Fuimei's Report エジプト方言の効率のいい学習法ってあるの



「そんなものあるんだったら、こっちがおしえてもらいたい」

というのが本音ですが、ふいめい留学開始から早くも十ヶ月が経過、
すべったり転んだり回り道したりしながら、ようやくアンミーヤの「ア」の字が見えてきた気がします。


ここではこれまでの試行錯誤の一端をご紹介したいと思います。

ただし、記憶力が乏しく、言語の勘や「耳」を持たない一凡人の経験なので、
この方法がすべての人に役立つはずもありません。あしからず。




1.日本での準備

っとり早くエジプト方言を習得するために、もっとも理想的なのは、日本でも学習する機会の比較的多いフスハー(正則アラビア語)を完璧に学んでおくことでしょう。エジプト方言の文法や語法の多くが、フスハーを単純にした形だからです。しかし、なんといってもフスハーは難しい。また、日本で第二外国語あるいはその他の機会にフスハーを学習する場合、「しゃべること」や「作文すること」があまり重視されません。


んなこんなでフスハーが間に合わなかった場合、あるいは、「私、フスハーなんて会話に使えない言葉、どうでもいいのよね」という人の場合でも、日本で売っているエジプト方言の参考書に目と耳を通しておくとよいでしょう。私は白水社『エクスプレス、エジプト・アラビア語』(CD付)をちょっとだけやっておきました(おいおい、全部やれよ)。また、フスハーをまったくやらない人でも、少なくともアラビア文字を覚えることは地味な個人作業ですので、日本で済ませておいた方がいいと思います。語学学校によっては、初級者でもいきなりアラビア文字で説明し出すところもあります。



2.エジプトで手に入る参考書類(以下の本はすべてアメ大の本屋で売っています。)

て、エジプトでエジプト方言を勉強するという贅沢な機会が与えられた場合、選択肢は語学学校へ行くか、独学するかです。正直、初級レベルの場合、語学学校へ行ったところで進みは遅く、実際に使える表現にたどりつくまでに数ヶ月かかったりすることがあります。また、練習の機会も少ないです。例えば、動詞の語尾変化を学んだところで、エジプト方言の微妙な発音を守りながら、正しく変化させているのどうか自分ではまったくわからないということが起こり得ます。


こでおすすめなのが、効率よく参考書を活用することです。以下に、いくつか私が気に入った参考書をご紹介します。


『アーニストゥーナー』Part.1(1巻のみ?Part2は見たことない)
75LE + CD 20LE

アメ大のアラビア語の先生が作成したもの。アラビア文字表記+英語。文字の発音〜中級レベルまで。パーティでの会話、買物、タクシーなどシチュエーションプレイを利用しつつ、基本的な文法を英語で説明する。CDは会話以外の部分の発音もある程度までカバーしている。


おおまかな文法と、それぞれの場面での表現を覚え、エジプト方言の全体像を見るのには便利。応用文や練習問題が比較的豊富。巻末の動詞表は感動的なくらい利用価値あり。

問題点と克服方法:CDは応用文までカバーしていない。また、練習問題の解答がのっていない。本書を利用するためには、エジプト人の友達につきあってもらい、発音を直してもらうのが一番。




『アラビア語でおしゃべりしよう』Let's Chat in Arabic
50LE、カセット5巻組50LE


アメ大とプリンストン大(米)のアラビア語の先生が作成したもの。アラビア文字+英語。文字の発音〜中級レベル。語彙、シチュエーション会話、英語による文法説明がある。この本の一番の特徴は豊富な例文と、くどいほどの応用練習問題である。動詞の変化、否定形の作り方と発音をマスターするのにとても役立つ。


問題点と克服方法:カセットはテキストのすべての内容をカバーしているらしいが、10年以上前最初に本書が創刊したときに吹き込まれ、それ以来、テキストの方は何度も改定されたものの、テープはそのまま改訂されていないらしく(予想)、要するに

テキストとテープが合っていない!

