待祭の旅


「『宗主の城』に行きなさい」
 占い師である母がいいました。
「『宗主の城』に?」
 あなたは思わずきき返します。「宗主の城」ということばに、ぞくっと身を震わせながら。あなたはジプシーの少女です。年はまだ18、占い師の母に育てられ、何不自由のない生活を送っています。なのに、何の理由であのようなおそろしいところに行かなくてはならないのでしょうか。
「それには、こういうわけがあるの」
 母はそういって、あなたが腕に巻いたスカーフをまくり上げました。そこには奇妙な、燃えるトカゲのようなあざがあります。あなたが小さいころから、あったものです。
「言い伝えによると、火トカゲの紋章を持つ者は、いつの日か『宗主の城』に行って、その主と戦うことになっているの。これがその『火トカゲの紋章』よ」
 あなたは「宗主の城」のことを思い浮かべます。そこには、この国を支配するおそろしい魔法使いが住んでいて、人々から収穫をとりあげているのです。「宗主の城」は、この国の恐怖と恨みの象徴でした。
「でも、お母さん」
 あなたが何かをいおうとするのをさえぎって、母は話を続けます。
「私は、私のお母さんから聞かされていたの。火トカゲは、魔法とはちがう、でも同じくらいに大きな何かの力をもっていて、宗主はそれをひどくこわがっているんだって。だから、あなたの腕に火トカゲの紋章を見たとき、この娘には、占いを教えずに育てようって決めたのよ。いつか、あなたが宗主と戦って、この国を人間のものにしてくれると思って」
 母は、あなたの手を開かせて、1組のカードを握らせました。古い、占い用のトランプでした。
「あなたももう、18になりました。本当は、こんな危ない旅には行ってほしくないんだけど――でも、あなたを育てることに決めたときに、ジプシーの仲間たちに約束したのです。この娘は、いつか『宗主の城』に行かせるからって。これは私からの贈りもの、あなたの運命のカードです。これには、私の愛情をもって魔法がかけてあります。さあ、行きなさい。そして、宗主に会うのです」
 母は、それだけいってしまうと、テーブルにつっぷして泣きだしました。その瞬間に、あなたはすべてを理解します。ここにいるのは、あなたの本当の母親ではないのです。
 あなたは、なおも顔をあげずにいる母を見下ろしていましたが、やがてゆっくりと立ち上がりました。ジプシーのテントの外には、もう初夏の風が吹いています。
「お母さん。今まで育ててくれて、ありがとう」
 ひと言つぶやいて、あなたは目の前の道に最初の一歩を踏み出します。「宗主の城」のある町に向かって。

    ◆ゲームの説明

 では、宗主の城に行くまでの決まりを説明いたしましょう。
 あなたは、城に行って宗主に会うまでに、さまざまなできごとに出会います。よいこと、悪いこと、楽しいこと、つらいこと――これに対するあなたの用意は、母がくれた運命の札と、何人かの従者たちです。
 トランプを1組用意してください。そしてまず、その中からすべてのキング、クイーン、ジャック、およびジョーカーをとり出してよく切り、伏せたまま積んでおきます。これがあなたの連れていく従者になります。
 次に残っている数札のほうもまた、よく切ったあと、伏せてテーブルに置いてください。そのまま、いちばん上の1枚をめくり、出た数だけ従者カードを上からとります(ただしエースは11とします)。これがあなたの従者です。
 もう一度数札をめくり、今度は出た数に10を足して、その枚数だけ、数札を上からとります。これが占いカード――あなたの持つ運命の札です。
 従者カードも占いカードも、残った札は伏せたまま「補充用」に積んでおいてください。これで、用意ができました。
 あなたは、旅の途中で「占い」をせねばならなくなることがあります。占いカードはそのときに使います。「占い」の指示が出たら、まず、そこにあるカードの吉凶を見ます。それから、占いカードのいちばん上の1枚をめくってください。そして出た札を見てその場の指示に従うのです。
 従者のカードは、「戦い」に使います。「戦い」の指示が出たら、その場に何が出たら勝てるかが書いてありますから、それを見てやはりいちばん上の札をめくり、出た内容によって指示に従ってください。カードはたちまちのうちに戦士に変身して、あなたのかわりに敵に立ち向かっていくでしょう。ただし、ジョーカーは「裏切りの札」です。戦いは、特別の指示がないかぎり、ジョーカーが出たとたんに負けになります。忘れないでください。
 占いカードにせよ、従者カードにせよ、もしも気に入らなければ何枚めくってもかまいません。あなたの運命は、あなたが選ぶのですから。ただし、どちらも数に限りがあります。旅の途中でふえることもありますが、原則的には減っていきます。そこで――。
 もしも、従者がいなくなってしまったら、占いカードを「クラブ」が出るまでめくり、出た数だけ「補充カード」からとってください。これで新しい従者ができます。問題は占いカードです。
 占いカードは旅の途中でふえる以外には、補充はできません。これは、「あなた自身」のカードなのです。
 したがって、占いカードがなくなってしまったら、もう先には進めなくなります。つまり、そこでゲームは終わりになってしまうのです。吉札が出るまで何枚もめくる権利があるからといって、使いすぎるのが危険をともなうことは、あなたにはすぐにわかるでしょう。
 どちらのカードも、補充用がないところでふやす指示が出たら、使い終わったカードを切り直してください。

