Kabuki Syndrome Network in Japan Newsletter 歌舞伎ジャーナル  第58号

<<平成18年10月29日>>

 事例報告…小学4年生秋の校外学習

 平成18年10月26日は小学校の校外学習の日でした。子供は現在4年生で、行先は名古屋市科学館でした。

 日本の学校の限界

  子供が属する学年には、4人の障害を持つ子供がいます。1人目は私の子供で歌舞伎症候群。2二人目はアスペルガー症候群のお子さん。3人目は国籍が外国籍で、日本語が不自由で、どうも知的障害があるお子さん。4人目は片方の足が義足のお子さんです。前3者は特別支援学級に在籍し、最後の一人は普通学級に在籍しています。外見的には最後の一人は障害者に見えますが前3者は外見的には判断ができません。では何故、前3者が特別支援学級に在籍しているかというと『コミュニケーション』ができない状況にあるからです。特に校外学習という非日常的なシチュエーションの状況下において※『コミュニケーション』能力の欠如は、大きなリスクを負う可能性が高く、団体行動を維持する上で忌避すべきことのひとつと考えられよう。もし・・・何かあった場合、その責任の所在は必ず追及され、学校への批難は避けられません。このあたりが正直日本の学校の限界と思われます。そんな訳で父親と、もう一人の親御さんが同行された。(この件で学校側に感謝することはあっても恨むことは決してありません)

  校外学習の目的

  

  @ 地域の鉄道網を調べ利用の仕方を知る。

  A プラネタリウムで月や星の動き、星座についての学習を深める。

  B 公衆道徳を守り、グループで協力しあって主体的に行動する力を養う。

  目的地までの移動方法は電車利用で、『名古屋鉄道』と『名古屋市地下鉄』を乗り継いでいくもの。行き方は2通り方法があり、どちらの方法も基本的に2回の乗換えが必要です。また、往路は、グループ行動で、あらかじめ学校から電車賃が渡され、自分たちで往路の方法を決め、切符を購入するところから始まります。我々のグループは、特別支援学級の児童3人に担任と保護者でした。出発の時点ですでにリスク回避は始まっていました。乗車する列車が出発の1本遅いもので、そうすると先に行った子供たちは、科学館の前で後発隊の我々のグループを待たねばならない。少しでも早く中に入りたい子供たちにとっては気の毒な話である。矛盾は感じるが、それよりも保護者の本音で言えば、健常児のお子さんたちと仲良く電車に乗って行ってほしいし、普通学校へ入学させた目的のひとつに、健常児とのふれあいがあります。

  往路は、犬山経由、上小田井経由で、「犬山〜上小田井」間は父親の大好きな7000系(パノラマカー)であった。アスペルガー症候群のお子さんは、いわゆる「てっちゃん」鉄道大好き少年で、座席が空いていたにもかかわらず、座ることなく、車窓の眺めやすれ違う列車を真剣な眼差しで追いかけていました。

  名古屋市科学館

  名古屋市科学館のメインはプラネタリウムで星を学習することでした。残念ながら子供は、プラネタリウムにまったく関心がなく、薄暗い部屋の中に入ったとたん『帰ろっか!!』と叫び、より暗くなるにつれ、不安が募っていくようで、前の座席を非常に気にしていた。プログラムが始まると『振せん(顔や手を意味なく何回も振ることで、歌舞伎症候群の特徴でもある)』をしたり、特に意味のない言葉を発していました。保護者としては他の方々に迷惑がかからないかと肝を冷やしていました。プラネタリウムは、今までに数回見たことがありましたが、ここの説明方法は昔ながらの方法で、担当職員が生の声で臨機応変に説明するもので、子供たちにとっても大変理解しやすいすばらしい学習施設と感じました。昼食をはさんで、午前と午後、科学館で過ごしましたが、皆さん気を使っていただき、『親子でゆっくりと見てください。必要に応じて車イスはいつでもスタンバイしています』とのことでした。件の4人目のお子さんは科学館の中では車イスを使われていました。コミュニケーション能力には何の問題もないため、クラスの人気者です。常にクラスメートの誰かが車イスを押す役割を果たしていました。

 科学館のもうひとつの魅力としてモニターやパネルでで情報伝達するだけでなく、常に参加型として『実験』をイメージしていると好感が持てました。また、企業協賛も多く、地域性がよく現れていました。全体的に物理・化学・生物・地学がバランスよく展示されていましたが、最新技術、例えばインターネットの仕組みを紹介するようなコーナーがあってもよいと感じました。ドイツでは小学4年生でアインシュタインの一般相対性理論を習得するそうです。理科離れが問題になっていますが、もっとこの施設を充実させ、使いやすい施設にすれば、理科離れもなくなるのではないでしょうか。

 また、屋外展示場には、F86ジェット戦闘機、海底探査機、名古屋市市電やB6型SLがいつでも稼動できるような状態で保存してありましたが、それらを見ているのは観光バスの運転手さんぐらいで一抹の寂しさを感じました。

  昼食

   昼食のメンバーも一緒でした。時間も準備時間を含め30分程度しかなく、その間にお菓子もデザートも後片付けも含まれているため、校外学習のお弁当タイムの最も楽しいひと時である「おかずの交換儀式」や「他人のおかず拝見」は叶いませんでした。なお、我が家のお弁当のおにぎりは、前夜妹が結んでくれました(妹もこの日は校外学習日で、上の車内の吊り広告にあるモンキーパークへお猿さんを見に行きました。また「おかずの交換儀式」や「他人のおかず拝見」についても詳しく話をしてくれました)。

  帰り

   復路はグループ行動ではなく、全体行動でした。そのかいあってか、電車の中では、写真のとおりほかの女の子たちと一緒に座ることができました。会話があったかどうかは分かりませんが、無視はされなかったようです。保護者にとってはこのシーンが一番の収穫だったかもしれません。

※『コミュニケーション』能力の欠如・・・という用語または定義はなく、今回作ったことば。『コミュニケーション』能力の欠如に該当する者は、例えば手話通訳によりコミュニケーションを図れる人は欠如に該当しません。すなわち、人の手助けがあっても「話せない(ホディーランゲージができない)」、「聞いた内容が理解できない」、「読めても書いてある内容が理解できない(筆談ができない)」の3つとも該当する人です。

  

 

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