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Analog Science Fiction and Fact, July/August 2002
Novella
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Unseen Demons / Adam-Troy Castro
ファースト・コンタクト・ミッション中のある惑星で、地球人外交団の一員がコンタクト中の惑星住人を惨殺するという事件が起こり、アンドレアは専門の弁護士としてその惑星に呼ばれた。だが、惑星の住人は、知的であることはわかっていても、視覚も触覚ももたない生き物で、どの外交団もまだ住人と意思の疎通をさせたことはない。普通だったら惑星の住人に裁きを任せるところだが、裁判や司法どころか、殺人が行われたことも異星人には伝わっていないのだ。他の惑星での外交団がらみの事件から地球人は暴力的だという批判が高まっている中、アンドレアにプレッシャーがかけられる。そして、事件の残虐さは、彼女に暗い影を落とす過去のある事件を思い起こさせずにはいられなかった……。
評価A。昨年6月号の Sunday Night Yams at Minnie and Earl's でアナログ読者賞を受賞したアダム=トロイ・カストロの作品。ヒューゴー・ネビュラ両賞の候補作となった The Funeral March of the Marionettes(An Alien Darkness )と同じ未来の宇宙を舞台にしている。アンドレアは過去のできごとから自分のことを怪物だと思っていて、心の中では今回の事件の犯人と同類だと思っている。このゆがんだ感情が、主人公のキャラクターに深みを与えている。しかし、そのわりには、何種族か出てくる異星人たちが、惑星住人の異星人を含めて、多少物足りない。犯人も、主人公に対抗するほどの重みを感じさせなかった。地球人を排斥しようという原因になるほど残虐な行為をした犯人なのだから、もう少し奥が深くてもいいと思う。また、提示された問題が複雑なわりには、事件はあっさりうまく解決して、拍子抜けするほどだ。しかし、その犯人の処分が決まってからのアンドレアの最後の「謎解き」は、意思の疎通のできない異星人が登場していたこととつながって、見事にきめてくれた。大きすぎる期待をしていたので、その期待ほどではなかったが、かなり読みごたえのある作品だった。
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Tiptoe, on a Fence Post / Brenda W. Clough
ヒューゴー・ネビュラ両賞の候補作になった May Be Some Time (昨年4月号) の続編。スコット南極探検隊の一員だったタイタスは、南極の吹雪のなかから助けられ、二〇四五年の未来へとやってきた。彼が未来の世界に直面したショックを描いた前作の直後の数日を描いている。タイタスを助けた政府機関は、異星人の通信から得られた技術でタイムマシンをつくり、次は星の世界へ遠征しようとしていた。だが、パラドックスの危険におびえて、それに反対する人々もいる。その中の過激な人たちは、タイタスの命をも狙おうとしているらしい……。
独立した中篇というより、まるで長篇の途中部分のようだ。きっとこの続きの続編もあるのだろう。その続編では、異星人の謎が明らかにされたり、宇宙への遠征が実現されたりするといいのだけれど。長篇の形で読めていたら、もっと評価が高くなるにちがいない。
Novelettes
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Mammoth Dawn / Kevin J. Anderson & Gregory Benford
主人公アレックスは生物学者で、バイオ企業のオーナー社長。彼と彼の妻スーザン(やはり生物学者)は、ドードーや渡りばとなど、絶滅した動物をDNAからクローンで復活させることに力を注いでいる。特に、マンモスはスーザンのライフワークである。絶滅した動物が昔の姿で生き返ろうとしているアレックスの農場に、昔の彼の教え子キンスマンが、絶滅した動物の再現に反対する環境保護団体の一人として訪れる。昔のよしみでアレックスはキンスマンに農場を見学されるが、彼の訪問は過激派による攻撃のおとりだった。農場は武装集団に襲われる。アレックスらは何とかして動物たちを守ろうとするのだが……。
絶滅動物を復活させるというのは、恐竜じゃなくても、SFのネタとして悪くないはず。しかし、この作品はどういうふうに読んでいいのかわからなかった。科学の進歩に拒否反応を示す過激な環境団体の愚かさを描いているのかもしれないが、愚かだとしても反対派の主張があまりにも納得できない。キンスマンが何か神がかってああいう行動を起こした方がまだわかる。アレックスとスーザンとキンスマンに加えて、途中からマンモスの飼育係の女の子が登場したのも、唐突な感じだ。著者がこの二人なのだからもっと違うものを期待していたのだが。
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The Great Prayer Wheel / Rajnar Vajra
その昔、チベットの山間の村を評判の聖なる賢者が訪れた。賢者は村のはずれに突然現れた「天の馬車」について調べに来たのだった。ヤク飼いの少年とともに賢者が「天の馬車」へやって来ると、馬車の中から奇妙な姿の2体の「神」が現れる。賢者は「神」の仕草から彼らの意図を推測し、彼らと「会話」するのだが……。
評価A-。仏教が伝来するかしないかの頃のチベットを舞台にした、一種のファーストコンタクトもの。山間の村の雰囲気が、語り口とよく合って、いい感じだ。冒頭の一節は賢者の言葉の引用かと思っていたら、違うことが後になってわかって驚いた。異星人が地球を訪問する理由が外交とか侵略とか交易とかでなく、ここに登場したものだというのは目新しい気がする。伝わっていないようで見事に伝わっている意思の疎通のしかたが、なんだかすごい。ほのぼのとした中に、バカSF的な要素も取り込んでいて、おもしろく読めた。
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The Robot Who Came to Dinner / Ron Goulart