では出発しましょう!
4
進んでください。









































































【1】

「なんだ、そうか」。楽師はがっかりしたようです。あなたは、彼に別れを告げて歩きだします。87へ。

【2】

 そこは真っ暗闇です。どうしようかと思ってポケットをさぐると、マッチが1箱出てきました。それをすって、明かりをつけますか(42へ)、地下1階にもどりますか(24へ)。

【3】

 竜はそのまま、目を覚ましません。従者の札をめくりなさい。ジョーカー以外なら、だれでも竜を殺せます。ジョーカーは裏切って逃げてしまうので、もう1枚めくること。竜をたおしたあとで、出発です。13へ。

【4】

 仲間をはなれて出発したあなたは、ふと、道端にひとりの若い男がすわっているのを見ます。手には小さなハープを持っている――旅の楽師のようです。彼はあなたをじっと見てから、こういいました。「おまえは、火トカゲか」。なんと答えますか。「はい、そうです」なら88へ、「いいえ、ちがいます」なら1へ。

【5】

「ほほほ、ムダよ。あなたの従者では、とても私とは戦えないわ」。従者のカードはすべて失います。27へ。

【6】

 部屋の中には鳥カゴがあって、1羽のオウムが入っています。部屋に入りますか(86へ)、広場にもどりますか(49へ)。

【7】

「あの、食べ物を分けてほしいんだけど」。あなたが自分もジプシーであることを告げてからこういうと、彼らは疑わしそうに見つめてきました。食べ物がほしければ、占いをしなさい。赤札なら信じてくれるので、占いカードを2枚ふやせます。黒札なら、何もくれません。がまんできるなら、やらなくても結構です。いずれにせよ、そのあとで噴水にもどるなら84へ、前進するなら59へ。

【8】

「この、ウソつき娘め。私にカードの吉凶ぐらい、読めぬと思ったか」。騎士は怒って、あなたの顔をたたきました。あなたは、騎士が行ってしまうのを見ながら、もう二度とウソはいうまいと誓います。占いカードを3枚減らしてから、出発です。59へ。

【9】

 廊下を行くと、左右には無気味な石像がならんでおり、奥には明かりが見えます。進みますか(66へ)、もどりますか(24へ)。

【10】

 竜ももはや死骸です。あなたの従者が勝ったのです。占いカード2枚をふやしてから、出発しなさい。13へ。

【11】

 薄暗い洞窟を進んでいくと、やがて大きな息づかいが聞こえてきます。曲がり角を曲がったあなたは、小さな叫び声をあげます。30mはありそうな緑色の怪物が眠っているではありませんか。占いをしなさい。ハートだけが吉です。吉なら3へ、凶なら52へ。

【12】

 あなたが前に進み出ると、魔法使いもまた自信ありげに近づいてきます。と、そのとき――あなたの腕の火トカゲの紋章が、強烈な光を発しました! 「ギャアァァァァッ」。その光を浴びた魔法使いは、不気味な叫び声をあげて、消えてしまいました。78へ。

