Kabuki Syndrome Network in Japan Newsletter 歌舞伎ジャーナル  第68号

<<平成19年6月8日>>

  知的障害児(者)の理論上の人数と推計人数の乖離について(仮説)

・ 今回のレポートは、知能指数の内容や制度のことではなく、知的障害児(者)の人数についてのみ 記載します。

・ 「知的障害」、「精神遅滞」どちらの表現方法が適切なのか判りませんので、 平成19年 1月24日厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課が発表し た「平成17年度知的障害児(者)基礎調査結果の概要」 に基づき、知的障害児(者)としました。

ここでいう「知能指数の意味」は

 知能検査によって調べられた知能は知能指数(IQ)という数量によって表現さ れる。ビネー式ではIQは精神年齢と暦年齢の比で表される。

        *知能指数(IQ)=(精神年齢/暦年齢)×100

 もし年齢相応に知的な発達がなされていればIQは100であり、遅れていれば1 00以下、進んでいれば100以上となる。 

知能指数の分布について(引用:http://www.toshima.ne.jp/~office_y/2.docより)

 図1の部分的拡大

 

(原文) 知能指数の分布は正規分布をなす。正規分布という言葉は難しく聞こえるが、 英語ではnormal distributionであり、ごく普通の分布ということである。つまり 、平均的なところに最も多くの人が存在し、平均から外れるにつれ、人数が減少 していく分布である。人の身長や体重など多くのものがこの分布を示し、図1の とおり知能もこの分布を示す。この分布は平均と標準偏差があり、山の最も高い ところが平均(下図のm)であり、すその広がり方の指標が標準偏差(下図のS) である。知能指数の場合、平均は100であり、標準偏差は10-15と想定されている 。標準偏差を15とすると、IQ85から115の間に世の中の68%の人が存在し、IQ70か ら130の間に95.5%の人が存在し、IQ55から145の間 に99.7%の人が存在する。ま た、IQ70以下は図2のとおりで理論上2.25%の人が存在する。

  理論上の人数と推計の人数(「平成17年度知的障害児(者)基礎調査結果の 概要」より)

理論上の人数

推計の人数

理論と推計の差

2,875,000

547,000

2,328,000

 理論上の人数は日本の人口127,767,000人(18.8.1現在)×2.25%

 

 

 

 

 

 

 この「平成17年度知的障害児(者)基礎調査結果の概要」データの問題点

@全世帯を調査したわけではなく、平成12年度の国勢調査により、150分の1の 割合で無作為抽出された地区を対象調査区としたこと。

Aこの調査は在宅を対象とし、社会福祉施設入所者(知的障害児施設、自閉症児 施設、重症心身障害児施設、知的障害者更生施設(入所)、知的障害者授産施設 (入所)は対象とされていない。(グループホーム、通勤寮、福祉ホーム利用者 は対象としている。)

B在宅障害者のうち障害の程度が不詳を人数で50,100人、率で12.0% 存在すること。

調査結果の概要より・・・在宅の障害の程度(図5)、在宅の障害の程度の推移(図8)

(理論上、図2と図8は相似のカーブを描くはずですが、中度・軽度は理論通りではありません。)

 理論的には日本の知的障害者数は287.5万人になる。しかし、公的に知的障害者と されている人は推計54.7万人であり、実際に存在するはずの障害者数と比較する と5分の1ないし6分の1であり、著しく少ない。また、図5の在宅41.9万人(施設入所者の障害程度区分の人数を国は出していない)のう ち推計で91%が療育手帳所持者である。内訳は、「最重度」8.9 %、「重度」34.3 %、「中度」37.2 %そして「軽度」は13.1 %となっている。理論上の出現頻度 は障害が軽いほど多いので、それを考慮すると、軽度・中度の手帳所持者は実際 の軽度・中度の人数のうちのごく一部であると考えられる。

どうして「理論」と「実際」の間にこんな乖離が発生するのか

表40参照

その他の理由として

@特に障害が軽い場合、学校や生活での不便は感じていても、障害認定を受けら れる可能性に気付かない場合。

A世間体や自尊心を保ったり、いじめを懸念したりするためにあえて申請しない 場合など が考えられる。

引用「知的障害」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2006年4月15日 ( 土) 12:49 

追記

特別支援教育の対象について

今まで、特別支援教育の対象をグラフで見る機会は余りありませんでした。図1に色付けしてみました。

 歌舞伎ジャーナル第60号で特別支援教育の海外先進地と日本の現状について記載しました。

 その中で、「アメリカでは特別の場を含め10%以上の子どもが特別の支援を受ける」「イギリスやカナダでは20%を目標に整備している」「日本は、特殊教育の制度を利用する児童生徒の割合は、義務教育段階のすべての子どもの1.6%に留まっている」としています。

 また、国は小・中学校における制度見直しについてで、「通級による指導の指導時間数及び対象となる障害種を弾力化し、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)を新たに対象とする」「特殊学級と通常の学級における交流及び共同学習を促進するとともに、特殊学級担当教員の活用によるLD、ADHD等の児童生徒への支援を行うなど、特殊学級の弾力的な運用を進める」としています。

 LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)は、多くの場合、図1-1で示す紫色のエリアにいます。

 先進国では特別支援教育(特別なニーズを必要とする)を受ける子供たちは10%〜20%としていますが、これは図1-1のIQ85以下に占める人数の割合に合致しています。

 今回の学校教育法等の一部改正法で「障害のある幼児児童生徒の教育の基本的な考え方について、特別な場で教育を行う「特殊教育」から、一人一人のニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行う「特別支援教育」に発展的に転換」を基本的な考えとしています。・・・早く実現するとよいと思います。

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