ふいめいと旅する  お誕生日休暇 in ハルガダ


地図: The General Libraries, The University of Texas at Austin


旅の一口メモ

旅の道連れ


ミステル・タヌーキ
(写真はイメージです。本文とは関係ありません)


旅の目的:

「海辺でアラブ詩の復習をする」
「すてきな30代を考える」

旅の経費:
 行き帰り(日中バス)55LE(約1000円)
宿泊(四つ星ホテル、朝夕付)
一泊42ドル(4400円)
ふいめいはこの8月15日で30歳になった。

この衝撃的な告白をしたのは他でもない。「a 31 in cairoさんが30歳になったときは盛大にばらしたくせに、自分のときはこそこそ隠すのかっ?」、という皆さまからの非難やそしりを怖れたがためである。

ふいめいはこうして公明正大に30代を迎えた。

ある大企業に勤めると、30歳なった人にはリフレッシュ休暇というものがあるらしい。そこで、ふいめいも気分を一新するためにも五日間の休暇を取ることにした。


紅海岸に行く場合、旅行会社を通じて予約をした方がお得らしいという情報を聞いたため、ふいめいは今回、タルアト・ハルブ近辺の旅行会社にお願いして、ハルガダの高級リゾート地区、コラ地区の「リゾート系民宿サカナ」に宿を取ってもらった。 さらにアルファマーケットで、シュノーケリング用のセット(45ポンド)と蛍光黄色の浮き輪(15ポンド)を購入し、さらに大量のお菓子を買い込んで、2005年8月18日、準備万端でトルゴマーンのバス停へと向かった。

Upper Egypt バス Pullman の旅は、正直けっこうきつかった。前回のハルガダ行きは震えながらの6時間だったが、今回はなぜか7時間半もかかった。しかも道中、相変わらずクーラーはがんがんに入り、大音量のエジプト映画が炸裂していた。


「なんで、エジプトの映画もテレビも、女性のけんかのシーンがやたらと多いんだろうか」、とゆめうつつに考えているうちに、ようやくハルガダ市内に到着した。


リゾート系民宿サカナは、この地区でもっとも古いホテルの一つである。エジプト人のオーナーはずいぶんと先見の明のある人物だったらしく、何もない広大な土地を購入し、コテージ型の三つ星リゾートホテルを建設した。

プールと広い海岸を持つホテルは、期待通り人気だったらしく、その後、ホテルは拡大し、2000年に四つ星ホテルを増築。ふいめいが今回泊まったのは、海の見える素敵な部屋だった。




テルのバルコニーから、ぼんやり海を見ていると、突然となりのバルコニーから「神田川」のメロディが聞こえてきた。驚いてそちらを見ると、国籍不明の青年が海を見ながら歌っていた。私の視線に気付いた彼は、こちらに向かってにっこりと笑い、「コンニチハ」と言った。


これがミステル・タヌーキとの出会いである。


ミステル・タヌーキは、ついこの六月にカイロの私立大で修士課程を終えたばかりの青年である。今は翻訳活動などをしながら、カイロに滞在しているが、都会の空気と喧騒のせいで、リンパ腺が腫れてしまったため、療養のつもりでハルガダに来たのだという。
こうして、まるで『悲しみよこんにちは』の主人公のような(?)休暇が始まった。


朝は最近手がけている戯曲風論文に取り組み、午後になると海に入った。ハルガダの水はガラスのように透明である。しかも、海にはいるとすぐに足下にはサンゴ礁が広がっている。その周囲には、色とりどりの魚が縦横無尽に泳いでいる。


カクレクマノミもいた。エイも見た。まるで、水槽の中を泳いでいるみたいだった。泳ぎのあまり得意ではないふいめいにとって、足のつく範囲でこんなに魚が見れるなんて夢のようであった。



海の中を眺めるふいめい(30代初の水着ショット)
しかも、ミステル・タヌーキは大きな湖の近くの出身だということで、泳ぎが上手だった。


そこで臆病なふいめいを誘導して、とっておきの巨大サンゴがある場所へ連れて行ってくれた。そこは3メートルくらいあり、足が届かなかったので、途中何度もパニクりそうになったが、「落ち着け、落ち着け」と自分を励ましながら泳いだ(←レベルが低い)。


いやはや、本当にきれいだった。



夕方、部屋に戻ると、日が暮れるまでバルコニーでアラブ詩の復習をした(←地味)。

アラブ詩の韻律のことを「バハル」という。これは「海」と同じ言葉である。波の音を聞きながら「バハル・タウィール」(長調)を復習するなんて、私もかなりの風流ものだ、などと自分に酔いながら「ファウールン、マファーイールン」と口ずさんだ。



日が暮れると、ミステル・タヌーキと海辺や庭で満月を眺めながら語り合った。


国籍不明だが、話題はいろいろとあった。


エジプトというのは、リゾートにくるとなぜかいろいろと考えさせられる国である。今回も、ブランコに乗りながらエジプトの食糧問題について語り合ったことが、一番印象に残っている。





四日目の朝、目を覚ましたふいめいは、朝食に降りるついでに、いつものようにミステル・タヌーキの部屋をノックした。

しかし、返事はなかった。



かわりに、どこからともなく小鳥のさえずりが聞こえてきた。





ホテルの庭にいたインコ

注:この日記は実際の人生とはなんの関係もありません。


(2005/8/28記)

ふいめいと旅する