【13】

 歩き続けるあなたは、ふと、行く手に大きな建物の影を見ます。「宗主の城」です! ふもとには、町もあるようです。ところが、走りだそうとしたとたん、あたりに霧がたちこめてきました。進みますか(65へ)、しばらく待ちますか(37へ)。

【14】

 あなたはようやく、敵の城のある町に入りました。見ると、広場に噴水があります。水を一口飲んでから、ひどく空腹であることに気づきました。どうしましょうか。84へ。

【15】

 竜はあなたのクイーンの手に、顔をおしつけました。そして、あなたの従者になることを決めたようです。従者カードを1枚ふやしてから、出発しなさい。13へ。

【16】

「きゃっ」。あなたは思わず、悲鳴をあげます。カゴが開いて、オウムが飛び出してきたのです。オウムはあなたの従者を1人さらって行きました。従者カードを1枚減らしてから、広場にもどりなさい。49へ。

【17】

 では、占いカードを1枚減らしなさい。彼は歌いだします。「金の道は乱の道、銀の道は和の道。金の剣は表のカギ、銀の花は裏のカギ」。あなたには、意味がよくわかりません。でも、あとでわかるでしょう。先に進みなさい。87へ。

【18】

 少し行くと、道の真ん中に1人の男が立っていました。占いをしなさい。赤の札が出れば吉、黒の札が出れば凶になります。吉なら51へ、凶なら30へ進みなさい。

【19】

「私は旅の占い師です」。あなたが1人の騎士に告げると、彼は「よし、私のことを占ってみろ」と答えました。占いカードをめくりなさい。赤なら吉(48へ)、黒なら凶(36へ)です。

【20】

「おお!」。村人は喜びの声をあげ、あなたをはげまします。占いカードを2枚ふやしなさい。そのあとで、毒竜の洞窟に向かいます。83へ。

【21】

 乱の道はスペードの守護を受けます。占いカードをスペードが出るまでめくりなさい。なければ、ここで旅は終わりです。スペードが出たら、28へ。

【22】

 あなたの勝ちです。占いカード3枚と、従者カード1枚をふやして、先に進みなさい。82へ。

【23】

 蛇をたおしたとたん、あたりがパッと明るくなりました。なんと、あなたは外にいるのです。あの城が、あとかたもなく消えうせているではありませんか! 見ると、目の前に1人の女性が立っています。宗主は女だったのです。しかし、あなたが本当におどろいたのは、彼女の顔を見たときです。それは――その顔は――。「いよいよ、最後の戦いね」。彼女がいいました。56へ。

【24】

 地下1階の広場に出ました。階段と廊下があります。廊下を行くなら9へ、階段を上るなら81へ、階段を下るなら2へ。

【25】

 猫は突然ライオンとなって、襲いかかってきました。しかし、あなたにはすでに吉運がついているのです。従者カードをめくりなさい。それがだれであっても、ライオンをたおせます。裏切り者のジョーカーもただ逃げてしまうだけなので、もう1枚めくればそれで勝てます。そのあとで、広場にもどりなさい。57へ。

【26】

 ここは、宗主の城の中です。なぜか、だれもいません。あたりはひっそりしています。廊下が奥まで続いています。進みなさい。81へ。

【27】

「さあ、どうするの?」。39へ。

【28】

 あなたが前に進み出ると、魔法使いもまた自信ありげに近づいてきました。と、そのとき――あなたの持っていた金の剣が、突如としてあなたのふところから飛び出して、魔法使いの胸に突き刺さったのです! 「ギャアァァァッ」。魔法使いは無気味な叫び声をあげて、消えてしまいました。78へ。

【29】

 では、従者のカードをめくりなさい。黒のキングか、ジャックなら勝ちです。勝ったら22へ、負けたら70へ。

【30】

 相手は悲しそうに首をふって、消えてしまいました。あなたは、相手が何をいいたかったのか考えますが、わかるはずもありません。先に進むしかなさそうです。33へ。

【31】

「あの、何か食べさせてくださいませんか」。あなたがいうと、市場の商人は「ああ、いいよ。金さえ出しゃな」と返事をしました。占いカードをダイヤが出るまでめくって、その札の表の数だけ占いカードをふやしなさい。これは、途中でやめてもかまいません。そのあとで、噴水にもどるなら84へ、先に進むなら59へ。

