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Analog Science Fiction and Fact, July/August 2005
Novella
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Chandra's Pup / Bud Sparhawk
ガラスの専門家チャンドラは、環境保護や動物愛護活動に熱心な平和主義者だ。彼女は軍が破壊したガラスでできている異星人の宇宙船らしいものの調査に赴く。船長のクレイはチャンドラから見ると友好的であるはずの異星人の船を破壊した相手で、ふたりは衝突してばかりいる。あちこちで宇宙船がその謎の異星人の攻撃を受けはじめていた。予算不足で危険な装備のまま、クレイは異星人の襲撃から宇宙船を守り、相手の情報を得ようとする。チャンドラは調査にくる前に保護をした動物の行動から、ある仮説を立てるのだが……。
~22000語。アナログ誌2004年7月8月合併号の Clay's Pride の続編。前作の前半はかなり好みのタイプの作品だったのだが、この続編はそれほどでもなかった。新しい登場人物のチャンドラは、ヒステリックで深みがなく、感情移入が難しい。艦長のグレイは前の有能さがどこかに消えてしまったみたいだ。前作での彼女と、どうやって再会してどうやって関係を深めるかで、頭がいっぱいだ。そして、異星人についてぜんぜん何にもわかっていないままというのは、どういうことかと思う。きっとまだ続くのだろう。
Novelettes
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Of Kings, Queens and Angels / Rajnar Vajra
グリーンエンジェルと呼ばれる異星人の魔法のような力によって、地球人は宇宙観光クルーズ船を運行し、多次元宇宙への旅を楽しむようになった。だが、主人公の船長コーレスにとっては楽しむどころではない。異星人が力を使うたびに出港時に用意しておいたクレジットを使うのだが、彼の船の異星人メルカイは難癖を付けてはクレジットを要求し、クルーズを妨害しているとしか思えないのだ。どこかわからない氷の惑星で奇妙な生物の襲撃を受けているというのに、このままでは地球に戻ることもできない。コーレスはすべてをかけて、メルカイにポーカーを挑むことになる。
評価A-。~15000語。奇妙な未来社会と異星人の姿が魅力的な、ギャンブルSF。透視能力その他の魔法のような力を持つ異星人を相手に、主人公はどうやっていかさまをやり抜くことができるのだろうか。また、なぜ、この異星人はこんな行動をとったのだろうか。船長がスーパーマンすぎるところもあるが、緊張感のある作品だった。お気に入りの歌のメロディが問題解決の糸口になったりするところなど、イメージが豊かな作品だった。
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In the Loop / Brian Plante
大学を出た主人公が勤め始めたのは、仮想空間上の老人ホーム。入居者たちは、肉体的に亡くなったのだが、シミュレーションとしてここで生きているのだ。主人公の仕事は、ループに陥りがちな生活に活気を与えるため、仮想空間の街を訪れ、入居者と交流することだった。彼はそこで一人の(仕事仲間?の)女性と知り合い、ひかれていくのだが……。
~13000語。バーチャルリアリティSF。家族が亡くなった人のコピーを仮想空間上にいかしておいて、そこで暮らさせておくことにお金を払う人がいるなんて不思議にも思う。でも、それを気にしなければ、印象的なラストシーンで、好きな人は好きな作品だろう。
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Endeavor / Robert R. Chase
物語の舞台は、ちょっと前に超新星となった恒星系にあったコロニーから植民者たちを助け出した調査船。そのコロニーの住人は遺伝子操作された種族の出身で、その種族とは戦争があったばかり。コロニーの人々は戦争とは関係なかったのだが、地球人側とコロニー側で互いに不信感を持っている。それなのに、船の能力以上の人々を乗せたことで、不調だった船の状態がますます悪くなり、両者が力を合わせて冷凍睡眠装置を作らないとならなくなる。一方で、コロニーの人々を救うことに奔走した科学者は、ニュートリノを浴びすぎたために医務室で生命維持装置につながれて生き延びていた。だが、彼には意識があって、コンピュータを通して船の機能を掌握していく……。
~11000語。アナログ誌1990年5月号"Transit of Betelgeuse"の続編らしい(15年ぶりの続編だ)。前作を読んでいないのだが、それまでの状況が(だんだんわかってはいくものの)わかりにくい感じがした。いろいろなことが起きているけれど、SFテレビドラマでありがちな設定が詰め込まれている感じで、いろいろ起こっていく事件群のどこに焦点をおいていいかわからないように感じた。昏睡している科学者に焦点をあてていれば、この作品だけ読んでもそれなりに面白かったのかと思う。
