Kabuki Syndrome Network in Japan Newsletter 歌舞伎ジャーナル  第30号

<<平成16年4月18日>>

 今回の記事の目的は,歌舞伎症候群の原因が遺伝子の一部にあるのではないかと最新の学術論文に記載されています。もしそれが本当ならば,保護者として子供の兄弟姉妹で『歌舞伎症候群』が発生しないか,自分の子孫に発生しないかと心配している人は多いと思います。その心配を取り去る目的で書きました。また,『遺伝』という言葉と『遺伝子』という言葉は、あまり関連性がない事を知ってもらうためです。

誰にもわかる 染色体・遺伝子のこと

文責:尾関敏伸

  最初に言葉の意味を説明します。

 ゲノム、ヒトゲノムってナーニ

 ゲノム(genome)は昔からあった言葉ではありません。gene(遺伝子(ジィーン))+chromosome(染色体(クロモゾム))からの造語です。意味は,染色体に必要な全遺伝子ということですが,この言葉の構成は,今までの日本の文化には、馴染まない発想です。日本では,染色体といえば、遺伝子を含んだものと考えがちです。日本人が名付け親でしたらクロネ(chrone)となっていたかもしれません。(なんだか二等寝台客車のような名前)

 ヒトゲノムは、英語では、Human Genomeと表記し、"ヒューマン・ゲノム"と発音します。Humanの意味は『ヒト』です。ヒトゲノムは日本語+英語からなる言葉です。ヒューマニズムという言葉は既に日本では一般的になっているので、別に"ヒューマン・ゲノム"でも良いような気がしますが。イネのゲノムはイネゲノム。ライスゲノムとは言いませんので。

 入り口でゴチャゴチャ言うのはもう止めましょう。

 染色体・遺伝子の居場所

 人間の体には,約60兆個の細胞から成り立っているといわれています。遺伝子は,細胞の一つ一つの中にいます。人間の細胞の中には,核,ミトコンドリア,ゴルジ体といったものが含まれます。通常は,遺伝子というのは,"核"の中に染色体があり、染色体を構成するものを指します。このあたりのことは、歌舞伎ジャーナル第8に記載しております。

 ミトコンドリアの中にも特殊な遺伝子が含まれています。この特殊な遺伝子は,通常の範疇に含まれていません。

 両親から受け継ぐ染色体・遺伝子

 ヒトの細胞の中には,普通23組46本の染色体があります。しかし,お父さんの精子には半分の23本しか染色体がありません。同様にお母さんの受精卵も半分の23本しか染色体がありません。精子と卵子が結合して23組46本の染色体となるのです。角度を変えて言うと両親から半分ずつ受け継いでいることになるのです。

 では、兄弟はどうなるかというと、例として『犬の赤ちゃん』を想像してください。犬は一度に何匹も赤ちゃんを産みます。オス,メスバラバラに出てきますし,同じ兄弟でもよく見ると一匹一匹違います。なぜこうなるかというと、精子と卵子が結合する時の染色体の組み合わせは、何万通り以上です。ですから、兄弟で同じ遺伝子の配列で産まれてくる可能性は"0"です。ヒトについても同じことが言えます。クローン技術はこの正反対のことを行っていると考えてください。(クローン技術の良し悪しを言っているのではありません。)

 前項でミトコンドリアのことを書きましたが,ミトコンドリアの特殊な遺伝子は母親の性質しか受け継ぎません。

 以上は科学的に証明されていますが,以下はまったくの推測で、証明されていません。

 突然変異について

 突然変異という日本語は非常に無責任な感じを受け,突然変異であっても何か根拠があると考える自分にとって、あまり好きではないのですが,この単語しかないので使用します。"突然"+"変異"の変異の部分から説明します。

 猿からヒトは進化し,今でも進化し続けています。何万年も前の化石や遺跡の人骨などがそれを証明しています。ヒトは大昔のままではありません。どうして変わったのでしょうか(原因)。どのように変わらせたのでしょうか(目的)。なにが変わらせたのでしょうか(要因)。どうなったでしょうか(結果)。

 えんどう豆の色の違いに着目した『メンデルの法則』や『ダーウィンの進化論』の言葉だけでも思い出してください。今では, 遺伝性疾患を名前毎に区分するときに,メンデルに敬意を表して統一的にメンデルの○○○番と表示します。歌舞伎症候群であればメンデルの147290となっています。我々が中学生のときに習った『ダーウィンの進化論』には、キリンが使われました。高いところにある葉っぱを食べるために、ある動物の首が長くなり,それがキリンになったのだと。しかし,その進化を証明する化石がないそうです。今では『ダーウィンの進化論』は、「小さな変化は証明できるが大きな変化は証明できない」となっているそうです。

 前置きが長くなりましたが,キリンを例にとって自分で考えてみてください。(要因)欄は現在でも未解明です。

 (原因) 環境の変化

 (目的) 環境の変化に対応するため

 (要因) 遺伝子が変異した

 どうして遺伝子が変異したのでしょうか。まだ解明されていませんが、ウィルス説などがあるそうです。

 (結果) 環境の変化に対応した(今の形になった)

 突然変異…英語ではmutationといいますが,元々はラテン語です。variation(変異,異形、変動など)と混同を避けるために用いられています。ationはラテン語で"変わること"という意味だそうです。mutは"過去分詞"を意味します。

  出典

 ステッドマン医学大辞典

 私達の遺伝情報

 今回評判が良ければ,次ぎにシッポのことを書こうと思います。オタマジャクシのシッポ(遺伝子)、トカゲのシッポ(クローン)、ヒトのシッポ(進化?退化?)

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