Kabuki Syndrome Network in Japan Newsletter 歌舞伎ジャーナル  第18号

 ヒトゲノム完全解読の先は…中日新聞2003年7月8日夕刊記事より

 個別医療へ応用を

   人間の設計図にあたるヒトゲノムの“完全解読宣言”がこの春あった。この到達点の後、生物学はどこに向かい、何をするのだろうか。6月末に横浜市で「第5回国際ゲノム会議」が開かれ、世界中の大物研究者が語り合った。解読は実は出発点にすぎず、まだ大きな課題が残されているということだ。とくに遺伝子の違いに応じたテーラーメード医療の構築に期待が寄せられた。

  (吉田 薫)

 昨年、ノーベル賞を受賞した学界の大御所シドニー・ブレンナー博士(米ソーク研究所)は「実はまだ解読は終わっていない」と言う。「遺伝子の働きを調節しているものが未解明だ。同じ遺伝子であっても、何通りも発現の仕方をする。それぞれ人間の体にとって意味が違ってくる。それらをすべて整理し、解明しなくてはならない。とくに精神障害の原因となるものを解明するのが、多難ではあるが大事だと思う」とした。

 米スタンフォード大でゲノムを研究し、現在は遺伝子の人によるちょっとした違い(SNPs)を扱うベンチャー企業パーレジェン・サイエンス社を経営するデビッド・コックス博士は、テーラーメード医療への展開に最も注目する。「経済学イコール遺伝学。私たちは、人によって薬が効くかどうか、事前にわかるよう研究している。すべての患者に同じ薬を与えるのは医療資源の無駄遣いだ。対象となる病気は、がんのようなはっきりした病気もいいが、ブレンナー博士が述べたように、心の病に挑戦するのも大事だし、期待も大きい」と述べた。

 マチアス・ユーレン博士(スウェーデン王立工科大)はたくさんのタンパク質の現れ方を一度に解析できるタンパク質チップの開発者。「これから重要な分野は、やはりタンパク質だ。遺伝子がタンパク質を作り、そのタンパク質同士の相互作用、ネットワークが人間を形作っている。研究を、分子レベルで患者個人の特性にあった抗がん剤の開発につなげたいと考えている。今のがん治療はあまりに未熟だ」とした。

 ブレンナー博士は「遠い将来を念頭におくべきだ。五十年先には、医療はずいぶん違った姿になっているだろう。製薬会社がなくなっているかもしれない。治すより予防する方が簡単だ。今からそうした時代に準備しておかなくてはならない」と述べた。

 また日米欧、それぞれのゲノム科学の研究スタイルについて「米国は何でもやる。ヨーロッパは何かをやる。日本は−」と言いよどむと、ユーレン博士が、田中耕一さん(島津製作所)のタンパク質の質量分析装置の開発や、ゲノム解読での貢献に触れ「素晴らしい仕事をしている」とエールを送った。

■ヒトDNA百科事典計画

 米国では、国立衛生研究所(NIH)を中心にゲノム解読以後の基本戦略「エンコード計画」を九月から始める。エンコードとは、「ヒトDNAの百科事典」という言葉の頭文字を並べたもの。遺伝子個々の機能に加え、遺伝子の働きを調節する機構、遺伝子同士の相互作用を調べる。その結果、人間を形成し、病気を起こしたり治したりする遺伝子のことが何でも書いてある百科事典のようなものができるはずである。初めの三年間は、ゲノムの1%程度を試験的に調べ、その後、対象を全ゲノムに広げていくという。  

 北米のネットワークからも遺伝子に関する情報提供がありましたので併せてご紹介します。前段は原文をそのままで、後段は私の翻訳です。

 Hi - just a quick note to say that Dr. Ming's and Dr. Milunsky's studies are 2 separate studies. Dr. Ming is from Children's Hospital of Pediatrics (CHOP) and Dr. Milunsky is from Boston University School of Medicine. You will find information on Dr. Ming's study (along with Karen Russell) on KSN's website: http://www.kabukisyndrome.com/bulletin.html

 Dr. Milunsky's study will be included in the next newsletter......but a notice of it was also sent to KSN's members a few months ago. As far as I understood from Dr. Milunsky when I spoke with him in May, the results of his study would be available within a few months and the participating families would personally hear of the results from him. The results will also be published but this usually takes longer. One of the reasons that Dr. Milunsky's study will produce 'results' so quickly is because he has already found some commonality on the chromosomes of 2 children with Kabuki (not a big sampling) and would like to see if this is the case with more than just his 2 patients. He is looking at a very particular chromosome area. As far as I understand, the study will prove either yes or no as to whether this chromosome is affected simarlarly with other children with Kabuki.

 I have not heard from Dr. Milunsky that he also wishes a blood sample from the moms of the participating families. But I'm sure that he'll let us know if this is the case.

 I would invite any families not now a member of KSN to send in your membership fee! Help support your network and get 2 annual newsletters to share with your families and professionals involved with your child and periodic updates on studies, etc!

 Bye for now,

 Margot, mom of 4 gals

 Kabuki Syndrome Network

 8060 Struthers Cr.

 Regina, Sask. S4Y 1J3

 Canada

 Ph# 306-543-8715

 Email: kabuki@sasktel.net

 URL: www.kabukisyndrome.com

 ミン博士とミルンスキー博士の別々の研究についてお尋ねしましたので、簡単に報告いたします。ミン博士は小児科の子供病院の先生であり、ミルンスキー博士は、ボストン大学の医学部の先生です。ミン博士の研究はhttp://www.kabukisyndrome.com/bulletin.htmlでご覧頂けます。

 ミルンスキー博士の研究は、次ぎのニュースレターで紹介しますが、KSNの会員には、数ヶ月前にお知らせしました事を覚えておいででしょうか。5月に彼にインタビューし、私が理解している範囲では、彼の研究結果は数ヶ月以内に役立たれる可能性があるし、彼の研究に協力した家族は、数ヶ月以内に彼から結果を聞けるでしょう。この結果は出版されるでしょうけれど、この手のものは長くかかるものです。彼の研究成果が早く生まれた理由の1つとして、彼は既に2人の歌舞伎症候群の患者(数は少ないですが)より複数の染色体の共通点を発見しているからです。そして、もっと多くの患者から同じ共通点が見つかってほしいです。彼は、染色体のごく一部の部分に注目しています。私が理解している範囲において、この研究の成果は、他の歌舞伎症候群にかかっている子供達の染色体をチェックするだけで、本当に歌舞伎症候群なのか違うのかが判定されます。(訳者註 違っていたらどうなるのかな?)

 ミルンスキー博士がこのプロジェクトに参加している家族のお母さんから血液サンプルを求めているかどうか彼からは聞いていません。もし求めているのであれば、私達に知らせてくれると確信しています。

 以下概略 ネットワークを維持する為に多くの人に加入していただき、会費を払ってください。

 

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