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Analog Science Fiction and Fact, June 2003
Novelettes
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Of the Zornler, by the Zornler / Lloyd Biggle, Jr.
昨年9月に亡くなったLloyd Biggle, Jr. による、異星交流局のエージェントたちを描いたシリーズの一作。この異星交流局は、さまざまな異星種族に民主主義を広めることを目的に設置されている。封建的な社会構造を持つ異星種族が住む惑星 Zonley に赴任してきた新米の支局長は、国家を一つ手に入れた。彼はそこで、この惑星に民主主義を広めるためのさまざまな実験を行うのだが……。
~10000語。民主主義を押しつけようとして悪戦苦闘する主人公の姿を描いている。それほど皮肉っぽい描き方はされていないが、風刺は十分に効いている。
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The Power of Visions / Charles E. Gannon
近未来、テロ活動が活発になったアメリカで、部下とパトロール中の主人公は核融合炉を狙うアラブ系のテロリストの襲撃に遭遇し、間一髪で食い止める。さらに、彼はもう一人の謎の男がいたことに気づき、その男をとらえることに成功する。主人公は尋問に参加して、その男が過激なイスラム教系の組織に属しており、ある信念からテロ攻撃を失敗に追い込んだことを知る。
~9800語。主人公は9/11のテロ事件などでも捜査にかかわったという設定になっている。前半、主人公が的確な判断をして、テロ攻撃を未然に防ぐ場面は、かなりスピーディでかっこ良く描かれている。また、後半のコーランを引用する部分も、よく調べられているようにみえる。けれど、なんだか主人公だけが高潔で立派で有能な人物になりすぎているように感じた。
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By The Rules / Edward M. Lerner
社会学を専攻する大学院生の主人公は、ひょんなことからUFOにまつわる社会学を研究することになる。彼がネット上のUFOに関係するチャットサイトを調べていくうちに、どのチャットにもつねに同じ人物が参加していることが明らかになる。さらに、それはUFO関係のチャットだけではなかった。意外なその人物の正体とは……。
~7900語。ちょっと独特な堅い言葉の使い方をする主人公の一人称で描かれた作品。話をまとめてしまうと、ショートショートのバカSFになるような気もする。でも、これは、話の筋には必ずしも関係ないかもしれないがユニークな主人公の独白を楽しむ作品だろう。
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Sam and the Flying Dutchman / Ben Bova
サムは有名な宇宙飛行士の一人で、宇宙開発関係の会社を経営しているが、詐欺師まがいのこともする。今回は、大金持ちのハンフリーの妻アマンダが元夫ラースへの手紙の輸送をサムに依頼することから始まる。ラースは小惑星帯で有名な海賊で、ハンフリーがラースを殺そうと画策していることはよく知られていた。依頼を引受けたサムたちは、罠かもしれないと疑いつつ、小惑星帯へと向かう。
~11000語。サムの婚約者が送り込んだお目付役の口からユーモアたっぷりに語られている。結婚式が迫っているのにサムが旅立ってしまったせいでイライラしている婚約者とのやり取りや、ラースやハンフリーによる脅迫ものらりくらりとかわしていくところがおもしろい。サムを主人公にしたシリーズのこれまでの作品は、"Sam's War"(Analog誌1994年7月号)、"Nursery Sam"(Analog誌1996年1月号)、"Tourist Sam"(Analog誌1998年3月号)だそうだ。アマンダ、ラース、ハンフリーらは、以前連載されていた The Precipice (Analog誌2001年5月号から9月号まで)に登場していた。
Short Stories
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Working Alone / Henry Melton
主人公は作家を目指す青年で、作品を仕上げるため自由な時間を得るために、一人で辺境の鉱山基地などに手紙を届ける宇宙船の乗組員の仕事についた。だが、彼の宇宙船は故障し、連絡手段すらなくなってしまう。すぐそばにある一人が駐在している宇宙基地に危機を知らせるために、彼は自分の作品を……。
~5200語。どうしてこの近未来の世界で紙に作品を書いていたのだろうとか、家族からの手紙を有人の郵便宇宙船で運んで割があうのだろうかとか、そんなことが気になってしまった。しかし、作家を志す人にとっては、この主人公の気持ちが身にしみてよくわかるものなのかもしれない。
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3rd Corinthians / Michael F. Flynn
オドハーティのバーに集まった常連客の中で、今日はマクギニティ神父がいつになく飲んでいる。聞くと、新約聖書にはパウロの書いたコリント人への手紙が二通含まれているのだが、第三のコリント人への手紙が発掘されて見つかった、そして、その中身がとんでもないものだったのだという。その話を聞いていたオドハーティは、最後にその手紙事件の意外な真相を推理する。