1999年11月号の I Married a Robot、2001年5月号の My Favorite Robot の続編。広告代理店を経営しているマギーは、ひょんなことから元夫の精神をコピーしたボディガード・ロボットと暮らすことになった。ロボットは私立探偵事務所を開いて、マギーの顧客になるかもしれない相手の素行調査なんかをしている。その顧客候補のレストランチェーン店のオーナーはどうやら画期的な遺伝子組替植物を開発した科学者を誘拐して脅しているらしいのだ。マギーはロボットの調査に同行する。
評価A-。ハードボイルド気取りのロボットが登場するユーモアSF。レストランでとんでもない物が出てきているのに、それを平気で食べているところなど、かなり楽しく読めた。相棒のロボットは自らチューンアップしていて、かなり無敵になっている。今回はおもしろかったけれど、これ以上強くなったら話としてどうなるだろうか。この調子だと続編がありそうなので、楽しみだけれど不安かもしれない。
Short Stories
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Iniquitous Computing / Edward M. Lerner
車も家も何もかもが人工知能を搭載し、人に話しかけることのできる未来。主人公はそれが嫌で、町はずれに住んでいた。だが、新しく越してきた隣人の無線ローカル・エリア・ネットワークが彼の家までネットワークに組み込んだため、彼が安らげる場所はなくなってしまう。その彼が思いもかけず見つけた、人工知能搭載されたもののない場所とは……。
3ページ半の短篇。もう少し短ければ Probability Zero になるのではと思わせるような、ユーモアを効かせた作品。人口知能搭載のものがあふれていて、そのおしゃべりがうるさくて困るという話は前にもあったと思う。よくよく考えるとおしゃべりの機能を止めることができないのは絶対おかしいような気がするが、読んでいる最中はあまり気にならずにおもしろかった。
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Falling onto Mars / Geoffrey A. Landis
地球政府はろくな装備も食料も持たせずに、犯罪者たちを開拓の名の下に火星へと送り込んだ。その多くが死に、強いものだけが生き残った。何次めかの宇宙船で送り込まれた者たちは、一人のリーダーに率いられて、火星に残留している科学者たちの基地を襲う。だが、その前までに送り込まれていたグループは、生き残るために攻撃者たちと戦った……。生き残りの女性科学者と科学者を救ったグループのリーダーの子孫である語り手が語った、火星の厳しい歴史の一コマを描く。
評価A。3ページ半の短篇。厳しい環境の火星だが、そこにも歴史があり、物語が紡がれていく。だが、「その中にラブ・ストーリーは一つもない」。最初と最後に登場するこのフレーズが、シビアな世界を浮き彫りにさせ、読後感を鋭くしている。短いが、奥行きは深い。そんなに悪くない作品がそろっている今月号の中でも、もっともいい作品だと思う。
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The Convergence of the Old Mind / Larry Niven
<ドラコ亭夜話>シリーズの一作。 ドラコ亭に集まる異星人たちに伝えられた大ニュース。それは非常に古い存在 Old Mind が再収束し始めているらしいということだった。宇宙でもっとも知性と情報とにあふれている存在から、何かを得ることができるのではと、異星人たちはさっそく地球に停泊中の宇宙船でその宙域へと旅立とうとする。その話を聞いた語り手のドラコ亭の主人は……。
<ドラコ亭夜話>シリーズは最近では2000年7月8月合併号、2000年12月号、2001年5月号に掲載されている。4ページ弱の短篇。ニュースを伝えに来た異星人の一人と語り手との会話がほとんどを占めている。巨大な集合知性というネタはおもしろそうなのだが、説明的な部分が多くて、他の書き方があるのではと思った。実は、スリランカ在住の高名なSF作家が宇宙へ旅立つ話。
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A Green Thumb / Tobias S. Buckell
この世界では、第二次世界大戦がずっと続き、そのため、金属資源が不足している。そこで、植物を金属代わりに使う技術が発達し、今では種から育てていくと車が作れるようになった。父親と二人暮らしの高校生のジェイは、父親が車を買うことを許してくれなかったので、内緒で車を育てようとするのだが……。
少年と父親の対立と心の交流を描いた作品。四ページ強。歴史のテストを持ち出して過去の歴史をさっと説明するやり方は、非常にうまい。家族の問題の描き方も、ありがちなものかもしれないが、きちんとしていると思う。古い車を買って自分で修理して乗れるようにするときのように、車の種を植えてそれを育てるアイデアはおもしろい。例えば車以外の物も同じように種から育てているかのような記述があったら、もう少し説得力が増したような気がする。
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Oculus / Jack McDevitt
進んだ科学技術を持っていたらしい異星人が遺した遺跡を調査中、書籍が発見された。保存状態がよくなく中を見ることができないので、設備の整った施設へ運ぶことになった。そこで、主人公のパイロットは書籍の保存されたコンテナとそれを扱っている科学者を軌道上へと運んでいた。ところが、突然の事故で、主推進が働かなくなる。救助船が間に合えば命は助かるが、書籍のコンテナを運び出すことはできないのでこのままでは地表に激突して破壊されてしまうだろう。そのとき……。
7ページ半。故障した宇宙船からの生還をメインにした話として読んでいて、実際、終盤に入るまではそうとしか読めないと思うのだが、最後で話のポイントが変わっていた。それを象徴しているアイテムの一つが、タイトルとなっている oculus で、丸窓のこと。遺跡にあったもので、科学者が事故の前に言及していて、事故後語り手のパイロットがその窓の前で事件を振り返る。さらに、読めない本と、それに人生をかけてきたわけではないのに命をかけた人など、いかにも意味ありげ題材が登場する。でも、意味深なアイテムなのだけれど、ちょっと奥が深すぎてよくわからなかった。