【32】

 あなたが扉に手をかけようとすると、中から声がかかりました。「待て! おまえは火トカゲか!」「そうよ」。答えると、ギギッと音がして、扉が開きます。中には、水晶のイスがあり、黒いローブをまとった魔法使いが! 「ついに、ここまでやって来たな。戦う用意はできているのか」。魔法使いはものすごい笑い顔で、あなたをにらみつけます。あなたの武器は――あなたは金の剣か、銀のバラを持っていますか。剣があれば21へ、バラがあれば85へ、どちらでもなければ53へ。

【33】

 しばらく歩くと、小さな村のようなところに出ました。なぜか、広場に人が集まっています。近づいて何をしているのかたずねてみましょうか(47へ)、それとも、だまって通りすぎましょうか(50へ)。

【34】

 では、占いカードをめくりなさい。ハートかダイヤの5以上ならあなたの勝ち、それ以外は負けです。勝ったら22へ、負けたら70へ。

【35】

 宗主はものすごい微笑を浮かべて、あなたに近づいてきました。「せっかく、私の正体をつかんだのにね」。宗主の髪があなたのノドにからみつきます。薄れていく意識の中、あなたは宗主の顔をもう一度だけ、目にします。その顔は……。END。

【36】

 凶札が出ました。本当のことを告げますか。告げるなら45へ、「吉です」とウソをつくなら8へ。

【37】

 霧の中に立っていると、突如、空から低くくぐもった声が聞こえてきました。「火トカゲよ。私の城に近づくな!」。ぞっとして見上げると、もう気配は消えています。霧も晴れてきました。もちろん、この旅をやめることはできません。町に向かいなさい。14へ。

【38】

 クイーンはたちまちのうちに、1人の女戦士に変わりました。「彼女は、必ずや竜をたおしてくるでしょう」。あなたのことばに、村人は畏敬のまなざしで彼女を見つめます。あとはクイーンに任せましょう。占いカードを2枚ふやして、村を出発しなさい。13へ。

【39】

 あなたは大声で叫びます。「正体を見せなさい!」。72へ。

【40】

 オウムは素直に答えてくれました。「地下1階にいるよ」。あなたは勇んで広場にもどります。49へ。

【41】

 ネズミは一斉に襲いかかってきました。あなたが抵抗する間もなく、彼らは従者をすべてさらっていきます。従者カードをすべて失わねばなりません。今のうちに補充してから、階段を上りなさい。24へ。

【42】

 パッとあたりが明るくなったとたん、あなたは無数の赤い目に見つめられます。ネズミの大群です! 占いをしなさい。クラブの5以上が吉です。吉なら89へ、凶なら41へ。

【43】

 では、従者カードをめくりなさい。クイーンだけがこの場の役に立ちます。クイーンを引いたら38へ、それ以外なら50へ。

【44】

 あなたが1歩進み出ると、魔法使いもまた自信ありげに近づいてきます。と、そのとき――あなたの胸の銀のバラが、突如として強烈な光を発しました! 「ギャアァァァァッ」。魔法使いはその光を浴びると、不気味な叫び声をあげて消えてしまいました。78へ。

【45】

「そうか。だが、戦いをやめるわけにもいくまい」。騎士はお金を払って、行ってしまいました。あなたは、そっと彼の無事を祈ります。占いカードを1枚だけふやしてから、出発です。59へ。

【46】

 あなたは剣なしで、石の兵隊と戦わなければなりません。従者のカードをめくって、キングが出れば勝ちです(77へ)。負けに甘んじるなら、それでもかまいません。ただし、裏門に行くこと(67へ)。

【47】

「何かあったのですか」。あなたの問いに、村人はこう答えます。「この山にはおそろしい毒竜がすんでいて、毎年少女を1人ずつ食うのです。いま、今年のいけにえを決めていました」。あなたは、何といいますか。「私が行きましょう」なら20へ、「私の従者を行かせましょう」なら43へ、黙って行こうとするなら50へ。

