著者によれば、日本の銀行はバブルさえなければ世界に伍してやっていけたはずで、それをだめにしたのは金融ビッグバンだという。著者は第一勧銀 総研の理事だったが、日本の銀行がなぜだめになったかを身をもって示す貴重な生き証人だろう。ここまで日本経済をめちゃくちゃにしておいて「銀行は悪くな い」と開き直る度胸には恐れ入るが、私の知る限りではこういう銀行員は、特に経営者にはそう珍しくない。こういう人々には、何をいっても無駄だから、会社ごとお引き取り願うしかない。経済学では、これを「創造的破壊」と呼ぶが、「バカは死ななきゃ直らない」と訳したほうがいいのかもしれない。
しかも、この「保守反動」の権化のような本の版元が、なんと岩波書店だ。岩波は、以前からたびたび不渡り手形を出したという噂が流れている。朝日新 聞社に身売りしようとしたが、経営内容があまりにもひどいので断られたという話もある。労使紛争が長期化して共産党支配が強まり、労使関係も最悪だ。編集 者の質の低下も著しく、私もウェブに乗せた原稿を岩波の編集者が勝手にゲラに組んで送ってきて驚いたことがある。経済学でも「近経」の担当者がパージさ れ、多くの経済学者が執筆をボイコットした。
こういう「現状維持派」というのは、共産党・社民党的なイデオロギーと馬が合うのかもしれない。墓場に片足を突っ込んだ戦後左翼にとっては、「何も しないで、座して死を待て」という著者のような子守唄が快いのだろう。岩波が内橋克人・奥村宏・金子勝などの半マルクス系エコノミストを好むのと共通して いる。
*後記:著者の名前をGoogleで検索すると、なんとこの「反書評」がトップに出て くる。Googleのランクは、基本的にはリンクの数で決まるから、それだけ多くの人が著者に代表される銀行のバカさ加減に怒っているということだろう。 著者もこれを読むだろうから、少しは恥を知って、嘘を書き散らすのをやめてほしいものだ。