レビューの目次に戻る
Analog Science Fiction and Fact, December 2005
Serial
-
Sun of Suns (Part II of IV) / Karl Schroeder
近隣の国家メーベリーはスリップストリームと戦争を始めようとしていると思われたが、スリップストリームの提督ファニングはメーベリーが別の強国ファルコンと手をくんでいることを知る。だが、ファニングはメーベリーではない方角へ艦隊を進めていく。ファニングの妻の運転手として艦隊に同行することになったヘイデンは、艦隊の兵器係である美しい女性オーブリーと知り合う。オーブリーはこの空気で満ちあふれた世界の外からやってきたのだと言う。ファニングは艦隊をオーブリーが言うところの「観光基地」、外部からの訪問者の居住地に向かわせているらしいのだが……。
~20000語。直径数万キロの風船のなかに、空気と水と岩がはいっているという世界を舞台にした、冒険アドベンチャーSF。評価は最後にまとめて。
Novella
-
Audubon in Atlantis / Harry Turtledove
舞台は19世紀のようだが、この地球にはアトランティスがアメリカに続いて発見され、植民地化がすすめられている。語り手は鳥類のスケッチで知られるようになった画家。狩猟家の友人と二人で、アトランティスで絶滅が危惧されている巨大な鳥を求めて、旅することになる。二人は最終的にはその幻の鳥を見つけだすのだが……。
~21000語。アトランティスが登場する、歴史改変小説。ヨーロッパの動植物が導入され、さまざまな固有の動植物が絶滅しようとしているところである。かといって、絶滅する動植物の保護を唱えているわけではなく、科学の発展のためには剥製とするための個体を殺すことも仕方がないと、語り手は考えている。語り口はSFというより歴史小説のようで、その雰囲気があまりSFっぽくないのだが、きちんと書かれた作品だった。
Novelettes
-
Do Neanderthals Know? / Robert J. Howe
製薬会社の研究所ではたらく語り手は、同じ職場に妻と親友もいる。親友はあるとき、幻覚剤のような成分を含むキャベツを発見する。友人はその成分は人類の進化に大きな影響をもたらしたもので、これからも新しい進化をもたらすことになるという。親友や妻はそのキャベツを食べて、違う世界を生きる人類になってしまう。会社の上層部はそのキャベツの秘密を押さえようとするが、もう遅かった。友人と妻は語り手にもキャベツを食べてくれと頼むのだが、彼はできなかった。語り手を残し、妻と友人は去っていく。
~10000語。超人類ものSF。奇妙なキャベツの成分が人体にどのように与えるかということが、きっと科学的に現代風なのだろう。
Short Stories
-
A Christmas In Amber / Scott William Carter
クリスマス直前。老人は宇宙船にのる息子夫婦と孫娘を送って空港に向かう。孫娘には知らせていなかったが、地球には巨大な隕石が衝突しようとしており、選ばれたわずかな若い世代だけが宇宙船で旅立つことが許されたのだ。もちろん老人は地球に残る。別れる直前にそれを知らされた幼い孫娘は、老人と地球に残るとだだをこねるのだが……。
~4300語。感情的な話だった。どうしてわざわざ遠くの惑星まで旅しなくてはならないのかがよくわからない。また、地球が滅亡直前で、愛する家族は助かるかもしれないが、自分は残らなければならないといいうのは、つらくて当然だけれど、お話的にもう少しなにか欲しいと思う。あと、クリスマスである必然性がどうも感じられなかった。
-
Hotel Security / Carl Frederick
ホテルの保安の専門家である主人公は、学会のため訪れた街で、最新の保安設備を誇るホテルに宿泊する。内装や設備を自由に変化させることができ、人工知能を備えたベッドは安眠のためにぬいぐるみを用意してもくれる。ところが、翌朝目覚めた彼は、閉じ込められてしまったことに気づく。保安設備を試してみようと偽の身分証をつかったことが原因だった。外に連絡しようとしても、地球の反対側のコールセンタ−でけんもほろろの扱いを受けるだけ。学会の講演の時間に間に合わないと、彼は部屋からの脱出を試みるのだが……。
~5100語。テロによる保安の行き過ぎの風潮を皮肉ったユーモアSF。テディベアのぬいぐるみの登場はおもしろかったが、冒頭でもう少し固い生真面目な主人公を強調してもよかったのでは。保安設備強化の風潮に嫌気がさす結末も、冒頭で主人公が逆の考えであることを強調していたら、もっとおもしろかったのではないだろうか。
-
The Slow Ones / Larry Niven
地球上で唯一異星人をお客にしているドラコ酒場に、記者が取材しにやってくる。酒場のオーナーである語り手は、2番目に地球にやってきたという異星人「遅い人たち」との交流について語る。
~1800語。ユニークなエイリアンたちがたくさん登場する〈ドラコ酒場〉シリーズのなかでも、ユニークさがユニークに描かれた短い作品。ただし、目新しさがそんなに感じられなかったが残念だ。
Essays/Articles
-
Editorial: / Stanley Schmidt
読者からときどきアナログが「政治的」すぎるのではないかという便りをもらうということについて。それは「保守的すぎる」だったり、「リベラルすぎる」だったりするが、「わたしはリベラルな人間だが、この雑誌はリベラルすぎる」ではない。つまり、自分の意見と異なるときに「政治的」すぎると使われているようだ。
-
Science Fact:
Testosterone Replacement: Beyond Viagra to Successful Aging
/ Fran Van Cleave
男性ホルモンのテストステロンはどのように作用するのか。心臓病との関連や老化によるテストステロンの減少によって引き起こされる症状など。
-
The Alternate View: The Ball Lightning Puzzle/ John G. Cramer
プラズマの研究について。火の玉とプラズマの関係など。
-
The Reference Library / Tom Easton
-
Upcoming Events / Anthony Lewis
(2006年10月23日)
レビューの目次に戻る