【48】

「よしよし、私の運もそれほど悪くはないようだな」。騎士はそういって、あなたにお金を払ってくれました。「いざ、行かん。戦場へ」。騎士たちを見送りながら、ふと、あなたの胸が痛みます。きょうもだれかが傷つくのです。でも、どうにもなりません。占いカードを2枚ふやして、出発しましょう。59へ。

【49】

 ここは3階の広場です。扉がたくさんありますが、ここより上には上がれません。広場を歩きまわるなら76へ、階段を下りてしまうなら57へ。

【50】

 あなたは「あっ!」と叫び声をあげます。村人が襲いかかってきたのです。あなたは、たちまちつかまってしまいました。「これで、あの毒竜のいけにえが決まったぞ」。あなたは、竜の洞窟に連れていかれます。83へ。

【51】

 男はにっこりと笑い、たくましい腕で1本の金の剣を差し出します。「この道は乱の道です。これを持っていきなさい」。これから先、金の剣を持っていることを忘れないように。33へ。

【52】

 竜はガバッと身を起こして向かって来ました。従者を使って、戦わねばなりません。ジャックなら勝ち、クイーンなら竜と和解できます。ジャックを引いたら10へ、クイーンを引いたら15へ、それ以外なら54へ。

【53】

 自分で戦う者は、エースの守護を受けます。占いカードを、4枚のエースのどれかが出るまでめくりなさい。なければ、ここで旅は終わりです。エースが出たら、12へ。

【54】

 あなたは逃げねばなりません。あの村人たちは、まだまだ竜に苦しめられるでしょう。占いカードを2枚減らしてから、先に進みなさい。13へ。

【55】

「では、あなたはここに入る資格のある人です」。鏡の精が、ゆっくりと扉を開いてくれました。中に入りましょう。銀のバラを持っていたら、そのまま持って行きなさい。26へ。

【56】

 さあ、あなたが自分の持つ運命をすべて賭けるときが来ました。手持ちの占いカードをすべて表に返しなさい。そして、赤札の数字の合計と、黒札の数字の合計を計算するのです。赤が多ければ71へ、黒が多ければ62へ、同じなら35へ。

【57】

 そこは2階の広場です。階段と廊下があります。廊下を行きましょうか(63へ)、階段を上りましょうか(49へ)、階段を下りましょうか(81へ)。

【58】

 従者のカードをめくりなさい。金の剣を持たせれば、だれでも石の兵隊に1人で勝てます。そのあとで77へ。ただし、ジョーカーは剣を持ち逃げするので、ジョーカーを引いたらただちに46へ。

【59】

 ついにあなたは、「宗主の城」の前まで来ました。まわりを一周すると、入り口は表と裏に1つずつあります。表から入りますか(73へ)、裏から入りますか(67へ)。

【60】

 竜はあなたの腕の火トカゲの紋章に気づき、びくっと硬直しました。竜にもその紋章の意味がわかるのです。竜は、あなたの手に顔をおしつけ、のどを鳴らします。そして、あなたの従者になることを決めたようです。従者カードを1枚ふやして出発しなさい。13へ。

【61】

「出て来なさい!」。あなたが叫ぶと、洞窟の奥からおそろしい雄叫びが聞こえ、地響きとともに30mはありそうな緑色の怪物が姿を現しました! 戦わねばなりません。占いをしなさい。ハートとクラブが吉です。吉なら60へ、凶なら52へ。

【62】

 まだ、勝負はつきません。今度は従者の札をすべてさらし、赤と黒の合計をそれぞれ出しなさい。赤が多ければ71へ、黒が多いか同じ、あるいは従者がなければ35へ。

【63】

 廊下を行くと、猫が1ぴき、目の前の床に現れました。占いをしなさい。ハートの5以上が吉。吉なら25へ、凶なら68へ。

【64】

 では、占いをしなくては――。ハートだけが吉です。吉なら55へ、凶なら表門にまわることにして73へ。

【65】

 行っても行っても、何も見えません。霧はどんどん深くなります。それでも進みましょうか(79へ)、立ち止まりましょうか(37へ)。

【66】

 さっ、とあたりを緊張した空気が包みました。ふと見ると、左右の石像が動きだしたのです。自分で戦いますか(34へ)、従者に戦わせますか(29へ)、逃げだしますか(70へ)。

