著者はテレビ業界の御用アナリストとして知られるが、この5年間で35冊という驚異的なスピードで本を出している。内容はほとんど同じで、業界の資料をカット・ペーストして書いていると思われるが、トーンは微妙に変わっている。『放送ビッグバン―ソフトビジネス大競争時代の夜明け』(1998)『テレビが変わる!―放送のデジタル化が引き起こす第三次テレビ革命』(1999)『放送デジタル化の功罪』(2000)『今のテレビが使えなくなる日―放送デジタル化の真相を追う』(2001)と、少しずつ否定的になっている無節操ぶりがおもしろい。
本書では、いよいよデジタル放送を見捨てて「インターネット放送」に活路を見出そうとしている。「暗雲ただようBSデジタル」「地上波デジタルの投資負担には耐えられない」と否定的なトーンが強まっているが、そのBSデジタルがスタートするとき、自分が「ビッグバン」や「テレビ革命」などと提灯持ちをした責任はどうなったのか。提灯持ちが提灯を捨てて逃げ出すようになったら、テレビ業界もおしまいだ。
おまけに、肝心のインターネットについての知識がないものだから、「2000年11月25日の週刊東洋経済」を8ページも引用して、「ブロードバンドがテレビを飲み込むといわれている」としている。この記事は『週刊東洋経済』が書いたものではなく、主要部分は私の書いた署名入り原稿である。これは原文と分量の変わらない「まるごと盗用」であり、著作権法違反にあたる疑いが強いが、こんな雑魚を相手にしてもしょうがないので放置しておいたら、いろいろなコラムで私の話を(いつも名前は出さないで)受け売りしている。いい加減にしないと、訴えるよ。
テレビ業界のことしか目に入らない視野狭窄は、この業界の持病だが、筆者もその代表だ。問題を系統的に理解していないから、論旨が状況に応じて二転三転する。去年末、IT戦略本部の打ち出した水平分離論が「規制強化」だとかいう意味不明のコラムを書いたかと思ったら、最近は伝送路で区分する「縦割り行政」はよくないという。まだわかってないのかもしれないが、もう「放送」業界そのものが存在する意味がないのだ。