのうら淋しさ
                  それにひきかえ別離のあとの和合の素晴らしいこと 
 
そもそも愛し合う魂の和合の素晴らしさは
肉体の交わりよりも千倍もまさるもの
  
2.失恋につける薬


別れゆくあのひとの美しさはまばゆい陽光のよう
私の洩らす悲しみの吐息は火のように熱いのに 
 







    別離に見舞われたとしても希望が絶たれた訳ではない
    あわてて絶望しないことだ生ある者にはいまだ策あり 
 
3.秘めた恋につける薬


私は本心を隠し挨拶を交わすことに満足する
           時折あのひとに会えるならば

    恋人と別れる夢を見たとき

愛しいあなたの去りゆく姿を夢に見て
   私はさめざめと涙して別れを告げた 
 
だけどあなたを抱擁すると眠りは失せて 
 
   別離が偽りと知ると悲しみも失せた 
 
そこで私はあなたを激しく抱きしめる
  
   無理やり仲を裂かれるときのように 
 
あなたの愛をかちえず近づく望みもないならば
せめて偽りの約束をしてほしい 
 
たぶんあなたに会えるだろうというのぞみが 
 
あなたに会えず傷つく心の糧となるのだから 
 
旱魃に悩むものにとっては遠くに光る稲妻を
 
見るだけで満足たとえ雨をふらせなくとも 
 
長らくの恋の淵に沈む若者にまぼろしが訪れる
数多い警護の者や目敏い看視者の目を欺いて 
 
そして私は独り長夜を限りない喜びで過ごす 
 
幻影のもたらす喜びに現実の喜びを忘れ果て 
 











    私たちは夢の中で満ち足りて幸多いかつての生活をとりもどす
    在りし日に誓ったように時は戻るが夢はうつつよりはるかに豊か 
 

أسـامــر الـبــد ر لـمـا أبـطـأت وأرى  
فـي نـوره مـن سـنا إشـراقـهـا عـرضأ  
فــبـت مــشـتـرطـا والـود مـخـتـلـطاً  
والـوصـل منبسـطاً والـهجر مـنقـبـضا  

مـا أقــبـح الـهـجــر بــعــد وصـل  
وأحــســن الــوصـل بــعــد هــجــر  
و وصـل الـروح ألـطـف فـيـك وقـعـاً  
مـن الـجسـم الـمـواصـل ألـف ضـعـف  

فــعــد نا كـمـا كــنـا وعـاد زمـانــنـا  
كـمـا قـد عـهـدنـا قـبـل والـعـود أحـمد  

تـنـوب عـن بـهـجـة الأنـوار بـهـجـت  
كـمـا تـنـوب عـن الـنـيـران أنـفـاسـى  

كــل بـيـن واقــع  فـمـوجـى لـم يـفـت  
لا تـعـجل قـنـطـا يـأس عـنه قـد ثـبـت  

زار الـخـيـال فــتـى طـالـت صـبـابــتـه  
عـلى احـتـفـاظ مـن الـحراس والحفـظه  
فــبــت  فـي لـيـلـتي جــذلان مـبـتـهـجـاً  
ولــذة الـطـيــف تــنــسـي لـذة الـيـقـظـه
  

إن كـان وصـلـك لـيـس فـيـه مـطـمع  
والـقـرت مـمـنـوع فـعــدني واكـذب  
فـعـسى الـتعـلـل بـالـتـقـائـك مـمـسـك  
لـحـيـاة قــلــب بـالصـدود مـعـذب  
فـلـقـد يــسـلـي الـمـجـدبـيـن إذا رأوا  
فـي الأفـق يـلـمـع ضـوء بـرق خـلـب  

فــهــا أنـا ذا أخــفـى وأقــنـع راضــيـاً  
بـرجـع سـلام إن تـيـسـر فـي الـحـيــن  

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編集者(ふいめい)の独断と偏見でお送りしたイブン・ハズムの世界、いかがでしたか?
今回は現代人に通じる詩ばかりを抜粋しましたが、原書は中世イスラム世界、
あるいはスペインならでは表現などもたくさん入っています。
ぜひ、次の恋文にはハズム翁の詩を添えて。マニアうけすること間違いなし。



                   
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