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Powers of Detection / edited by Dana Stabenow
Powers of Detection -- Stories of Mystery & Fantasy / edited by Dana Stabenow
Ace, 2005
ファンタジー&ミステリーを題材としたアンソロジー。シリーズもの等で人気の作家たちが入っていて、満足できる内容だった。おすすめは、シャーレイン・ハリス、シャロン・シン、ドナ・アンドリューズ、Anne Bishop の作品。
初めて名前を知った作家も何人かいたが、編者の地元アラスカの作家らしい。
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Intrduction / Dana Stabenow
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Cold Spell / Donna Andrews
グインは魔法学校の生徒で、マエストロことユスティニアン師の世話係を勤めている。マエストロはひどい風邪を引いて、くしゃみの度に魔法が暴走しているのだが、魔法による殺人事件の調査のため、グインと城に向かうことになる。城では魔法の防御がしっかりなされているはずなのに、捕らえられた囚人に突然、刀の傷ができて死んだのだという。そのほか、最近は城の防御の魔法がきちんと働いていないようだという。いったい何が起こっているのだろうか……。
20ページ強。少女を主人公にした魔法学校もの。主人公やマエストロのキャラクターがいきいきとして魅力があり、このシリーズの続きで彼らの学校生活も読んでみたいと思った。作者ドナ・アンドリューズには、鍛治職人のメグを主人公にしたミステリーのシリーズがあり、『庭に孔雀、裏には死体』『野鳥の会、死体の怪』『13羽の怒れるフラミンゴ』『ハゲタカは舞い降りた』の翻訳がある。このほか、人工知能を探偵役としたユーモアミステリーのシリーズもあり、第一作『恋するA・I探偵』が翻訳されている。
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The Nightside, Needless to Say / Simon R. Green
主人公ラリーは、ロンドンの秘密の魔法の街ナイトサイドの隠れ家で目を覚ます。彼は私立探偵で、この数日の記憶がなく、そして、死んでいた。死んでいるのに、魔法のため、意識を持ち、動き回れるらしい。仕事の相棒で恋人のマギーに連絡を取り、彼は自分を殺した犯人探しに乗り出すのだが……。
14ページ弱。『青き月と闇の森』の翻訳があるサイモン・R・グリーンによる、不思議な街ナイトサイドを舞台にしたダーク・ファンタジーの短篇。一応謎解きもされているが、ミステリーとしてより、ハードボイルド的な幻想小説だった。主人公の一人称だが、街が本当の主人公であるようにも思えた。
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Lovely / John Straley
カラスのガンクは埠頭で死体のごちそうを見つけるが、人間に追い払われる。ごちそうを無駄にしたことに怒ったガンクは、カラスの知恵を働かせてその人間の跡を追うのだった。
9ページ。カラスを主人公にした幻想小説。カラスは食べ物のこととか音楽のこととかを考えているだけなのだが、読者には殺人事件があって、犯人が死体を捨てて、警察に捜索を受けているのだということがわかる。ジョン ストラレーはアラスカで私立探偵をしていたというミステリ作家で、アラスカの私立探偵を主人公としたミステリー『熊と結婚した女』の翻訳があるらしい。これが初のファンタジー作品だとか。
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The Price / Anne Bishop
元娼婦で暗殺者の力の強い魔女シュールリアルは、残虐な殺人事件現場に行き会ってしまう。街では似たような事件が続いており、魔法能力を持つ男性たちが無差別に殺されているのだという。この世界では女性優位なのだが、過去に男性の暴力を受けた魔女が復讐に乗り出したのだろうか? シューリアルは知り合った魔法使いの男性の協力を得て、犯人を罠にかけようとする。
21ページ弱。Black Jewelシリーズでおなじみのシュールリアルが主人公の短篇。Black Jewel三部作の後日譚にあたる。気っ風のいい主人公の語り口が魅力である。シリーズを読んでいなくても一応わかるようになっているが、シリーズ作品を読んでいれば、イメージがよりふくらんでいいだろう。
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Fairy Dust / Charlaine Harris
スーキーは人の心を読めてしまう能力を持ったウエイトレス。彼女が勤めるバーに、妖精のクロディーヌがやってきて、彼女の力を借りたいという。クロディーヌの家に行くと、そこには彼女の兄弟のクラウドと、縛られた三人の男女が待っていた。彼らは三つ子で、三つ子のもう一人のクラウディアが勤め先のストリップ劇場で殺されたのだという。そして、その犯人は拘束されている三人の男女の誰かに違いないので、スーキーに彼らの心を読んで犯人を捜してほしいのだと言う。それぞれの証言を聞いて、スーキーが導き出した真実とは……。
19ページ弱。『満月と血とキスと』の翻訳があるシャーレイン・ハリスのシリーズの短篇。主人公スーキーの一人称の語り口もおもしろいが、ミステリーとしてもなかなかおもしろい短篇だった。恋人(ここでは元恋人)のヴァンパイアは言及されるだけで登場しておらず、そのかわりに妖精が登場している。
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The Judgement / Anne Perry