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Telepresence / Michael A. Burstein
主人公は仮想空間上での学校を経営する会社の重役の一人。このシステムを公立学校教育に用いてもらおうと、プロモートしているところだ。ところが、システム利用中に生徒が殺されてしまうという事件が起きる。誰かかがシステムをハッキングしたらしいのだが……。
~15000語。アナログ誌1995年7月号 Teleabsence (SFマガジンに掲載された「理想の教室」)の続編。前作の主人公の少年の成長した姿を描いている。熱意を持った主人公が、このシステムの恩恵をあつく語っている。ミステリ要素やハッカー要素もあるけれど、それはたいしたことはないし、結末は最初に予想できる程度のもの。でも、学校と教師と学ぼうとする意欲のある生徒たちに捧げているのがよくわかる。
Short Stories
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The Keeper's Riddle / Joe Schembrie
主人公たちは宇宙空間でのサルベージ業を営んでいる。今回の依頼はある国家のものだった漂流中の宇宙ステーションだ。謎めいた暗号でロックされているらしい。強引に中に入ると、確かに予想した通り危険なバイオ兵器の研究施設だったらしいが、いまは子供たちだけが生活していた。ところが、持ち主だった国家が彼らの侵入を知って、軍艦を送りこんできて攻撃を仕掛けようとする。助かるためには、ステーションのコンピュータのロックを解除するパスワードを入力しなくてはならないのだが……。
~6200語。近未来宇宙開発SF系の、なぞなぞSF(そんな分野があるかはともかく)。短篇ながら登場人物もそれなりに魅力的だし、宇宙SF的な描き込み方もそこそこいい。けれど、問題は、ギリギリになるまで、暗号文めいた文章がなぞなぞであることに誰も気づいていないように見えること。主人公たちもそうだけれど、彼らに依頼してきた情報部の人たちはいったい何をしていたのだろう。なぞなぞ自体は、そんなに難しくないように感じたが、最後のところはちょっとひねってある。
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The Time Traveler's Wife / Scott William Carter
ヨランダは幸せな家庭とたくさんの子供たちを夢見る平凡な主婦だったが、彼女の夫は野心的な物理学者で、タイムマシンの建設を行っている。彼は人間第一号の実験台となって未来に旅立っていき、そのまま帰ってこなかった。彼女は彼の帰還を信じたまま、さまざまな本を読み始めるようになり、気がつくと百歳になっていた。翌日、戦争が始まったとき、彼女は平和を説くようになる。そして……。
評価A-。~1200語。余分なものをそぎ落として淡々と描かれた作品。一応タイムトラベルを扱っているが、SFかどうかといわれると境界的な作品だろう。でも、淡々と書かれている分よけいに感情がこもっていて、迫力を持つ作品になっている。
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Prayer for a Dead Paramecium / Carl Frederick
戦争で父を亡くしたばかりの幼い兄弟は、連れ立って水族館に出かける。そこには水族館のスポンサー提供のアーケードゲームがあって、兄のラルフはそれに夢中だ。弟のアレックスは水の生き物が大好きで、今日はゾウリムシに名前をつけてみた。ラルフが水中の本物の微生物をレーザーでやっつけることができるお気に入りのゲームに並んでいると、アレックスがお気に入りのゾウリムシが死にそうだと泣き叫ぶ。水族館の館長がなんとかアレックスをなだめようとするが……。
~4300語。SFがどうかかなり微妙なタイプの現代小説風作品。12歳の少年の視点から描いてある。作品としてはたぶん悪くないのだろうけれど、ちょっと説教臭いかもしれない。ただ、水族館の館長の行動が、私にはいまいち納得いかなかった。
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The Pain Gun / Gregory Benford
主人公は工学の素養のある軍人で、核攻撃などでめちゃめちゃな状況になった中東に平和維持活動のため駐留している。そこに、電磁波を利用して敵に一時的な苦痛を与える銃のテスト使用の機会が生まれる。電磁波の利用ということで、あまり攻撃には効率が良くない兵器のようなのだが、主人公は無駄な死を避けるために効果があるのではと、ある利用法を提案する。