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Spoilers / Shane Tourtellotte
映画を見る前にその映画についてこれまでに知った記憶をブロックできるという装置が開発された。これがあれば、宣伝などでいい場面がすっかり暴露されてしまっていても、それを忘れて映画を楽しむことができる。装置の導入を検討するために、主人公の映画館主は自宅でテストをする。過去の名作も新鮮な感動を持って何十倍にも楽しむことができた。だが、彼は妻と出会った映画館での出来事を思い出す……。
主人公がサイコやカサブランカなどを新鮮な目で見て感動する場面が、うらやましいくらいおもしろそうに描いてある。ただ、この装置を導入した映画館がそれほどはやることになるなんて、ちょっと信じにくい気もする。結局、装置に記憶をいじられることになるのだから、作品に描かれたような状況になるのは、当然といえば当然ではないだろうか。
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The Lone Granger / Jayge Carr
Analog 2000年7月8月合併号の The Walls That Bind と同じ世界を舞台にしている。宇宙人の陰謀らしいが地球の各地で街ごと障壁におおわれ、中にいた人たちが一部の人を残してどこかに連れ去られてしまう事件が相次ぐ。主人公の女性も連れ去られた一人だが、彼女は長年連れ添った夫と離ればなれになってしまう。そこで、彼女は瞑想で無の境地をさまよい、亡くなったと思われて埋葬されそうになる。世話役らしい異星人たちが彼女を止めようとするが、彼女は夫のことだけを考えるのだった。
主人公視点の三人称部分と主人公の心情を一人称でつづる部分が混ざっている。主人公が瞑想して過去を振り返りながら、その周囲での人の動きを見ているという、ちょっと観念的なところが難しかった。誘拐した側の異星人たちが出てきたようで、前作よりは少し世界が見えてきたようだが、でも、まだ理解できないことが多くて、どう読んだらいいのか私にはわからなかった。
Probability Zero
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Zero Tolerance / Kevin Levites
トミーは警備の目をかいくぐって、学校に武器を持ち込んだ。彼をふったサリーに仕返しするためだ……。そして、彼は無寛容政策のために逮捕され、判決を受ける……。
評価A-。半ページほどの短い作品。耐性ゼロなのが子供のトミーなのかと思ったら、そうではないところがポイントだった。トミーの武器と彼に下された判決のアンバランス加減が、笑えるのだか笑えないのだか。
Poem
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Pavement Birds / Wil McCarthy
Essays/Articles
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Editorial: Ecorestoration / Stanley Schmidt
建造物や自然を昔のように復帰させようという運動について、いったいどの時代のものに復帰させるのか、きちんと考えるべきだという話。今号に掲載されているMammoth Dawnと関連しているのかもしれない。
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Isaac Asimov Remembered / Lloyd Biggle, Jr.
副題:A Symposium of Recollections by Science Fiction Celebrities Poul Anderson, Ben Bova, Sir Arthur C. Clarke, Martine H. Greenberg, Frederik Pohl, and Stanley Schmidt.
ここに名前を挙げた人たちのコメントなどから、他の人との関わりのなかでのアシモフ像をまとめた論説。
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Are We Afraid of a Little Fire? / Dr. Steven D. Howe
副題:Exploring Space May Require Nuclear Rockets。
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Analytical Laboratory Result
アナログ読者賞の発表。受賞したのは、ノヴェラ:Sunday Night Yams at Minnie and Earl's / Adam-Troy Castro (Analog 06/2001) 、ノヴェレット:Tower of Wings / Sean McMullen (Analog 12/2001) 、ショートストーリー:Jake, Me, and the Zipper / Rajnar Vajra (Analog 11/2001) など。
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The Alternate View: Thrust Into Space / Jeffery D. Kooistra
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The Reference Library / Thomas A. Easton
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Upcoming Events / Anthony Lewis
(2002年7月23日)
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