ふいめいと旅する  蝶々のいる海岸 ポートサイード


地図: The General Libraries, The University of Texas at Austin


旅の一口メモ

旅の道連れ:


エジ産うなぎを見て故郷を想うたぬきさん


旅の目的:

地中海とスエズ運河を見る


旅の経費:
バス 往復30LE(約540円)
昼食 一人40LE(約720円)




自主休暇を利用して、旅のベテランたぬきさんを誘い出し、デルタに行ってみることにした。ふいめいカイロ在住半年にして、恥ずかしながら初めての北上である。


カイロからボート・サイードまで、トルゴマーンのバスターミナルから出ている大型バスに揺られること三時間。意外に近い。





北に地中海を臨み、スエズ運河の玄関口でもあるむポートサイードは、エジプトの重要な港町である。町の規模は小さく、とくに観光の名所があるわけではないが、そのすこし寂れたような雰囲気と魚介料理、それから港町ならではの活気あるスークを目指して人々が集まってくる。


ポート・サイードの古い建物の多くは木造で、バルコニーが囲われていたり、カラフルな日よけがついていたりする。どことなく、東南アジアあたりの港町を思い起こさせる。






この町には二つのスークがある。ひとつはスーク・エル=アフランギー(外国市場)、もうひとつはスーク・エッティガーリー(商業市場)。後者の一角には、大規模な魚市場がある。


日本では「魚より肉だね」と言っている現代っ子さえも、カイロに数ヶ月も住むと「魚、魚」と騒ぐようになる。そう、新鮮なおいしい魚介類がなかなか手に入らないからである。そんな時には、クーラーボックスを持って、ポート・サイードに来るといい。クレオパトラという名前の小魚からぴちぴちしたシャコ、おろしたてのヒラメまで、なんでも手に入る。




魚屋さんたちはコワモテだけど、みんな親切。魚両手にポーズまでとってくれたりする。



スークを見ていてお腹がすいてきた二人は、タクシーの運転手さんに「おいしいマトアム・サマクはないか」とうさんくさいアラビア語で尋ねてみた。親切な運転手氏は、私たちを7月23日通りにあるエル=バガアというレストランに連れて行ってくれた。


エル=バガアとはフラミンゴの意で、この鳥がおいしそうに魚を食べることから、店主がこの名前を付けたとのこと。


魚の揚げもの、魚介のタジン、サラダを注文したところ、異常な数の付け出しが出てきた。その中には、イカで出汁を取った「魚介のモロヘイヤスープ」、つくねの「コフタ」など、エジプトならではの工夫の一品もあった。






新聞の占い欄を熱心に読むふいめい


その後、たぬきさんが「お腹がくちて眠い」などと言い出したため、レストラン裏手にあるビーチヘ移動し、くつろぐことにした。風がやや強く、少し肌寒かったが、日光が強いので傘も借りることにした。ビーチ代(傘+イス)は計7LE(約120円)。


隣にテントを張り、閑散としたビーチを孤軍奮闘で盛り上げていたエジプト人一家が、突然、「ウェルカム・トゥ・ブール・サイード!」と言ってマカロニ・チーズとサラダをおすそ分けしてくれた。心温まる午後のひと時である。
眠かったはずのたぬきさんがビーチについた途端、俄然やる気を出し、突然、海に向かって駆けていった。水際で育った者の血が騒いだらしい。


季節がらだろうか、地中海はやや灰色に近い青だった。閑散としたビーチと、青黒い海。その光景は小さい頃しばしば遊びに行った祖母の家近くの海を思い出させた。


物悲しいビーチではあるが、なるほど、思い切って足を浸してみると水は意外に温かく、とても気持ちがよかった。やはり、海はいい。




ちょっとはしゃいでしまったたぬきさん





波打ち際で、蝶々の形の貝を発見。というか、そこら中に落ちている。

色といい、形といい、可愛らし過ぎる。





「近い将来、ポート・サイードは『蝶々のいる海岸』として有名になる」

と、あまり興味もなさげなたぬきさん相手に熱く語るふいめいであった。




(2004/4/25記)

ふいめいと旅する