Kabuki Syndrome Network in Japan Newsletter 歌舞伎ジャーナル  第45号

<<平成17年5月3日>>

  障害者自立支援法について

障害者自立支援法案(障害種別にかかわりのない共通の給付等に関する事項についての 規定)が2005年2月10日に日本の国会に提出されました。

歌舞伎症候群とこの法案がどんな関係にあるか説明したいと思います。また、この 法案に対して、問題があると指摘されております。後半で何が問題点かも紹介した いと思います。

   歌舞伎症候群の傾向として、程度の差はありますが、『精神遅滞』→知的障害を伴ってい るケースが多いと報告されています。都道府県はその知的障害の程度の差に応じて(注)療 育手帳などを発行し、福祉サービスの提供や手当ての支給を行っています。歌舞伎症候群 の保護者の方も医療費が無料になったり、手当てをいただいた覚えがあると思います。

  (注) 知的障害者福祉法には、身体障害者福祉法でいう『身体障害者手帳』に相当するもの が書いてありません。昭和28年厚生省の通知により各都道府県知事が発行しているもので、 東京都では『愛の手帳』埼玉県では『緑の手帳』と呼んでいます。

   この法案でいう給付対象の障害者とは次の4つをさしています。

  @身体障害者福祉法に基づく…身体障害者

  A知的障害者福祉法に基づく…知的障害者

  B精神保健福祉法に基づく…精神障害者

  C児童福祉法に基づく…障害児

 この法案の概要は、次のホームページ(厚生労働省)から入手が可能です。

  国の知的所有権は、国民の財産という考えにたち、国の了解なくその概要を記載します。

 障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、これまで障害種別ごとに異 なる法律に基づいて自立支援の観点から提供されてきた福祉サービス、公費負担医療等に ついて、共通の制度の下で一元的に提供する仕組みを創設することとし、自立支援給付の 対象者、内容、手続き等、地域生活支援事業、※サービスの整備のための計画の作成、費用 の負担等を定めるとともに、精神保健福祉法等の関係法律について所要の改正を行う。

※サービス…以下「の」が4回も続く下手な文章(国はここまでのチェックを入れないのでしょ うか)

T 障害者自立支援法による改革のねらい

1 障害者の福祉サービスを「一元化」

  (サービス提供主体を市町村に一元化。障害の種類(身体障害、知的障害、精神障害)に かかわらず障害者の自立支援を目的とした共通の福祉サービスは共通の制度により提 供。)

2 障害者がもっと「働ける社会」に

  (一般就労へ移行することを目的とした事業を創設するなど、働く意欲と能力のある障害者 が企業等で働けるよう、福祉側から支援。)

3 地域の限られた社会資源を活用できるよう「規制緩和」

  (市町村が地域の実情に応じて障害者福祉に取り組み、障害者が身近なところでサービス が利用できるよう、空き教室や空き店舗の活用も視野に入れて規制を緩和する。)

4 公平なサービス利用のための「手続きや基準の透明化、明確化」

  (支援の必要度合いに応じてサービスが公平に利用できるよう、利用に関する手続きや基準 を透明化、明確化する。)

5 増大する福祉サービス等の費用を皆で負担し支え合う仕組みの強化

  (1)利用したサービスの量や所得に応じた「公平な負担」(障害者が福祉サービス等を利用 した場合に、食費等の実費負担や利用したサービスの量等や所得に応じた公平な利用者 負担を求める。この場合、適切な経過措置を設ける。)

  (2)国の「財政責任の明確化」(福祉サービス等の費用について、これまで国が補助する仕 組みであった在宅サービスも含め、国が義務的に負担する仕組みに改める。)

U 法案の概要

(1)  給付の対象者

  ・身体障害者、知的障害者、精神障害者、障害児

(2)  給付の内容

  ・ホームヘルプサービス、ショートステイ、入所施設等の介護給付費及び自立 訓練(リハビリ等)、就労移行支援等の訓練等給付費(障害福祉サービス)