【67】

 裏の門は、扉が鏡になっています。しばらく見ていると、鏡の中から白いローブをまとった、美しい女の人が出てきました。鏡の精です。「ここは、和の門です。銀のバラはお持ちですか」。あるなら55へ、なければ64へ。

【68】

 猫は突如としてライオンになって、襲ってきました。あなたには凶運がつきまとっています。従者の札をめくりなさい。赤のジャック以外では勝てません。勝ってもそのまま、負けたら占いカードを3枚減らして、広場にもどりなさい。57へ。

【69】

「ほほほ、ムダよ。そこからは、出られないわ」。よけいな体力を使ったので、占いカードを2枚失います。27へ。

【70】

 占いカード3枚を失って、逃げなさい。82へ。

【71】

 宗主は、ゆっくりと近づいてきました。「負けたわ。どうやら、あなたの運命のほうが私よりも強いようね」。宗主はがっくりとひざをつきます。「でも――あなたは――」。あなたの声は、ことばになりません。「わかったわ。説明してあげる」。宗主は語り始めます。いま、真相があばかれるのです。90へ。

【72】

「では、あなたの従者を、私の子どもと戦わせなさい」。目の前の床に、大きな銀色の蛇が現れます。黒のキングか、赤のクイーンだけが勝てます。この戦いは、勝つまで続けなさい。従者がいなくなったら、補充しながら。勝ったら、23へ。

【73】

 表門から入ろうとすると、あなたは突如として、石でできた兵隊に囲まれました。「これは、乱の門だ」と1人の兵隊が告げてきます。あなたは金の剣を持っていますか。あれば58へ、なければ46へ。

【74】

 少し行くと、道の真ん中に1人の女が立っていました。占いをしなさい。赤の札が出れば吉、黒の札が出れば凶になります。吉なら80へ、凶なら30へ進みなさい。

【75】

 バタン、と音がして、扉が閉まってしまいました! あわててかけ寄ってみても、なぜか開きません。そのとき、天井から声が聞こえます。「バカなヤツ。私のおなかに入ってくるなんて」。あなたは、あっとおどろきます。「宗主」とは、この城そのものだったのです! どうしますか。扉を破るなら69へ、「正体を見せなさい」と叫ぶなら72へ、従者を使うなら5へ。

【76】

 扉が1つ開いていました。のぞきますか(6へ)、もどりますか(49へ)。

【77】

 あなたの従者は、戦いに勝ちました。ついに、城に入れます。もしも、金の剣を使ったなら、そのまま持って行きなさい。26へ。

【78】

 あなたは、魔法使いが消えてしまったあとに、ぼんやりと立っています。部屋の中には、あの、水晶のイスがあるだけ。あなたはゆっくりとそれに近づきます。と――。75へ。

【79】

 突然、霧の中にさっと一陣の風が吹いてきました。あなたがあっと叫ぶ間もなく、風は従者を1人さらっていきます。従者カードを1枚減らして、立ち止まりなさい。37へ。

【80】

 女はにっこりと笑い、美しい腕で1本の銀のバラを差し出しました。「この道は和の道です。これを持って行きなさい」。これからは、銀のバラを持っていることを忘れないように。33へ。

【81】

 あなたは1階の広場に出ました。階段があります。上るなら57へ、下りるなら24へ。

【82】

 あなたは、ぼうっと光る扉の前に来ました。あけますか(32へ)、広場にもどりますか(24へ)。

【83】

 あなたは竜の穴の前にいます。穴の入り口には、「われ、ここにすめり」と文字が読めます。もう、村にはもどれません。どうしますか。中に入るなら11へ、そこから叫ぶなら61へ。

【84】

 噴水のそばでまわりを見まわすと、市場、ジプシーの馬車、そして、馬に乗った騎士の一団が見えます。市場に行くなら31へ、ジプシーたちに会うのなら7へ、騎士のところに行くのなら19へ。