~5500語。主人公の一人称でかたられる近未来の戦争SF。状況は真っ暗だけれども、基本的な内容は新しい技術をどのように利用していくかをシミュレートしていく作品だった。暗い状況の中、なんとか耐えている主人公の語り口は、雰囲気があっていい。ただ、一時的に苦痛を与えるが死なせることのない兵器だから、普通の兵器よりいいという意識があるようだが、本当にそう思っていいのだろうか。ビジョルドの〈ヴォルコシガン〉シリーズ『名誉のかけら』でアラールがコーデリアに語ったスタナーに頼ったために死んだ人間の話を思い浮かべてしまうのだ。
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Climbing the Blue / Stephen Baxter
上に上ると時間が早く進む不思議な未来の地球、主人公は自然哲学者の講演を聴いたことがきっかけで、医学の道を志す。彼は特に治療法のない奇妙な疫病をなんとかしたいと考えていたが、なかなかそうするだけの時間がない。そうしているうちに、妊娠した彼の妻がその病気にかかってしまった。彼は彼女のために治療法を見つけようと、上の世界に向かうのだった。
~5500語。アナログ誌2004年6月号"PeriAndry's Quest"の続編。奇妙な時間の流れ方をする世界が舞台だが、前作ほどその設定がうまく使われているわけでなかった。幻想小説的な不思議な感触は、そのまま残っている。
Probability Zero
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July Fourth, 2213 / Peter L. Manly
1758年、ハレーが彗星の帰還を予言したこの年、ダニエルは生まれ、独立戦争を戦って故郷に帰ってきた。彼は76歳の時に彗星を見た。92歳の7月4日に10歳のロバート少年に出会い、ハレー彗星の話をしたと言う。南北戦争の兵士となったロバートは、102歳の時、北軍で戦ったもっとも年長の兵士として表彰され、そこでリチャード少年と出会った。リチャードはベトナム戦争を戦い、116歳の時に2度目のハレー彗星を見て、少女サリーと出会う。そのサリーは……。
評価A-。~900語。ラジオのDJの会話にしたてたショートショート。ハレー彗星をアメリカの戦争の歴史と絡めて語っている。ハレー彗星の話かと思わせて、そうでないこの落とし方が、なかなか見事。
Essays/Articles
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Editorial: Inevitable Cliches / Stanley Schmidt
その昔、Schmidtは26種類のよく見かけるプロットについて記事を書いたことがあるそうだ。そういうのは、たいていは「ありがちすぎる」のだが、プロットやガジェットがありがちなものでもどこか新しいものはある。でも、本当に新しいものが登場することもあるのだ。
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Science Fact:
Mission to Utah: A Science Fiction Writer's Adventures at the Mars Society Desert Research Station / Wil McCarthy
ユタの荒野にある火星有人探査の模擬試験場での2週間の経験を、ウィル・マッカーシーがまとめている。2週間交代で、さまざまな研究者やその他のひとが実験に参加しているらしい。宇宙服で外に出て、壊れかけた装置を修理し、温室や汚水槽など住環境を整備する、などの冒険が見事に描写されている。
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The Alternate View: Solving the RHIC Puzzle / John G. Cramer
Relativistic Heavy Ion Colliderという巨大加速器プロジェクトで得られた実験結果からの奇妙な謎について。著者はこの加速器にかかわっているらしい。
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The Analytical Laboratory
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The Reference Library / Tom Easton
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Upcoming Events / Anthony Lewis
(2006年5月25日)
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