という不思議な現象が起こっている。ただし、カセットのみでも聞き取り、発音の訓練はできるので、テキストの方をエジプト人の友達につきあってもらい、発音を直してもらいつつ理解し、合わせてカセットで自主トレをすると、効率よく二倍の速さで上達すると思われる。




『全部、オッケー!』Kullu Tamam!
120LE(CD付)

もともとオランダのアムステル大学のアラブ学科が作成したテキストを英訳したもの。2004年アメ大出版。すべて転写表記(アルファベット)。最近になって存在をおしえてもらった参考書だが、文法の説明の細かさに驚いた。まさに「西洋人の仕事」という感じである。基本的には会話、語彙、文法説明(英語)、練習問題(これまた量が多い)、応用例文の順でのっている。


上記二冊の問題点が
1.すべてが転写文字でかかれているため、発音を間違えることが少ない。
2.練習問題すべてに解答がついている。

という二点でカバーされている。転写表記に慣れるまでやや時間がかかるが、基本文法書の中では独学には一番おすすめ。




『エジプト方言集中講義』An Intensive Course in Egyptian Colloquial Arabic (全二巻) vol.1 65LE、vol.2 45LE

古く1950年代から使われている「エジプト方式」のエジプト方言参考書。アメ大出版。タイプライターのような文字で見にくい。正直、第一巻はあまりいいとは思えない。しかし、中級向けの第二巻はおすすめである。


第二巻は、語彙、例文、会話、文法説明(英語)の順に配列されている。何がいいかというと、まず、会話の中に、エジプト土着のマニアックかつ家庭でもおそらく飛び交っているような表現が出てくること。また、エジプト人の生活がにじみ出ていることである。


本書は上記の初級〜中級文法を終えた人が、エジプト人の友達にいろいろと説明してもらいながら利用すると、とても効果的だと思われる。








その他、おすすめなのは『エジプト・アラビア語辞典』である。アメ大とケンブリッジの先生の合作で、なぜかレバノンで出版されている。正確な値段は忘れてしまったが、確か400LE前後だったと思う。

見出し文字以外はすべて転写表記。その例文の豊富さは辞書の領域を越えていると感動する。語根で引くタイプなので、一気にいろいろな派生形を知ることができる。ある語学学校の先生が「この辞書はもう古すぎるし、間違いも多い」と言っていたが、それでもナンシー・アグラムの『Ah wi Noss』の意味がわかったりするし、まだまだ利用価値は高い。






語彙を増やさねば会話も弾まない。エジプト方言の単語集は、旅行ガイドブック系のものも含め、いろいろ出ているが、この『エジプト・アラビア語マニュアル』(10LE)の良さは、その安さだけでなく、分野別に単語が配列されていることである。


ただ、問題点は発音の転写が統一されておらず、また、動詞は現在形しかのっていないことであろう。さらに、英語の発音までアラビア語で表記してあるため、ひじょうに見にくい。しかも、古い言葉、今では使われていない表現まで出てくる。本書のような分野別形式で、発音がわかりやすく、見やすく、使いやすい単語集の出版が待たれる。




率のいい学習法として、Kullu Tamamで独学し、細かい文法事項を押さえつつ、エジプト人の友人に手伝ってもらいながらAnistuunaとLet's Chatを一章ずつこなし、その後『エジプト方言集中講義』vol.2に移ることが個人的にはおすすめです。


ジプト人に教えてもらう場合、交換レッスン(日本語⇔アラビア語をおしえ合う)、家庭教師(お礼は人によりますが、目安としては1回2時間40LE程度から)という方法があります。ただし、どちらにせよ、その際には、例えば上記参考書のどこどこをどんなふうに見てもらうのかを、あらかじめ自分で熟慮し、準備しておかなければ効率はあがりません。また、その日に覚えた単語や表現を暗記し、友達と話す機会を増やし、どんどん使っていかなければ、結局意味がないのです。


の語学でも同じですが、とにかく、こつこつやるしかないらしい、というのが結論です。また、とくにエジプトの場合、人々が元気いっぱいなので、テンションをあげつつ人々の間に入っていって、ダンスの一つも披露しながら楽しく勉強するのが一番でしょう。




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