Kabuki Syndrome Network in Japan Newsletter 歌舞伎ジャーナル  第29号

<<平成16年2月8日>>

 ヒトゲノム解析計画

 著 ジェフリーミン、M.D.、博士号によって (尾関敏伸勝手に翻訳)

 Genes(遺伝子) and Genomes(ゲノム=gene+chromosome(染色体))=片親に由来する染色体の全て)

 『人のからだがどのような成分から成り立っているか全て解明されている社会』を想像してください。これがヒトゲノム解析計画の究極の終着点です。そのために国際的な科学者が知恵を出し合って,人の体の成り立ちの完全なリストを作り上げることに日夜努力しています。異なるコンポーネントを作るための指示は遺伝子の中で完全に記録されています。いかにして体は働くか,どう成長するか,もし,すべてのことが正確に正しく作用しないときにどんなことが起こるかなど,遺伝子を識別することにより私たちに多くのことをもたらすでしょう。

 遺伝子とゲノムを理解するために,私たちは、いくつかの専門用語を知らなければなりません。遺伝子は、身体がどのように成長するのかという青写真と考えてください。遺伝子のちがいは、身体の特別の部分がどのようにちがうかに結びつけることができます。遺伝子のちがいは、例えば,瞳の色の違いや髪の毛の色の違いなど人の多くの身体的な特徴を決定します。また、心臓はどうして必要なのか,子供がどのようにして成長し学習するかなど、遺伝子は、身体の構成を決める際に重要な役割を果たします。遺伝子は、DNA(デオキシリボ核酸用の)と呼ばれる化学薬品から構成されます。各遺伝子は、特定のタンパク質を構築するための指示を記録しています。ゲノムは特別の生物の遺伝物質のすべてです。(人間の場合は,ヒトゲノム。稲の場合はイネゲノムといいます。)したがって、ヒトゲノムは人の中のDNAに記録されていた完全な情報です。 遺伝子の上に書かれている遺伝子情報は、一種の暗号文字によって書かれています。  遺伝子には塩基というA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4つの物質があり、これらの並び方でさまざまな形質を表現しています。人体のA、T、G、Cの数は、およそ30億文字対にものぼります。わたしたちの体にはこのように膨大な情報が含まれているのです。  A、T、G、Cは、3文字でひとつのアミノ酸を表す暗号文字になっています。(下図参照)  DNAに保存された遺伝子情報は、必要なときに読み出されて、アミノ酸からタンパク質などを合成するために使われます。タンパク質は、筋肉やホルモンなどをつくる機能をもっており、わたしたちが生きていく上で欠かせない物質です。 ヒトゲノム解析計画のゴールは、全ての塩基配列決定すること。すなわち、遺伝子をすべて識別することです。

  

 ヒトゲノム解析計画

 人の身体がどのように成長するかは非常に複雑になります、また、あなたが容易に推測できるように、遺伝子内に記録されていた情報は非常に複雑です。実際、およそ30億の塩基およびおよそ30,000の遺伝子がヒトゲノムにあると推測されます。全ゲノムの設計図が完成したと最近発表しました。この驚異的な設計図の完成は10年間にわたる世界のいたる所でのヒトゲノム解析計画に従事した多くの研究者による結晶です。

 全ての塩基配列決定を知ることは、私たちが今遺伝子をすべて識別することができることと同じ意味です。遺伝子をすべて知ることによって、私たちは、身体の異なる部分の成長がどの遺伝子が関与しているか解明することができます。例えば、これらの遺伝子の1つまたは、複数の変化は心室中隔欠損症または大動脈縮窄症のような心臓の構造に問題がある病気をもたらすかもしれません。この例は,歌舞伎症候群の子供に発病する心臓に関係する病気のうちのほんの2つです。嚢胞性繊維症または鎌形赤血球貧血症のような多くの病状が単一の遺伝子異常によって引き起こされます。実際、ゲノムにある30億の塩基からの一つの塩基の変化が両方の状況を引き起こすことがあります。癌、高血圧および糖尿病を含む他の状況で、多くの場合いくつかの遺伝子の影響があります、どんな影響、どんな疾病が生じるでしょうか、また、それがどれくらい厳しいのかもしれません。 ヒトゲノム解析計画からの情報により、各個人がもっている個性的な特徴の違いは、どうやって引き起こされたのか(原因)を理解する手助けとなりました。さらに、私たちは、どの遺伝子がどの器官と具体的にどう関係しているか解り始めました。また、医学的な問題を持って生まれた子供が,将来どんなことがこの子に起こりうるであろうか高い確率で予想できます。ヒトゲノム解析計画によりもたらされた情報は、多くの医学的病気の診断・治療・予防の新しい方法を開発します。私たちは、疾病に対しての遺伝素質についてもっと理解しやすくなるでしょう。次ぎの項で議論しますが,疾病に対しての遺伝素質を理解することから得られる利点として,今後数年間の更なる研究により、将来、いろいろな条件のもとでも、ゲノムからの多くの情報は、実際の診断・治療・予防のために,大きな意義をもたらすでしょう。