  ・心身の障害の状態の軽減を図る等のための自立支援医療(公費負担医 療)  等

(3)  給付の手続き

  ・給付を受けるためには、障害者又は障害児の保護者は市町村等に申請を 行い、市町村等の支給決定等を受ける必要があること。

  ・障害福祉サービスの必要性を明らかにするため、市町村に置かれる審査会 の審査及び判定に基づき、市町村が行う障害程度区分の認定を受けるこ と。

  ・障害者等が障害福祉サービスを利用した場合に、市町村はその費用の10 0分の90を支給すること。(残りは利用者の負担。利用者が負担することとな る額については、所得等に応じて上限を設ける。)

(4)  地域生活支援事業

  ・市町村又は都道府県が行う障害者等の自立支援のための事業(相談支 援、移動支援、日常生活用具、手話通訳等の派遣、地域活動支援等)に関 すること。

(5)  障害福祉計画

  ・国の定める基本指針に即して、市町村及び都道府県は、障害福祉サービ スや地域生活支援事業等の提供体制の確保に関する計画(障害福祉計 画)を定めること。

(6)  費用負担

  ・市町村は、市町村の行う自立支援給付の支給に要する費用を支弁するこ と。

  ・都道府県は、市町村の行う自立支援給付の支給に要する費用の四分の一 を負担すること。

  ・国は、市町村の行う自立支援給付の支給に要する費用の二分の一を負担 すること。 ・その他地域生活支援事業に要する費用に対する補助に関する事項等を定 めること。

(7)  その他

  ・附則において利用者負担を含む経過措置を設ける。

  ・附則において精神保健福祉法をはじめとする関係法律について所要の改 正を行う。

V 施行期日

  ○ 利用者負担の見直しに関する事項のうち自立支援医療(公費負担医療)にかかるも の 平成17年10月

  ○ 新たな利用手続き、国等の負担(義務的負担化)に関する事項、利用者負担の見 直しに関する事項のうち障害福祉サービスにかかるもの等 平成18年1月

  ○ 新たな施設・事業体系への移行に関する事項等 平成18年10月

説明は,以上です。

以下は問題点です。

『"障害者自立支援"法案』何が問題なのかを参照してください。

また、新聞記事として 毎日新聞 2005年2月13日 1時23分

◆ 「障害者自立支援法:今国会に提出 新法の背景と課題」

 「障害者施策が大きく変わろうとしている。身体、知的、精神の障害種別に分か れていた福祉サービスを一本化する「障害者自立支援法案」が10日、今国会に提 出された。03年度に導入された「支援費」制度が財政難に陥ったことから、国と 都道府県に費用負担を義務化する一方、新たに原則1割の自己負担を導入する。成 立すれば来年1月にも実施されるが、収入が少ない障害者に負担を強いるため、障 害者団体から反発も出ている。新法の背景と課題を追った。【玉木達也、江刺正嘉】

◇ 財政不足の解消理由に

 「財源を確保しなければ、継続したサービスはできない」。厚生労働省は財政問題 を新法制定の大きな理由に挙げる。障害者が福祉サービスを選択する支援費制度は 予想以上に利用が多く、財源不足となった。支援費の補助は半分負担の国と4分の 1の都道府県ともに、予算の範囲内でしか出せない裁量的経費で、不足分は市町村 が負う。

 問題を解決するため新法は、国と都道府県が財政負担に責任を持つ義務的経費と した。障害者側の申請に基づき、市町村が支給を決定する流れは現行と同じだが、 手続きの透明性を確保するため、障害内容によっては専門家らによる審査会で判定 することになった。

 義務的経費化で、財政を安定させることを「アメ」とするならば、サービス量に 応じて原則1割を負担する「応益(定率)負担」は、障害者にとって厳しい「ムチ」 だ。現行は収入に応じて負担する「応能負担」となっている。障害者は低所得者が 多いため、ほとんどの人が無料だった。

