Kabuki Syndrome Network in Japan Newsletter 歌舞伎ジャーナル  第71号

<<平成19年7月20日>>

  機能訓練にパソコン利用は非常に効果的です

 パソコン・インターネットのゲームによる機能(開発)訓練 

  パソコンは、保育園の年少時から与えています。最初は、童話「ブレーメンの笛 吹き」のCD-ROMを視聴するところからはじめました。次にCD-ROMによる「ミッキーマウス」「クマのプーさん」各二種類の簡単 なゲームを自分で操作するように仕向けました。この頃は、脊柱側弯症の影響からか、歩くことも手や指を自由に 動かすことも出来ませんでした(独歩が可能となったのは4歳6ヶ月)。パソコンで ゲームをするためには、マウスを自由に動かさなければなりません。自分の欲望 を満たすため、すなわち、自己訓練により、右手・右指が自由に動かせるようになったかもしれません。 インターネットでゲームをするようになったのは小学校1年生になってからで、ADSL の環境からスタートしました。光ファイバーの環境になったのは今年の1月からで す。

 インターネットは操作を一つ一つ教えたわけではありません(重度な知 的障害者に操作を教えること自体、お互いにストレスがたまることとなり、あま り有効な手段ではありません)。デスクトップ上のインターネットのアイコンをクリックするとサン リオのホームページに接続するように設定しました。あとは、本人が勝手にネットサー フィンを展開し、自分の感性に合った画面になると、どんどんのめり込んで行き 、パソコン操作を会得しました。小学校4年生からのクラブ活動はパソコンクラブに所属し、学校でもマウス操作だけは一定の評価を得ているようです(下段にビデオクリップを用意しました。それで確認してください)。

 ゲームを行う目的は快感・征服感を得るところにあります。療育手帳A判定(現在IQ=30前後)でも脳はゲームの内容を理解します。 映像を目で見る楽しみと音を耳で聞く楽しみが渾然一体になり、次に想像と目標を一致させるために手・指でマウスを操作し、成功すれば満足・征服感につながり、失敗すれば、フラストレーションが溜まったりします。実際、画面をクリアしたときは「やったね」と騒ぎ、手をたたいて喜びます。モチベーションを持続させることが、個人の機能の向上に大いに役立つと考えます。

 療育手帳A判定は、知的障害を持っていない人に比べて身体障害を伴っている確立が高いとされています。視力は専門機関で2回検査を行いましたが、2回とも異常ありませんで した。しかし、聴力は前にも書いたように、検査が出来ません。保育園の年中の 時に真珠腫性中耳炎のために左耳の手術をしました。担当医は「左耳は、鼓膜は残 っているが、三半規管を取り除いているので、音が聞こえないはずです」と言い ます。しかし、本人のパソコンを楽しんでいる状態から耳が不自由とは窺えませ ん。

実際にパソコンでゲームをしている場面は次のとおりです。(10歳11ヶ月)

   オルゴールマジック

(今、関心が強いものです。この曲は『メヌエット』ですが、他には 『猫踏ん じゃった』を好んで行います。画面上で動く▲や● の穴に同じ形のものをマウス操作(ドラッグ&ドロップ)で嵌めていくゲーム)

 

   ばつ丸の寿司職人

(このゲームのルールをよく理解しており、カウンターの向こうのお客さんの イメージするお寿司を作ることです。本人も、お寿司を食べている感覚になり、 手を口にもって行き 、指はヨダレだらけになっています。 )

 

   カードゲーム

(本人はまだ、このゲームのルールを理解しておらず、途中で止めてしまいま す。歌舞伎症候群の特徴として、数学・算数系は苦手のようです。)

 

   ポチャッコのドキドキパニック

(一番最初に始めたゲームで、CD-ROMの製品時代から行っています。はじめは 、指が自由に動かせなく、思いどうりにマウスを動かすことが出来ませんでした 。このソフトにより、マウス操作を覚えたと言っても過言ではありません。1面を クリアできるようになってからは、関心が薄くなりました。)

 右手の運動能力は向上したが、左手の能力は右手に比べて、滑らかさに欠けます。

参 考

 機能訓練とは…理学療法(PT)、作業療法(OT)、言語聴覚療法(ST)などがあります。

理学療法(PT)…病気やケガなどによって身体が不自由となった人々に対し、機能回復・維持等を 行う医療行為で

@ 運動療法:筋力・関節可動域・バランス能力を高めたり痛みを軽減するための訓 練を行い、日常生活活動(起きる・座る・立つ等)や歩行などの運動技能の向上をめ ざします。

A 物理療法:温熱療法・水治療法・光線療法・電気療法などで痛みの軽 減や循環機能の改善をめざします。

B 日常生活活動訓練: (ADL訓練)入浴やトイレ利用に伴う移動・移乗動作の訓練を行います。

作業療法(OT)…身体または精神機能に障害のある人々に対し、主体的な生活の獲得・再獲得のた め、作業活動を用いて行う医療行為で、作業活動とは、日常生活の諸動作、仕事,遊びなど人間生活の全 般にかかわる諸活動です。

言語聴覚療法(ST)…小児の言語発達の遅れ、脳血管障害による失語症や麻痺性(運動性)構音障害、悪 性腫瘍による舌切除者の構音障害(発音の障害)、聴覚障害など、小児から高齢者 までの様々な言語聴覚障害のある人々に対して、能力の向上を目的として行う医療行為です。 

 上記の訓練は、単体で行うことは稀で、通常組み合わせて行います。また、「機能」という単語は動作だけをイメージしがちですが、実際には精神遅滞の向上にも効果があることを忘れてはなりません。

 

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