 ゲノムについて知るための次のステップは何ですか。

 すべての遺伝子を識別することは,確かに非常に刺激的な出来事でありますが,よく考えてみれば,ただ始まったばかりなのです。全ての遺伝子と蛋白質がどんなことをするか、また、どんな相互作用をするかということを理解するために,もっと研究を重ねることに大いに意義があります。遺伝子のリストがあるということは、研究の対象にはなるが、現在どの遺伝子が,心臓の形成に重要なのか、あるいは、それぞれの遺伝子または蛋白質がどんな機能を持っているのか判明していないことを私達に物語っています。以下比喩的表現ですが,ゲノム配列と全ての遺伝子の識別完成は,大宴会を準備するに必要な30,000の食材をリストアップしたと同じです。食材とは何なのかと知ることは,出発点なのです。しかし、フルコース料理を作って晩餐会をすることで正解が現れてきます。実際,食材以外にもっともっと情報が必要なのです。最初に、サラダを作るのにどんな食材が必要なのかあなたは知らなければなりません。同様にスープの食材には,メインには、デザートには,飲み物にはどんな食材が必要なのかあなたは知らなければなりません。そして、食材を発注する前に予算建てをしなければなりません。その後、それぞれのお皿に何を盛り合わせるかを知らなければなりません。

 今まで述べたことは,異なる遺伝子が身体の中でどの役割を果たすかをすべて理解してもらうための例え話です。ヒトゲノム解析計画は、どの遺伝子が介在するか私たちに伝えてくれるでしょう。その後、私たちはどの遺伝子がどの器官システム(心臓、脳、肝臓など)に働きかけているか特定しなければなりません。例えば、どの遺伝子が心臓の発達に影響を与えているか、心臓を形成して行く過程で必要なタンパク質が作られるためにはどれだけの遺伝子が必要なのか私達は計算する必要があります。心臓の特定の部分に遺伝子がどんな役目をしているか研究しなければなりません。もちろん、遺伝子およびタンパク質が行うことを正確に理解するために、タンパク質がどんなことをするか他の要因との相互作用はどうなのかを私たちは決める必要があります。

 あまりあまりこの情報にほとんどの遺伝子のために理解されません。したがって、ゲノムを知ることは私たちに異なる遺伝子が開発の間にどのように作動するかについてのより十分な理解を与える、新しい情報の洪水の触媒でしょう。

 ヒトゲノム解析計画は歌舞伎症候群のために何を意味しますか。

 現在、私たちは、どの遺伝子が歌舞伎症候群において重要かに関する情報をほとんど持っていません。非常に基礎的なレベルで、私たちは、単一の遺伝子の、あるいは1グループの遺伝子の変化によって歌舞伎症候群が引き起こされるかどうかまだ知りません。ヒトゲノム解析計画は、遺伝子のリストを提供するでしょう。また、これは、私たちがオプションは何か知ることにより遺伝子を識別するのを助けるでしょう。しかしながら、困難な部分は今30,000の遺伝子のどれが歌舞伎症候群を引き起こすことにおいて重要か決めることです。したがって、ゲノム情報はフレームワークを提供するでしょう。しかし、非常に、歌舞伎症候群に含まれる遺伝子が確実性で知られている前に、より多くの仕事が終わる必要があるでしょう。

 一旦歌舞伎症候群に含まれる遺伝子(あるいは遺伝子)が識別されれば、私たちは理解し始めることができます、遺伝子の差は、どのように先天性心疾患、口蓋裂あるいは短い水準のような症候群で見られた多くの特徴に結びつきますか。その後、その遺伝子が正常な遺伝子とどのように異なるか与えられた子供のために決めることは可能でしょう。さらに、それは、診断が明らかでない子供の中の歌舞伎症候群を分析する方法を提供するかもしれません。遺伝子を知ることは再発危険評価を援助することができ、潜在的に、遺伝子変更の出生前の検知に結びつくかもしれません。かつて歌舞伎症候群に含まれる遺伝子(s)識別された、ゲノム・プロジェクトは、さらに情報が、歌舞伎症候群中の変更された遺伝子によって他のどの遺伝子が影響されるかに関して、利用可能かもしれないので、遺伝子の機能について知ることをより容易にするでしょう。 全体として、ヒトゲノム解析計画から生成された情報の爆発が正常な開発および病状の両方に対する洞察力を確かに提供するとともに、これは医学の遺伝学のための非常に刺激的な時間です。多くの仕事は、識別、および歌舞伎症候群に含まれる遺伝子(s)の機能に関する学習に前方にありますが、ゲノム・プロジェクトからの情報は歌舞伎症候群についてのよりよい理解用ツールを提供するでしょう。

 著者に関して

 ジェフリー明、M.D.、博士号はフィラデルフィアのChildren?s病院およびペンシルバニア大学医学部で、小児科の助教授、人類遺伝学の区分および分子生物学です。彼および同僚は、歌舞伎症候群を持ったおよそ12人の子供に会いました。さらに、彼は、どの遺伝子が歌舞伎症候群を引き起こすことに関係するかについてもっと知ることに非常に強い興味を持ちます。

歌舞伎ジャーナル目次へ