Kabuki Syndrome Network in Japan Newsletter 歌舞伎ジャーナル  第78号

<<平成20年1月14日>>

  歌舞伎症候群を角度を変えて検証します

T 歌舞伎症候群の遺伝子疾患上の位置づけ

 歌舞伎症候群をヒト遺伝子変異と遺伝病に関する代表的なデータベース『Mendelian Inheritance in Man』(以下「MIM」)では次のように現されています。(MIMとはJohns Hopkins大学 McKusick博士がライフワークで編纂されています。)

 MIM%147920

 MIM …Mendelian Inheritance in Man 人類におけるメンデル性の遺伝

 % …遺伝子レベルで原因が解析されていない遺伝子疾患

 147920…100000〜199999(6桁表示)は、常染色体-優位-座または表現型{遺伝子型が原因で現れた形質の事}(1994年5月15日以前に存在していた)

 MIMには米国国立医学図書館(National Library of Medicine)内の国立生物情報センター(National Center for Biotechnology Information:NCBI)がデータを提供しており、頻繁に更新されている。

 因みにダウン症は#190685と表現され、#は遺伝子レベルで原因が解析済みを意味しています。

 

U MIM%147920には何が書いてあるか。

 MIMでの記載内容は臨床特集・細胞遺伝学・分子遺伝学・集団遺伝学・命名法・参照・引用・誘因・登録日・更新記録で、この順番で統一されています。

 記載概要は、ほとんどインターネットの歌舞伎症候群のページで紹介されているものです。あえて挙げるとすれば歌舞伎症候群が発生する確立で、次のようになっています。

 Kabuki make-up (Niikawa-Kuroki) syndrome: a study of 62 patients. Am. J. Med. Genet. 31: 565-589, 1988.

 一部を紹介します

 It was estimated that its prevalence in Japanese newborn infants is 1/32,000. All the KMS cases in this study were sporadic, the sex ratio was even, there was no correlation with birth order, the consanguinity rate among the parents was not high, and no incriminated agent was found that was taken by the mothers during early pregnancy.

 日本では、歌舞伎症候群の出生確立は1/32,000と計算されました。この研究のすべてのKMSケースは散発的で、男女比は均一です。出生順序の相関関係はありませんでした。両親の間の血縁率は高くありません。そして、妊娠初期に母親が飲んだ薬剤が原因もありませんでした。

 命名法では、「make-up」は相応しくないという一部の声があることを紹介しています。

 更新記録の更新回数は1993/6/3〜2007/11/13で87回を数えます。

 

V 知能指数(=IQ)の分布について

 

 歌舞伎ジャーナル第68号 知的障害児(者)の理論上の人数と推計人数の乖離について(仮説)ですでに記載しましたが、歌舞伎症候群の知能指数の分布は右のグラフ01のようになります。

 ここでは、正規分布の理論を説明するものではありません。正規分布について詳しくお知りになりたい人は次のURL正規分布図と標準偏差などを参照してください。

 大雑把な表現ですが、知能指数の分布図と偏差値の分布図の形はほぼ一緒です。一般的な違いは、知能指数(=IQ)の平均値は100で、標準偏差値は50です。

 IQ値が知能のすべてを物語っているとは当然思ってはいませんが、重要な尺度になることには間違いありません。また、IQも生活年齢と精神年齢の比を基準とした「従来の知能指数 (IQ)」と、同年齢集団内での位置を基準とした標準得点としての「偏差知能指数(Deviation IQ, DIQ, 偏差IQ、偏差値知能指数)」の2種類がありますがここでは後者を想定しています。

 IQ値が50〜70は軽度知的障害、35〜50は中度知的障害、20〜35は重度知的障害、 〜20は最重度知的障害となっています。

 このグラフ作成のデータの根拠は国内のネットワークで過去に行ったアンケート等で、療育手帳の所持者が軽度から重度までいらっしゃったことによります。療育手帳の判定方法は歌舞伎ジャーナル第63号を参照してください。

 

W 身長の分布について

 身長の平均より高いとか低いという分布の状況は、知能指数と同様、正規分布をなします。

 歌舞伎ジャーナル第75号歌舞伎症候群における低身長と肥満について

で、低身長ではないが、平均身長より低い傾向があると記載しました。歌舞伎症候群の対平均身長の分布は右のグラフ02のようになります。

 平均身長と比べてどうか確認したい場合は、(ファイザー社のホームページから無料で成長曲線のグラフがダウンロードし、それに当てはめる。またはこの表で比較し、低身長かどうか判断する、です。

 このグラフ作成のデータの根拠は国内のネットワークで過去に行ったアンケートにより、歌舞伎ジャーナル第15号で発表したものによります。

 *低身長とは:その人の「身長」と「1年間の身長の伸び具合」から判断しますが、医学的には低身長は「同性・同年と比較して平均値よりもマイナス2SD以下」「1年間の伸びが平均値の80%以下が続く場合」を低身長としています。

 *体重の分布は正規分布に該当するか…極端な例として、お関取は現役引退後ダイエットされます。このことからもわかるように、任意にコントロールしやすいカテゴリーは正規分布に該当しないといわれています。

 以上文責 尾関敏伸

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