~9100語。聖書の言葉を一字一句正確なものであるととらえるかなどの宗教の話題を、神父から無神論者までの客たちが楽しそうに知的に論じあっていておもしろかった。最後にバーの店主が指摘した点は、私は読んでいてかなり変だと思ったところだったが、アメリカだとあまり気にならなかったりするのだろうか。気がつかないで読み進んで最後で驚かされたなら、もっと評価は高かったと思う。
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Punctuated Equilibrium / Pete D. Manison
悪天候の夜道を車で進みながら、彼女はこれまでの出来事を回想する。彼女は人類のすべての知的情報を詰め込んだタイムカプセルを小惑星につくるという計画に参加し、その軌道を計算していた。ところが、彼女の計算した百年に一回地球に近づくという軌道のまさにその位置に別の天体が存在することがわかった。だが、そんな天体が自然に存在することはあり得ない。彼女は上司にその事実とそれが意味することを伝えるが……。
~2400語。現在と過去の回想シーンが交互に少しずつ繰り返される。だが、現在と過去の状況がリンクしているわけではないようだ。登場人物は、主人公のほか、彼女に最初は好意を寄せているかのようにふるまっていた同僚の男性と、彼女になぜかきつく当たる上司の三人である。短い作品の中、状況説明をぎりぎりまで省いた描き方で、緊張感ただよう作品になっている。ただ、主人公やほかの登場人物がなぜそういう行動を取ったのかよくわからない。主人公がなぜ脱出をはかったのかもわからない。進化論での断続平衡説に人類の歴史を関係させていくネタは、おもしろそうなのだけれど。
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Aloha / Ken Wharton
宇宙の時間の流れが逆転し、時間が逆転している別の宇宙に合流していくようになる。肉体を離れてシミュレーションの世界でいきている彼らも、一人ずつ時間の流れが逆転していくようになる。フェリックスは時間の流れに残っている最後の一人で、恋人ハンナを今まさに失おうとしていた。ハンナの時間が終わると、そこには時間が逆転していた世界でハンナに対応している女性が現れる。彼女はフェリックスに「アロハ」と微笑みかける。ハンナへの愛情と時間の流れに残された寂しさとから、彼女がハンナでないと知りながらフェリックスは彼女と会い続ける。やがて、彼は彼女の言葉の意味とそれに込められた彼女の思いを知る。
評価A-。~4600語。「アロハ」は「こんにちは」と「さようなら」の両方の意味を持つ言葉。それが効果的に使われて、情感にあふれた時間SFとなっている。時間が徐々に逆転していく世界なんてどうなるかと思ったが、驚くほどうまく組み立ててあった。フェリックスの視点で読んだあと、次にハンナ/アロハの視点で後ろから逆に読むことができる。どちらから読んでも、せつないラブストーリーになっている。何度か読んで、じっくり味わいたい作品だ。
Probability Zero
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THE WORD MILL / Don D'Ammassa
とても遅筆だが才能のある新人作家が、コンピュータ技術者と恋に落ちた。彼らは彼のパーソナリティをコンピュータ上にコピーして、数多くの名作を生み出すようになる。数年後、彼の仮想人格がつくり出した作品がベストセラーリストを独占するようになったある日……。
~900語。こういうコンピュータができたら、ぜひこれで作品を作っていただきたい作家は……と考えて、楽しくなれるショートショート。
Essays/Articles
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Editorial: A Time to Be Wrong / Stanley Schmidt
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Science Fact:
Personalized Drugs / Kyle Kirland
遺伝子によって薬の効き方が変わることがある。個人の遺伝子を調べて、治療薬をかえていくようになるのだろうか。DNAデータベースなどの話題を含めて論じている。
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Biolog: Kyle Kirkland / Jay Kay Klein
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The Alternate View: LENR, Part 2 / Jeffery D. Kooistra
LENR(Low Energy Nuclear Reactions)、つまり、"cold fusion"の話の、その2。前回は2月号。
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The Reference Library / Tom Easton
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Upcoming Events / Anthony Lewis
(2003年7月14日)
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