Created: March 8, 2004.
一枚のギア、鉄のフレーム、元祖スポーツ根性漫画のスパルタ父ちゃんの名前ももらって、命名 一鉄。 (飛雄馬君の父ちゃんは一徹だけどね。)
これまでウチにやって来た自転車(の群れ)はどちらかと言うと「楽しく旅行をするため」の自転車でした。 Kazは「走ることを楽しむ」ための自転車が欲しくなっていました。
固定ロードに目をつけて、いつかオーダーしてやろうと構想を暖めていましたが、偶然その条件にあった自転車を発見してしまいました。 半年間の逡巡の末、ついに発注してしまったのです。
St John St Cycles Tange fixed/single speed bikeをベースにしました。
固定ロードなのに泥除けがついている珍しい自転車です。 フレームはTange Cr-Moとあります。 旅自転車(アルプスのパスハンター)と較べると、ペダルに力を入れて踏み込んだときの撓みが少ないです。 丈夫で長持ちしそうなフレームです。
よく見ると変速ケーブルのストッパーがあります。 内装ハブギアで車輪を組めば普通の自転車になっちゃいます。 もともとそういう意図で作ったフレームなのかもしれません。
乗り心地も良くて、長時間乗れそうです。
現代の自転車はフリー機構がついていて、走行中に足をとめても車輪は回り続けます。 固定ギアはそのフリー機構が無く、走り続けるには足も動かし続けなければなりません。
トラック競技(ケイリンもその一つ)やサイクルフィギュア、サイクルサッカーに使われる自転車が固定ギアの自転車です。 器用な人は後ろに進むこともできます。
トラック競技用の自転車は限られた条件下で最高の性能を出すように設計されています。 ブレーキをつける必要もなければ、長時間乗ることもありませんし、雨の日に乗ることなんて考えなくてもかまいません。 各部の寸法は性能重視でギリギリまで詰められています。
固定ロードは公道で使うことを前提にしています。 十分な性能のブレーキがつけられて、長時間乗れるように快適さも考慮しています。 泥除けや太目のタイヤを使えるように、車輪とフレームの間の寸法に余裕を見て設計されているものもあります。
トラック競技用の自転車を扱っている自転車店は数多くありますし、メーカーも製品を用意しています。 一方、固定ロードは需要が極端に少ないため、専用フレームは数えるほどしか選択肢がありません。 特別注文をするか、ロード自転車を改造して作る人が多いです。
いまや後ろのギアだけで10枚もあって、自動変速が可能なものもあったりするご時世です。 なぜに変速もなく、ましてやフリーも無い厄介な自転車に乗りたがるのか、なにも先祖がえりしなくたって良いのに、というのは真っ当な感覚でしょう。
Kazだって変速の付いていない自転車を所有するのは20年来です。 小学校の三年生くらいまで乗っていたお下がりの赤い自転車が最後。
坂を登るにはペダルを強く踏む、速く走るときは足を速く動かす。 アタリマエといえばアタリマエ。 坂を下るときは足がぶん回される。 足を速く回す練習にちょうどいい。 変速機が無いから、音も静か。 伝達効率も最高。 自分の体と路面に介在するものが少ない、より直接的な感覚が気持ちいい。
不便が楽しい、そんな感じ。
人は自転車に乗るとき、無意識に足を止めてしまうものです。 それを固定ギアの自転車でやるとかなり危険です。 自転車の持つ慣性が車輪→ペダルと伝わって体を持ち上げてしまうか、後輪がロックします。
チェーンリングにズボンの裾を巻き込んでしまったら、ズボンはちぎれてしまうでしょう。 フリーつきの自転車であれば、裾が汚れるだけで済むものです。
整備中にうっかりチェーンリングとチェーンの間に指を入れてしまったら、 そして後輪が回転していようものなら、 大惨事です。 チェーンリングは後輪の慣性で回り続けようとします。 その力は想像以上です。
そんな厄介な自転車、それでも乗りたいというなら止めません。 自己責任でどうぞ。
Kazが固定ギアに惹かれたきっかけを作ったサイトや、参考にしたサイトの一覧です。
ヨシザワさんの"ストリームライナー製造計画 「リカンベントの自作を考える掲示板」"に話題を振ったところ、まる むさんが日本の固定ギアロードの先駆者であることが判明。 それも、パリの加藤一画伯のガード付き固定ロードに乗せてもらったのがきっかけとか。 その後、細山製作所さんから固定ブームの火の手が上がったようです。
加藤一画伯のことは、「自転車一辺倒 -- 風と彩と人生と」( 加藤 一, 永 六輔共著)という本で知りました。 風を感じる絵に魅了された覚えがあります。 そしてその本は、Kazに自転車の楽しさを思い出させた本でもあったのです なにか不思議な縁を感じます。