レビューの目次に戻る
Guilty Pleasures / Laurell K. Hamilton
Guilty Pleasures / Laurell K. Hamilton
1993, ACE.
〈アニタ・ブレイク〉シリーズの一作目。舞台は現代アメリカだが、ヴァンパイアや人狼や魔術が存在する世界だ。ヴァンパイアは日陰の存在だったが、最近人権が認められるようになり、退治していいのは法を犯したヴァンパイアだけになっている。また、人狼のほか、ネズミやヒョウなどのシェイプシフターも存在する。ヴァンパイアも狼男も、超人的な能力をもつようになる。魔女や妖精なども実在するらしい。
主人公アニタ・ブレイクの仕事は、死者をゾンビとして一時的に復活させるアニメーターだ。また、彼女は資格を持ったヴァンパイア・ハンターでもあり、「処刑人」という名で知られてもいる。これらの仕事の合間に、警察の超自然現象絡みの事件のコンサルタントもしており、大忙しの毎日だ。
もうすぐ、アニタの友人の一人が結婚する。そのお祝いに、アニタたちは、ヴァンパイアや彼らのグルーピーが集まるクラブ、ギルティ・プレジャーに出かける。クラブのオーナーは、マスター・ヴァンパイアの一人、ジャン・クロードだ。ヴァンパイアのショーを見て、ちょっとしたスリルを味わうだけ……のはずだったのに、アニタは街の主であるマスター・ヴァンパイアのニコレイオスの元へと呼びつけられる。ニコレイオスは、一見愛らしい少女だが、非常に暴力的なヴァンパイアの女王で、誰からも恐れられている。彼女はアニタの友人の命を人質に、最近多発しているヴァンパイア殺しを調査するようにいう。
アニタはヴァンパイアのグルーピーの一人フィリップとともに、ヴァンパイア殺しについて調査を始める。さらに、警察からある殺人事件について相談を受ける。死体の残され方から、どうやらゾンビが関係しているらしいのだが、犯人ははっきりしない。そのうえ、ヴァンパイア・ハンター仲間で殺し屋でもあるエドワードが、街の主のマスター・ヴァンパイアの居場所を教えるよう、アニタを脅迫してきた。マスター・ヴァンパイア退治に手を貸したいのはやまやまだが、そんなことをすればニコレイオスの怒りを買い、殺されてしまう。さて、彼女はどうしたらいいのだろうか……。
物語は主人公アニタの一人称で進んでいく。小柄だが、死者を復活させる特異な能力を持ち、勝ち気で口が悪いときもあるが、友人や仲間を非常に大事にする。タフでちょっとの怪我でもへこたれないが、ペンギンのぬいぐるみをこっそり大事にしているかわいい部分も残している。そんなアニタが、なんといっても魅力的だ。
いくつかの事件が平行し、それぞれが絡み合って、テンポ良く進んでいく。最後にそれぞれの事件が収束していく様子は、鮮やかといってもいいくらいだった。
シリーズの後半ではセクシャルな印象が強くなるという話だったが、第一巻の本作品では、主人公はかたくななくらい禁欲的である。ヴァンパイアたちは過激に退廃的であり、セクシャルな描写もあるのだが、性そのものというより、闇とか死とかいった暗黒のイメージを増幅させるためで、それが奇妙なくらい鮮やかに魅力的に描かれている。
(2005年1月16日)
Laurell K. Hamilton 著作リスト
Anita Series:
#1 Guilty Pleasures (1993)
#2 The Laughing Corpse (1994)
#3 Circus of the Damned (1995)
#4 Lunatic Cafe (1996)
#5 Bloody Bones (1996)
#6 The Killing Dance (1997)
#7 Burnt Offerings (1998)
#8 Blue Moon (1998)
#9 Obsidian Butterfly (2001)
#10 Narcissus in Chains (2001)
#11 Cerulean Sins (2003)
#12 Incubus Dreams (2004)
Merry Series:
#1 A Kiss of Shadows (2000)
#2 Caress of Twilight (2002)
#3 Seduced by Moonlight (2004)
#4 A Stroke of Midnight (Not yet released)
Other:
・Nightseer (1992)
・Death of a Darklord (1995) Ravenloft Series
・Nightshad (1992) Star Trek: The Next Generation
・Bite (2005) アンソロジー
レビューの目次に戻る