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 色相環のハナシ 


 今回は色相環(しきそうかん)の話です。 色相環とはその名のとおり、色相の環(わ)です。

 色相とは、色合い、色みのことを言います。 「赤みを帯びた」だとか「青みの・・・」といった赤や青などの色合いのことです。

 この色相を環状にしたものが、色相環です。 たとえば、色の講義ノートのトップページにあるイメージも色相環と呼べますね。

色の講義ノートトップイメージ

 色相環における色相の配列は、虹色と同じになります。 スペクトルの端(青紫)と端(赤)をつなげて環にしたものと考えれば、イメージしやすいでしょうか。

スペクトル  色相環?

 色の世界にはいくつかの色彩体系があり、この体系にしたがって色相環にも種類があります。 ここで代表的なものを紹介してみたいと思います。



PCCS色相環

 日本色研配色体系(Practical Color Co-ordinate System)による色相環です。 日本の財団法人、日本色彩研究所が発表しました。

 PCCSでは、まず赤・黄・緑・青の4色を図のように配置します(1)。 この4色は心理四原色と呼ばれ、生理学者へーリングの色の感覚に関する学説で人間の色覚の基礎と考えられている色です。 次にこの心理四原色の心理補色を対向位置に配置します(2)。

(1)PCCS(1)      (2)PCCS(2)

 ここで心理補色について解説をしましょう。 下の赤い四角を15秒ほど見つめてください。 その後、視線を少しずらすと青緑色をした四角の残像が見えるはずです。 このときの青緑が赤の心理補色です。 同様に、黄色の四角を見つめると、青紫の残像が見えるはずです。 この青紫が黄の心理補色です。

          

 この赤と青緑、黄と青紫のように、ある色を見つめたときには同時にもう1つの色が現れます。 この「もう1つの色」を「ある色」に対する心理補色と言います。 PCCS色相環ではちょうど真向かいの位置に配置されます。

 さて、これで8色相の位置が決まりました。 次はこの8色相に色相間隔が等歩度に感じられるように4色を加えて12色相に分割し(3)、それぞれの間に中間色を加えて24色にします(4)。 このようにしてできた24色の環がPCCS色相環となります。

(3)PCCS(3)      (4)PCCS(4)

 PCCS色相環では下のように色相番号、色相名、色相記号が定められています。

番号 色相名 記号 番号 色相名 記号
1 紫みの赤 purplish red pR 13 青みの緑 bluish green bG
2 赤     red R 14 青緑    blue green BG
3 黄みの赤 yellowish red yR 15 青緑    blue green BG
4 赤みの橙 reddish orange rO 16 緑みの青 greenish blue gB
5 橙     orange O 17 青     blue B
6 黄みの橙 yellowish orange yO 18 青     blue B
7 赤みの黄 reddish yellow rY 19 紫みの青 purplish blue pB
8 黄     yellow Y 20 青紫    violet V
9 緑みの黄 greenish yellow gY 21 青みの紫 bluish purple bP
10 黄緑    yellow green YG 22 紫     purple P
11 黄みの緑 yellowish green yG 23 赤みの紫 reddish purple rP
12 緑     green G 24 赤紫    red purple RP



マンセル色相環

 マンセルシステム(Munsell System)による色相環です。 アメリカの画家マンセルが創案した色彩体系をもとに、アメリカ光学会が修正を加えてできあがっています。

 マンセル色相環では、まず赤・黄・緑・青・紫を主要5色とし、等間隔に配置します(1)。 そしてそれぞれのほぼ物理補色となる色相を対向位置に定めます(2)。

(1)マンセル(1)      (2)マンセル(2)

 ここで物理補色という言葉が出てきました。 物理補色は、PCCS色相環で登場した心理補色と同様に「補色」なのですが、その定義が異なっていて、 混合すると無彩色(灰色)になる2組の色の関係を言います。

 さて、この時点で10色相が並びました。 この10色相をそれぞれを10等分してできた100色相の環がマンセル色相環です(3)。

(3)マンセル(3)

 マンセル色相環では、主要5色とその物理補色を記号R、Y、YR、Y、GY、G、BG、B、PB、P、RPで表し、それぞれの頭に1〜10の番号を付することで、色相を100分類しています。 上の色相環は代表20色相で表したマンセル色相環です。

記号 色相名 記号 色相名 記号 色相名
R 1R
2R
3R
4R
5R
6R
7R
8R
9R
10R
YR B
Y PB 青紫
GY 黄緑 P
G RP 赤紫
BG 青緑



オストワルト色相環

 ドイツの化学者オストワルトの創案したオストワルトシステム(Ostwald System)による色相環です。 オストワルト色相環では、まず心理四原色の赤・黄・緑・青を赤・緑、黄・青が対になるように円周上に配置します(1)。 次に心理四原色の中間にある橙・黄緑・青緑・紫を加え(2)、それらを3等分して得られた24色相がオストワルト色相環です(3)。 この色相環では円周上の対向位置にある色相は物理補色の関係になります。

(1)オストワルト(1)      (2)オストワルト(2)      (3)オストワルト(3)

 オストワルト色相環はPCCS色相環やマンセル色相環と違って、赤→黄→緑→青→紫の色相の変化が反時計回りになります。 色相番号、色相名、色相記号は表のとおりです。

番号 色相名 記号 番号 色相名 記号
1 黄  Yellow 1Y 13 青  Ultramarine Blue 1UB
2 2Y 14 2UB
3 3Y 15 3UB
4 橙  Orange 1O 16 青緑 Turquoise 1T
5 2O 17 2T
6 3O 18 3T
7 赤  Red 1R 19 緑  Sea Green 1SG
8 2R 20 2SG
9 3R 21 3SG
10 紫  Purple 1P 22 黄緑 Leaf Green 1LG
11 2P 23 2LG
12 3P 24 3LG



 ここでは3種類の色相環を紹介しました。 色相環をつくる考え方が色彩体系によって異なっているのが分かると思います。 用途に応じて最適な色相環(色彩体系)が利用されています。


ツヅク。