【85】

 和の道はハートの守護を受けます。占いカードをハートが出るまでめくりなさい。なければ、ここで旅は終わりです。ハートが出たら、44へ。

【86】

 部屋に踏みこむと、オウムが話しかけてきました。「何か、用かね」。もしや、と思いあなたはたずねます。「宗主はどこ?」。占いをしましょう。ハートの6以上が吉です。吉なら40へ、凶なら16へ。

【87】

 やがて、道が2つに分かれます。1つは金色に、もう1つは銀色にかがやいています。金の道を行くなら18へ、銀の道を行くなら74へ。

【88】

「では、おまえの運命を1つわたせば、歌を聞かせてあげよう」。そうしてもらうなら17へ、断るなら1へ。

【89】

 ネズミたちが襲いかかってくる!と思った瞬間、あなたの腕の火トカゲが強烈な光を放ちました。ネズミたちはあっという間にいなくなってしまいます。階段を上りなさい。24へ。

【90】

 宗主は、あなたの顔をやさしくなでてくれました。その顔には、涙が光っています。
「本当に――よく来てくれたわね。私はあなたを殺そうとしたけど――でも、やっぱり会えてうれしいわ」
 宗主のことばに、あなたの胸は思わず熱くなります。
「ええ――私もよ、お姉さん」
 いま、あなたの前にいる宗主の顔――それはあなた自身の顔にそっくりです。宗主とは、あなたの双子の姉だったのです。
「本当に大きくなって。きっと、あなたを育ててくれたのは、とてもやさしい人なのね」
「ええ、そうよ」
 あなたは、母のことを思い出しながらうなずきます。そして、今度は自分のほうから姉に問いかけました。
「ねえ、お姉さんはなぜ、宗主なんかになったの。私たちは、いったいだれなの」
 姉は、黙って自分の腕をまくって見せました。そこには、ちょうどあなたの火トカゲの紋章と同じ位置に、水に濡れた蛇の形のあざがありました。
「これは、水蛇――魔法と悪魔のしるしよ。これを持つ者がいるかぎり、この世は魔法が支配するの」
 姉は、かすれた声で話し始めました。遠いむかし、神と悪魔が戦ったとき、どうしても決着のつかないその勝負を、彼らは人間にあずけることにしたのです。いつか生まれてくる、水蛇と火トカゲの紋章を持つ姉妹に、それぞれの望みをたくして。
「だからね、火トカゲは神様の使いなのよ。それがあなた――私の妹だったの。私は自分が水蛇の紋章を持っていて、火トカゲと戦わねばならないと知ったときには、ずいぶんと苦しんだわ。だって、火トカゲが妹だということも、悪魔が教えてくれたんですもの。でも――こうなってよかったんだわ。これで私もあなたの姉にもどれる。あなたにやさしくしてあげられる」
 宗主であったあなたの姉は、ゆっくりと地面にたおれていきました。あなたは、思わずかけ寄って、彼女を助け起こします。
「お姉さん!」
「いいの――いいのよ。こうなるのがいちばんいいの。けっきょく、魔法なんて神様のつくったものに比べれば、とるに足らない力だわ。これからは、あなたの時代よ。あなたが、私にかわって、この世界を治めるの。あなたの力と運命は、私の何倍も強い。きっと、すばらしい世界が来るわ。でもね、覚えておいてちょうだい。あなたの力だって、使い方を誤れば、大変なことになるんだってことを……」
 姉はそれだけいい残すと、すっとあなたの腕の中から消えてしまいました。
「お姉さん!」
 悲しみが、あなたの胸をつらぬきます。あなたはしばらくそのまま泣いていました。初めて出会った姉は、それでもただ1人のあなたの肉親だったのです。
 けれども――悲しみだけがいつまでも続くことはありません。やがてあなたは、ゆっくりと立ち上がります。そして、目の前に広がる世界を眺めて思うのでした。――私の力。なんのことだろう。でも、とにかく歩きださなくては。見ていてね、お姉さん。
 あなたは町に向かって歩き始めます。腕には、あの火トカゲの紋章――魔法にかわる新しい力、「科学」の力の象徴をかがやかせながら。

初出:月刊「POPCOM」1986年5月号、小学館


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