 厚労省は月額で最高4万200円の負担を上限とし、低所得者には、その所得に 応じ2万4600円、1万5000円の2段階で上限を引き下げ、生活保護受給者 は無料とする。

 応益負担を導入する理由について厚労省は、サービスを利用する人としない人の 公平を確保することや、障害者自らが制度を支える仕組みにすることなどを挙げる。 しかし障害者の就労状況は厳しく、所得保障が不十分な状況での負担導入に、障害 者団体は反対している。

 NPO法人・大阪障害者センターが昨年9〜11月、全国30都道府県の障害者 4352人を調査した結果、年金などの公的な収入は3659人が得ていたが、月 額5万円以上10万円未満が58・6%と最も多く、5万円未満が34・5%だっ た。作業所や授産施設、一般企業などで働いている1846人のうち、76・6% は就労による年間収入が10万円未満だった。

 同センターの井上泰司常務理事(52)は「障害が重い人ほど、福祉サービスの 利用は多いが、働く場がなく収入も少ない。新制度で負担が増えるなら、サービス を減らすしかない。それは障害者の社会参加の流れを逆行させるもので、受け入れ られない」と訴える。

◇精神医療 通院支援も見直し

 精神障害者は現行の支援費制度の枠外に置かれてきた。それだけに新法について は「遅れていた精神障害者へのサービスを身体、知的障害者並みにするチャンス」 (全国精神障害者家族会連合会)と期待する声も多い。

 しかし、厚労省は3障害のサービスを統一する制度改革に合わせ、精神障害者の 通院医療に関する公費負担制度を見直し、自己負担を増やす方針を打ち出している。

 外来通院している精神障害者の医療費制度は65年に創設された。精神保健福祉 法で所得に関係なく、通院医療費の95%を公費で補助(自己負担分は一律5%) することで、服薬を継続しながら地域で暮らす精神障害者を支えてきた。

 しかし、厚労省によると、同制度の月平均利用件数は00年が約57万件、02 年約70万件と年々増加しており、「他の医療費と同様、利用者が増え、破たんは確 実」として負担増を決めた。

 厚労省の試案では、一律5%の自己負担割合を所得に応じて1〜3割に引き上げ る。うつ病で通院して月1万円の医療費がかかった場合、500円だった自己負担 が、低所得者で1000円、一定所得以上の人は3000円となり、2〜6倍の負 担増となる。

 NPO法人「こらーる・たいとう」(東京都台東区)の加藤真規子代表(50)は 「入院中心の精神医療から地域社会での生活支援への移行を目指す厚労省の方針に 逆行している」と批判、反対の署名運動に取り組んでいる。

 厚労省は「制度を維持するために、負担増をお願いするしかない。上限額も設け、 大きな負担にならないよう配慮した」と説明する。

 【ことば】支援費制度 障害者自らがホームヘルプなどの福祉サービスを選択し、 サービスを提供する指定事業者や施設と直接契約する制度。03年4月から身体障 害者と知的障害者を対象にスタートした。04年度は国の補助分だけで約250億 円が不足する見通しで、厚生労働省は補正予算や他の施策からの事業費の振り分け などで財源を確保している。障害者福祉の財政安定策を巡っては、介護保険との統 合案が浮上している。経済界や自民党の一部の反対で、統合は当面見送られる方向 だが、将来、障害者を介護保険の対象にする可能性が出ている。

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  (以下文責 尾関敏伸)

   障害児にあっては、今後『特別支援教育』の問題も発生してきます。福祉と教育 という大きな二本柱が現在改革されようとしています。共通の原因の一つとして『財 政難』を挙げることが出来ます。すなわち、『人員カット』と『県から市町村への制 度の移行』です。今まで隣町の人も同じようなサービスが受けられていたのに、市 町村が変わることによってサービス内容が変わってくるかもしれません。

 

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