アスタマニャーナ

クマコラム
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−ヘドウィグアンドアングリーインチ−

サンダンス映画祭、ベルリン国際映画祭などで数々の賞をモノにしたこの作品は、NYのオフブロードウェイで2年半以上のロングランを達成した、異色のロックミュージカルを映画化した作品である。1960年代後半、旧東ドイツ生まれの少年ヘドウィグは、ロックシンガーになる夢をつかむ為、アメリカ兵と結婚し渡米する事を決意。しかし、渡米する為には彼にとって試練である性転換手術を余儀なくされ、不運な事に彼の股間には手術失敗の形跡が残ってしまった。その後、彼は渡米、離婚、バンド結成そしてトミーとの出逢いと別れを通して、哀しみと怒り、そして愛への渇望を込めて歌い上げるロックミュージシャンに成長する。ミュージカル出身の映画だけあって、場面ごとにヘドウィクのバンドが奏でるロックがアニメーションなどの映像とともに流れ、音楽と映像、二つの融合が人の心を熱くさせた。そして、内容的には人間という生物の汚さを描く一方で、人間が合わせ持つ美しさをも見事に表現し人々の心を引き付けたに違いない。だが、この作品に最も魅力を感じたのは、力強く時には哀しいロックではなく、素晴らしく煌びやかなヘドウィグのステージ衣装でもない。それは彼の生き方を反映する彼の思考とそしてそれが大いに表現された詩と言葉である。中でも、この作品の主題歌とも言うべき「愛の創造」の詩は、素晴らしくユーモラスかつロマンティックで、その詩から出現した言葉は印象的であった。誰もが、自分の「カタワレ」を探している。フレーズの意味は、映画の中に隠されている。この詩、このフレーズを決して忘れる事はないだろう。

2002.04.14



−メメント−

衝撃のラストシーンから始まる前代未聞の作品。愛する妻を目前で殺害された主人公は、ショックで10分前の記憶さえ保てなくなる。 彼はメモや写真、そして自らにメモを刻み込み真相を解こうと動き出す。この映画のテーマは間違いなく「記憶」。記憶は思い出という形で人々を喜ばせ、そして未来への道標としてその役割を果たすと同時に、消去してしまいたい過去を脳に留め、そして個人をトラウマという形で苦しませるモノでもある。誰もが一度や二度は記憶を消去してしまいたいと思った事があるだろう。だが、それとともに人間としての価値も消えてしまう。人間は記憶によって笑い、記憶によって苦しむ。それが言語を持つのと同じく人間の特権である。衝撃の真実は、今自分の脳に閉じこもっている記憶は、もしかしたら誰かによって、或いは自らによって作り出された空想かもしれない。そんな気持ちにさえなる内容だった。ラストシーンから少しずつ遡るこの作品は、全てを見終わった後でも、何かしらの疑問が残るほど謎が多い。登場人物の関係も、もはやこちらがメモを取らなければならない程ややこしくなる。しかし、そこに興味を掻き立てる魅力が存在する。恐らく、リピーターがかなり多くなる映画ではないか。この4月、アンコール上映をみなみ会館でやるので、ぜひお勧めする作品である。

2002.03.31


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