法廷では魔女の疑いをかけられた女性が裁きを受けようとしていた。未亡人の彼女は、親類の農場に身を寄せて働いていたが、妻のある農場主に言い寄り、彼に拒否されると魔法をかけて納屋を壊して彼を殺したのだと言う。関係者が次々と証言台に立つなかで、やがて明らかにされた事実とは……。
17ページ弱。ヴィクトリア朝を舞台にしたピット警部シリーズやモンク刑事シリーズなどの邦訳がある歴史ミステリー作家アン・ペリーによる法廷ミステリー短篇。歴史ミステリーの女王らしく、この作品も時代は特定されないけれど歴史物のようだ。魔女の疑いをかけられているところがファンタジーなのかというと、実はそうではない……と見せかけておいて、幻想的な結末をむかえている。
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The Sorcerer's Assassin / Sharon Shinn
主人公は魔法学校の女校長。学校で授業中の教師が突然死んでしまう。魔法によるものらしいが、人を殺せるような魔力の持ち主は、主人公を含めた五人の教師だけだ。その誰もがそれぞれ殺人の動機を持っていた。そして、犯人がわからないうちに、第二の殺人が起きる……。
15ページ強。Archangelシリーズや、邦訳された『魔法使いとリリス』などの著者があるシャロン・シンの魔法学校を舞台にしたミステリー。ただし、この作品は全然ロマンティックではなく、殺伐とした状況の中でコミカルな雰囲気を持つ作品になっている。シャロン・シンがこういう作品を書くことは意外だったけれど、けっこうおもしろかった。
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The Boy Who Chased Seagulls / Michael Armstrong
老人はゴミ拾いしながら海岸を歩いている。彼はカモメを追いかけて遊んでいる少年を見かけ、その少年に昔、カモメを追いかけるのが好きだった少年に起こった事件について語るのだった。
9ページ強。アラスカのアリュートの伝説をモチーフにした幻想的な物語になっている。ミステリー度は低い。この作家もアラスカ在住だそうだ。
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Palimpsest / Laura Anne Gilman
電流を操る超能力を持つレンは、相棒のセルゲイから新しい依頼の話を聞く。美術館に侵入し、ある絵画を拝借してきてほしいとのこと。さっそく仕事をすませたレンは、ついでに別の仕事も片付けようとするが、見つかってしまい、とっさに最初の件の絵画を置いてくる。改めて取り戻しに向かったところで、レンは死体を発見する。しかし、本当に狙われたのは、レンだったのではないかという疑惑が浮上する。
20ページ弱。この作者はLUNAからRetrieverシリーズのStaying Deadを刊行されており、本作品もそのシリーズの一作。Retrieverのレンがなかなか魅力的で、長篇もぜひ読んでみたいという気にさせる。しかし、この短篇でいうと、前半の導入部に比べて後半のミステリーを解決する部分が説明で終わっているようで、なんだかもったいない感じがした。
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The Death of Clickclickwhistle / Mick Doogan
異星人の外交官たちを運ぶ宇宙船に同乗した新米外交官の主人公ゴードンは、四種族いる異星人外交官の一人の死体を発見する。なぜかその死体は温度が急上昇し、爆発する。主人公は船の士官の一人カーターと異星人外交官たちから話を聞き、謎解きをすることになる。すると、別の種族の外交官の一人も行方不明であることがわかる。彼らが見つけだした意外な犯人とは……。
24ページ弱。このアンソロジーの中で唯一のSF作品。二十世紀二十一世紀の人名をちりばめて、コミカルな味を出しているらしい。けれど、私にはそれがない方がおもしろく感じたかもしれない。新本格のミステリーみたいに、意表をつく結末だった。
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Cairene Dawn / Jay Caselberg
カイロで私立探偵を営む主人公は、不思議な女性から夫捜しを頼まれる。行方不明になった夫は、以前にも夫の兄弟とトラブルがあって、その時も殺されていたのだという。殺された? 不思議に思いつつも情報を集め出した主人公のもとに、不思議な死体(の一部)が見つかった知らせが届く……。
14ページ。作者はオーストラリア出身でロンドン在住のSF作家。エジプトの神々の伝説をモチーフにした幻想的な短篇。ミステリー度は低い。
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Justice is a Two-edged Sword / Dana Stabenow
魔法の剣の担い手となった女剣士のクロウフットは、見者のシャリンとともに各地をまわっている。ある街で二人は、少女を絞め殺した犯人として、少年が暴徒に殺されかけているところに止めにはいる。二人の仕事は公正な裁きをおこなうことだ。少年が殺された少女のそばにいるところを目撃した少女の継父や、少年の恋敵、少女の親友などが証言していくと、二人の魔法は意外な真実を明らかにするのだった。
20ページ強。女剣士と女魔法使いの冒険物語。最初の方でさまざまな固有名詞が出てきて、いくらか混乱した。シリーズものではないようだし、後半にかかわってくるわけではなかったので、もう少しすっきりまとめてもよかったのではと思った。デイナ・スタベノウはアラスカを舞台にした《女探偵ケイト・シュガック》シリーズで何冊か翻訳されている。イントロダクションを読むとこれが作者の初めてのファンタジー作品らしい。
(2005年9月20日)
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